> 突然のSANチェック <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
不可思議幻想人間の詩音が、不可思議霧状妖怪の萃香と出会ってから暫くして。
彼女は目的地であった紅魔館の、その地下にいた。
「──あなた方は、息を飲みながら目前の紅い扉を開ける。どうか、この色はただの装飾であってくれと、先ほど感じられた、鉄に似た香りは気のせいであってくれと、そう願いながら」
「ゴクリ」
「ワクワク」
「…………」
「三人が足を踏み入れたその部屋は、窓のない、暗闇が支配する空間でした。しかしその手に持つ蝋燭の仄かな光から、その部屋も廊下と同様、壁も床も紅一色に染まっていることがわかります」
「ふむ……キーパー、情報はそれだけかしら?」
「……辺りを漂う冒涜的な芳香が、より強くなっています」
「うぇーー!? ぱぱぱパチュリー様、それってつまり──
「落ち着きなさい小悪魔。もうこの部屋しか残っていないんだから、ここを調べるほかに私たちが救われる道はないわ。……たとえどんな光景が広がっていようと、ね。
フランも、それでいいわよね」
「うん! さーて、何が起こるのかなー!?」
「フランさんは無駄に元気ですね……。じゃあ、三人は部屋の奥へと進む、という事でおっけーですか?」
「ええ」
「それじゃ、部屋を進むと──蝋燭の光の範疇に、何かが映り込んだ」
「!」
「それは、あなた方には酷く見覚えのあるもの……しかし、その姿で見ることは、決してあってはならないもの。
真っ紅な床とは対照的に──それこそ“病的な”までに白くて。本来つながっている筈のものと離された──人間の、片腕でした」
「きゃああっ!!」
「うおーっ!」
「……うわぁ」
「しかし、現実はそんなものではあなた方を許すことはありません。その悲劇的な痕跡の奥には、更に悲劇的な光景が広がっていました」
「こ、今度はなんですかぁ!?」
「部屋の最奥部、最も闇の巣食う一角に打ち捨てられていたのは、腕、脚、胴体、頭、顔、顔顔顔顔──
──最早、それらが元々何人のものであったのかもわからない程に切り離された、数多の骸でした。
あなた方の中で大切な何かが、音をたてて崩れてゆく──SANチェック、入ります。成功で1、失敗で1D6のSAN値消失です」
「32成功。これは、想像しただけでもグロいわね……」
「07成功! ふふっ、私はまだまだ平気だよー!」
「85失敗! ダイスロールにより6のSAN値減少!! ギャァーッ!!」
「お、小悪魔さん最大値引きましたねー。それじゃあ一時的狂気に陥ったか、アイデアロールです」
……何やら物騒な遊びをしているようだが。
現在、彼女たちはここ図書館にて、四人で円卓を囲んでいた。詩音、フランドール、パチュリー、そしてパチュリーの使い魔である小悪魔。既に詩音が紅魔館を訪れた回数は十を越えており、ここの住人ともかなり打ち解けられているようだ。
「ううー、お願いしますよダイスの女神様ー!」
「悪魔が女神に祈るだなんて滑稽ね」
「そういうことはなしですよっ、とりゃぁっ!
