それは、むかしむかしの、そのまたずっと昔のおはなし。
あるところに、三人の“はみ出し者”がいました。
存在のせいで疎まれた妖怪と、
力のせいで距離を置かれた天狗と、
能力のせいで忌まれた人間と。
そんな三人は、偶然か、はたまた必然か、多くの時間をいっしょにすごすようになっていました。
そんな三人の中心では、いつも一体の妖精が笑っていました────
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これは、ほんの少しだけ前の話。
その少女は、特別に強い腕力や、霊力を持っていたわけではない。
むしろ、他の大勢の、普通の人々と何ら違いはなかった。
ただ、
努力の結果の、身軽な身体と。
生まれ持った、ほんのちょっとした“偶然”と。
それに伴った、多大な“必然”と。
ただ、それだけであった。
それは彼女でなくとも、手に入れ得るものであろう。
……思えばこの時点で、あの帰結はさらなる“必然”であったのかも、しれない。
すまない、話が逸れた。
つまり、その少女が何か特別であったわけではなかった、ということだ。
これは、そんな普通の少女の話。
しかし彼女は、“普通”であると同時に“異端”でもあった。
まあそうでなければ、幻想郷の、過去と未来を繋ぐなど、出来やしないだろう。
少女は、幻想の
「ロードローラーだあっっっ!!!」
時に猛り。
「頑張って下さい! 知ってますか、諦めたらそこでっ!」
「……ああ、試合終了、だなぁっ!!!」
時に励まし。
「『どうして……? その理由は、たったひとつさ。そう、たったひとつの
《テメーは私を怒らせた》っ!』」
時に、怒り。
少女は、駆け抜ける。
幻想郷の
──ん? 台詞が、それ大丈夫なのか、だって?
…………まあ、本人がいいと言っているんだから、大丈夫じゃないか?
ともかく。
走り、飛ぶ少女の姿は、閉ざされた世界の人間にとって新たなる光で。
対等に
これは、そんな異端な外界の民の話。
そしてまた彼女は、
人間と妖怪とを調停する、博麗の巫女や、
集団社会をまとめあげる、天狗の長や、
幻想郷を管理する、境界の賢者のように、
その存在が幻想郷にとって絶対に不可欠であるか、と問われれば、それは無いと答えられる。少なくとも私は。
しかし、
「家族を救いたい、なんて言葉、私が拒否できるはずがないじゃないですか」
「悩みがあっても、『生きていればラッキー』、です!」
「生の瞬間でも、死という閉幕でも“暗”から逃れられないのなら、命を燃やしている今、ここに、光明を見出だすしかないんじゃないですか?」
「ここは、常識が非常識に、非常識が常識に成り代わる所。この幻想郷で外の常識に囚われていたら、いつまでも前に進めないですよ」
「待ってください。出会いをかけがえのないものだと思っているのは、あなただけではないんですよ?」
「伝えたいことがあるのなら、思った瞬間に言うのが吉です。
……どっかの誰かみたいに、突然目の前で大切な人の灯火が消えていくことだって、あるんですから」
彼女が居たからこそ、この幻想郷が形作られたのもまた事実であろう。
これは、そんな新たな世界を築いた一人の人間の話。
その、少女の名は────
東方幻操卿 ~Green Heart Phantasm.
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『翡翠の中の幻想』
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