僕と戦車乙女の“非”日常です   作:神崎識

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時間軸上は大洗に戦車道が復活した直後の話です。

なぜ改訂版にした理由は以下の通りです。

まず前作の話は途中から話がごちゃごちゃになってしまい、小説の内容も脱線してしまっていました。

それに最初のうちは文字数も多くて各話の内容も濃かったですが、途中から文字数も少なくなり、薄くなりました。

悪い言葉ですが、内容が適当になってしまいました。

なので今作から新たに内容を大きく変更して追われる前から話を始めたいと思います。

それにタグのハーレムが意味がなく、ヤンデレとしてもあまりヤンデレっぽくないので日常回も追加したいので改訂したいと思いました。

そして乙女たちが主人公を好きになる理由もはっきりしていなくて、各校と乙女たちの思惑がはっきりしていないのでそれも理由の一つです。




黒森峰に訪れます

男は黒森峰女学園を訪れていた。

 

男は玄関先に飾られている賞状や楯を眺めていた。

 

そもそも女子校の黒森峰に教員でもない男が居るのは異常であるが、生徒や教員たちは何も言わない。

 

それどころか、気さくに話しかけたり、挨拶をしたりして、どこか親しげだ。

 

そうこの男、黒森峰女学園唯一の男子の卒業生であり、過去に西住流の手ほどきを受け、戦車道の特待生として特別に男子で入学が出来たのだ。

 

そしてかつての黒森峰の戦車道を常勝集団に変え、全国九連覇という偉業の最初の優勝チームの隊長を務めた人間だ。

 

現在では日本戦車道連盟の強化員と審判員を務め、忙しい毎日を送っている。

 

そんな黒森峰OBの男は何故訪れたのか?

 

答えは単純だった。

 

ただの帰郷だった。

 

男は第二の故郷と言ってもいい西住の家に戻る前に熊本に寄港している母校に立ち寄っていたのだ。

 

そしてある人物と待ち合わせしていた。

 

「お待たせしました巧さん」

 

男こと伊藤巧(いとうたくみ)に近づいてくる左右の綺麗な栗色の髪の毛が外側にはねていて、ツリ目と凛々しい顔立ちの少女、現黒森峰女学園戦車道隊長の西住流師範の娘、西住まほだ。

 

待ち合わせしていたのはまほだったのだ。

 

「そんなに待ってないよ」

 

巧ははにかんで優しく答えた。

 

まほは巧の隣で立ち止まり、巧の目線の先を見つめた。

 

「どうかしたんですか?」

 

「少し懐かしいと思って」

 

少し微笑みながら答えた。

 

かつての学園生活の事を少し思い出しながら巧は目線をまほに合わせた。

 

「まほちゃん。練習お疲れ様」

 

「いえ、巧さんに会えると思うと平気でした」

 

「お世辞でもうれしいよ」

 

まほの頭を優しく撫でて微笑んだ。

 

少し恥ずかしそうだが、うれしそうな表情をしていた。

 

ふと巧がまほの誕生日がもう少しな事に気づいた。

 

もう少しと言っても、まだ二ヶ月くらい先の事だが、直接会う事も仕事の事情で中々会えないので少し前から誕生日プレゼントについて聞き始めるのだ。

 

「そういえばまほちゃんは今年の誕生日は、何か欲しい物でもある?」

 

「それじゃあこれにサインとハンコを・・・」

 

まほが手元に持っていた学生鞄から少し大きい紙を取り出した。

 

まほの手から巧に直接手渡された。

 

巧は最初は戦車を購入する同意書かと思ったが、手渡された紙を見て顔色が変わった。

 

手渡されたのは妻の欄がすべて書かれて埋まっている婚姻届だった。

 

それに西住のハンコが押されていて、サインも書かれていた。

 

「ま、まほちゃん何かの冗談かい?それにこのサインは?」

 

「しーっ」

 