…………ぜ、03……」
「うわークリティカル。まあ狂気判定なんであんまり関係ないですけどね。
ってことで、小悪魔さん一名を一時的狂気の世界へご案内ー。十面ダイスを振って、内容を決めて下さい」
そんな四人が行っているのは、どうやら外界で有名な遊戯の一つのようだ。まあ間違いなく、中心となって仕切っている詩音が提案したものだろう。
……こんな描写のあるものを選ぶあたり、もう流石としか言いようがない。
「ねえ詩音、これ何てゲームだっけ?」
「『クトゥルフ神話TRPG』ですね。一回やってみたかったんですが、なにぶん趣味の合う友達がいないんですよねー」
「ふーん、すごく楽しいのにねー」
「……あのシーンの後にそんな満面の笑みで言われると複雑ですね……」
あ、良かった。ちゃんとそこら辺の感性はまだ持ち合わせていたようだ。
そんな彼女らがいる図書館も、遊戯の中での場面と同様に蝋燭が仄かな光量を供給するのみで、全体的に暗澹とした雰囲気である。その様な部屋に巨大な本棚と大量の本が凝集しているため、慣れていない者からすれば中々に不気味な光景だろう。よくもまあそんな空間で、あのような描写ができるものである。
この場所は地下であるために確認は出来ないが、外も既に日はとっぷりと暮れ、暗夜が世界を支配している。即ち今は、夜の帝王たる吸血鬼の気分が最も高揚する時間帯である、ということだ。
さてそんな風に、ぎゃーぎゃー悲鳴を上げている小悪魔の横でフランドールも四人での遊戯を楽しんでいた。
彼女のそんな様子を見て……詩音は何かを思い出したようで、フランドールへと詰め寄る。
「そういえばフランさん、ゲームとは全く関係ない話になりますけど。あの件は、どうなりました?」
「あの件って──
「詩音さん詩音さん! 感情の噴出って何ですかっ!?」
「簡単に言えばヒステリーですね。急に泣いたり笑ったり。まあその辺は小悪魔さんの裁量に任せます。
……んで、フランさん。レミリアさんには、ちゃんと謝ることができましたか?」
「え……」
すると、フランドールは息を飲み──俯いて、黙りこくってしまった。
「…………」
「……気が引けるのもわかりますけど。でも、ちゃんとレミリアさんには、自分がやってしまったことを謝っておかないと」
「で、でも──
「キャハハハハハハ死体よシタイ!! キャハ、きゃあああああ!!!
……こんな感じでしょうか」
「まだまだね、泣きが足りないわ」
「びえーーーーん!! どうせ、どうせ私たちはもうオワリですよキャハハハハハハ!!」
「……五月蝿いですね……」
いや、それならこんな混沌とした遊びを選んだ詩音自身が悪いだろう。見事な藪蛇である。
「…………」
「……まあ、無理にとは言いません。異変の時はなんだか私が焦っちゃってましたけど、よくよく考えたらこういうことは自分たちのペースでやるべきですよね。出者張ってごめんなさい」
「! いやいや、詩音が謝らないでよ……!」
少し泣きそうな顔になりながらも、フランドールは詩音の言葉を慌てて否定する。
「あの時、詩音がああしてくれたから、今こうして遊べてるんだし。詩音には本当に感謝してるんだから、そんな謝らないで……」
「……そう、ですか。なら良かったです」
「うん。……でも」
「でも?」
「……怖い」
視線を下に反らし語る彼女の瞳は、長年を経た妖怪らしい憂いを帯びていて。
しかしながら、それは見た目相応に──いや、ひょっとするとそれよりも、幼い光に見えた。
「私がやってしまったことなのに。私が、まず謝らなきゃいけないことは自分で一番わかってるのに。
……怖い。お姉様に、お前なんかキライだって言われるのが──何よりも、私を怖がるような目で見られるのが、物凄く怖いの……」
そう言ってフランドールは、手で顔を覆い再び俯いてしまった。
大きな図書館を照らす薄明かりも、彼女の消え入りそうな心を表象するかの如く、ゆらり揺れる。
──その様子を見ていたパチュリーが、詩音の耳元でそっと呟く。
「……レミィがそんなことする筈がないのにね」
「まあ、そうなんでしょうけど。それをフランさんに納得させるのは、そう単純なことじゃあないんでしょうね。
