沈め掻き臥せ戦禍の沼に【完結】   作:皇我リキ

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それぞれの意思と

 吸った息が熱い。

 

 

 全身が焼けるようで、走っても跳んでもその熱から逃れる事は出来なかった。

 この世界全てが炎に包まれている。そう思わせるかのように、眼前の龍全てを燃やし尽くした。

 

 見知らぬ狩人も、見知った狩人も、大切な仲間も───命を賭けて護らなければならなかった妻も。

 

 

 全て灰に変えて、それでも燃やしたりない。

 

 

 一対の翼と四本の脚。血に塗れた牙。そうでなくても赤い全身は、龍と人の血で濡れている。

 青い瞳は鋭く一人の男を見ていた。

 

 

「……どうしてだ」

 問い掛ける。

 

 

 どうしてこの街に来た。どうして暴れている。どうして皆を殺した。どうして───

 

 その問い掛けに龍が答える事はない。

 

 

 帰ってくるのは咆哮と、殺意だけ。

 狩人は自らが涙を流している事に気がつけないまま、己が剣を振るう。

 

 

 身の丈程の大剣。

 それで振りかざされる剛腕を受け流してから、筋肉に任せて上から刃を叩きつけた。

 

 龍が吠える。男も吠えた。

 

 

「どうしてだぁぁあああ!!!」

 視界の端には、自らの妻だった物が転がっている。

 

 真っ黒な炭。もはや人の原型も留めていないのに、彼女が使っていた盾と槍はその役目を全うする事なく地面に転がっていた。

 

 

 仇を取りたい? 違う。

 

 

 英雄になりたい? 違う。

 

 

 戦う理由が分からなくなった。それでも、男は剣を振る。

 

 

「お前はどうして戦っている。俺はどうして戦っている……っ!!」

 その答えを知る為に、ただ剣を振った。

 

 

 幾度も狩人を切り裂いた牙と爪。身体を斬り裂かれても、男は剣を振るのをやめない。

 身体を炎に焼かれても、爆発に肺を焼かれて地面を転がっても、彼は立ち上がって剣を振る。

 

 もはや意地だったのかもしれない。

 

 

「……テオ・テスカトル」

 それが龍の名前だった。

 

 炎の王。炎王龍テオ・テスカトル。

 全てを焼き尽くす業火。仲間を全て燃やされて、己の身体も焼かれ、それでも男は剣を振るう。

 

 

 どうしてなのか。

 

 

 どうして諦めなかったのか。

 

 

 仲間の後を追って、己も灰になっても良かった筈。

 妻の死に悲しんで、全てを諦めても良かった筈だ。

 

 

 それでも狩人は剣を振るう。

 

 

 

 自分でも分からない。

 

 

 

 ただ、気が付いた時に倒れていたのは己ではなく龍だった。

 

 

「……どうしてだ」

 自身すらいつ死んでもおかしくないような状態で、男は倒れた龍に問い掛ける。

 

 

 

 龍を倒しても分からなかった。

 

 

 英雄と称えられ、ギルドマスターに認められても分からなかった。

 

 

 いつしかたった一人の英雄だと罵られ、人々に冷めた目で見られても───分からなかった。

 

 

 

 己はどうして戦っていたんだろう。

 何の為に狩人をしていたんだ。その答えが、未だに分からない。

 

 

「教えてくれ……」

 妻の墓。九十九人の英雄の墓の前で、男は崩れ落ちる。

 

 

 自分が来た時には、誰も残っていなかった。

 逃げ遅れた子供二人を避難させて、信頼する仲間に妻を任せて。そして戻って来た時に残っていたのは灰と炭。

 

 

 目の前で炭になった妻が立ち上がる。

 

 

 どうして?

 そう問い掛けるように首を横に傾けたソレは、傾けたまま首が崩れ落ちて全身が灰になってバラバラになった───

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

「───っ、ぅぉぁぁああ?!」

 飛び起きる。

 

 

 燃えるように赤い空。

 それを見て男───ケイド・バルバルスは、頭を抱えて「アイナ……」と亡き妻の名前を呼んだ。

 

 空の色は朝焼けではなく、夕焼けだ。

 朝まで飲んでいたからか昼夜が逆転しているらしい。

 

 

 ケイドは頭痛のする頭を抑えながら、立ち上がって水を飲む。

 

 

「……最近は見てなかったのにな」

 テオ・テスカトルの夢。

 

 

 あの日から数年間、あの悪夢を毎日見ていた。

 

 

 どうして?

