ヤオザミ成長記   作:ヤトラ

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前回のあらすじ:まさかのザザミ3匹同時出現

サッと登場人物紹介

●ハンターサイド
・ディム・レッサー(男・23歳・ジンオウUシリーズ・ハンマー)
・イリヤ・ロックスミス(女・18歳・ナルガSシリーズ・片手剣)
・ヴァルツ(男・21歳・ギルドナイトSシリーズ・大剣)
・リグレット(男・20歳・インゴットSシリーズ・ヘヴィボウガン)
●密猟団サイド
・レガッダ(男・35歳・レウスX・チャージアックス・リーダー格)
・ギギレ(男・32歳・ガララX・ヘヴィボウガン・狡賢そう)
・カラン(女・27歳・レイアX・狩猟笛・美丈夫)
・ドド(男・25歳・グラビドX・ガンランス・小太りなマヌケ)

ドドの人気っぷりに軽く嫉妬(笑)


第63話「研究者と密猟者」

 恋は盲目、という言葉がある。人は本気で恋すると目の前しか見られなくなるという。三大欲求の1つではあるが困ったものだ。

 三大欲求により忠実であるモンスターも同じ事で、求愛行動から本番まで本気で向き合う。生物の本能とも言える。

 そんなわけで、ザザミ亜種(♀)に惚れ込んだザザミ原種(♂)は、格上であるオウショウザザミ(♂)に戦いを挑むのだった。

 

 

―甲殻種ならではの争い方で。

 

 

 そう、ザザミはディアブロスのように身と身を削りあうような争いは行わない。

 両の鋏を広げ、どちらの体が大きいか競い合うか、威嚇しあって押し合うかの何れかだ。

 それは雌を奪い合う争い(一方的)でも変らないわけで……。

 

―ソイヤァ

 

―ドヤァ

 

 ザザミ原種とオウショウザザミが鋏を広げ、対面したままじりじりと近づいたり横に移動したりを繰り返す。

 先ほどまでハンターを狙った混戦が起こっていたというのに、本能に従ったからかオウショウザザミは律義にザザミ原種の挑戦を受けている。

 本来ならオウショウザザミの圧倒的勝利に終わるだろうが、雌のザザミ亜種を勝ち取りたいが為にザザミ原種は諦めない。

 

 コレはハンター達にとっては好機であり、混戦に持ち込ませて逃げる予定の密猟団にとっては誤算だった。

 そう……ハンター3名が研究者体質であり、ザザミとチャチャブーのみという、先ほどより難易度がグッと下がった状況でなければ。

 

「これがダイミョウザザミ同士の縄張り争い方かぁ!」

 

「いえ、雌を巡った男の戦いじゃないんですか?」

 

「どっちだろうとも同じ事をするんだよ。あのザザミも有効だったんだな大きさ競い」

 

「お前らいい加減にグボバッ!」

 

 状況が改善されたからといって観察しだす研究バカ×3に叫ぶディムだが、チャチャブーの頭突きを腹に受けて中断。

 しかもオウショウに比べて動きが遅いザザミ亜種が研究バカトリオに、すばしっこくて頭突きが痛いチャチャブーがディムに襲い掛かるのだからタチが悪い。

 

「けどヴァルツさん、確かモンスターの縄張り争いって割り込むのは危ないんですよね?」

 

「ああ。互いに戦わないからといって争いには違い無いからな。ピリピリしているから茶々を入れるのは止めておけ」

 

 ザザミ亜種の横歩き水ブレスを潜り抜けながら問いかけるイリヤに、やってきたザザミを溜め斬りで攻撃するヴァルツが応える。

 イリヤとリグレットは研究者としては未熟で資料しか見たことがない為、こういった余裕があるときは積極的にヴァルツに学ぶことが多い。

 誰にもで言える事だが狩りとは不確定要素が多い。機会があれば多少の無茶があっても観察・学習するのが研究者ハンターの常だ。

 

「いやそこは諦めろよグヘッ!?」

 

 ダレに突っ込んだかは知らないがまたしてもディムはチャチャブーの手痛い一撃を食らう。

 痛みやら怒りやらでイライラしているディムに、リグレットが発射した回復弾が命中。被弾と同時に蛍光色の液体が霧状に破裂し、ディムの傷を回復する。

 

「大丈夫ですよディムさん、キンピカザザミも普通のザザミもコッチを無視しているみたいです」

 

 弾丸をリロードしながらディムを宥めるリグレット。

 彼はサポートと見張りを担当している為、常にザザミの縄張り争いを監視している。

 新人心も相まって緊張感が高まり目を離すことは無いが、研究者魂が即座に逃げるという選択肢を捨てた。

 

 ザザミ同士の争いはオウショウザザミが圧倒的で、鋏を広げながらジリジリとザザミ原種に攻め寄っていく。

 勝敗が決するのも時間の問題だろうが、幸運が重なったからか2匹はこちらから徐々に離れていく。

 

 これならオウショウが勝った直後に逃げれば確実に逃げられる上、追い出されたザザミ原種を追いかけて討伐できる。

 

 そう考えていたのだが、彼らが知らぬイレギュラーはそれを許さなかった。

 

―カキンッ!