……ちなみに、この件についてレミリアさんは何て言ってるんですか?」
「全く同じよ。四百年以上閉じ込めた自分なんて怖いだろうとか、キライって言われるんじゃないかとか。カリスマが聞いて呆れるわ」
「ははは……」
中々に厳しいパチュリーの物言いに、思わず苦笑する詩音。まあ、親友であるからこそ言えることもあるのだろう。
さりとて、同じことをフランドールにそのまま伝える訳にもいかない。暫し、どうするべきか悩む詩音だったが──
「──フランさんフランさん」
「……なに?」
「レミリアさんがどう思ってるのかなんて、私にはわかりません。それこそ、フランさんの言ってるような感じでない、と絶対に断言することは出来ませんし」
「……っ」
でも、と詩音は続ける。
「進まなきゃ、道は開けませんから。どれだけ怖くても、暗くても。
フランさんが努力してその道を乗り越えることができたなら──きっと、そこからしか見ることの出来ない、ステキな景色が広がってる筈ですよ」
「……うんっ」
「さ、とりあえず今はゲームを楽しみましょう! 確か、バラバラ死体を見つけた所まででしたよね?」
「うんっ!」
「キャハハハハハハああああああああああああ!! ギャーーーァッ!!」
「小悪魔、さっきから五月蝿いわ」
因みにわざわざ言及しなかったが、このやり取りの間もずっと狂ったような声が響いていた。真面目なのか、気分が昂っているだけなのかは計りかねる。とりあえず五月蝿い。
それはまあ、一先ず置いといて。少し暗い雰囲気になってしまったが、気を取り直して彼女たちは、途中であった遊戯を再開しようとする。四人が四人とも、賽が置かれている円卓の中央に向き直り──
「お取り込み中、失礼致します」
──瀟洒なメイドが、
「ギャーーァッ! 死体ーーー!!」
「ちょっと、勝手に殺さないでくれるかしら」
もう何度目かもわからないような叫びを小悪魔は上げる。
それに対し、死体と呼ばれた張本人である咲夜は不服そうに返すが……どう考えても、悪いのは咲夜ではないだろうか。
「いや、なんで貴方、テーブルの上に乗ってるのよ……?」
「何故って……皆様が、中央を向いてましたから。この方が一辺に気づいてもらえるので、効率が良くはありませんか?」
パチュリーは半ば呆れたように言うが、肝心の本人は首を傾げている。
……足下をよくよく見れば、彼女は靴を脱ぎ更には布を敷いて、その上に立っていた。一応、彼女なりには机を汚さないよう気を使ったようだ。いやまあそれ以前の問題なのだが。
「……それで、咲夜はどうして来たの?」
「はい。実は、詩音さんに用があって参りました」
「えっ、私ですか?」
突然自分の名前が出るとは思ってなかったのか、詩音は素っ頓狂な声を上げた。
「ええ、お嬢様がお呼びなさってるわ。ちょっと来て貰えるかしら?」
「……そういえば、レミリアさんに招待されて来てたんでしたね。勿論構いませんよ。
じゃあ、ゲームの続きはまた今度ですね」
「うん! 詩音、いってらっしゃーい」
「いってらっしゃいませー」
咲夜に伴って図書館を出てゆく詩音に、フランドールと小悪魔はそう声をかける。
それを聞き、詩音は振り返って笑顔で手を振った。
「──さて。それじゃ、私たちも向かいましょうか」
「え? どういうことですか?」
「あの二人に続いて、私たちも上に向かうのよ」
「……何で?」
「まあ、詳しくは向かいながら教えるけど……きっと、面白いものが見れるわよ」
「面白いもの……?」
***
紅い館の紅い壁に、赤い灯火が映し出されている。それは、主が太陽を苦手としているために窓がないこの洋館を照らす、唯一の光。そしてそれは、太古における人類の偉大な発見、火を、後の人間が照明道具としていつ何時でも使用可能にした叡知の賜物、それが発する朧気な光──
その前を、二つ影が横切った。
レミリアに呼ばれていると言われたために、詩音は咲夜に付随して館を歩いていた。
しかし、何やら違和感を感じているようで。
「あの……これって、向かってるのレミリアさんの部屋じゃないですよね?」
そう。彼女らの進行方向には、明らかに主の部屋は存在していないのだ。
