巧と麻子が帰路についていた。
巧は全然知らない道なので麻子にただついて行くだけであった。
麻子は巧の手を引いて、会話すらないが機嫌がとてもよかった。
普段は低血圧で眠そうな麻子だが巧と一緒だと不思議と治っているように感じる。
それどころか普段はあまり感情を出さない麻子だが、嬉しそうな顔をしている。
普段はあまりこういう顔をしないので不思議に感じる人間も少なくない。
そうこうしているうちに家に着いた。
麻子が手際よくカギを開けて急ぐかのように巧の腕を引いて家の中に連れ込んだ。
そして巧を座らせてその上に麻子が座った。
満足気な麻子に巧は心が落ち着いた。
ここ最近で色々な出来事があり、巧自身にも負担がかかっていたのでこういう事は心が安らぐのだろう。
そんな安心する時間も長くは続かなかった。
『ピンポーン』
インターホンが鳴り響いた。
「麻子、お客さんだよ?」
「ん、私が行く」
麻子が巧の上から立ち上がり玄関の方に向かった。
巧はその間に寝っ転がり体を休めていた。
麻子の玄関でのやり取りは全く耳に入らないくらいにゆっくりしていた。
「くつろぎ過ぎですよ。巧さん」
思いもよらない声に巧は飛び上がった。
声の主を確認しようと声のした方に目を向けると先程まで一緒に居たⅣ号の乗員全員が居た。
「今日はみんなとお泊り会なんだ。お父さん」
麻子から説明を受けてやっと理解した巧であった。
「それなら買い物に行かなといけないんじゃないか?」
巧は全員分の食事を用意するには食材が少なすぎるので買い出しを提案した。
「それでいこう」
「いいですね」
「私も賛成であります!」
「私もいいよ!」
「私もいいですよ」
全員の同意を得たので買い物に出かけることにした巧であったが・・・
「巧さん私たちもついて行きますよ」
何故か全員で行く事になった。
~★~
女子高生5人と来年アラサーの男が並んで歩いている異様な光景がそこにあった。
徒歩で数分のところにあるスーパーに着いた。
学園艦の上とはいえ、かなりの頻度で商品の搬入をしているので商品が少ない事はないのだ。
買い物かごをカートの上にのせて順路通りに商品を物色することにした。
「みんな今日は何が食べたい?」
巧は買う物を絞るために今夜のメニューをどうするかをみんなに問いかけた。
「私は何でもいいです」
「西住殿と同意見です」
「私も何でもかまいません」
「私も何でもいいぞ」
沙織以外は何でもいいと答えたがそれが巧としては一番困るのだ。
何も答えてない沙織に巧は聞いた。
「沙織ちゃんはどうする?」
「和食とかどうですか?」
「和食か・・・いいね。栄養価も考えるとてんぷらと煮物系、焼き魚もいいね」
最もまともな意見で巧は助かったと思った。
「(今の会話、夫婦みたいだった!やっぱり巧さんと結婚したら絶対幸せになる!でもみぽりん言った通りで大洗だけじゃなく、ほかにも巧さんを狙うワルイ女が居るから・・・)」
巧のそれに気づいていないので買い物を続けていた。
「やっぱり彩を考えて野菜を中心にしたてんぷらと煮物、焼き魚とみそ汁があれば和食の一汁三菜が組み立てれる」
真剣に考えた巧は今夜のメニューを完璧に組み立てたのだ。
巧もひとり暮らしが長いので大抵の家事は普通にそつなくこなせるのだ。
それに戦車道も体作りが大切なので食事から改善するのも重要だ。
「やっぱりここは大洗の特産品のサツマイモとか使って作るべきだね」
巧は色々な事を考慮して買い物を再開した。
やはり海産物と一部の野菜は都心部のスーパーに比べるとかなり安いので巧は驚いていた。
「お父さん」
夢中で買い物している巧に麻子が声をかけた。
「どうしたの?」
「お菓子買ってもいいか?」
「お菓子か・・・」
ご飯も近いので巧は少し迷った。
自分が親ならどうするだろうか?と考えていた。
でも麻子は親を亡くしたショックとこれまで親に甘えた事が少ない事を考慮した。
「いいよ。でも今日は食べたらだめだよ。買い溜めするならいっぱいお菓子を買ってもいいよ」
巧の甘さと言うよりも優しさが前面に出てしまった。
「ありがとうお父さん」
軽い小走りでお菓子コーナーに走っていく麻子。
「(僕に子供が居たらあんな感じなのかな?)」
巧は少し考えた。
「(でもそれなら少しは厳しく叱らないといけないよね。でも今はいいかな)」
