僕と戦車乙女の“非”日常です   作:神崎識

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巧は大洗女子学園に向かいます!

巧は窓から差し込める朝日で目を覚ました。

 

日は少し高く、いつもより寝ていた巧は昨日の疲労が無いように感じていた。

 

寝る時にはかかってなかった布団をどかして上体を起こして台所に目をやると大洗女子学園の制服姿で仲良く朝ご飯を作る麻子と沙織の姿があった。

 

眠たいそうに目をこすっていると、巧が起きた事に気づいた二人は巧に話しかけた。

 

「お父さん、おはよう」

 

「おはよう。朝ご飯もうすぐできるからね」

 

そう言われた巧は寝ていた布団をたたんで机を移動させて朝食を食べれるようにした。

 

朝食にふさわしい、みそ汁の匂いと焼き魚の匂いが巧の鼻を刺激した。

 

麻子は普段は低血圧で朝起きるのが苦手だが、今日は違う。

 

麻子は巧の為に早起きをして沙織と一緒に朝食を作っているのだ。

 

そして麻子と沙織が机に朝食を運んできて並べられた。

 

ごきげんな朝食だ。

 

三人は合掌して一言。

 

『いただきます』

 

と言うと朝食を食し始めた。

 

「お父さんは今日は何をするんだ?」

 

麻子は巧に向かって今日の予定を聞き出そうとした。

 

巧は少し考えて答えを出した。

 

「戦車道の指導まで時間があるから大洗の学園艦を少し回ろうと思うんだ」

 

「それじゃあ放課後、三人で回らない?」

 

沙織が自分と巧と麻子で学園艦を歩き回らないかと提案してきた。

 

「それも悪くないね」

 

巧はその提案に同意しながら朝食をそそくさと済ませた。

 

沙織は食べた食器をかたずけて、麻子は学校に行く準備をしていた。

 

沙織は食器をかたずけが終わり、麻子から学生鞄を受け取って学校に行ける準備をした。

 

「それじゃあ巧さんは出かける時にカギをかけて来てね」

 

「お父さん行ってきます」

 

巧が手を振って二人を見送った。

 

巧は朝からシャワーを浴びて少し伸びた髭をカミソリで剃った。

 

下着とシャツを変えて私服ではなく、シャツを着替えて仕事用のスーツに着なおした。

 

身の整理をしていたら、時間が結構経っていた。

 

そして玄関から出て、鍵を閉めて大洗の学園艦の街を散策し始めた。

 

時刻は午前九時を過ぎていた。

 

ある程度の店は開き始めており、巧もどの店に入ろうか考えていた。

 

商店街を歩いているとふと巧は自分の髪の毛の長さに違和感を覚えた。

 

巧はこの機に散髪しようと思い近くの床屋を探して歩いていた。

 

すると目の留まる理髪店を見つけた。

 

『秋山理髪店』と書かれた看板が目に留まり、巧はここに入ろうと決めた。

 

秋山理髪店はもう既に開店しており、店のドアに手を掛けて入店した。

 

「いらっしゃいませ」

 

中に入ると美人の婦人が迎えてくれた。

 

「こちらへどうぞ」

 

散髪台に案内された巧はスーツの上着を脱いで散髪台に座った。

 

「今日はどうしますか?」

 

「この髪型の状態で髪の毛を短めに切ってください」

 

「はい。わかりました」

 

巧の髪の毛を丁寧に優しく繊細にカットし始めた。

 

みるみるうちに髪の毛は短くなっていき、巧の髪の毛は短めになった。

 

巧はカットしてくれている婦人の顔の表情に違和感を感じた。

 

「あの、どうしたんですか?暗い表情をしてますよ」

 

「えっ?」

 

巧は昔から他人の表情を読み取るのが得意で学生時代に黒森峰の戦車道チームの隊員達の表情を読み取って心のケアをしていた事もあったのだ。

 

巧はだから婦人の暗い表情を一瞬で読み取ったのだ。

 

「ご相談に乗りましょうか?」

 

「いえ、迷惑でしょう?」

 

「構いませんよ。僕は暇なので」

 

巧は優しい笑顔で答えた。

 

「(久しぶりに男の人に笑顔で・・・)」

 

婦人はときめいていた。

 

そもそもこの婦人は大洗女子学園の戦車道メンバーのⅣ号の装填手の秋山優花里の母親の秋山好子であったのだ。

 

「実は・・・」

 

好子は赤裸々に告白を始めた。

 

理髪店の経営がうまくいかず、夫はオドオドしていて解決策を見出せずに困っていて、娘も最近、友達が出来たばかりだから、退学はさせたくないと語った。

 

巧は真剣に好子の話を聞いた。

 

「それで今日も旦那は商店街の人に相談に行ってて・・・」

 

好子は今すぐにでも泣きそうな顔をしていた。

 

巧は好子の手を取ってこう言った。

 

「もし経営に困っているのならここに電話をしてください。そして僕の名前『伊藤巧』を出して頂いたら、問題ないので」

 

巧は名刺ケースから経営コンサルタントをしている人間の名刺だった。

 