無論レミリアとて、箱入り娘の如く四六時中部屋に籠ってる訳ではない。食堂で料理に舌鼓を打っていたり、二階にある露台にて茶会を催していたり。最近では神社などにも足を運ぶようになったと聞いているから、その行動範囲は思っている以上に広いのだろう。
しかし。詩音がレミリアに呼ばれた時は、必ず彼女の部屋で面会をしていた。それが何故かは知らないが、まあ恐らくは主人としてのなんやかんやがあるのだろう。故に、詩音は今回もレミリアの部屋に行くとばかり思っていたようだが……。
「そうね。庭まで連れてくるよう申し付けられているわ」
「庭、ですか……? なんでまた──
って、あれは……」
咲夜の言う行き先に詩音は益々怪訝な表情をしたが、視界が捉えたその人影に一旦話を中断する。
現在、二人がいるのは玄関の広間。そしてその視線の先には、玄関の役割を果たす大きな紅い扉と、同じくらい──それこそ、名前まで“紅”い少女がいた。
「ども、二時間くらい振りです詩音さん」
「お疲れさまです、美鈴さん。お仕事はもう終わったんですか?」
「はい、今日はもういいって言われまして。それに……」
と言って、門番である美鈴は背後の扉を見た。
「……あんな中で入ってくるのは、余程の馬鹿か巫女か強盗くらいでしょうし。ぶっちゃけ、私のする仕事がないんですよねぇ」
「……あんな中?」
詩音の質問にも答えず、美鈴はこれみよがしに溜め息をつく。それは果たしてお役御免されたことへの意気消沈なのか、それとも馬鹿と同列でも違和感のない白黒強盗に対する疲れなのか──はっきり言ってしまうのならば、己が主人の趣味への呆れ、であろう。
「さ、詩音さん、お嬢様が待ってるから早く行っちゃいなさい」
「えちょっ、押さないでくだっ──」
言うが早いか、咲夜は詩音の背中を押して外へと弾き出してしまった。その後派手な音が聞こえたことから、結構な勢いで転んだようである。
……やはりこのメイド、どこかが決定的におかしい気がする。
「はぁ……。お嬢様は、一体何をなさるつもりなんですか……?」
「さあ? でも、きっと何かの狙いがあるんじゃないかしら」
「準備するこっちの身にもなってほしいですね……」
「まあまあ、今回は私も手伝ったじゃない。それに、お嬢様のあの無邪気で楽しそうな顔といったら──!!」
「あダメだこの上司」
*
「ってて……。ちょっと咲夜さん、乱暴過ぎやしませんかね……?」
咲夜に突き飛ばされた詩音は、服を払いながら立ち上がる。幸いにも、怪我はしていないようだ。
そして顔を上げた彼女は──美鈴の言葉の意味を、知ることとなった。
詩音の視界に広がっているのは、紅魔館の大きな庭。今は冬のため花はあまり見られないが、木々が見事に整えられているのがわかる。
そしてその庭一面には。
おびただしい数の、蝋燭が置かれていた。
「うおぉっ……!?」
至る所に蝋燭、蝋燭、蝋燭。正門から玄関へと繋がる道に沿って、花壇の周囲にある煉瓦の上に、更には館を囲む塀に付けられた燭台にも──
その一本一本の光は儚い、それこそ微風で消え失せてしまいそうな灯火だ。しかし八百万の集団となったそれらは、月の独壇場であると思われていたその夜に赤い光を満ちさせていた。
そして、その『火の湖』の中央に。
彼女は、いた。
「──ご機嫌麗しゅう詩音。どうかしら、この光景?」
「なんと言うか……幻想的ですね。海外のお祭りに、こんな感じのがあったような。
あと、レミリアさんがめちゃくちゃラスボスっぽく見えます」
「ふふん、でしょでしょ? やっぱり吸血鬼の私にセンスで敵う者なんていないのよ!」
「いよっ、レミリアさんのセンスは世界一ィィィ!!」
……二人が共に、同じ方向で感覚がずれているのには口を噤むとして。
庭の中心で漂うレミリアの元へ、詩音も飛翔板を用いて近づいていった。
月を背に、数多の灯火を眼下に備えた彼女は普段以上に、その種族としての重厚感を醸し出している。紅く妖しく光る瞳、夜空を震わす蝙蝠の羽、小さい身体ながらも放たれる莫大な威圧感──それは正しく、彼女が人間にとっての恐怖の対象、『夜の帝王』吸血鬼であることの証。並の人間ならば、その姿を拝んだだけで四肢が竦み、身動きがとれなくなること請け負いである。
