吾輩は備品である   作:ぺちぺち

4 / 5
 備品って大変^q^
 そんなお話です。
 あと0話の加筆(1行)と0話の主人公設定に追記(1行)を行いました。
 ウォーリーレベルの違いですが宜しければ御拝読下さい。
 花結いのきらめきで活用されるかも…?


第3話:備品ライフ

--(1)

 

 休日、鷲尾が三ノ輪の家に行くらしく園子を誘いに来た。

 何でも三ノ輪が学校、訓練問わず遅刻する事がお気に召さないらしく原因を探る為に私生活を観察するつもりらしい。

 大人がやればストーカーとしてしょっぴかれそうな話ですね。

 俺も誘われたが…んーどうしようかね。

 先日の訓練による負荷が抜け切っておらずガタガタな為今日一日はゆったり過ごす予定だったので正直ご遠慮願いたいのだが…安芸先生から異性の壁がある分勇者組とは積極的に交流を取る様言われてんだよね。

 実際鷲尾とは祝勝会以降あまり関わってないし…ここは無理を推してでも行くべきだな、あまり親しくない以上下手に断って悪印象を持たれても困るし。

 

 気怠げながらも誘いに乗る旨を鷲尾に伝えて身支度を整え、準備が出来た所で出発。

 使用人の方々からは「そんな体調で外出すんの…?」みたいな視線を向けられるが…頑張ります。

 ぶっちゃけ絶対安静とかでも無いんだから多少燥いでも平気っしょ、追加で増幅訓練とかでも無い限り余裕の筈だ。

 それはそうと鷲尾の手荷物が無駄に多いのが気になった、バットケースまで背負っているが何か用意して来たのだろうか?

 

 「色々よ、潜望鏡とか」

 

 ……。

 ……お前もやべーやつだったか…(諦観)

 

 

 

 

 

 

--(2)

 

 三ノ輪宅に到着して早々に鷲尾が潜望鏡を展開して三ノ輪宅の敷地内を覗き始めた。

 完全に使い方を心得てたっしゃるご様子ですね、ドン引きです(ロシア娘並感)

 園子のピンポンダッシュ発言に「恐ろしい」という評価を下す前にもっと気に掛けるべきところがあるでしょう…そもそも覗きを行っている時点でアウトなのは確実。

 普通にインターホンからの特攻で直接聞き出すんじゃ駄目なんです?

 

 「駄目よ、その方法じゃ銀にまたはぐらかされちゃうわ。 私生活を観察して原因を究明するのが一番よ」

 

 理に適ってらっしゃるのは認めますけど手段がギルティなんですよバーロー^q^

 

 

 

 

 

 

--(3)

 

 通報されても可笑しくない不審者ムーブで三ノ輪をストーキングしていたが怪しまれる事すら無かった。

 むしろ微笑ましく思われているのか妙に生暖かい視線を送られ続けたっていうね。

 多分神世紀のモラルの高さによるモノだろう、西暦なら疑心からの通報で担任教師と親を交えた三者面談へのコンボだった。

 休日だというのに急遽呼び出される担任教師が哀れでならないこの構図は涙無しには語れまい。

 まぁ現実では全くそんな事はないのでどうでも良いんですけど。

 

 で、三ノ輪を観察(ストーキング)して分かった事だが三ノ輪が遅刻を重ねていた原因は弟の世話と三ノ輪自身の気質にあるらしい。

 弟云々はまんま幼い弟の面倒を見ているから、気質云々は分かり易く言うと道行く先で起こる何かしらのトラブルに自分から首を突っ込んでいくスタイル…お節介焼きにも程があるでしょう。

 加えてトラブルとの遭遇頻度がちょっとおかしい、なんか1kmおきには何かしらの厄介ごとに突撃している気がする。

 園子曰く「トラブル体質じゃね?」って話だが…現実に居るんですね、そういう人。

 つまりトラブルに遭遇する→首を突っ込む→遅延が起こる→連続する→遅延が加速するって負のサイクルですね…めっちゃ良い娘なんだけど結果的に遅刻しちゃうのが玉に瑕。

 こういうのはバランスが大事なんだろうけど園子の言う通り体質も関係するとすればどうしようも無さそうだな…というか恥じる理由でも無いんだし遅刻する原因があるなら正直に話せば良かったのでは?

 

 「いやー…確かに遅れた理由は遅れた理由だけどそれだと弟や他の人達のせいにしてるみたいでさ…何があろうと遅れたのは自分の責任なんだし…」

 

 ……想像以上に良い子やんけ!