まほが口元に指を当てながら微笑んでだ。

 

その顔は小悪魔のような表情だった。

 

「巧さん私は本気です。私はもう結婚できる年齢です。子供もできる体です。いざという時は西住の名を捨てる覚悟もあります」

 

巧の胸にまほが顔を押し当てて手を巧の体の後ろに回して抱き着いていた。

 

巧はまるで石化したように動かなくなったのだ。

 

まほはただ巧の胸の中で鼻をスンスンと動かし、巧の匂いを堪能していた。

 

やっと巧は石化が解除されたように口を動かした。

 

「まほちゃんこんなところ誰かに見られたら・・・」

 

「誰がどう見ても恋人じゃないですか」

 

「で、でも僕にも立場があるから。これじゃあ強化員の僕が戦車道の隊長に手を出してるようだから・・・」

 

まほがむっとした表情に変わり、頬を膨らました。

 

まほは普段はおとなしく言う事をよく聞く少女だが、たまに無邪気な少女になるのだ。

 

さっきより強く巧を抱きしめた。

 

「巧さんは私の事、嫌いですか?」

 

一転まほの表情が変わり、目に涙がうっすらと浮かべていた。

 

巧は慌てた表情で訂正した。

 

「まほちゃん、僕は決してまほちゃんの事が嫌いじゃないよ」

 

「それじゃあ問題ないですね」

 

さっきとは一変して目から涙が消え、小悪魔みたいな表情に戻った。

 

まほはただの泣き真似をして巧を動揺させて、揺さぶりをかけていたのだ。

 

巧は為す術がなく立ち尽くしているところに、ある人間からは救世主、ある人間には邪魔者となる人物が現れる。

 

「隊長!」

 

まほはスッと巧から離れた。

 

少し表情を曇らせたまま、まほが声をかけてきた相手と対面した。

 

「エリカどうした?」

 

逸見エリカ、綺麗な銀髪のセミロングと整った顔立ちできちっと着こなされた黒森峰女学園の制服。

 

彼女は現黒森峰女学園戦車道の副隊長を務めている。

 

「巧さんがいらっしゃっていると聞いたので、指導をご鞭撻のほどを・・・」

 

その言葉を聞いたまほはさっきと打って変わって冷酷な表情をしていた。

 

「エリカ。巧さんは忙しい。それに今回は指導で来てもらっていない。ただの帰郷だ」

 

巧が二人の間に割って入った。

 

「まほちゃん。後輩を指導するのもOBとしての僕の務めだよ?」

 

「巧さんが言うなら・・・」

 

巧の言葉で食い下がるまほ。

 

「エリカ。粗相のないように」

 

「はい隊長」

 

まほがエリカに注意を促してこの場を去って行った。

 

エリカはまほが去って行くの見届けて巧に近づいた。

 

「ありがとうエリカちゃん。久しぶりだね」

 

巧はエリカに助けてもらったお礼を言った。

 

「そうですね。それより私の部屋に行きましょう」

 

エリカは巧の手を繋いでそのまま引き連れてエリカの下宿先の寮に移動するのであった。

 

巧は寮に向かう道中、周りの景色を見ていた。

 

変わらない建物と懐かしい雰囲気を肌で感じながら懐かしんでいた。

 

寮に到着するとエリカの部屋に案内された。

 

基本二人部屋で少し二人で暮らすには広いぐらいの部屋だ。

 

「ルームメイトは?」

 

巧は部屋に入った時からの疑問をエリカにぶつけた。

 

「友達と出かけました」

 

エリカが淡々と答えてドアのカギをかけた。

 

その瞬間、巧の背中に抱き着いた。

 

着ている服がしわになるほど強く抱きしめていた。

 

「い、痛いよ!エリカちゃん」

 

巧が思わず声を上げた。

 

「巧さんは隊長だけを贔屓するのですか?」

 

「僕はみんな平等にしているはずだけど・・・」

 