……だと言うのに、この非常識な翡翠の少女は、平然と近寄っていく。まあ、今更に過ぎるが。
そうして、詩音がレミリアの目前に迫った時。彼女はそれまでの無邪気な口調を改め、こう言った。
「さて、詩音。本日の招待に応じてくれたこと、心より感謝するわ」
「いえいえ。どうせ今日は学校が早く終わりましたし」
レミリアの仰々しい口振りにも動じず、詩音は普段通りの態度を示す。
これだけ舞台を整えておきながら、それでも変わらないとは……と、レミリアがくすりと笑ったのはここだけの話である。
「……それで、今日来て貰った目的なんだけど」
「はいはい?」
一息置いて、レミリアは口を開く。
その様は静かでありながら、抑えられない興奮が目に見えて伝わってくる。
──夜の魔力をもって、
月の狂気をもって、
「私──レミリア・スカーレットは、貴女──古卿詩音に。一対一での決闘を申し込むわ」
紅魔の吸血鬼は、そう告げた。
……その瞬間、風もないのに眩しい程の灯火が揺らいだのは、気のせいではないだろう。
「……
「と言ってもまあ、普通の弾幕ごっこなのだけれど。でもたまには、ただのお遊戯じゃなく“命名決闘”というルールに相応の勝負があってもいいんじゃないか、と思ってね」
やたらとレミリアは“決闘”という部分を強調してくる。その姿は、子どもらしいともとれるだろう。実際、彼女の瞳は興奮した子どものようにきらきらと輝いている。
「……成る程。なんか、いかにもレミリアさんが言いそうなことですね」
「褒め言葉として受け取っておくわ。……それで?」
「はい、勿論おっけーですよ」
詩音の返答を聞き、レミリアの輝きは益々その強さを増した。
「そう来なくっちゃ!! 流石詩音、よくわかってるわねー」
「いえいえそれほどでもー」
そんな風に、暫しの間は穏やかな空気が流れていたのだが──
「…………」
「…………」
次の瞬間、辺りには静寂が響き渡っていた。
詩音とレミリア、互いが互いに視線を交錯させ、周囲に緊張の糸を張り巡らしていく。しかし、編み出された空間は決して息苦しいものではなく……冬の空気の清浄さも相まって、ある種の聖域が生まれているようにも感じられた。
そこに浮かぶは、翡翠と紅魔の少女。二人は、示し合わせたかのように──
にたり、と微笑を浮かべた。
「……準備は、いいかしら?」
「ええ。いつでも」
彼女らの間には、それ以上の言葉は必要なかった。
つまり、少女たちが遊戯として打ち込むそれは、弾幕に込められた想いの丈を相手にぶつける、美しくも儚い決闘なのである。
……幻『想』郷には、まさに相応しい手法ではないだろうか。
それ故この二人にも、これ以上の言葉は無粋ですらある。
あとはただただ、自らの想いを宣言すればよく。
「──翡翠を宿す異界の人間よ! 汝が力を認め、今ここに光輝燦然たらん決闘を申し込もうぞ!!」
赤よりも紅い少女は、誰よりも気高く妖しく、しかし嬉々として。
「その心意気、しかと受け取りたり! 我が全霊を以て、夢幻の紅魔を撃ち破らんことを誓いましょう!!」
翡翠を帯びた少女は幻想的ながら、その枠から外れそうな程澄明として。
「空では、こんなにも円い月が、饗宴を心待ちにしているのだから──」
「庭では、こんなにも儚い焔が、私たちを見守っているのですから──」
両者の想いは巡り巡り巡り、巡り。
「今夜は、楽しい夜になりそうね!!」
「今夜は、楽しい夜になりそうですね!!」
──火蓋は、切って落とされた。
あ……ありのまま、今、起こった事を話すぜ!
「おれは、EXtra storyを一話で終わらせようと思っていたら、いつのまにか、二話目の方が長くなっていた」
な……何を言っているのか、わからねーと思うが、
おれも、何がしたかったのか、わからなくなっちまった……。
頭がどうにかなりそうだった……。中二病だとか\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!だとか、
そんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を、味わったぜ……。