俺がクー・フーリンなのは絶対に間違っている 作:神崎真
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第1話 プロローグとは少し違う始まり
迷宮都市オラリオ。その名の通り、世界で唯一『
ダンジョンに挑み生計を立てる『冒険者』、彼らは天界より降りてきた神達の恩恵を受け、恩恵を受けた神を筆頭とする組織『ファミリア』に所属する。
冒険者はダンジョンでお金やアイテムを手に入れ、自身のファミリアの神を養う。その代わり、冒険者は一般人と一線を画す力を貰える(もっとも、貰える力で通用するのは、ダンジョンの雑魚敵までだが)。
当然ダンジョンを降り続ければ敵は強くなる。なら、どうすれば雑魚以上の敵を倒せるかって?それには『
俺はこんな摩訶不思議な物がある、この世界に転生してしまった。型月版クー・フーリンの力とその名を、持って
………(白目)。
説明が長くなったが、現在俺が所属する『ロキファミリア』は、
「ーー盾ぇ、構ぇぇッ!!」
響き渡る衝突音。ヒューマンと亜人、モンスターが入り乱れる戦場の中を駆け回り、手に持つ真紅の魔槍『ゲイ・ボルク』で素早くモンスターを刺し穿ち、突き穿つ。射線に入ってしまった時に、時折飛んで来る味方の矢は、自動発動するスキル『矢避の加護』があるのでスルーする。
「リヴェリア〜ッ、まだぁー!?」
戦闘音が響く中、アマゾネスの少女、ティオナ・ヒュリテが皆の思ってる事を代弁する。しかし、名を呼ばれた本人の返事は無く、魔法の詠唱が続けられる。
「【ーー至れ、紅蓮の炎、無慈悲の猛火】」
背後からは、この状況を1発で打破出来る一撃へと至る詠唱。眼前に迫る大量のモンスター。いい加減、相手にするのが飽きてきたので、リヴェリアの一撃を心待ちにしていた。
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『ーーオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
皆が魔法の完成を待つ中、一匹の『ファモール』が前線の一角を突破する。直ぐに穴を塞ぐが、その一角からファモールが数匹既に侵入して、後衛人へと迫りつつあった。
「レフィーヤ!?」
ファモールによって少女、レフィーヤ・ウィリディスが薙ぎ倒される。地面に倒れたレフィーヤにファモールは手に持つ鈍器を振りかぶる。そこに金と銀の光が駆けつける前に───────前衛から飛んで来た、朱槍によって、モンスターは心臓である魔石を貫かれ消滅する。
槍を投げた張本人であるクー・フーリンは、澄まし顔で眼前のモンスターを、持ち前の怪力で粉砕する。
駆けつけようとしていた少女、アイズ・ヴァレンシュタインは、後衛に侵入していた残りのモンスターを素早く斬り倒し、前線へと戻り、
「ちょ、アイズ、待って!?」
ーー直ぐさまファモールの大軍に突っ込んだ。
剣を一閃するだけで、ファモールは斬り裂かれ、絶命する。華麗でありながら正確な剣戟は、前衛のモンスターを減らしていく。
「【ーー汝は業火の化身なり】」
「アイズ、戻りなさい!」
魔術は完成しようとしている。その射程にいるアイズは戻る為に跳躍しようとし、足を掴まれてしまう。見ればアイズが殺し損ねたファモールが、下半身を無くしながらも残った上半身でアイズの足を掴んでいた。アイズは想定外の出来事に剣を使う事を忘れて、拘束を解こうともがく。しかし、拘束は解けない。
ファミリアの前衛陣は、押し留めているファモールが邪魔をして、助けに行けない上に、距離が遠い。この状況を打破する為には、一刻も早い魔法の発動が不可欠。しかし、助けに行っては術の発動は遅れてしまい、余計な被害が出る可能性がある。ーー彼以外なら。
「クー・フーリン!」
「応!任せな!!」
クー・フーリンは直ぐさま、後衛に転がるゲイ・ボルクを呼び戻して、常人では視認する事すら不可能な速さで、槍を一閃する。刹那、彼の前に立ち塞がっていたファモールは死に絶え、アイズまでの道が一瞬開かれる。
クー・フーリンはその一瞬を駆け抜け、アイズのもとに辿り着いた。
「……クー?」
「迎えに来たぜ」
アイズの足を掴むファモールを踏み殺して、手を差し出す。
「捕まれ」
「うん」
「【焼きつくせ、スルトの剣
ーー我が名はアールヴ】」
クー・フーリンはアイズを抱えて離脱する。同時にその魔法は放たれる。
「【レア・ラーヴァテイン】!!」
爆炎がモンスターを飲み込み、焼却する。
それを尻目に冒険者達は、武具を静かに下ろすのだった。
主人公が無双する話を書きたかった、後悔はしていない。