イビルアイが仮面を外すとき   作:朔乱

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第一章の約一年後の話です。
第二章では、原作でも高確率で死にそうな原作キャラの一部が死亡します。鬱展開やアンチ・ヘイトではないと思いますが、そういう展開が苦手な方は、ブラウザバックでお願いします。


第二章 黄昏の王国
1: 雨の王都


 ――辺り一面、廃墟だった。

 ――どこかで火の手が上がっていた。

 ――泣いている子どもが一人きりで佇んでいる。

 ――いや、泣いていたのではなかったかもしれない。

 ――雨に濡れて、泣いたように感じただけだったのかもしれない。

 ――もし、あの時、誰かが助けてくれたなら……

 

 イビルアイは窓の側に置いた椅子に座り、外を眺めながら眠れない夜の時間を過ごしていた。

 

(こんな風に雨が降っている時は、どうしても昔のことを思い出していけないな……)

 

 部屋の中をそっと見回すと、自分の大切な仲間たちが規則正しい寝息をたてている。皆が幸せな眠りについている間、一人で過ごす夜にもとっくの昔に慣れた。

 

 イビルアイは静かに立ち上がると、ガガーランの毛布を直してやる。

 

(全く。いつも直してやっているが、どうせすぐにぐちゃぐちゃにするんだろう。本当に寝相の悪い奴だな)

 

 そうは思うが、別に悪い気はしない。くすりと笑って、再び窓際の椅子に戻ると、そっと左手の指輪を撫でる。

 

 アンデッドである彼も、同じように眠れない夜を過ごしていることだろう。

 

(そういえば、夜、どうやって時間を潰しているのか聞けばよかったな……)

 

 心の中にある『今度会えたら絶対聞く事リスト』に、それをメモする。リストは既に膨大な量になっていた。

 

 イビルアイは優しく微笑むと、今度は彼への想いで頭をいっぱいにして、再びぼんやりと窓の外を眺めた。

 

 

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 王都リ・エスティーゼでは春先だというのに肌寒い日々が続いており、街には明るい雰囲気は無い。どんよりとした厚い雲が空を覆っており、少し雨が降っている。道を行く人々も顔を俯けながら、足早に歩いているようだ。

 

 王都では舗装された道はほぼ中心部にしかないが、その中でも比較的整備された通りの一つを、王家の紋章が入った大型の馬車がゆっくりと走っている。その馬車の中には五人の人影が見え、御者台で馬を駆る御者の脇には、よく似た顔立ちの女性が二人座っていた。

 

 その馬車はやがて角を曲がり、高級住宅街に入る。そこには王都に住まう際の貴族の館や、裕福な商人の豪勢な家が立ち並んでいる。

 

 しかし、本来であれば華やかな空気が漂うはずのその区域でも、王国が抱えている深刻な状況が影響している様子が見て取れる。建物は立派なのに元は綺麗にしつらえてあったはずの庭は荒れ、住む人もいない様子の家が少なからず存在しているし、本来このような場所を歩くはずもない、柄の悪い人間の姿もちらほらと見かける。

 

 最近の王国で深刻になっている問題の一つは、都市内での誘拐事件である。

 

 数年前にラナーの提案で行われた奴隷制の廃止により、一度はそういった事件も下火になっていたのだが、ここ一年ほど若い女性ばかりを連れ去る事件が増えているのだ。

 

 しかも、その犯人はおおよそわかっているのだが、その連中はそれなりに大きな派閥として浮上してきている貴族の一派であり、尚且つ本人たちは誘拐をしているわけではなく、女性たちは下働きとして雇っているだけであると主張している。その為、今の力を失った王家では手を出すことが難しく、手を拱いているのが現状だ。

 

 ラナーが悔しそうな顔をして、クライムの胸の中で泣きながらそのように話していたことを、クライムは忘れられなかった。あのお優しいラナー様のことだから、今の状況にさぞかし胸を痛められているのだろう。

 

(あの時のように、セバス様がいらっしゃれば……きっとこのような状況を見過ごすことなどされなかっただろうに……)

