東方幻操卿   作:さんにい

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(しめやかに投稿再開)
(実はストックがほぼ0)
(プランD、所謂ピンチですね)
(こっから二週間くらいでがんばるぞいっ☆)

※この本文には、『上海アリス幻樂団』様公式サイトに掲載されている文章の一部を適宜省略、また文意を損なわない程度に改稿し、引用させて頂いている部分があります。


東方妖々夢
Opening


 幻想郷にある博麗神社の巫女さんは、寒いのは苦手だった。

 

 ただ、いつもと違うことは“今がもう五月である”という事だった。

 雪はいっそう激しく、この吹雪ももう一週間は続こうとしていた。

 

 少女はそれが、どうせ口に出さなくても分かるような理由だと思ったのだ。

 だから、しゃべると寒いので黙って原因を潰しにいくことにした。

 

 しかし結局、神社は昔ながらの建物で風通しもよく、いや、吹きっさらしだったので、家に居ても居なくても同じだったのである。

 少女はいつもどおり勘を頼りに出発したのだった。

 

 

 

 普通の魔法使いさんは、寒いのも普通の人間同様、それなりに嫌い、それなりに楽しんでいた。

 

 霧雨邸は、魔暖房があったので暖かかった。そうでなくても魔法室は何かしら暖かいものなのだ。

 そんな中、少女は自分の家の前の吹雪に、薄桃色の花びらが雪に混じっているのを見た。ここ東の国の春にしか咲かない花の花弁。

 そう、桜だったのだ。

 

 風上に行けば桜が咲いている筈である。ただ、吹雪は山の上から吹き降ろされていた。山の上ほど開花が遅い筈なのに……。

 少女は、桜の花びらを辿って、まだ見ぬ春を目指して出発した。

 

 

 

 紅魔館のメイドさんは、暖かい部屋で残り少ない苦い珈琲を飲んでいた。

 

 黒い珈琲が切れても、紅い紅茶を飲めばいい話だ。しかしさすがに、暖房燃料が切れたら人間はこの冬を越せないだろう。

 ここまで配達にくるような人間はいない、幻想郷の住人は、燃料食料すべて一冬分まとめて用意するのである。それは、元から険しい道が大雪で完全になくなってしまうためであり、ずっと昔から変わることの無い習慣だったのだ。

 

 少女は、冬を終わらせるために、春が訪れるまで暇を申し出る。

 このときお嬢様は、あと一日もすれば春になることを確信した。だから、快く彼女を送り出したのだ。

 

 

 

 

 

 **********

 

 

 

 気まぐれに幻想郷を訪れた少女は、その予想外の現象に目を丸くしていた。

 

「……雪? しかもコレ、猛吹雪ですよね」

 

 なんと、外の世界では既に、桜の木は青々とした若葉を茂らせているのに、境界を跨ぐとまだ蕾すら膨らんでいなかったのである。

 忘れ去られた地とはいえ、これはどう考えても非常事態であろう。

 

「うーん、エルニーニョだか何だかの影響でしょうか……。あれ、ラニーニャかラニーニョみたいなのもありましたよね? どっちだ?」

 

 少なくとも、それは彼女の常識で理解できるものではなかった。

 ならば、彼女は彼女なりの非常識で非常識な冬を楽しむだけである。

 

 そしてそのための合言葉を、翡翠の少女は身をもって体験していた。

 

「“異変”、ですよねー」

 

 手始めに彼女は、祭り(異変)を楽しむための囃子(飛翔板)を、置かせてもらっている友人の家まで取りに行くことにした。

 

 少女は、惹かれる幻想のままに春の冬空を旋回していった。

 

 

 

 ***

 

 

 

「やっぱ来てる、か……」

 

 冬の妖怪を難なく撃破し、そこで忘れ物に気づいた魔法使いの少女は、自らの家に一時帰還していた。

 そしてそこで、一つの変化に気がつく。

 

 そう、友人から預かっていた、不可思議飛行板が消えていたのだ。

 確かに、彼女の姿は最近見かけなかったから、そろそろ来る頃だとは思っていたようだ。

 

「しっかしあいつもまた、タイミングが良いんだか悪いんだか。

 ……ほんっと、この異変時に、なぁ」

 

 用を済ませた少女は、再び吹雪の空へと箒を走らせる。

 

 ──しかし、帽子を深くかぶったその顔は、どこか精彩を欠いていた。

 

「当然、霊夢も動いてるよな。更には詩音も。じゃあ、私は、私は──

 ──私は一体、何なんだ?」

 

 押し潰されたその心には、桜どころか蕾すら見当たらない。

 

 

 

 

 

 **********

 

 

 

 

 

 

 幻想郷は本当に永い冬だった。

 5月を過ぎてから、一層吹雪も強くなったようだ。

 

 そんな幻想郷にも、花が満開な場所が人知れず存在していた。

 文字通り、そのことを『人』は知らなかった。

 ここ幻想郷は、もとより『人』の数は少なかったのだ。

 

 そして春は、まだ来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東方妖々夢 ~Perfect Cherry Blossom.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プレイヤーを選んで下さい

 

 

『楽園の素敵な巫女』

 博麗(はくれい) 霊夢(れいむ)

 

『普通の魔法使い』

 霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)

 

『紅魔館のメイド』

 十六夜(いざよい) 咲夜(さくや)

 

『現(うつつ)と幻の往来者』

→古卿(ふるきみ) 詩音(しおん)

 

 

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