 なんかもうテンションが振り切れたので「よう言うた!それでこそ漢女や!」と撫で回した。

 過剰かもしれんが色々考えるのも愚痴るのも面倒臭いしここ数日の付き合いから鑑みて勇者達みたいなタイプと親しくなるなら多少オーバーなくらい感情に従って行動したほうが利口だろう。

 

 そんなわけでもうなでりなでりの、わっしゃわしゃーっ!てした。

 俺の熱きパトスは誰にも止められない、良い事をすれば褒めるのが世の道理だ。

 よって俺が三ノ輪を撫で回すのも世の理の一つである。

 Q.E.D.《証明終了》

 ただ三ノ輪自身は褒められ慣れていないのか赤面して抵抗してくる…なんか新鮮ですね、園子は「もっともっと~」ってぐいぐい来る感じだし。

 途中顔を赤くした鷲尾が「婚姻してもいない男女が密着するなんて不潔です!」などと宣い出したが、そんなもん知るかと一緒にわっしゃわしゃー!である。

 取り敢えず三ノ輪は羞恥でお顔真っ赤+涙目プルプルになるまで、鷲尾は茹蛸になるまで撫で回しておいた。

 なかなかどうして素晴らしいんじゃないですかねぇ…(御満悦)

 二人とも控え目に言って美少女だしな、役得です。

 因みに園子は撫で回される二人の姿を写メってた。

 ハブっていたので不機嫌になるのではと警戒したが「インスピレーションが刺激されるんよ~!!」とか言って園子なりに楽しんでいたようなのでとにかく良し。

 

 なんだかんだ言って俺も結構楽しんでますね…これは鷲尾に感謝だな、まぁ今は茹蛸モードで放心してらっしゃいますが。

 ……復活したら面倒そうだしご機嫌取りに飲み物でも確保しておきますか、サービスとして三ノ輪と園子にもついでに買っておこう。

 

 「鷲尾なら緑茶かな」と傍にある自販機に小銭を投入…した瞬間、周囲の時間が停止した。

 前回の経験から察するにバーテックスが攻め込んで来たという事だろう、どんなタイミングやねん。

 お陰様で俺の100円が犠牲になったぞ。

 一銭を笑うものは一銭に泣くということわざを知らんのか奴等は…知ってるワケないか。

 …それはそうと今から戦闘が起こるという事は俺もこれから勇者の援護に回らなければならないという事だよな。

 つまり吐血祭り開催の可能性が非常に高いという事だ、そして俺の身体は先日の訓練による負荷が抜けきっていないという中々危うい状態。

 という事は今の状態で増幅しちゃうと残留している負荷と新たな負荷が同時に襲い掛かって来るという事になるワケだ。

 

 つまり 残留している負荷 × 新たな負荷 = ^q^ という方程式が出来上がる訳で…。

 

 ……。

 ……これは死ぬかもわからんね(震え声)

 

 

 

 

 

 

--(4)

 

 「前のようにはいかんぞ!」と意気込む勇者達だったが案の定苦戦してらっしゃった。

 まぁ連携訓練が始まったのも最近の事だししゃーない。

 ただお陰様で俺の方は前回同様高倍率バフからの即フリージアである。

 キボウノハナーである。

 俺は止まらねぇからよ…(吐血)

 

 で、今回の増幅なのだが元々溜まっていた肉体への負荷も相まって予想以上にキツイ。

 どれくらいキツイかというとマジで瀕死になるくらいキツイ…痛覚が吹き飛んでいる為痛みは感じないが、呼吸も上手くできないし何より口から血が止まらないどころか目や鼻からも垂れ流し状態になってる。

 他にも全身の細かい血管がブチブチになってあっちこっちで内出血起こしていたり…ちょっとつらすぎんよぉ。

 偶々傍に合ったショーウィンドウに映る自分を見たが口、鼻、両目と至る部分から血液をまろみ出している人型物体とかキモすぎませんかね。

 ホラー過ぎて草も生えんわ。

 気絶寸前でこんなん見るとか夢に見そうでちょっと困るなって…。

 いや意識を失う=寝るってわけじゃないから夢の心配とかはしなくていいのか?