 

 クライムは、以前彼に直接戦闘指導をしてくれた上品な執事のことを思い出す。あの後、クライムは何度かセバスに出会うことを期待して王都を歩いたが、彼の姿を王国で見ることはなかった。噂によると、主人である非常に美人だが我儘な女性と共に本国に帰ったらしいが……。

 

 しかし、あの時と今とでは状況が全く違うのだ。クライムはラナーに気が付かれないように、重い息を吐く。

 

 今日は、ラナーが設立し運営している孤児院の一つに、クライムと蒼の薔薇は第三王女ラナーの護衛としてついてきていた。

 

 以前はラナーに護衛に支払う金銭的な余裕などなく、リーダーであるラキュースがラナーの親しい友人だったことから、蒼の薔薇がほぼ好意で護衛を行っていた。しかし、最近の王都の治安悪化と、王族としてほとんど無価値に等しかったラナーの重要性が増したことで、ラナーの警護も多少は厚くすべきだと第二王子ザナックが判断し、正式に護衛を依頼されるようになっていた。

 

 例年のように行われていた帝国との戦争がなくなり、当初は孤児院の必要性は徐々に少なくなるかと思われていたが、王国の生産力の低下による飢餓や物価の高騰等により、孤児が減ることはなく、最初は一つだけだった孤児院も現在は十数箇所に増えていた。ラナーは定期的にそれらの孤児院を見回り、孤児達の成長を見守っていた。

 

「一つの孤児院に数百人程いるんだったか。そうすると孤児だけで一万人以上か。大した数だな……」

 馬車の窓から外を見ているイビルアイが感心したように言う。

 

「いえ、それでも全ての孤児を収容出来ているわけではありません。でもこれが今の王国の精一杯なんです……。私にもう少し力があれば……」

 悔しそうにラナーは呟く。そんなラナーを痛ましそうにクライムが見つめている。

 

「ラナー様は十分頑張っておられます。それは国民皆が知っていることです。どうか気を落とされずに……」

「いえ、大丈夫ですよ、クライム。貴方の笑顔があれば、私はまだまだ頑張れますから」

 ラナーの天使のような微笑みに、クライムが顔を真赤にしている。

 

 やがて、大きな建物の前で馬車が止まる。それは既に使われなくなり、新たに住む人もなく打ち捨てられていた豪商の館だったが、今はラナーがそれを改築して孤児院にしていた。最初の一つはそのために新しく建設されたものだったが、新規で建設する金銭的な余裕は王国には既になく、あるものを利用することでコストを抑えて数を作ることができれば、より多くの孤児を救うことに繋がる、とラナーが提案した結果である。あまり立派とはいえないもののそこそこの広さはあり、孤児の他に、未亡人や不景気で仕事を失った失業者を雇うことで貧困で苦しむ民に仕事を与えるのもラナーの狙いである。

 

 門の前に馬車が止まると、ティアとティナが御者台から飛び降り、素早くその姿を消す。そして、少しすると再び馬車の前と後ろに姿を現して、馬車の扉を開けた。

 

「大丈夫。この辺りには怪しい連中はいない」

「出てきていい」

 

「お疲れ様。じゃあ、下りましょうか」

 

 蒼の薔薇の面々が先に降り周囲を油断なく警戒する。その間に降りてきたクライムがラナーに向かって手を差し出し、ラナーはその手を取って優雅に馬車を降りてくる。

 

 建物の中から、賑やかな歓声と何かを打ち合わせている音が聞こえてくる。

 

 ラナーの到着に気がついたのか、館の中から二人の女性が現れて恭しくラナーにお辞儀をし、一行を館の中へ案内する。玄関ホールを抜け、子ども達の居住空間へと通じる廊下の窓から、館の中庭が見える。そこは、子ども達が遊んだりできるように広々とした広場のように作られていたが、その中央で一人の男が十歳くらいの少年と木刀で打ち合っているのが見えた。

 