巧は考えたが答えを出さずに考えるのをやめた。
一通りの買う物をかごに入れた。
買い忘れがない事をしっかり確認してレジで会計を済ませた。
そしてスーパーを後にした。
買い物の量は少しは多いが持てないほどでも無いので巧は両手に抱えて問題なく帰路に着いた。
~★~
帰宅した巧は早速、調理を開始した。
基本は巧だが、沙織を中心に巧のサポートをする事にした。
「下ごしらえは任せて!」
「お願いするよ」
沙織が野菜を切ったり衣をつけたりと巧を的確にサポートする辺りは女子度が高い。
大和撫子の如く、男の一歩後ろをついて歩く感じである。
手際のいい作業とそれを的確にサポートする調理で思った以上に調理は早く済んだ。
机に並べられる大量の料理。
巧は少し作り過ぎたと思った。
「それでは頂こう」
全員は手を合わせて
『いただきます!』
と合掌した。
「ん~!美味しい!」
そう言って絶賛する沙織。
それに続くように皆が絶賛の声を出していた。
「確かにおいしいですね」
「おいしいであります!」
巧は少し照れくさそうな顔をする。
食事がそのまま続けられて大量にあった料理は主に華が食べて完食された。
「巧さん洗い物は任せてください!その間にお風呂に入ってください!」
「ありがとう沙織ちゃん。甘えさせてもらうよ」
巧がそう言うとなぜかみんなが小さくガッツポーズをしたことを巧は不思議に思った。
「それなら先に入らせてもらうよ」
巧はそう言って脱衣所に向かったのだ。
~★~
~みほsideIn~
予定通りに巧さんがお風呂に入った。
「みんな。分かってるよね?」
「もちろんであります!」
「準備は万全だよ!」
「私もいけます!」
「私も大丈夫だ。西住さん」
これは私が計画した合法的に巧さんの裸を見る為に考え出された作戦・・・
『おっちょこちょい作戦!』
これは巧さんのTシャツをうっかり洗濯機に入れて洗ってしまって、着る服がなく出て来て着るまでの数分間でバレない様に激写する作戦。
本当は隠しカメラがあればいいけど・・・
そこまでまだ用意できてなかった。
「それではみなさん。これより『おっちょこちょい作戦』を開始します!」
私の掛け声でみんなが動き始めた。
これより作戦を開始します!
~みほsideOut~
~★~
巧はゆっくりと湯船に浸かって体の疲れを癒していた。
お風呂は心の洗濯と誰か言っていたが、そうなのだろう。
巧もお風呂では皆平等に訪れる幸福を味わっていた。
「現役復帰か・・・」
巧は社会人チームへの現役復帰について考えていた。
「日本代表としてもう一度、戦うかこのまま選手ではなく監督になるか」
苦渋の決断とはこの事だろうか。
巧にとってもっとも難しく重い決断になるだろう。
「どうするかな・・・」
決断の時までまだしばらくあるので一旦、考えるのをやめた巧であった。
『巧さ~ん』
みほの声が脱衣所から聞こえた。
「どうしたの?みほちゃん」
『ごめんなさい。巧さんのTシャツ洗濯しちゃった・・・」
「それなら気にしなくていいよ。新しい物を出たら探して着るよ」
『ありがとう巧さん(作戦通り!)』
みほの策略にはまっている事に気づいてない巧であった。
「(それならもうそろそろ出ようかな)」
体を伸ばして湯船から出る巧。
脱衣所に誰も居ない事を確認して脱衣所に戻る。
下着を履いてシャツはないのでズボンだけ履いて部屋に戻ろうとした。
首にバスタオルをかけて風呂上りとすぐに分かるような格好であった。
部屋に戻ろうと扉を開けて戻った。
「お風呂から上がったよ」
巧がそう声をかけると崇めるように巧を見る5人。
そう巧の体はシックスパックの腹筋とそこまで主張しない胸筋、そして服を着ているとわからない腕の筋肉は、女性の理想図そのものだろう。
スタスタ歩いて自分の荷物をまとめてあるところに行って変えのシャツを探し始めた。
その間も視線が突き刺さって巧は違和感があふれていた。
巧はできる限り気にしないようにして服を着た。
「みんなもお風呂に入りなよ」
巧がそう言うとみんなは急ぎ足で順番にお風呂に行った。
巧は寝っ転がったが疲労の為かそこから意識がなかった。
どうでしたか?
少し急ぎ足になったと思いますが、無事?に1日目が終了しました!
次回から2日目に入ります!
それではまた次回!
チャオ!