昔ツイッター上でちょっと流行った、リプきたキャラ二人を何が何でもカプにする、という企画で書いた、ギルガメッシュ×スパルタクスです。
過去ログ漁ってたらひょっこり出てきたので、せっかくだからこちらにも。

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それが罰たりえるならば

スパルタクスには許せぬ事があった。

人理継続保証期間カルデア。そこに召喚されたサーバントスパルタクスは、従属者としてありながら、圧制に対する叛逆こそを我が使命とした。

カルデアにとっては幸いな事に、スパルタクスはマスターの事を『友』と認識している為、直接の問題には至らないが、それでも彼が争いの火種であることは、言うまでもないだろう。

 

「さあ、圧制者よ!!今日も叛逆の時間である!」

大きな轟音とともに、カルデア一室の扉が破壊される。そこは個室の中でも特に豪奢な、上等な人物に使われる私室であった。

金色を基調に装飾された趣味のわる…もとい、独特なセンスの部屋の奥には、一人の男がニタリした笑みを浮かべていた。

「来たか、下郎。今日も懲りずに我が閨を汚すか。」

部屋の奥、でんと構えられた金と赤の玉座に腰を下ろすのは、誰であろう英雄王ギルガメッシュである。

傲慢の権化、嵐が形を成したもの。

暴君の化身とも言えるこの男を、スパルタクスが見逃さないのは、当然の事と言えた。

 

僅かに遅れて、カルデア内に警戒のアラームが鳴り響く。と同時に、ギルガメッシュの私室にアナウンスがなる。

『あー、ギルガメッシュ王、ギルガメッシュ王?わかってると思うけど、被害はその部屋の中だけにとどめてくれよ?』

カルデアの現トップ、ロマ二・アーキマンはもはや諦めたと言う口調で、ふてぶてしくスパルタクスを待ち構えるギルガメッシュ呼び掛ける。

「わかっておるわ。よいからこのひと時に水をさすな、ロマ二・アーキマン」

ギルガメッシュも慣れた口調で言葉を返す。

そう、この最早一つの戦争とも呼ぶべき戦いは、このカルデアにおいては日常的に繰り返されている事なのである。

 

ことは、ギルガメッシュが召喚された時まで遡る。

ギルガメッシュが召喚された際、サーヴァントの荊軻と談笑に興じていた(会話が成立していたわけではないが)スパルタクスは突如立ち上がると『おぉ、圧制者よ!今貴様に我が愛を届けに行かんっ!!』と叫ぶと、召喚室へと向かって猛然と駆けて行ったと言う。そして、突然開かれた扉に驚くマスターを尻目に、ギルガメッシュに向かって飛びかかって行ったのだ。

だが、そこは流石に英雄としての格の違いと言うべきか、ギルガメッシュは即座にスパルタクスの性質を見抜くと、その肉体に傷一つつけることなく拘束してみせた。

こうなってはいくら叛逆の英雄といえど、宝具さえも使う事ができない。

なおもガチャガチャと鎖を鳴らし『圧制に糾弾を!民に解放を!』と鼻息を荒くするスパルタクスに、マスターは当然説得を試みようとしたのだが、それを止めたのは誰であろうギルガメッシュであった。

「よい、我が王であるならば、この男の振る舞いは至極当然だ。であればそれを正面から迎え撃つのは我が責務と言えよう」

無表情で淡々と語ったギルガメッシュだが、そこで言葉を一旦切り蛇の様な目を爛々と輝かせると、

「そして、叛逆に対する懲罰を与えるのは、我の愉しみだ」

とほくそ笑んだのだ。

それから、スパルタクスがギルガメッシュに特攻をかけ、傷一つ無く還されるという日々が始まった。

いや、傷一つ無くというのは、語弊がある。

勇猛な戦士として生前も、そして英霊となってからも、体中の至る所に傷を受けて来たスパルタクスではあったが、流石に、排泄器官まで侵略を受けた事は無かったのである。

 

さて、スパルタクスがギルガメッシュに終わらぬ叛逆をかけてn回目の今回である。

スパルタクスの圧制への叛逆は、残念ながら今回も不発に終わったといえるだろう。

豪奢だったギルガメッシュの私室は見るも無残な状態に成り果てていた。壁に突き刺さったいくつもの宝剣宝丁。ビリビリに破かれたカーテンのレース。地面にはいくつもの陥没した爆破跡が散見する。だがその中でも特に異常といえるのは、部屋の中央にある肉塊であった。

そう、肉塊と形容して差し支えない。鎖に縛られ、動けない様に固定されたそれは、元の何倍にも肉体が膨れ上がったスパルタクスであった。

「フハハハハ、よい!よい痛みだぁ!!この苦痛を、この刺激が私をより高みへと上り詰める!さあ、圧制者よこの苦痛を受け取りたまえ!!!」

その姿になってもなおも意気軒昂に叫ぶスパルタクスを、ギルガメッシュは大切なオモチャをじっくりと鑑賞する様に眺める。

「貴様も飽きぬ男よのう、スパルタクス。」

ギルガメッシュは、叛逆者を名前で呼ぶ。その声音は普段の彼を知っているものであれば、誰もが驚くほど優しさに満ちていた。

「いや、飽きる事を知らぬからこその狂戦士か。人は常に抑え込まれて生きているものだ。そこから脱却せんとするが故、人は先へと進むのだ」

スパルタクスの、辛うじて顔と認識できる部分に、ギルガメッシュは手を添える。まるで愛し子にそうする様に、優しくその頰を撫でる。

「その為に、我は再び貴様に試練を与えよう」

その言葉を聞いて、常に笑みを絶やさぬスパルタクスから笑顔が消え失せる。

「苦痛では貴様にとっては罰足り得ぬ。その苦痛こそが貴様のエネルギーなのだから」

笑みの代わりにスパルタクスの顔に浮かんだのは、憤怒であった。堪えきれぬ程の憤怒、笑顔を上回る程の怒りが彼の体を支配していた。

「ならば我が与えるのは苦痛では無く、快楽だ。貴様が何よりも卑下すべき存在から与えられる愛。それこそが貴様にとって何よりの糧となる」

バリバリと、スパルタクスが怒りのあまり噛み締めた歯が、砕ける音がする。

「我の手管は極上の物だ。貴様の心持ちなど関係なく、貴様を快楽の果てに飛ばして見せよう」

「◼️◼️◼️◼️◼️◼️ーーーっ!!!!」

あくまで優しい口調で語りかけるギルガメッシュに、スパルタクスは吠える。それは言葉にならぬ怒りであり、生物の雄叫びであり、そして何より人間の躍動であった。

こうしてまた王の寵愛が始まる。

 

快楽は怒りへ。

怒りは叛逆に。

叛逆には懲罰を。

懲罰には寵愛を以って。

 

こうして、ギルガメッシュとスパルタクスの愛のロンドは尽きることが無いのであった。



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