 

「「「あ!」」」

 

 チョコマカ動くチャチャブー相手に夢中だったディム以外の3人が叫ぶ。

 オウショウザザミの後姿を見ていた3人が見たのは、要塞のような背部に張り付いた徹甲榴弾であった。

 

―ドゴンッ!

 

 直後に響く破裂音と衝撃に、ダメージは全くないとはいえ、オウショウザザミがそれに気づいたのか動きが止まる。

 動き続ける者達が多い中、オウショウザザミとダイミョウザザミがピクリとも動かなくなってしまい、ハンター達は不気味さですら感じてしまう。

 やがてオウショウザザミが振り向き、ザザミ原種がその横に並ぶ。口からは泡が吐いていた。怒り状態のサインである。

 

―ブシャーッ!

 

 オウショウザザミとダイミョウザザミの水ブレス!避けるハンター、命中するはザザミ亜種!

 しかし水をぶっかけられたザザミ亜種は気にせずにハンター達を追いかけ、ザザミ×3対ハンター×4の戦いに。

 数だけで見れば1足りない程度だが、実際は大型モンスターに追われている人間側が大ピンチ!

 

「誰だ発砲した奴!ていうかリグレットぉ!」

 

「ぼ、僕は知らないですよぉ!」

 

「ヘビガンはアンタだけでしょーが!何やってんのオバカ!」

 

「いやリグレットは違う!リグレットは徹甲榴弾を持ってきていないはずだ!」

 

「ヴぁ、ヴァルツ先輩ぃぃ!貴方に付いて行ってよかったと心から思いました!」

 

「じゃあ誰がやったんだよ!」

 

「俺も知らんわ!ていうか逃げろ逃げろ!」

 

 逃げ惑うハンター!言い争いあう仲間達!追いかけてくる甲殻種3匹!彼らの運命やいかに!

 

 

 

―――

 

 そんな混沌と化した光景を、遠くの物陰から忍び笑いを浮かべて見つめる集団が居た。密猟団である。

 

「ハッハァ!ザマァミロってんだ!」

 

 硝煙を漂わせるヘヴィボウガンを天に掲げ、ギギレは小気味良さそうに笑う。

 直後にドドが「しー」と指を立てて言うも、ギギレは当然のように無視してガッツポーズ。ショボン。

 

「後は連中がネコタク送りになるのを待つだけって寸法よ。そうすれば残る人間はアタシらだけ」

 

 カランは嬉しい気持ちを表現するように狩猟笛をブンブン振り回すが、レガッダはその狩猟笛を片手で受け止める。

 

「安心するのは早いぜ。一目でも見つかったらアウトだってことを忘れるな」

 

「へいへい」

 

 カランの腕力も相当だがレガッダはそれを上回る。諦めたように狩猟笛を振り回すのを止め、地面に先端をドスンと置く。

 とはいえ、あのザザミはハンター達に夢中で、ハンター達は逃げるので必死なのだ。こちらに気付く余裕も無いだろう。

 なのでギギレとカランは楽観的に考えており(ドドは普段から楽観的なので除外)、気が緩んでいた。

 

 そんな余裕があるからかカランはふと足元を見てみる。

 

「……ん?」

 

「キ」

 

 カランの足元には「やぁ、でヤンス」と言っているように片手を上げるチャチャブーが。

 そしてチャチャブーはヘヴィボウガンを掲げて格好つけているギギレの存在を確認。

 気のせいかカランは、鳥兜のようなお面の目に当る部分がキランと輝いたように見え、顔を青く染めた。

 

「キー!キキキー!キィキィ、キキーッ!!」

 

 唐突に密猟団らの前で「こいつだー!こいつらがやったんだー!」と言っているかのように甲高い声を上げる!

 その甲高さに耳栓を持つギギレを除いた密猟者は耳を塞ぎ、同時に拙いと判断したギギレがチャチャブーを取り押さえる。

 

「キー!キー!」

 

「にゃろ、やめやがれってんだ!気付いたらどうすんだ!」

 

 子供とはいえ怪力を持つチャチャブーを押さえ込むギギレ。彼は子供の頃から喧嘩慣れしていたのだ。

 

 

 

―だがギギレは知ってしまった。オウショウザザミの視線が完全に密猟団に向けられている事を。

 

 

 

「て、撤収ー!」

 

 ギギレが叫ぶ!オウショウザザミがやってくる!逃げ惑う密猟団!転ぶドド!果たして彼らの運命やいかに!

 

 

 ●現状確認

 ・ハンターサイド:ザザミ亜種とザザミ原種に追いかけられる

 ・密猟者サイド:オウショウザザミに追いかけられる(ブッチャーはギギレに捕まったまま)

 

 残り時間:30分

 討伐個数:1体

 




次回でザザミ大集結編を終わらせて、ストーリーを進ませたいですね。

なにせポケモンばかりとはいえ、モンハンも書きたいことが山ほどありますから。
セルレギオス出没・極限個体VSうちの蟹・活動報告ハンターの活躍などなど。
ポケモンばかりとはいえ、モンハンもコツコツ書いております。気長にお待ちください。

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