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今回は
・セバスとツアレ
・守護者たち
・アインズ様
の三本です
セバスとツアレはアインズが去ったあともしばらく2人で扉の方に頭を下げたままだったが、ツアレが安堵の息を漏らすと緊張していた空気が少し緩む。2人ほぼ同時に頭をあげると急に安心したのかフラっとツアレが身体のバランスを崩し、それをセバスは自分の胸で受け止める。
「大丈夫ですか、ツアレ!」
「はい……少し立ち眩みが」
「おそらく急に安心したからでしょう。あちらにおかけなさい」
と言ってセバスはツアレを支えながら先程まで彼女が座っていたであろう椅子にツアレを座らせ、自身も向かい合って置かれたペストーニャが座っていたであろう椅子に腰かける。お互い座ったあとしばらく2人は黙っていたが、その沈黙を最初に破ったのはツアレの方だった。
「今日はすみませんでした、ご迷惑をおかけして……」
「ツアレ、あなたは何も悪いことはしていません。もし誰かに非があるならばそれはこの私にあります」
「セバス様こそ何も悪くありません。本当のことを言うと数日ほど前から薄々は気づいていました、でも言うのが怖くて……」
そう言うとツアレは急に泣き始めた。なら早く言ってよ、と思わずセバスは言いそうになったがそれよりもまずやることがある。セバスは席を立ってツアレの前でしゃがみ、丁寧に彼女の頬につたう涙を拭う。
「泣かないでください、ツアレ。大丈夫です。大丈夫」
拭えど拭えど溢れる涙だったが、ツアレはぐしゅぐしゅと鼻をすすり
「うぅ………ひぐっ……あ、ありがとうございます、もう大丈夫です」
そう言うとツアレはセバスに笑ってみせた。
涙こそ流れてはないがまだ顔には涙のあとが残り、そのまるで雨あがりに咲く向日葵のような笑顔を見た途端、またセバスの心は正体不明の暖かくそして少し苦しい、しかしどこか心地よい気持ちに満たされる。
「セバス様、実はですね、セバス様が来る前にアインズ様から1つ質問されました」
「……どんな質問ですか?」
「セバス様を愛しているか? と聞かれました」
「ど、どう答えたのですか?」
セバスが明らかに動揺しているのを見てとったのか、ツアレはさっきの笑顔とは異質の、今度はまるでいたずらっ子のような笑顔で言う。
「それは、秘密です」
「……なぜですか、ツアレ。教えてください」
「いや、です。」
「……むぅ」
セバスは見るからに不満そうだった。そんなセバスの困った顔が可笑しいのかツアレはころころと笑う。それにつられてセバスもなんだか面白くなって笑う。セバスはまたよくわからない、理解できない、それでいてなぜか心地よい気持ちに満たされていく。
セバスとツアレ、そしてもうひとりの部屋は、2人の楽しそうな笑い声で満ちる。
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ここはナザリック地下大墳墓第十階層、玉座の間への扉手前にある部屋、
そのレメゲトンにはすでに二人の守護者の影があった。シャルティアとアウラである。
二人は赤いスーツを着た背の高い悪魔を視界に捉えると挨拶をする。
「やっほー、デミウルゴス」
「久しぶりでありんすね」
「御二方お久しぶりですね。……少し早く来すぎたようですね」
「何を言ってるんでありんすかデミウルゴス、このチビときたら、集合の2時間も前からいたらしいでありんす。集合時間を間違えたの──」
「違うもん! こ、これはアインズ様への忠義の表れだもん!…………はん、そんなこといったらあんたこそ今日は張り切って偽乳を多めに入れてたからいつもより少し遅かったんでしょ?」
「な、なんで枚数を増やしたことまで知ってるのよ!?」
「ぇ、あ、図星だったんだ…」
デミウルゴスはそんな二人の年中行事を眺めながら疑問に思ったことを素直に口にする。
「話の途中すまないがアウラ、今日はマーレと一緒ではないのかね?」
「ん? ああ、なんかセバスと交代するって言って急いで王都に向かったよ。でもアルベドから連絡きたらしいから時間には間に合うと思う」
「そうかね? それならいいんだが」
「遅クナッテスマナイ」