 わからんから今度ググッとこ。

 

 そんな具合に無駄な思考を重ねる事で何とか意識を保ち続けるという荒業の甲斐あってか勇者がバーテックスの撃退に成功したようだ。

 前回同様樹海化解除と共に何処ぞのお社へと転送されたので間違いない…そうと決まれば早々にダウンさせて貰おう。

 どうせ病院行きだし勇者組が転送されて来るのを待つだけの余裕もないのでお先に休ませて頂いてもバチは当たらんじゃろ。

 グッナイ勇者共、安芸先生への報告は任せた。

 

 「――――っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!!!」

 

 なんか意識が落ちる直前にどこからか物凄い叫び声が聞こえた。

 新手のホラーか^q^

 

 

 

 

 

 

--(5)

 

 目覚めると何時もの病室に居た。

 この展開にも慣れたモノである、まぁ訓練し始めた頃はほぼ毎回搬送されていたので当然だが。

 ただ担当医の話だとあまりの消耗具合からか5日間もの間昏睡しっぱなしだったらしい、いくらなんでも寝過ぎっしょ。

 

 「耐久がカス過ぎる」と自嘲したが見舞いに来てくれた安芸先生曰くガチの瀕死ムーブをしていたらしいのでむしろこの程度で済んで幸運だったそうな。

 予想通り今回俺が三途の川を往復するハメになった原因は増幅による負荷が俺の許容量を超過してしまった事らしい、まぁ訓練による負荷が残留した状態で更に大幅な負荷を掛ければそりゃ肉体だって壊れる。

 例えるなら許容上限1ℓの風船を500mℓの液体が入った状態にし、更に1ℓの液体を無理矢理入れればどうなるかという話だ、当然破裂する。

 今までの吐血が単純な増幅による負荷だけであったとすれば今回は増幅による負荷+肉体のオーバーフローでダメージが更に凄い事になったワケだ。

 我ながら無茶したなぁ…。

 因みに安芸先生曰く運が悪けりゃその場で爆ぜてミンチになっていた可能性もあったらしい。

 セルフボンバーマンとか怖いわぁ。

 

 プラスになった点といえば今回無茶苦茶やった分だけ増幅の許容上限が増えた程度だな、まぁ瀕死レベルになるまでやらかしたのでその分恩恵は大きいのだろうが生死の境を彷徨うだけの価値はあったのかと聞かれればマイナス収支も良い所だ。

 ハイリスクローリターンの実演とかマジで誰得なのよ…。

 

 他に聞いた事といえば戦闘終了後に鷲尾がブロークンハートしてギャン泣きをぶちかました事とかだな。

 なんか自分の放った矢が樹海を傷付けた事や三ノ輪が負傷した事、俺が特大バフをぶち込みオルガムーブをかました事等が原因で色々思い詰めた結果メンタルが爆発した感じだそうな。

 つまり意識が切れる寸前で聞こえたクソデカヴォイスは鷲尾のギャン泣きだったわけですか、はぇ^~すっごい声量。

 ……泣くにしても普通あんな絶叫しますかね…?

 

 「自分の行動に負い目を感じた矢先にチームの一人が瀕死で倒れていたらどう思いますか?」

 

 更に負い目を感じて自己嫌悪ムーブですね、わかります。

 ブロークンハートとの合わせ技で鬱になってそうだなと思ったが園子と三ノ輪が頑張ってフォローしまくったらしくメンタル面は割と復活しているらしい。

 「面倒事に首つっ込まなくてやったぜ!(ガッツポ」としていたらまだ増幅云々に関してはフォロー仕切れてないからお前がなんとかしろよとの無茶振りを食らった。

 

 えっ^q^

 

 ついでに5日休み続けた分もっかいレポート提出しやがれよというクッソありがたい(無慈悲な)お言葉も頂いた。

 

 ……えっ^q^

 

 

 

 

 

 

--(6)

 

 無茶振りはおっぱいだけにしとけやオラァ!と神樹館 in PCルームにて日本史のレポート作成する。

 これに鷲尾のフォローも加わるのだから堪ったもんじゃない。

 「おのれおっぱい許さんぞおっぱい揉ませろおっぱい」と怨嗟の念をおっぱい先生に送り続けるのも仕方のない事だ。

 童貞にあのたわわは凶器ですよ。

 あーおっぱい揉みたい(至極の願い)

 

 そんな具合に「おっぱいおっぱい」やっていると『安芸先生無茶振りツートップ』の一角である鷲尾がPCルームに入室しに来た…揉ませてくれるのだろうか?