巧の顔は広く、日本戦車道連盟がバックについている企業が多く、巧も何十社もの会社の人間と知り合いなのでこの手の会社の人間とは仲が良いのだ。

 

その中でもまだ会社の規模はそこまでだが、腕のいい経営コンサルタントの人間を紹介したのだ。

 

「家にはこんな人を雇うお金は・・・」

 

「心配いりません。僕の名前を出していただいたら、そこまでかからないので大丈夫ですよ」

 

それを聞いて好子は目から涙が出始めた。

 

巧は驚いてすぐにズボンからハンカチを取り出して涙を拭いてあげた。

 

「大丈夫ですよ。それと貴女が旦那さんを引っ張ってあげてくださいね。でないといつまで経っても解決しないですから」

 

そっとハンカチを手渡して笑顔で答えた。

 

「ありがとう・・・ございます・・・」

 

好子が落ち着いてきて涙が止まり始めた。

 

「僕の方こそ綺麗に散髪してもらってありがとうございます。お代はここに置いていきますね」

 

スーツの上着を着なおしてお代をレジの横において店を後にした。

 

好子は落ち着いてレジの横の代金を見て更に驚いた。

 

巧は二万円も置いて行ったのだ。

 

好子は急いで店の外に出て周りを見渡しても巧の姿はなかった。

 

好子は少しがっかりして店に戻って行った。

 

「また会えたら・・・」

 

好子の心には野心ともいえる感情と欲望に渦巻いていた。

 

もう心の中に最愛の夫の姿はなく、いるのは巧の姿だけだった・・・

 

~★~

 

巧は少し鬱陶しい髪の毛を短くして事によって気分が良くなった巧は商店街を抜けて大洗女子学園に向かっていた。

 

普段は感じない心地のいい海風が吹き抜けている。

 

巧は学生時代に戻ったように感じた。

 

まるで学生時代に寮から黒森峰女学園まで登校しているように感じながら大洗女子学園を目指した。

 

そうこうしているうちに大洗女子学園の校門に着いた巧は学園の敷地内に入った。

 

前回に来ていたが、あまり学園内は詳しくないので大きくて目立つ戦車倉庫を目指して歩いて行った。

 

大洗女子学園は黒森峰女学園等の戦車道名門校に比べて学園艦の規模が小さく、思った以上に広くないので校内を車などで移動する必要はなかった。

 

プラウダ高校より少ないが木々も多少はあるので自然がないわけではない。

 

そして大洗女子学園の戦車倉庫に到着した。

 

戦車倉庫の入り口を開けて倉庫内に入った。

 

そこには先日に練習試合で使われた戦車全部が直されて走行可能になっていたのだ。

 

巧にとっては別に驚くことでもなかった。

 

巧は昔から整備士に恵まれており、ゴールデンウイークの全日程を他校との交流戦をして連日戦車を使えるようにするために整備士に無茶をさせた事もあった。

 

巧は馴染み深いⅣ号戦車に背を預けて座り、スーツの上着の内ポケットから手帳を取り出して今後の仕事の日程を確認した。

 

一番日程が近い仕事は全国高校戦車道大会の抽選会の運営でその後にサンダース大付属高校の部隊編成の発表会に呼ばれているのでそれに行き、もちろん高校戦車道大会の審判員としての仕事と各校の指導もある。

 

この時期は毎年忙しいので巧は当たり前のように感じている。

 

だが今年は予定なのだが冬季の戦車道大会の無限軌道杯の開催を検討しているのでプロリーグの発足が急がれている。

 

なので巧もいつも以上に忙しくなっているのだ。

 

だけど巧は忙しくとも日本戦車道が盛り上がってくれるのなら本望だと思っている。

 

自分が果たせなかった世界一位と金メダルを取れるように全力でサポートするのが巧にとって幸せなのだ。

 

予定の確認をしているうちに時間が思いのほか進んでいて授業終了のチャイムが鳴るのが聞こえた。

 

チャイムが鳴って少し時が経つと戦車倉庫の扉が開いた。

 

そこに立っていたのはくせ毛が目立つⅣ号装填手の秋山優花里だった。

 

「あれ?伊藤教官はどうしてここに?」

 

「戦車道の指導に来たんだけど・・・時間を間違えたのかな?」

 

「あっはい。戦車道の授業は今日はないですから放課後の練習のみのはずです」

 

巧は失敗したと思い立ち上がった。

 

「君はどうしてここに?」

 

「いや~戦車たちと昼食を取ろうかと思って」

 

照れながら答える優花里に巧は提案をした。

 

「僕もご一緒にさせてくれないか?少し話したいから」

 

優花里は驚いた顔で凄い速度で頭を縦に振った。

 

巧はⅣ号の上に乗った。

 

「ほらおいで」

 

巧は優花里に手を差し出した。

 

「あ、ありがとうございます」

 

緊張した趣で優花里は巧の手を握り引き上げてもらった。

 

その際に優花里は戦車で躓いてしまい巧に抱き留められた。

 

「大丈夫かい?」

 

巧は繊細に壊れやすいガラス細工を扱うように抱きしめていた。

 

「だ、大丈夫です(これでは冷泉殿がああなってしまうのがわかる気がします・・・)」

 

