ヤオザミ成長記   作:ヤトラ

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モンハン4Gの新モンスター、鳥竜種じゃなくて飛竜種だったんですね……(溜息)
3で海竜種、3Gで獣竜種となれば打倒なんでしょうけど。

けどカッコイイから許す!

7/22:誤字修正


第46話「鬼鉄蟹VS天廻龍・前編」

―バルバレギルドが禁足地にてシャガルマガラの存在を確認した直後の事。

 

 

 

「ひぃぃぃ!お助けぇぇぇ!」

 

 今18人目のハンターが悲鳴を上げて逃げ出し、それに続くかのように19人目と20人目が逃げ出した。……17人目?ネコタクで送られましたが、何か?

 計20人目のハンターの後姿を見送るのは、天空山を制するようになったオニムシャザザミとそのオトモ・ブッチャー。

 オニムシャザザミは「やれやれやっとか」と言わんばかりに鋏を下ろし、攻撃の姿勢を解いて大人しくなる。

 

(見たでヤンスか!あっしとオニムシャの旦那のチームプレー!)

 

 対してブッチャーは、ハンター達の後姿に向けて胸を張って自慢する。ブッチャーがオニムシャにあわせて動いただけでもあるが。

 

 ここしばらくは天空山の頂点として君臨し、多くのモンスターやハンターを撃退してきたオニムシャザザミとブッチャー。

 というのも、オニムシャザザミ自身としては以前のようにノンビリと食べ歩きをしていたいだけなのだが……そうは問屋が卸さなかった。

 

―そう、天空山に再び狂竜ウィルスが充満するようになったのである。

 

 生物であれば無遠慮に感染していくウィルスは天空山を支配するかのように広がって行き、それは当然ながらオニムシャザザミとブッチャーにも襲い掛かる。

 先日野生の本能が爆発したのに加え、狂竜ウィルスに侵されたことで凶暴性がショウグンギザミにも劣らぬものとなり、外敵と定めた生物を次々に攻撃しているのだ。

 その選考基準は曖昧とはいえ、リオレウスやハンターといった「爪や牙、刃といった攻撃的なもの」を持つ生物に襲い掛かることが解った。逆にクンチュウやケルビなどは対象外となるらしい。

 

 そんなこともあり、これまで5チーム、計20名のハンターを返り討ちにしてきた。軽傷大怪我死傷者関係なく、逃げるか倒れるかのどちらかが決まるまで徹底的に。

 尤も、ハンターが逃げ出す頃には狂竜ウィルスが大人しくなり攻撃性が沈下するのだが……その間の戦闘で大きな被害を人間側に与えるのだから迷惑である。

 

 それを知ってか知らずか……いや、ハンターが襲い掛かる時点で攻撃本能が刺激され、オニムシャザザミは外敵を迎え撃つ為に攻撃を加えてきた。

 しかしオニムシャザザミには一つの懸念があった。己の背を守るヤドの頭蓋骨である。

 テツカブラの厳つい頭蓋骨を使用しているとはいえ、これまでの激戦による被害が蓄積し、随分とボロボロになってしまった。

 解りやすいほどのひび割れを起こしてはいるが、幸いにもジンオウガやリオレウスによって破壊されることはない。……まぁゴア・マガラが強すぎた、の一言に尽きるのだろうが。

 

 

 ヤドへの不安・狂竜ウィルスによる凶暴化・そして本来の野生を取り戻したことによる攻撃本能。

 これらが合わさることでリオレウスやジンオウガに勝りかねない危険度を誇るようになり、結果バルバレギルドに注目視されることとなった。

 

 

 それでもオニムシャザザミはいつものように食べ物を食べ歩こうとして……ある気配に気づく。

 先ほどハンター達と戦闘を行ったエリア1。ハンター達がこの天空山の領域外に逃げ出した頃になって、その気配は感じ取られた。

 それはブッチャーも同様に感じられたようで、ハチミツまみれの口元を拭い、気配のする方へキーキーと唸り声を上げている。

 しかし戦闘後に高まったテンション故か、オニムシャザザミは揚々とその方角へ足を運ぶ。

 ブッチャーは「あっしも行くでヤンス!」と言っているかのように走りだし、そのままジャンプしてオニムシャザザミの頭に着地し「ガンガン行こうぜ」ダンスを披露。これは戦闘前に気合を入れるダンスだ。

 

 そう、これは強者の気配。その正体を確かめる為にも、オニムシャザザミは行く。戦おうものなら容赦なく叩くつもりで。

 しかし天空山に充満しつつある狂竜ウィルスの根源がそこにある事を、オニムシャザザミとブッチャーは知らなかった。

 

 

 

―――

 

 急に雲が出てきたことにより、周囲は薄暗くなった。

 モンスターは急変する天気に敏感だ。古龍種という自然災害の前触れかもしれないと、本能的に理解しているからである。

 過去にクシャルダオラという脅威を知ったブッチャーにとって、強者の気配と天候の変化が同時に現れることで腰を引いてしまう。

 オニムシャザザミもまた同意だ。気配がする方へと近づくにつれ、その存在がこれまで天空山に出没したモンスターやハンターとは比べ物にならない程の強者であることが解るようになってきた。

 

 それでもオニムシャザザミはその先―――禁足地へと足を運んだ。

 

 狭い入り口を潜った先には広い光景があった。

 風が吹きぬけるここは高台かなにかなのだろうが、暗雲により薄暗くなった今では周囲の光景が見えづらい。

 中央に巨大な岩があるだけのこの地に、オニムシャザザミはあるものを発見した。

 

 黒い靄のようなものが佇んでいる。だがそれだけではない。

 先ほどからオニムシャザザミの防御本能を刺激するほどの強者の気配が、その黒い靄から感じ取れる。

 ブッチャーも警戒のあまり、恐怖を打ち払うかのように杖をブンブン振り回していた。

 

 

 

 やがて黒い靄は打ち払われた―――金色の翼が羽ばたいたことで。

 

 

 

 そこにいたのは、金色の竜だった。

 四つの足を地に立たせるだけでなく、広げたはずの翼が腕のように地面に振り下ろされている。

 眼はオニムシャザザミを見つめてはいるが、その視線は明らかに敵意と殺意に満ちている。

 そしてオニムシャザザミは本能故か理性故かは解らないが、この殺意に覚えがあった。

 

 

 天廻龍シャガルマガラ―――オニムシャザザミと死闘を繰り広げたあのゴア・マガラが、生まれ変わった姿。

 

 

 シャガルマガラは翼を折り畳み、ゆっくりとオニムシャザザミから見て右方向へと迂回しながらこちらを睨んでいる。

 顔をオニムシャザザミに向けながら、しかし決して襲うことはなくオニムシャザザミを迂回している。

 オニムシャザザミも同様に、攻撃も防御もすることなく、ブッチャーと一緒に大人しくシャガルマガラを見ていた。

 

 

 まるでお互いを見知っているから故に挨拶を交わしているかのよう―――そう、戦いの前の挨拶のような。

 

 

 シャガルマガラは地に足をつけたまま翼を広げ。

 

 オニムシャザザミは両の鋏を広げ。

 

 ブッチャーは「かかってこいや」のダンスを披露する。

 

 

 

 

―今、天空山の頂点を決める争いが始まる。

 

 

 

 

―完―




このシャガルマガラはオニムシャと激突したゴア・マガラが進化したものです……え?解っているって?そうですか(ショボン)

今回は挨拶だけです。実際に挨拶はしていないんですがね(苦笑)

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