三人が声の方向に目を向けるとそこに立っていたのはライトブルーの異形、2.5mはあろうその巨体からは空気さえ凍てつくような冷気を放っている。
「やぁコキュートス、久しぶりだね。その後のリザードマンの村落はどうだい?」
「オカゲサマデ、順調ダ。デミウルゴスノ協力モアッテ養殖モ軌道ニノリハジメタ」
「それはよかったよ」
「ム、マーレトセバスガマダノヨウダナ」
「遅くなってごめんなさい!」
声の主を確認すると、その人物はこちらにトトトトトという擬音が似合いそうな可愛い走り方で走ってくる。
「もう! あんたは遅い!」
「え、えぇ、だってぇ…」
「だってじゃない!」
「……うぅ、ごめんなさい、お姉ちゃん」
「セバスもまだ来ていないのだよ? それくらいにしてあげたらどうだね、アウラ。……それより私は今日なぜ偉大なる御方が私たちをお呼びになったのか気になるね」
「確カニ、ソレハ気ニナルナ……」
「あ、僕多分それ知ってます」
「え! なんでマーレが知ってんの!?」
「えへへへ、交代する時セバスさんに聞いたから……」
「え? セバスにでありんすか?」
「コレハドウイウコトダ?」
「ふむ、恐らくだが王国のことではないだろうね。もしそうだったらマーレに引き継がせる理由がわからない」
「え、えっとね、あの、ですね……」
「はっきり言いなさいよ!」
「は、はひぃ!…セバスさんとツアレニーニャ?の間に子供が出来たそうです!」
「「「「……」」」」
「……はい、子どもです、はい」
「「「「……えええぇ!?」」」」
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アインズはセバスとツアレの部屋を出たあと「私もどうかアインズ様のお情けを」と目をギラギラさせながら迫ってきたアルベドをなんとか振り切って自室に戻り、身体ではなく心の疲れを取るためにベッドに身を預ける。
今は
そう、今のところは……
「……はぁ……セバスとツアレになぁ」
(いやぁ、セバスに子供ができるなんて!なんでできたかは全然わからないけど、ともかくめでたい! ……それにしてももう俺もおじいちゃんかぁ……というか童貞なのにおじいちゃんってどういうことだよ……)
現実世界で恋人も家族はもちろん、友人と呼べる友人もいなかったアインズはこれから生まれてくる子どもとどうやって接すればいいか悩んでいた。
(父親ならともかく、おじいちゃんだもんなぁ……でもNPCはみんな俺の子どもみたいなものだし……アインズおじいちゃんか、意外と悪くないな)
アインズは自分のことをおじいちゃんと呼んで走ってくる子どもを想像する。きっと女の子でも男の子でも可愛い子に違いない。
(……ふふふ、可愛いかもしれない、ふふふ………………ん?)
しばらくアインズが妄想の中で想像の孫と戯れていると、なぜかいつの間にかその可愛いはずだった孫が身長100cmくらいの
「ン〜ナインズおじい様ぁ〜♪」
と高らかに歌うように言いながら走ってくる孫を妄想してしまったアインズはおもむろに拳を作り、自分の寝転ぶベッドを殴る。
(なんで、そう、なるの?! セバスとツアレの子どもだぞ!……孫までそんなオーバーアクションになったらもう多分俺泣いちゃうよ……泣けないけどな!)
ベッドの上で思わず足をバタバタ動かし、あわわわわ、と恥ずかしさのあまり叫びそうになる────ことはなく瞬時に冷静さが戻ってくる。
そんなこれから生まれてくるであろう孫のことを考えていたらあっという間に時間は経ってしまい、部屋がノックされアルベドの声が聞こえる。
「アインズ様、玉座の間にて守護者各員揃いました」
「うむ、今行く」
(うん、孫が産まれてもしばらくはアイツとは会わせないようにしよう)
冷静にそう判断したアインズはベッドから起き上がると支配者の風格をその身に
「では、行くかアルベド。皆の待つ玉座の間へ」
「はいっ!アインズ様!」
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読んでくださっている方々本当にありがとうございます!
次回はセバスと守護者たちのやりとりがあるはずです
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