「ほう? あれはブレイン・アングラウスじゃないか。こんな所にいるとは思わなかったぜ。また随分、熱心に稽古をつけているんだな」

 その様子を見て、ガガーランが感心したように腕組みをする。

 

「ええ。アングラウス様はしばらく前まで王国中の街や村を回って、亡くなられたストロノーフ様の後継になる方を探し回っておられたようですが、結局見つからなくて、今は才能のある孤児を見つけて育てた方が早いと、各孤児院を回られては稽古をつけていらっしゃるのですよ。でも、孤児達にとっても、かのアングラウス様のご教授を直接受けられるのは非常に為になることですから。いずれは、この子達も王国にとって素晴らしい戦力に育つかもしれませんね」

 

 ラナーも中庭を見やり、その様子に満足そうな笑みを浮かべている。

 

「それは、悪くない考えだと思うわ。この子達にとっても剣の腕があれば冒険者になることもできるでしょうし、衛士や戦士として職を得ることもできるようになるかもしれない。やはり、生きていくには力があって困ることはないと思うわ」

「そうだな。才能の有無がわかりにくい魔法詠唱者を育てるよりは、こっちの方が手っ取り早いからな……。本当は王国ももう少し魔法詠唱者を育てることに真剣に取り組んでもいいとは思うんだが……。帝国みたいに学校を作るとかな」

 

「私も学校は作りたいのです。でも、今の王国では孤児院を作るのが精一杯……。本当は、孤児院の増設すら兄様には反対されているのです。そんな余裕はないと。でも、子ども達が路頭に迷う姿はやはり見たくありませんし、この子達は将来の王国を支えてくれる大切な宝なのですから」

 そう言って、ラナーはちらりとクライムを見て優しく微笑む。それを見たクライムは真っ赤になって少し下を向く。

 

「私、子ども達と話をしてきますね。申し訳ありませんが、皆さんは予定の時刻まで適当に待っていてください」

「わかっているわ。いってらっしゃい、ラナー」

 

 ラナーが子ども達に向かって歩み寄ると、近くで遊んでいた子ども達がラナーに気がついて、走り寄ってくる。その様はまさに煌めく黄金の女神とも言って良い程で、クライムはひたすら崇拝する目でその姿を見つめていた。

 

 クライムがラナーの側に控えることをあれこれ言う者は、ほとんどいなくなったとはいえ、クライムがラナーと結ばれることは恐らくないだろう。何しろ、今の王国には王位継承権を持つ者は数少なく、その中でも王家に残されているのは、もはやザナックとラナーの二人きり。クライムがラナーと結婚することが難しいことには変わりがない。

 

 やがて、訓練が一段落した様子なのを確認したラナーは、中庭のブレインと子ども達に声を掛け、訓練の様子を褒め称えている。嬉しそうにはしゃいでラナーを取り囲む子ども達と、照れくさそうに笑うブレインの姿を、蒼の薔薇とクライムは中庭の端からそっと見守る。せめてこの子ども達が大きくなることまで、王国の平和が続いてほしい。例えその可能性が限りなく低くとも。そう祈らずにはいられなかった。

 

 

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 ヴァランシア宮殿にある自室で、人払いをしたザナックは重苦しいため息をついていた。

 

 目の前には事務官が作成した王国の財政報告書や、各地方からの治安報告、貴族達からの嘆願書などが山と積まれている。ザナックは、それらの書類を思い切りぐちゃぐちゃにして破り捨てたい衝動に駆られるが、流石にそんなことをするわけにはいかない。今の自分は、王国を再建する最後の砦とも言っていい存在なのだ。その自分が自棄を起こしたら、その時点でこの王国は自滅への道を確実に歩むだろう。

 

(全く、何もかもが悪い方向にしか動いていかない……。どうしてこんなことになってしまったんだ?)