「私も甘えたいです」

 

巧はエリカの手を解いてエリカと向かい合った

 

エリカと巧の関係は、巧が高校生時代に幼少期のエリカと出会ったのが始まりだ。

 

その後は戦車道の楽しさを知ったエリカが黒森峰女学園中等部に入学した。

 

そして戦車道連盟の強化員として派遣された巧と再会するのであった。

 

巧を通じてみほとまほは幼少期からしっているはずなのだが、みほとまほがエリカの事をすっかり忘れてしまっていたのだ。

 

だが、巧はエリカの事を覚えていた。

 

エリカからみほとまほの事を聞いて二人に伝えようとしたが、エリカが止めた。

 

エリカが二人だけの秘密にしたいという事だ。

 

「え、エリカちゃん指導は?」

 

「いりません。私は巧さんに会えて二人だけになっただけで充分です」

 

エリカが巧の手を自分の頬に持って来て愛おしそうに巧を見つめていた。

 

巧は恥ずかしいから顔を横にそらした。

 

静寂に包まれる部屋。

 

お互いに動かずに固まってしまっている。

 

エリカは巧の手を頬でスリスリさせて満足げだが、巧は動けずにいた。

 

巧は静寂を破るために口をひらいた。

 

「エリカちゃん。用がなければ帰っていいかな?」

 

ぴくッと言葉に反応してスリスリが止まった。

 

表情が変わり、固まってしまった。

 

段々と言われた言葉の意味が理解してきて、目に涙を浮かべ、今にも泣きそうな状態になってしまった。

 

「巧さんは私の事嫌いなの・・・」

 

いつも通りの気強くプライドの高い人物ではなく、甘えん坊な少女になっていた。

 

少しデジャヴのように思いながら巧は答えた。

 

「嫌いじゃないよ!」

 

「それじゃあ好き?」

 

困惑して巧がまた固まった。

 

エリカの無邪気な子供のような顔は普段とのギャップで巧の脳内を混乱させていた。

 

恥を忍んで巧は口を開いて言った。

 

「だ、大好きだよ!」

 

「私も巧さんの事好きよ!」

 

エリカが巧の胸元に飛び込んでがっちりと抱き着いた。

 

巧は少しふらついたが、態勢を整えてしっかりと受け止めた。

 

「え、エリカちゃん。僕そろそろ西住の家に行かないと、しほさんに怒られるから離してくれる」

 

エリカは言う事を素直に聞いて巧を離した。

 

「また来るからね?」

 

「絶対ですよ?」

 

部屋から出て行く巧を見送った。

 

エリカがなぜ巧を素直に離したのか?

 

理由は簡単で単純だ。

 

「巧さんのボイスコレクションこれで完成よ!」

 

エリカは制服のポケットからボイスレコーダーを取り出した。

 

自分の机のパソコンを起動して、USBケーブルで接続して音声をパソコンに取り込んだ。

 

パソコンにはこれまでエリカが集めた巧のボイス集があった。

 

そしてエリカがヘッドホンをつけて、巧の声を組み替えて編集を始めた。

 

「もうちょっと・・・」

 

自然にエリカの顔から笑みがこぼれた。

 

それは不気味でどす黒い笑みだった・・・。

 

~★~

 

巧は寮を出て黒森峰女学園を後にしようとしていた。

 

「っ!?」

 

何か嫌な視線を感じた巧は周りを見渡した。

 

周りには人影もなく気配もない。

 

巧は戦車道で神経が研ぎ澄まされているので、些細な視線でも感じ取ることができるのだ。

 

巧は嫌な汗を掻きながら、その場所から走って立ち去っていた。

 

そして巧の居なくなった場所に現れる少女。

 

「シャイなんですね巧さん」

 

ショートカットのくせ毛の赤みがかった茶髪と黒森峰女学園の制服に身を包んだ少女。

 