 まぁそんなワケないけど。

 どうも俺が歴史のレポート課題を出された事を園子から聞いたらしく手伝いに来てくれたらしい。

 

 鷲尾様ァ!!(歓喜)

 

 で、実際に手伝って貰ったところものの30分程度で終わってしまった。

 歴女の力は伊達じゃない。

 

 鷲尾様ァ!!!!(畏敬)

 

 

 

 

 

 

--(7)

 

 レポートを提出し終え歓喜に震えながら鷲尾と下校する…が、鷲尾の様子がおかしい。

 まぁ手伝って貰う前から既におかしかったんだけど。

 なんか気落ちしてらっしゃる感じ。

 当たり障りのないジャブ程度の会話を幾度か行うが反応が乏しいし「鷲尾先生マジリスペクトっす!」と称えても華麗にスルーされる…生理かな?

 ジト目でしばかれた。

 こういう部分だけ素に戻るのやめーや^q^

 

 まぁ安芸先生から鷲尾が増幅云々でグロッキーなのは聞いていたのでその部分で悶々としてるんやろうなぁと推測。

 なのでテキトーに先日のお役目の話題を振り、勇者組の働きを賞賛+俺は全く気にしてませんよアピールをかまして鷲尾が気負う必要なんざない事を主張。

 「誰の邪魔も入らない場所で遊泳しようと自爆してまで三途の川に向かったってのに神樹様に蹴り返されちまったよ。これが本当の『()入お断り』ってヤツだろうなHAHAHAHA!!」とウィットに富んだナイスジョークで場を和ませる事も忘れない。

 実際今回のは自爆みたいなもんですし。

 しかもお役目における俺の働きなんて脇役どころかモブにすらなってないレベルだからね、伊達に人権剥奪されてねぇぜ。

 泣ける。

 だが事実だ。

 まぁここまでやれば鷲尾の胸中も少しは晴れてくれたんじゃないですかね(願望)

 

 期待の眼差しで鷲尾の様子を伺っていると少しづつ顔が歪み、続けて両目からポロポロと滴を零し、最後には滂沱の涙を流し始めた。

 ヴェーイ!?

 

 唐突なガチ泣きに困惑しながらも取り敢えず近場の公園に設置されているベンチに座らせて宥める。

 自販機からお茶を買って飲ませると少しづつだが何を思っているのか教えてくれた。

 というのも鷲尾自身ぐちゃぐちゃし過ぎて自分じゃ心の整理がつかなくなっていたらしく、俺が話を振った事で今まで溜めこんでいたモノが決壊してしまったらしい。

 つまりこうか。

 

 ①お役目で鷲尾のメンタルが死ぬ。

 ②園子と三ノ輪の尽力である程度復活したものの、フォローされていなかった増幅関係の部分がジワジワと鷲尾を追い詰める。

 ③俺の慰め&ジョークが鷲尾の琴線に触れてしまいガチ泣き。

 

 これは藪蛇ったかもしれませんね。

 ただ鷲尾が言いたい事はなんとなく分かる…あれじゃろ、事態を重く受け止めすぎてメンタルがガタガガタになっちゃうやつ。

 あるあるですな。

 俺だってある。

 加えて鷲尾の場合年齢に比べて人並以上に責任感が強い事や頭が堅い事が災いして色々爆発しちゃったんだろう。

 自己処理出来ない程に溜めこむくらいなら園子達にメンタルケアして貰った際に一緒に吐き出しちゃえば良かったのに…。

 まぁそういう堅い所や不器用な所も含めて鷲尾なんだろうが。

 

 頭をくしゃくしゃと撫でながら「ゆっくりやっていこうぜー」といった具合に少しづつ会話を重ねる。

 まだチームになって一ヶ月も経っていないのだ、勇者組の連携がまともに機能していないのは理解できるし俺だってどの程度強化すりゃいいのかなんてわからん。

 お互い雛鳥もいいとこなんだから地道にやってりゃいいんですよ、そもそもチームで行動する以上一人だけで思い悩む事は無いし。

 「折角チームなんだから一人で抱え込むんじゃないよ、色々共有しながら皆で強くなりましょーや」といった具合に締め括ると辛抱堪らんといった具合に鷲尾が吹き出し、そこから笑い始めた。

 ……えっ、そこ笑うとこ?

 

 「あ、そういう訳じゃなくて…その…銀やそのっちと似たような事言ってるからつい…」

 

 違います。

 全然違います。

 あいつ等のはその場のノリや友愛精神に則した慰め等によるメンタルケアだろうが俺のは超心理学を応用発展利用した最新鋭の精神リラクゼーション術だから…って更に笑ってんじゃないよ。

 まったく無礼な奴だ…でもまぁ一応復活したっぽいし良しとしますか。

 これでまたグロッキーになったら今度は園子、三ノ輪、俺の三人で囲んで完全復活するまで只管メンタルケアしてやるから覚悟しろよな。

 数の暴力に屈するんだよオラァ!