 

 第一王子バルブロが行方不明になってから既に二年以上経過しており、半年前にバルブロは戦死とみなすと病床にある父王が宣言をしたことで、実質的な王位継承争いは、王派閥及び貴族派閥にそれぞれ支持者がいる第二王子ザナックとペスペア侯に絞られるかと思われた。しかし一年程前から貴族派閥が二つに分かれ、『馬鹿派閥』とザナックが心の中で名付けた連中が数の多さだけを売りに台頭し、その中でも選りすぐりの馬鹿とも言うべき下級貴族が、自分こそ王になるべきだと信じられない主張をしているのだ。

 

(あいつらは一体何を考えているんだ? どう考えても王国を滅ぼそうとしているようにしか思えん! あいつらの馬鹿さ加減に比べると、まだ賢くて美しい分、ラナーの方が余程まともなように思えてしまうだろうが!)

 

 ザナックは声には出さずに悪態をつく。

 

 例の戦争以来、レエブン候は自領に完全に引きこもっており、ザナックは何度も使者を送ったものの、全てレエブン候と会うことすらできずに戻ってきている。ランポッサ三世が重い病の床に伏していることから、今のザナックは単なる第二王子ではなく、王代理としての地位をランポッサ三世から与えられていた。しかし、貴族連中の派閥争いは『馬鹿派閥』のおかげでより一層激化しており、ザナックが何かまともな政策を実行しようとしても、必ずどこかしらが反対に回るため、なかなか思うように王国立て直しを行うことができない。

 

 その結果、信頼できる後ろ盾と情報網を共に失ったザナックはラナーと取引をし、ラナーの全面的な協力を受けることで、それでも少しでも王国を復興の道に進ませるべく努力をし、貴族連中をぎりぎりで抑え、難局をかろうじて凌いでくることが出来ていた。

 

(しかし、ラナーとあんな取引をするというのは……正直、俺も焼きが回ったかとは思ったのだが……。今の俺には、他に信用できる味方がいない。いや、俺だってあいつを心から信用などしているわけじゃないが、それでも、あいつの頭の優秀さと国民からの人気は無視できない。何と言ってもあの美しさは中身がアレだと知らなければ、王国の輝ける宝石そのものだからな……)

 

 一年ほど前の夜に、ザナックはラナーとまさに悪魔の契約とでも言うべき密約を交わした。あの時はそれしかザナックに残された選択肢はなく、そのこと自体を後悔しているわけではない。だが、ザナックにとって、ラナーは非常に優れた頭脳の持ち主であると同時に、その本質は化物であり、いずれはザナック自身を滅ぼしかねない存在だという懸念が常に付きまとっている。

 

(やはり、何とかしてレエブン候に戻ってきてもらえるのが一番いいのだが……。本当は、俺自身がレエブン候の所に赴き、説得するのが筋だとは思う。しかし、今の状況で俺が王都を離れることはできん。あの馬鹿共が何をやらかすかわかったものではないからな)

 

 ザナックは、第三派閥の若手貴族達が、領地や王都にいる見目の良い女性を無差別に館に引き込んでは酒宴などを行っていることを、ラナーからの情報で知っていた。彼らのやりようは、一度撤廃されたはずの奴隷制の復活を思わせ、より一層人心の荒廃を招いている。しかも、今王国に残っている民達は他の国へ逃げ出したくてもそうすることができない者たちばかりだ。

 

 王国が破滅への道を突き進んでいる中、少しでも物を見る目のある者達は、既に王国を見捨てて自由都市連合やその他の国に出て行ってしまっている。しかし、現在帝国は既に魔導国の属国であり、聖王国や竜王国は亜人との戦いや内乱で荒廃しているため、取れる選択肢はそう多くはない。その上、以前の戦いで恨みのある魔導国にはなるべくなら行きたくないという思いを抱えている者も多い。そんなわけで、大半の王国民は泥舟と知りつつも王国にしがみつくしかない現状になっているのだ。

 

(魔導国か……。確かに俺だって思うところはある。しかし、この国の現状を思えば、いっそ帝国を真似て魔導国に恭順した方がいいのではないだろうか?)

