始種とか何その妄想を掻き立てるような存在。そして司銀龍、今までの中で一番恐ろしい(水銀中毒的な意味で)。
上手く利用して、モンハンデルシオンの更新や例の企画に繋げたいですね。
登場人物については前話の一覧を参照してください。
4/5:誤字修正。オウショウザザミがオニムシャザザミになっていました(汗)
レガッダ達4人が旧砂漠にやってきたのは、オウショウザザミの素材を入手または求愛行動の邪魔をする為だ。
密猟者の利点はギルドに関連無く希少な素材を好きなだけ略奪できる為、ギルドから注目を集めているオウショウザザミは密猟者にとって宝の山でもある。
突然変異による進化のために遺伝することはないだろうが、万が一という可能性を考慮した場合、オウショウザザミに求愛をさせるべきではない。
故にレガッダら四人は、オウショウザザミの邪魔をし、あわよくば素材を手に入れようと画策していたのだが……。
「ぶっちゃけ強すぎてそれどころじゃないッスね」
「何を暢気なこと言ってんだいオタンチン!」
密猟者ドドの相変わらずの能天気っぷりにカランは再びゲンコツを落とす。
ヘルム越しとはいえカランは結構な怪力なのでかなり痛い。しかしドドはガンランスを手放さず、ガードの姿勢を崩そうとしない。
そしてカランもゲンコツを落とした直後に走りだし、一番苦戦しているであろうギギレを救助しようと狩猟笛を振るう。
硬くて強いオウショウザザミはもちろん厄介だが、一番厄介なのはチャチャブーだ。
小柄ですばしっこく、怪力による一撃も重いし、何より敵の弱点を的確に狙う賢さを持っている。
元々獣人族は敵に回すと厄介な相手だとハンター達は理解しており、その上位が窃盗を働くメラルーであり、パワーのあるチャチャブーだ。
故にチャチャブーの子供は、遠距離攻撃を放つギギレを執拗に狙って攻撃していた。
「キーキィ!」
「ダーッ!このクソ兜め!」
普段は周りをうろつき、ヘヴィボウガンを構えた途端に杖で弾く。それの繰り返しでとうとうギギレが切れた。
近接攻撃も兼ねてヘヴィボウガンを振り回すもチャチャブーは余裕で回避し、あまつさえ「おしりペンペン」で挑発する始末。
「野郎ぶっ殺してやラベボラッ!?」
叫んだ直後にオウショウザザミの水ブレスが直撃。ギギレは横から洗い流される結果に。
「そっち行ったぞ!」
「解っているわよ!」
オウショウザザミを相手していた3人だが、ギギレを援護しようとカランが向かい、それをレガッダが忠告する。
甲殻種にしては速い足取りでギギレ(正確にはブッチャー)の元へと向かい、必然的にカランは追われる形に。
武器を納刀して追いかけるレガッダとドドだが、纏めて相手してやろうかと鋏を振り回して突進するオウショウザミには追いつけない。
必然的にカランはギギレの救助を諦め、振り向いてオウショウザザミと向き合って鋏攻撃を回避することに専念する。
とはいえ動きが速く、右へ左とフットワークのよい連撃を繰り出すから避けるのが大変。今まで以上に危機迫るものを感じた。
ひーっとカランが必死に避ける中、レガッダとドドが大剣とガンランスで背面を突く……が、当然のように弾かれる。
「アニキぃ~!諦めましょうよぉ~!」
「破片の1つでも手に入れる覚悟で挑め!」
「みみっちいッスね!」
ドドの忠告を無視して突っ込むレガッダだが、オウショウザザミが素早く横に回転して攻撃。
回転しながらの鋏振り回し攻撃をモロに受けたレガッダは吹っ飛び、消極的だったドドはガードでなんとか防ぎ、カランは背を逸らしてギリギリ回避。
「……逃げるよ!ドドはレガッダを連れな!」
「合点!」
前髪を掠ったカランは蒼く染めた顔でドドに命令。ドドはいつもとは比べ物にならないほどに即座に動き出した。
前後で動きがあるものだからオウショウザザミがドチラへ攻撃しようかと悩んだのをチャンスと捉え、ドドはレガッダを持ち上げて逃げ出す。
一方のカランはといえば「まいったかー!」と言わんばかりにギギレの上で跳ねるチャチャブーをどかそうと……。
「ほーれモスジャーキーだぞ~」
「キー!」
持っていたモスジャーキーを遠くへ投げて誘導したのだった。このチャチャブー、食欲は猫(?)一倍であった。
すんなり引っかかったのでちょっと唖然としたカランだが、その隙にのびているギギレの肩を持って逃げようとする。
オウショウザザミが襲ってこないか見てみれば……彼は空を見上げて威嚇のポーズを取っているではないか。
何をしているのかと思ったカランだったが、瞬時に己の頭上にのみ風と影が通り、頭上を何かが横切ったのを感じとった。