 

 

 

 余談だが後日に安芸先生から聞いた話によると園子が勇者組の隊長になったそうだ。

 マジか。

 その上で勇者全体の連携強化の為に強化合宿を行うっぽい。

 マジか。

 しかも備品は勇者じゃないので例外だと思ったらまさかの強制参加らしい。

 マジか。

 

 ……マジで?

 

 

 

 

 

 

--(8)

 

 強化合宿だよオラァとバスに揺られて讃州市内の浜辺にやって来た。

 合宿の遠征先が地元とかここまでテンションが下がる事もそう無いだろう。

 しかも部屋割りは男女別では無く俺を含めた四人揃って一室にぶち込まれるという悲劇。

 男女比1:3で外泊とか修羅の国にも程があるでしょう。

 安芸先生にも抗議したが"予算"の一言でぶった切られた。

 やはり世の中金ですな(悟り)

 

 合宿中の訓練は勇者の使用する武器の達人が指導する通常修練の他に基礎体力訓練、バーテックス戦を想定した海岸線での戦闘訓練が主だった。

 他は学校で授業を受けられない分のお勉強とか精神統一の座禅とか。

 

 俺?

 俺は勉強と座禅以外は対人訓練と海岸線訓練の見物しかしてない。

 というのも前回のお役目で備品としての訓練とバーテックスの襲撃が重なった場合増幅のリスクが急上昇する事が判明した為備品の訓練は無期限で中止となったのだ。

 マジで来る必要無かったんじゃないかと思ったが、安芸先生曰く俺の課題は『勇者組の実力を把握していない』と『適切な強化が出来ていない』の二点らしい。

 その為俺が合宿ですべき事は彼女達の訓練っぷりを見学した上で各々の実力を見極め、全員の実力を把握し適切な強化を行えるよう努める事だそうだ。

 

 因みにレポート提出有り、提出期限は合宿最終日の早朝、文字制限は5000以上。

 作成時間は夜の鍛錬を過ぎた入浴時間から就寝までの自由時間のみ。

 しかも合宿中の起床時刻は早朝5時なので夜更かしは厳禁。

 完成できなかった場合は別途で補修を設けるそうな。

 自由時間が実質的に皆無とか鬼か^q^

 

 「おのれー!」と恨み節を呟きながら勇者組の訓練を眺めていると三ノ輪が訓練の到達目標であるバスを粉砕した。

 ……確かにバスまで到達しろと言われてたけど別に破壊しろとは言われてなかったような…中々クリア出来ない事に対してフラストレーションが溜まっていたのだろうか?

 因みに安芸先生は「予算ががが…」ってなりながら消沈してた。

 

 ドンマイ☆(世界が嫉妬するスマイル)

 

 しばかれたー^q^

 

 

 

 

 

 

--(9)

 

 合宿最終日前日の夜。

 事実を膨らませて文字数を稼ぎつつコピペの嵐を乱舞させる事でどうにかレポートを完成させた。

 大学生の平均レポートが2000字程度だというのに小学生に5000字を要求ってやっぱおかしい。

 それとも乃木の人間はこの程度容易くクリアしないといけないとかの試練なのだろうか?

 どの道つれぇわ。

 そして眠い。

 

 「よっしゃ寝るべ」と布団に向かうとまだ起きていた勇者組が楽しげに雑談していた。

 なんでも女子が三人姦しいという事で好きな人がどうこうといった話題で盛り上がっているそうな。

 青春してんねー。

 だがスルーする、何故なら俺は眠いのだ。

 クソネミなのだ。

 故に寝るべくして寝るのだ。

 おやすみなさい!!(世界への宣誓)

 

 

 

 ……なんか時間が停まったんですけど…。

 

 

 

 

 

 

--(10)

 

 「でででっでーん!お役目速報。ただ今入って来た情報によりますと、壁の外側より大橋市近辺へとバーテックスが攻め込んで来た模様です」

 

 「付近の住民の皆様は直ちに座して死を待て」

 

 「お役目速報、完。でででっでーん!」

 

 ……ふぅ。

 よっしゃ!寝るべ!!

