ロックマンである星河スバルは平和な時を過ごしていた。
新たな未来の敵が来るとは知らずに。
エイプリルフールです。
リハビリを兼ねて書きました。
流星のロックマンがバンダイチャンネルで配信されていますので、見に行きましょう。
原作の雰囲気を壊したくない方はブラウザバックをお勧めします。
「…」
「…」
少年と青い電波体が、寝転がり星空を見上げていた。少年の方は目を輝かせ、青い電波体はもどかしく見ていた。
「あきねえの?」
青い電波体は少年に言う。
「ううん、ぜーんぜん」
見向きもせず答える。
「コスモウェーブに乗って、宇宙彷徨ったり、ブラックホールにも行ったのに、充分過ぎる程見たじゃねえか」
「それはそれ、これはこれだよ」
はー、と溜息を二人は付いた。一つは人類がまだ到達しきれていない宇宙への浪漫の感嘆、もう一つは呆れた溜息だ。
「俺、宇宙人だからもう色んなの見てっからよ、あきちまった」
そう、青い電波体は宇宙人であった。見た目は戦闘用のバトルウィザードだ。逞しい青いボディに鋭い爪、牙、そして緑の体は獣の如く力強く燃えているかのようだった。裏切者として追われ、辿り着いた地球で少年と出会い相棒となったのだった。
「酸素必要ないのはうらやましいよ。そうしたら宇宙空間で無限に活動できるのに」
「ちげぇねえな。そろそろ時間だし戻るかスバル。オフクロが心配するぜ」
「もうちょっとだけ見させてよロック」
「大吾と俺がやっとこさ帰ってきたってのに、いーっつもスバルの見守りなんだぜ?俺をいたわれ!はよ帰って飯食って寝ようぜ!」
「でも一緒に居てくれるロックは優しいなあ。ありがと」
「けっ!強制的に電波変換させて連れて帰らせるぞ!嫌だったら立ち上がって家路につけ!」
「はいはい。わかったよ」
スバルは左腕に付けているハンターVGに人差し指を触れさせる。ロック、もといウォーロックはスバルの傍から消え、ハンターVGの中に移動した。
スバルは起き上がり、腕、背中、尻を手で振り払う。草に寝転がっているとはいえ、上着にも土が多少付いてしまっている。だが直ぐに風呂に直行し、汚れてしまったズボンは洗濯機に放り込めば問題はない。
「電波変換でもして帰ろうかなー」
「星河くぅん、変身は意外に体力使うしそんなに無闇にすることは許されないんDA」
「それ300年前のネタじゃん…どこから仕入れてきたのやら…。ってさっき電波変換させてでも帰らせるって言ってたじゃん」
他愛もない会話をし、展望台を後にした。
家に着くと、ポケットから鍵を取り出しドアを開けた。
「ただいまー…ってうわ」
「おおう、すげえ荷物」
玄関に入った途端、目の前に5個の強化段ボールが積まれていた。
二人は知っている。原因はスバルの母親であると。
通販マニア(ちゃんと考えて買っている)の母親、あかねのものだ。買い置きすることで、自らがスーパーに出向くことを少なくしているのだ。
「何買ったんだろうね」
「さあな。聞いた方が早い……?」
「どうしたの?」
ウォーロックは何かを感じ取った。しかし、自分の知っているモノと照らし合わせる前に、それは消えた。
「…いや、何でもない。気のせいだな」
「怖いなあ」
ブーツを脱ぎ、段ボールの横を通るとウォーロックがハンターVGから出てくる。
「何かあったら俺がやってやるよ」
「たのもしくて助かるよ」
「大吾はあんまし帰ってきてないしな。俺がやるしかない」
スバルの父親である大吾は3年前行方不明となり、ついこの間ウォーロックと共に地球へと帰ってきた。
家族とウォーロックでしばし、団欒を過ごしたがWAXAへと復帰した後に、泊りがけの仕事が多く家にあまり帰れていないのであった。
リビングに入るがあかねの姿が見えない。
ふと、机を見ると置手紙があった。飛ばないように音符の形をした重しが置かれていた。
『ご飯の材料買って帰るから少し待っててね』、とあかねの字で書かれている。メールですれば良いのにと思うが、電波を使った楽な調理法より手料理をする母のことだから、古典的なものを選んだのだろう。
ウォーロックもそれを見ると、次に時計を見た。