赤星小梅だ。

 

去年の全国高校戦車道大会で川に転落したIII号戦車J型に搭乗していた女生徒の一人だ。

 

優勝を逃し、十連覇を達成できずに連覇を止めることになってしまった。

 

他の隊員達に責められ、仲間と友達が消えていき、孤独だった。

 

よく指導に来てくれる巧に申し訳ない気持ちでおしつぶされそうだった。

 

そのせいで心に深い傷を負い一時期は黒森峰を去ろうとしていたが、巧がそれを止めた。

 

巧は連覇が止まった事に関しては一切怒る気などなく、むしろ自分の審判員としての判断が悪かったと謝罪した。

 

そして小梅にこう言った。

 

『君の戦車道はまだ終わってない』

 

負けた事よりも重要視する事があると小梅に伝え、また新たな一歩を後押しをした。

 

それにより小梅は自分を救ってくれた救世主として巧に好意を寄せるようになった。

 

だがその好意の大きさはドンドン大きく膨れて行き、巧の写真を陰ながら撮り、集めるようになった。

 

コレクションとして数々の巧の写真がアルバム数十冊に及ぶものだ。

 

「流石一眼レフ画質が違いますね」

 

最近買ったばかりの一眼レフの撮り心地のチェックを兼ねて訪れた巧を撮っていたのだ。

 

普段は隠しカメラで撮っていたのだが、エリカとまほがこっそりと撮れないように邪魔をしてくるようになったのだ。

 

直接盗撮をするなとは言ってこないが邪魔はする暗黙のルールが謎に存在する。

 

「困惑する巧さん。困ってる巧さん。焦ってる巧さん。これでまた私のコレクションが増えました!」

 

一眼レフの液晶モニターに撮った写真が映し出された。

 

中には先程のエリカとまほと一緒にいる写真も含まれていた。

 

「やっぱり邪魔者(・・・)が一緒に写ってると巧さんがかわいそうに思うなぁ」

 

小梅はエリカやまほが一緒に写っている写真の中で加工したら巧だけにできる写真だけ残して他は削除した。

 

「部屋に戻って早速現像しよ」

 

いつもより気分よく寮に戻る小梅だった。

 

この黒森峰女学園にも存在する病んだ戦車乙女たちはまだ一部だ。

 

各校の戦車道履修者と戦車道連盟、大学選抜に潜む病んだ戦車乙女もまだ居るのだ・・・

 

~★~

 

巧は黒森峰女学園の駐車場に着いていた。

 

さっきの嫌な感じはなく、視線も感じなかった。

 

自分の車を駐車したところに近づいていくと自分の車の近くで居る少女を確認した。

 

「まほちゃん。先に帰ってくれてもよかったのに」

 

少女の正体はまほだった。

 

さっき巧と別れた後からずっとここに居て巧を待って居たのだ。

 

「一緒に帰りたいと思ったので」

 

「それじゃあ車に乗って」

 

巧は車の扉の鍵を解除して開けて、まほを助手席に乗せた。

 

巧の車はキレイに掃除されており、他人をいつ乗せても大丈夫なようになって居た。

 

「まほちゃん。少しこれを持っておいて」

 

巧は運転の邪魔にならないように上着を脱いでまほに渡した。

 

まほはそれを受け取り即座に着用した。

 

まほと巧では体格差があるのでぶかぶかで袖の丈が長く余っている。

 

どこが満足げなまほを不思議そうに巧は見たが、気にせず車のエンジンを起動させた。

 

そして車を発進させるのであった。

 

巧とまほが向かって行っている場所はまほとみほの母親である西住流師範の西住しほが居る西住の家だった。

 

しほも巧を愛し過ぎて心が病んでいる戦車乙女の一人だった。

 

その愛の大きさは最愛であるはずの夫よりも大きいのである・・・

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

今作はこんな感じで行きたいと思いますのでよろしくお願いいたします!
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