 

 ニュースの速報風にテキトーな事言って睡眠ロードを走ろうとしたら三ノ輪と鷲尾にしばき倒された^q^

 真面目にしますから許して。

 でも人様の快眠を妨げる存在は死んでいいと思うんだ。

 むしろ死ぬべき。

 古事記にもそう書かれている。

 よって襲撃をかけて来たバーテックスは死ね。

 一部の隙も無い完璧な理論だ。

 

 そんな具合で勇者様方!やっちまってくだせぇ!と三下悪役モードでアプリを起動し、アプリを弄って大型バフを掛けようとしたら勇者組三人に羽交い絞めにされた。

 無闇矢鱈に強化してんじゃねぇぞオラァン!って事らしい。

 あと少しは自分達の力を信用しろとも。

 

 まさか三人揃ってマジギレするとは思わなかった…正直ビビりました。

 特に園子の目付きが恐ろしい事になってて駄目だった。

 完全に闇属性のソレでしたわ。

 怖いわー…。

 

 そういう訳で計画変更、今回のお役目では勇者達を常時強化するのではなく状況次第で強化していく方針にしていく。

 ぶっちゃけ不安しか無いんだけどね…。

 前にも言ったが勇者の戦闘速度は常人では対応仕切れない程速く、また行動を予測して対処しようにもパンピーな俺に戦況予測とか出来るわけが無い。

 ならばバーテックスの動き次第で強化を施そうと考えたが、送られて来る映像は常時勇者達を注視しているので超巨大サイズであるバーテックスの全体像が映らず動きを見定める事が難しい。

 

 どうしても後手に回るとかクソゲー過ぎんよ…。

 

 

 

 

 

 

--(11)

 

 バーテックスのビームを受け止める三ノ輪をサポートしている間に戦闘が終了した。

 地震を起こして鷲尾の矢を完封するわビームをぶっぱするわで中々厄介な相手だったが三ノ輪がビームの照射を受け止めている間に鷲尾と園子でボコした感じだ。

 映像は只管ビームを受け止めて腰痛と戦う三ノ輪しか映していなかったからまったく状況把握出来て無いんですけどね!

 

 やっぱカメラ設定変えるべきだわーとゲンナリ。

 大赦に申請して変えて貰うべきか…あーでもお役目で使う機材って樹海化状態でも動く特別仕様だから申請したところで反映されるまでに数ヶ月かかるんだよなぁ…。

 まぁ何もしないよりか良いので次のお役目に間に合う事を祈って申請しておこう。

 ぜってー間に合わないだろうけど…。

 

 因みに勇者組なのだが殆どバフを掛けなかったにも関わらず目立った外傷は無く多少疲弊した程度だった。

 これは喜ばしい。

 しかし提出したレポートのコピペが安芸先生にバレた。

 これは喜ばしくない。

 お仕置き不可避だ。

 や、止めろ!離せ!魔王!

 ぐ、ぐわああああああああああ!!!

 

 

 結果、文字数を7000文字に割増された。

 

 

 ひょ、ひょえー!( 'ω')

 

 

 

 

 

 




 宜しければ感想や評価、誤字報告等を頂ければ幸いです。


 ●主人公
 訓練とお役目の負荷が重なった事により自爆した。
 こわい。
 ただそれにより毎度血反吐を撒いていた訓練が消えた。
 やったね!
 最近だと超心理学を応用発展利用した最新鋭の精神リラクゼーション術を用いて鷲尾のメンタルケアを行ったらしい。
 ネーミングが酷過ぎる。






 ●鷲尾須美
 頭のお堅いお役目仲間。
 原作のお悩み+増幅云々のお悩みで原作よりも長期にお悩みを引っ張ったが無事解決。
 その影響もあってか主人公に対しても三ノ輪や園子と同等の仲間意識を持つようになった。






 ●安芸先生
 最近お役目関係の出費が増えて予算がヤベーぞとお上から通知が来た為頭を悩ませている。
 主に勇者達の訓練費と主人公の入院費が原因。






 ●自販機
 「れはわるくない」

 「じゅかいかががやった」

 「しらない」

 「すんだこと」






 ●日本史レポート
 主人公の仇敵。
 最近歴女鷲尾に瞬殺された。






 ●バス
 三ノ輪のフラストレーション発散により勇者パワーで粉々に粉砕された。
 これによりお役目関連の出費は更に膨らんだ。
 安芸先生は頭を抱えた。
 多分主人公達を送迎してたバスだと思うんですけど(名推理)






 ●大橋市付近の住民
 避難勧告かと思ったら首洗って座ってろって言われた。






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