「そろそろ『夕日に吠えろ!』が始まっちまう!」
ソファーに座り、リモコンでテレビを点けた。
まだCMが流れており、ウォーロックはほっとした。
「録画してあるんだからさ別に良いじゃん」
「なーに言ってんだ。生で見るのが楽しいんじゃないかよ!」
ここにも古典的な者がいた。
このテレビは半年前にも遡って番組を見られる物だ。5分や10分見逃したところで何の支障も無いのだが、ウォーロックは違う。
「んじゃ、僕はお風呂行ってくるね」
「おーう…ん?」
スバルが居なくなったところで画面にテロップが表示された。
『響ミソラ、電撃引退!』
ゆーっくり、と視聴者に衝撃を与えるかのように流れる。
「……」
まさかな、と思いスバルにミソラにメールで確かめようとしたが、風呂に行っていた。戻ろうかと考えたが、夕日に吠えろ!が始まっている。
聞くのは戻ってからでも遅くはない。
そもそも復帰したばかりなのにまた引退するとは思えなかった。エイプルリーフルにしても少し早い。どうせあの監督のネタだろ、ソファーに寝転がり頬杖を付いてオープニングを見た。
一方のスバルは、歩きながら考え事をしていた。
あの中身が食材でなければ、あかねは家に残っているはずだ。
では何か、服とかだろうか。
それなら大吾の物かもしれない。
大吾が近々帰ってくるのだ、という結論に至ったスバルは頭の中でミソラの音楽を流していた。
まっすぐで、どこまでも届きそうな歌声が響く。
「ふっふーふん」
と、脳内の音に合わせ、鼻歌を歌う。
ギターを弾き、楽しく、笑顔で歌っている姿が想像できる。
そうして、風呂場のドアを開ける。
「ふっふ……」
スバルは鼻歌を止め、動きを止めた。
同時に頭の音楽が消えた。
何故なら、響ミソラが目の前に存在しているからだ。
「……」
響ミソラも固まり、目をぱちりとさせていた。
両者は驚いた。
アイドルが居る。
今まで一緒に戦い、背中を預けることもあった。
この程度では驚くことはなかった。二人はブラザーなのだから。
「…えっと、スバルくん…」
口を開いたのはミソラだ。
「閉めてくれないかな…?」
頬を紅くさせ下着姿で上を脱ぎかけているミソラが、そこに居た。
スラリとした脚、そして、引き締まった腹が見えた。
「あ、ごごめん…」
スバルは一歩と、そして右手を後ろに回しスライド式のドアを閉めた。
「違うよ!スバルくんも入ってきてどうするの!」
「うわわわ!ごめん!」
二人っきりの空間は心なしか、いい香りがした。
スバルはパニくっていた。
閉めたは良いが、自らも進んで入ってしまったのだ。そして密室を作ってしまった。
ミソラは脱ぎ掛けの上着を戻し、パンツとが色々見えないようにする(もう遅い)。
「で、でも、スバルくんがいいなら……」
「よよ、よよくないよ!」
ミソラを見ないように(もう遅い)全力でドアへ振り返り、開ける。
思春期の少年は、即刻出て音を立てて閉めた。
そして逃げた。足がもつれ、転びそうになり手が空を切る。
態勢を立て直し、走る。リビングで呑気にテレビを見ているウォーロックに助けを求めようとする。
うるさく足音を立て、リビングのドアへと向かい、勢いよく開けた。
そして、テレビを見てるウォーロックに視線を移した。
「おかえりなさい~。お邪魔してまーす」
ウォーロックの隣に居る電波体が言う。
人魚が使う琴を模したような、ウォーロックと同様の宇宙人。
ハープであった。
こちらは見ていない。
夕日に吠えろ!を見ていた。
「はー、通りでな。こいつだったよスバル」
親指で指しながら言う。
オープニングが終わり、犯人の手掛かりを捜索している刑事の場面だった。
「早いなお風呂。そんなに見たかったか?」
「な、なんでもなかったよ!」
先程の騒ぎは二人は聞いていないみたいだった。
好都合だ。
早く自分の部屋に行きたいスバルは再び走り出した。
(なんでもなかった、って何だ?)
お付き合い頂き有難うございました。
久々に書くとだめですね。
流星ファンの皆様、申し訳ありません。
後の展開は考えていますが、書きません。