 

 去年の冬だって、ラナーの発案により魔導国から大量に食料輸入を行わなければ、王国民の半分は飢えで死亡しただろうという試算が出ている。貴族達の租税率を大幅に下げさせなければ、その状況は今年も続くに違いない。しかし、貴族達が自分達に不利益になることを肯んずるはずはなく、かといって、王家も直轄領を先の戦争で多く失ったため、国庫回復はままならない。

 

 しかも、領内の生産力が落ちた貴族達は、自分達の懐に入る税が減ることを忌諱し更に税率を上げようとする者たちが後を絶たない。ザナックはラナーの助言で、貴族達に国民達が最低限生き延びられる作物が手元に残るような法律を制定しようとしたが、貴族派閥と第三派閥の反対でそれを成立させることができなかった。結果として、ただでさえ生産力が低下している村々は更なる貧困に見舞われ、より一層生産人口を飢えで失うという悪循環に陥ってしまっている。

 

 ザナックは、報告書の中から一枚を取り出して睨みつける。そこには、今年の予想収穫量と国民全員を養うのに必要となる穀物量が記されている。明らかに去年よりも悪化している数値だ。

 

(去年はそれでも輸入で凌げたが、この試算が正しければ、今年は恐らく必要量全てを輸入することは出来ないだろう……。国庫は既に空に近い。くそ、せめて誰か助言をしてくれる者がいれば……)

 

 少し頭を冷やそうと、傍らに置いてあった果実水の入ったグラスを取り上げ、一気にそれを喉に流し入れる。長い時間放置してしまったせいで、冷えていたはずの果実水は酷く温かった。

 

(俺が行けないなら、せめて王家として最低限の礼を尽くした形式を取れて、交渉ができそうな奴を……)

 

 そこまで考えて、ザナックはそれに該当しそうな者が一人しかいないことに思い当たる。

 

(レエブン候はあいつを嫌っているが、この際やむを得ない。今回はあいつの頭脳に賭けるしかないだろう……)

 

 ザナックは自分の手札の少なさに絶望を覚えながらも、呼び鈴を鳴らし伝言をするべくメイドを呼んだ。

 

 

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 無事に孤児院の視察から戻ってきた一行がラナーの自室に戻って来ると、部屋の前にザナック付きのメイドが一人立っていて、ラナーに対し慇懃にお辞儀をする。

 

「ラナー殿下、ザナック殿下からのお言伝に参りました。お戻りになられたら早急にザナック殿下のお部屋までいらしてほしいとのことでございます」

 

「あら、お兄様が? わかりました。すぐに伺いますと伝えて貰えますか?」

「畏まりました。では、失礼致します」

 

 メイドは、ラナーに再度お辞儀をし、蒼の薔薇には会釈をするが、クライムは完全に無視してそのまま歩み去った。そのメイドをラナーは何も言わずに見送る。

 

「またずいぶん忙しいわね、ラナー。それでは、私達は警護任務完了ということで、ここで失礼したほうがよさそうね」

「政治の話には関わり合いにはなりたくねぇからな。そうしようぜ」

「すみません、蒼の薔薇の皆様。本当はお礼も兼ねて、お茶でも振る舞うつもりだったのですが……。お兄様がお急ぎのご様子なので仕方がありませんね。私はこのままお部屋に伺おうと思います。また、日を改めてゆっくりお話いたしましょう」

 

「ええ、また何かあったら連絡をちょうだい。私達はいつもの宿屋にいるから」

「わかりました。その時はいつものように、クライムを使いに出しますね」

「了解。それじゃ、ラナー、頑張ってね」

 

 ラキュースの励ましに、ラナーは小さなガッツポーズを作ってにっこり微笑むと、クライムだけを伴い、ザナックの部屋に向かって歩み去った。

 

「よし、俺達も戻ろうぜ。一仕事終わったんだしな」

「そうね。休むのも仕事のうちよ。それに……正直、今の王国ではいつ何が起こってもおかしくないと思うの。気を引き締めていかないとね」

 

 他のメンバーもラキュースのその言葉に思うところがあったのか、静かに頷く。そして通い慣れた王城の廊下を歩き、いつもの宿への帰途に着いた。

 

 

 

 

 




zzzz 様、アンチメシア様、誤字報告ありがとうございました。

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