東方幻操卿   作:さんにい

21 / 23
(しめやかに投稿再開)
(実はストックがほぼ0)
(プランD、所謂ピンチですね)
(こっから二週間くらいでがんばるぞいっ☆)

※この本文には、『上海アリス幻樂団』様公式サイトに掲載されている文章の一部を適宜省略、また文意を損なわない程度に改稿し、引用させて頂いている部分があります。


東方妖々夢
Opening


 幻想郷にある博麗神社の巫女さんは、寒いのは苦手だった。

 

 ただ、いつもと違うことは“今がもう五月である”という事だった。

 雪はいっそう激しく、この吹雪ももう一週間は続こうとしていた。

 

 少女はそれが、どうせ口に出さなくても分かるような理由だと思ったのだ。

 だから、しゃべると寒いので黙って原因を潰しにいくことにした。

 

 しかし結局、神社は昔ながらの建物で風通しもよく、いや、吹きっさらしだったので、家に居ても居なくても同じだったのである。

 少女はいつもどおり勘を頼りに出発したのだった。

 

 

 

 普通の魔法使いさんは、寒いのも普通の人間同様、それなりに嫌い、それなりに楽しんでいた。

 

 霧雨邸は、魔暖房があったので暖かかった。そうでなくても魔法室は何かしら暖かいものなのだ。

 そんな中、少女は自分の家の前の吹雪に、薄桃色の花びらが雪に混じっているのを見た。ここ東の国の春にしか咲かない花の花弁。

 そう、桜だったのだ。

 

 風上に行けば桜が咲いている筈である。ただ、吹雪は山の上から吹き降ろされていた。山の上ほど開花が遅い筈なのに……。

 少女は、桜の花びらを辿って、まだ見ぬ春を目指して出発した。

 

 

 

 紅魔館のメイドさんは、暖かい部屋で残り少ない苦い珈琲を飲んでいた。

 

 黒い珈琲が切れても、紅い紅茶を飲めばいい話だ。しかしさすがに、暖房燃料が切れたら人間はこの冬を越せないだろう。

 ここまで配達にくるような人間はいない、幻想郷の住人は、燃料食料すべて一冬分まとめて用意するのである。それは、元から険しい道が大雪で完全になくなってしまうためであり、ずっと昔から変わることの無い習慣だったのだ。

 

 少女は、冬を終わらせるために、春が訪れるまで暇を申し出る。

 このときお嬢様は、あと一日もすれば春になることを確信した。だから、快く彼女を送り出したのだ。

 

 

 

 

 

 **********

 

 

 

 気まぐれに幻想郷を訪れた少女は、その予想外の現象に目を丸くしていた。

 

「……雪? しかもコレ、猛吹雪ですよね」

 

 なんと、外の世界では既に、桜の木は青々とした若葉を茂らせているのに、境界を跨ぐとまだ蕾すら膨らんでいなかったのである。

 忘れ去られた地とはいえ、これはどう考えても非常事態であろう。

 

「うーん、エルニーニョだか何だかの影響でしょうか……。あれ、ラニーニャかラニーニョみたいなのもありましたよね? どっちだ?」

 

 少なくとも、それは彼女の常識で理解できるものではなかった。

 ならば、彼女は彼女なりの非常識で非常識な冬を楽しむだけである。

 

 そしてそのための合言葉を、翡翠の少女は身をもって体験していた。

 

「“異変”、ですよねー」

 

 手始めに彼女は、祭り(異変)を楽しむための囃子(飛翔板)を、置かせてもらっている友人の家まで取りに行くことにした。

 

 少女は、惹かれる幻想のままに春の冬空を旋回していった。

 

 

 

 ***

 

 

 

「やっぱ来てる、か……」

 

 冬の妖怪を難なく撃破し、そこで忘れ物に気づいた魔法使いの少女は、自らの家に一時帰還していた。

 そしてそこで、一つの変化に気がつく。

 

 そう、友人から預かっていた、不可思議飛行板が消えていたのだ。

 確かに、彼女の姿は最近見かけなかったから、そろそろ来る頃だとは思っていたようだ。

 

「しっかしあいつもまた、タイミングが良いんだか悪いんだか。

 ……ほんっと、この異変時に、なぁ」

 

 用を済ませた少女は、再び吹雪の空へと箒を走らせる。

 

 ──しかし、帽子を深くかぶったその顔は、どこか精彩を欠いていた。

 

「当然、霊夢も動いてるよな。更には詩音も。じゃあ、私は、私は──

 ──私は一体、何なんだ?」

 

 押し潰されたその心には、桜どころか蕾すら見当たらない。

 

 

 

 

 

 **********

 

 

 

 

 

 

 幻想郷は本当に永い冬だった。

 5月を過ぎてから、一層吹雪も強くなったようだ。

 

 そんな幻想郷にも、花が満開な場所が人知れず存在していた。

 文字通り、そのことを『人』は知らなかった。

 ここ幻想郷は、もとより『人』の数は少なかったのだ。

 

 そして春は、まだ来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東方妖々夢 ~Perfect Cherry Blossom.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プレイヤーを選んで下さい

 

 

『楽園の素敵な巫女』

 博麗(はくれい) 霊夢(れいむ)

 

『普通の魔法使い』

 霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)

 

『紅魔館のメイド』

 十六夜(いざよい) 咲夜(さくや)

 

(うつつ)と幻の往来者』

古卿(ふるきみ) 詩音(しおん)

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。