飛竜種か何かが乱入してきたのかと予想したカランは空を見上げて―――目を限界まで見開く。
「あれは―――」
―――
一方ハンターサイドはといえば。
「ザザミがそっち行きました!」
「ホント亜種にメロメロだねこのザザミ!」
「一気に畳み掛ける!」
「了解!」
オウショウザザミとブッチャーが何処かへ行ったのを切っ掛けに、クエストの難易度がグッと下がった状況に。
むしろ邪魔者が居なくなったのはザザミも同じなのか、これでもかと言わんばかりにザザミ亜種に詰め寄る始末。
だがハンター達の目的はザザミを2体以上狩猟すること。邪魔者が減ったとはいえ攻撃してくる彼らをザザミは許さない。
その都度ザザミ亜種はザザミから離れ、遠くから水ブレスなどで攻撃を加えていく。どうやらザザミ亜種はザザミをお気に召さなかったようだ。
こやし玉はこれまでの狩猟で使いきってしまったので苦戦すると思われていたが、ザザミが亜種に夢中で、亜種は戦闘に消極的。
亜種の動きをガンナーのリグレットが主に観察し、残る3人がザザミを集中攻撃する。この組み合わせのおかげでザザミを弱らせつつあった。
さらに亜種がザザミのしつこさに怒って水ブレスで攻撃するようにもなった為、これはかなりの好都合だ
そんな亜種の露骨な嫌われ方を目の当たりにしたからかもしれないが、ザザミはブクブクと泡を吐いて弱り出す。
「よし、弱ってきているな」
「私は失恋のショックで落ち込んでいるように見えるんだけど」
「気にしたら負けだ」
「それより追いかけましょう!亜種は別に移動していますし」
まだ恋をしたことのない彼らだが、恋に破れた者の惨状を知って気まずくなる。しかしそんなのは人間のエゴだと割り切る。いや割り切らなければならない。
ザザミ亜種が地中へ潜り、体を引きずって逃げようとするザザミとは別方向へ移動していくのを確認してから、ザザミを追いかける。
彼らの遥か上空を飛んでいく影。その存在に気付かずに。
―――
オウショウザザミが向かったのはベースキャンプに程近いエリア2。ザザミが逃げようとしているのはエリア10。亜種は恐らくエリア4だろう。
ザザミが向かっているエリア10は段差がハッキリとした場所だ。上手くすれば乗り攻撃を次々に繰り出すことが出来る。
繁殖期ゆえに予想外の乱入も考えられるので確信しているわけではないが、オウショウザザミが遠ざかった事もあってついつい自分達の幸運を喜んでしまう。
そしてエリア10へ辿り着くと、ヘバっているザザミが段差を登ろうと四苦八苦している場面に遭遇。
疲労もあってこちらに気付いていないことを良い事に、ディムがハンドシグナルで仲間に伝える。二手に分かれると。
貫通弾を扱えるリグレットと一撃が重いディムが後方へゆっくり近づき、残るイリヤとヴァルツが遠回りして登り前方へ。
そんなハンター達の動きに気付かないザザミはやっと上り終えたことで一安心するが、2人のハンターに気付いたことで一変、ブクブクと泡を吐いて威嚇する。
後方には既に溜め攻撃の用意を済ませたディム。そしてザザミのヤドは、連中に大半を破壊されたモノブロスの頭蓋骨。
溜めに溜め込んだ力を解放して振り下ろしたハンマーがダイミョウザザミの背面に直撃。
骨越しに浸透していく振動がダイミョウザザミの体に響き、やがて振り上げていた鋏を力なく下ろし、倒れる。
とはいえ瀕死直前になって暴れる事もありうるからとハンター達は慎重ににじり寄り……ザザミの死亡を確認した。
「よっしゃー!」
イリヤがガッツポーズを取った直後、彼女の喜びが波紋のように周囲に伝わり、歓喜の声が上がる。
そろそろ日が暮れる頃合にやってようやく2匹目。イレギュラーの存在もあれば仕方ないことだが、やっと終わったと肩の力を抜き始めた。
「一時はどうなるかと思ったが、なんとかなったな」
「これで少しでもザザミが減るといいんだが。……よし、さっさと剝ぎ取って帰ろう」
「帰ったら素材の研究もしたいですしね」
彼らも人間だ。大自然には危険要素が沢山あるとはいえ、1つのことを達成すると途端に気が緩んでしまう。
それでも狩人特有の達成感は心地よいもので、各々は思いを馳せながら盾蟹の素材にありつこうとする。
―そんな気の緩みが油断を生み、こちらへやってくる存在に気付けなかった。
突如として彼らとザザミの頭上を何かが横切り、その際に生じた風から守ろうと手を遮って目を閉じる。
密集していた彼らは吹いた風とは逆の方向へと視線を向き、突風の正体を探ろうと視野を広げた。