優花里は少し麻子の気持ちが分かったかもしれない。

 

巧は優花里を放して戦車の上に座った。

 

そして優花里は巧の隣に並ぶように座った。

 

優花里はお弁当箱を開いて食べ始めた。

 

「伊藤教官は昨日の練習試合をどう思いますか?」

 

優花里は素直に昨日の試合の評価を求めた。

 

「一つ言うなら発展途上だね。経験を積んで成長するんだ。だけど戦車道は経験だけじゃない」

 

「だとしたら何が必要ですか?」

 

巧は少し間を開けて一言、言った。

 

「情報とチームメイトの信頼だよ。相手チームの情報は変わるけど、戦車の情報は変化しない。敵戦車の特徴をよく理解して弱点を突くこれも大事なのだ。それと頼れる味方の信頼が勝利に導くんだよ」

 

優花里は納得した顔をした。

 

巧の言っている事はあながち間違ってはいない。

 

「性能がすべてではないよ。学生時代の黒森峰での紅白戦で僕はⅣ号を使用してティーガーⅠに勝ったこともある。戦車の性能が慢心を生んだ事によっての敗北だと僕は感じたよ」

 

「それならこのⅣ号でも全国に通用するプレーができるという事ですか?」

 

「そうだね。戦車の性能は重要だけどそれは慢心を生むんだ」

 

巧は自分の経験と指導員としての情報量で優花里に助言をした。

 

優花里は納得のいく言葉に感銘を受けていた。

 

巧はあることを思い出した。

 

「君は戦車は好きかい?」

 

「はい!もちろんです!」

 

巧の質問に迷いもなく答えた。

 

巧は先程の手帳から一枚の写真を取り出し渡した。

 

「こ、これは!」

 

その写真に写っているのは・・・

 

「T-28重戦車だよ。大学選抜に導入前に記念に撮らせてもらったんだよ」

 

巧は大学選抜にT-28重戦車を導入以来が来ていたので巧の情報網からT-28重戦車を売ってくれるところを大学選抜に紹介したのだ。

 

「全部で2輌しか生産されなかった伝説のレア戦車!大学選抜に導入されたとは聞いていてのですが、実物が誰も見ていないので噂かと思ってました!二列の履帯と高射砲を転用した強力な67口径105mm砲を搭載しているドイツの超重戦車マウスのようなドイツの重戦車に対抗するために作られた最強の重戦車ですね!」

 

興奮する優花里を見ていると巧は嬉しくて手帳から追加の写真を取り出して渡した。

 

「それなら黒森峰の重戦の写真もあげるよ」

 

黒森峰女学園の保有しているドイツ重戦車の写真を同じく手帳から取り出して優花里に手渡した。

 

「これは!ティーガーⅠとティーガーⅡ、ヤークトティーガー、ヤークトパンター、そ、それに黒森峰の秘密兵器、超重戦車マウスまで!」

 

優花里の興奮は最高潮に高まっていた。

 

巧はついついいつもの調子で頭を撫でてしまった。

 

優花里の顔はまんざらじゃなかった。

 

「ご、ごめん。いつもみたいに撫でてしまった」

 

巧はふと我に返り優花里に頭から手を離した。

 

「あぁ・・・」

 

優花里は寂しそうな顔をした。

 

「(もっと撫でてほしかったです・・・それに教官とお話ししているとこれまでに感じた事もない胸の高まりがありました・・・頭を撫でられた時も戦車に初めて乗った時よりも・・・教官ともっと長くお話してたいです)」

 

親と子は似るというがそれは本当だろう。

 

現に親子である優花里と好子は同じく心の中に野心と欲望が渦巻き始めている・・・

 

だけど時間は思いのほか進んでいたようだ。

 

昼休み終了の予鈴のチャイムが鳴った。

 

「さてと昼休みは終了のようだ。君も教室に戻りなさい」

 

そう言う巧の言う事を優花里は無視するように巧に抱き着いて離れないようになった。

 

巧は困惑して困っていた。

 

「秋山さん授業に遅れるよ?」

 

「いいです。それよりも私の事は優花里と呼んでください」

 

離れようとしない優花里に巧は一言、言った

 

「勉学に励まない者に戦車道をする資格はないよ。だから授業はちゃんと受けなさい」

 

「はい・・・」

 

優花里は残念そうに離れた。

 

「ちゃんと頑張って授業を受けてきなさい」

 

巧はまた優花里の頭を撫でてあげると優花里は気分よく戦車倉庫を後にして授業を受けに行った。

 

巧は昼食をとってなかったので大洗女子学園の学食に行く事にした。

 

学食には生徒はもちろんいなかった。

 

だが巧を呼び止める者が居た。

 

「あれ~伊藤教官じゃん」

 

そこには生徒会の三人が居た。




どうでしたか?

今回は秋山親子が堕ちました!

次回は生徒会のメンバー、カメさんチームをメインでいけたらと思います。

あと言っておくとまだ休日の初日で昼ですので巧くんにはまだ地獄が待ってます・・・

あと活動報告にてサメさんチームについてのアンケートを取りますのでよろしくお願いいたします!
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