そして見つけたのは―――見た事もないようなモンスターだった。
「なんだコイツ!?」
全身を包む大量の鱗は、まるで金色の刃のよう。
「鳥竜種?それとも飛竜種!?見たこと無いよ!」
空の王者リオレウスとは違う甲高い声で鳴く姿は、まるで鳥のように軽やかで、飛竜のように勇ましい。
「まさか―――」
独自の進化を歩んだであろうそのモンスターは、見た目以上の獰猛さを醸し出していた。
そんな強者の印象を内外ともに見せ付けているモンスターだが、その生態ゆえに彼の存在を知る者は少ない。
しかし研究者の卵である2人は、彼のモンスターの名を知っていた。その名は―――
「セルレギオス!」
リグレッドが微かに残っていた書物の記憶から漁り出し、彼のモンスター……『千刃竜』の名を告げる。
それに呼応するかのように金色の竜―セルレギオスは大きく翼を広げ、刃物のような鱗を逆立てて吠えた。
「いかん、コイツには手を出すな!逃げるぞ!」
今すぐにでも飛び掛りそうなセルレギオスを前にヴァルツが背を向けて走り、リグレットがそれに続く。
遅れてディムとイリヤも走りだすが、セルレギオスは逆立てたまま背を向けるハンターを睨みつけ、逃がすものかと飛び上がる。
軽く羽ばたいただけで細身の身体は一気に空高く舞い上がり、それどころか羽ばたきも無く空高く留まっていた。
狙いを定めるように足を振り上げ、鋭い目がハンターを睨み……落下に合わせて翼を羽ばたかせる。
「伏せろ!」
それを一瞬でも目撃したヴァルツが叫んで咄嗟に地面に伏し、弧を描くように高速で飛来するセルレギオスが上を掠める。
彼らが見たのは、伏せた自分達の上を僅かな高さで掠った二対の爪。ヴァルツが叫ばなかったらあの爪に捕まれ……いや裂かれていたかもしれない。
外したセルレギオスだが再び空を滞空し、もう一度狙いを定めるように爪と視線を向けたではないか。
今度は掛け声の必要もない。すぐに立てない彼らはバラバラに散るように転がり、セルレギオスの爪が地中を抉る。
勢い余って地面を削りながら滑走するセルレギオス。それをチャンスと捉え強引に立ち上がって散っていく。
バラバラに散ったことで狙いを定めきれなくなってキョロキョロと見渡すが瞬時に定めたようで、イリヤに向けて地を蹴った。
「イリヤ!」
それほど経っていないとはいえ、大事な仲間が襲われたと放っておけず走りだすディム。
全速力で逃げるべく振り向きもせず走るイリヤに向けて飛ぶセルレギオス。
しかし―――。
「たぁぁぁすぅぅぅけぇぇぇてぇぇぇ!」
―なんか小太りなハンターが飛んできた。それも高速で。
イリヤ以外が呆気に取られてしまう中、遠い空から飛んで来たハンターらしき男(声色から考えて男だろう)がセルレギオスに直撃。
高速とはいえたかが人間だ。僅かに注意を逸らすだけで大したダメージは与えておらず、むしろセルレギオスを怒らせてしまう。
誰だこんな事をしやがったのはと言わんばかりに声を荒げながら見渡すが、その正体はすぐに解った。
―別のセルレギオスがやってきたのだ。
「一体何がどうなっているんですか先輩!?」
「俺が知るか!とにかく逃げろ!ディム、イリヤも早く!」
ネコタクで運ばれていく小太りなハンターに並ぶようにヴァルツとリグレットが走り、疲労したイリヤの肩を担いでディムも走る。
今度はセルレギオス同士の縄張り争いに生じたらしく、地と空の両方からお互いの吠え声が轟く。
こうしてディム達は、無事にデデ砂漠を脱出することに成功。
途中小太りな男がメラルーのネコタクで別方向へ運ばれていくのを見送り、今は混乱した頭を整理することで精一杯だった。
とにかくすることは二つ。クエスト達成の報告と―――異常事態の報告だ。
セルレギオスの出現。それも2体同時。
その報告はドンドルマに新たな脅威を知らしめることとなろう。
余談だが、ダイミョウザザミ亜種とオウショウザザミがデデ砂漠を離れていく様子が観測されたとも報告された。
原作のストーリーから外れていますが、この時別の狩猟フィールドで我らの団ハンターもセルレギアスを目撃しているという設定です。
セルレギオスかっこいいですよね。戦うときは怖いですが……飛び掛りとかついついジャンプ回避しちゃって(苦笑)
ポケモンばっかしていますが、久々にモンハンやらないとなぁ。ガンナー育成も兼ねて。
あ、忘れていましたが密猟者ハンター達はセルレギアスにフルボッコされました(ぇ
次回あたりに後日談を混ぜつつ、状況を整理しようと思います。
ではでは。