 そんな自問自答を続け。しかし答えは見つからなくて。

 

 

 結局狩人を辞めてからもう十年以上が経つ。

 

 

 

「……俺は、何をしてるんだろうな」

 テオ・テスカトルを倒して手に入れた素材で作られた大剣を見上げながら、ケイドはボソリとそう言った。

 結局この剣を振った事はない。なのに、どうして俺はあの時剣を振っていたのだろう。

 

 まだ答えは見つからない。このまま一生見つからないかもしれない。

 

 

「古龍、か……」

 夢の理由は分かっていた。

 

 

 再びあの悲劇が起きようとしている。

 

 

 燃えるような夕焼けを見ながらただ立ち尽くしていると、加工屋のカウンターの方からトントンと音がした。

 店の前に閉業した事を書いた看板を立てているのだが、それが見えないバカがいるらしい。

 

 

 カウンターに向かうと、見飽きたギルドナイトスーツが見える。

 

 コーラルは死んだと聞いたから、幽霊でもない限り別の人間だ。

 

 

 

「……何の用だ」

「初めましてと言わせてもらう。私はサリオク・シュタイナー。コーラルさんに変わり、今回の作戦の指揮を取っている」

 そう言いながら手を伸ばしてくる男の手を取らずに、ケイドはそれを弾いてサリオクを睨み付ける。

 

「俺はその作戦に参加するつもりはない」

「……例えどんなに犠牲者が出ると分かっていても?」

「そうだ」

 強く言い返し、ケイドは振り向いて部屋に戻ろうとした。

 

 

 しかし、妙な音が鳴って彼は振り返る。視界に入ったのは、ギルドナイトの尊厳も威厳も捨て頭を地面に擦り付ける一人の男の姿だった。

 

 

「……そんな事をされても、俺は参加しない」

「人が大勢死ぬのを見た!」

 地面に頭を着けながら、サリオクは大声で叫ぶ。その言葉にケイドは瞳を開いて固まった。

 

 

「船を襲った炎に、なんの抵抗も出来ずに死ぬ仲間を見た。船から飛び降りてガブラスにその身体を引き千切られる仲間を見た。救出出来ると思っていた仲間は殆ど戻ってこなかった! 迎撃戦でも、私はまた大勢の死を見るだろう。私自身が死ぬかもしれない」

「だったら逃げれば良いだろう!!」

「ならどうして貴方は逃げなかったのだ!」

 起き上がり、サリオクはケイドを睨む。

 

 

「九十九人が犠牲になった先で、どうして貴方は剣を振れた。テオ・テスカトルを倒せたのですか!」

「俺は……」

 その答えは、分からない。答えられない。

 

 

「どうか……我々に力をお貸しください。G級ハンター、ケイド・バルバルス様」

 サリオクはもう一度頭を下げ、小さな声でそう言った。返事は帰ってこない。

 

「私は死ぬでしょう。貴方の娘も……どうなるか分からない。ただ、どうして戦えるのか。……自分でも分からない」

「なら逃げればいい。……たった一人の英雄みたいにな」

「そのたった一人の英雄は、逃げずに戦いテオ・テスカトルを討伐した」

「違う、俺は───」

 何が違うのか。

 

 

 何が正しいのか、分からない。

 

 

「……作戦参加をお待ちしております」

 そうとだけ言って、サリオクはその場を去っていった。

 

 

「……レイラ。……アンナ、俺は───」

 その場に倒れ込み、横目で大剣を見る。

 

 

 どうして───

 

 

「───俺は、なんで戦ったんだ」

 ───彼には分からなかった。

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 妙に空は明るい。

 日は沈んだが、星の光が街を照らしている。

 

 

「避難所に行かなくて良いのか?」

「いーの。旦那さんを支えるのが、お嫁さんの仕事」

 満面の笑みでそう言うシータを見て、ジャンは赤く染まった顔を掻いた。

 どうもこの兄妹には勝てそうにない。

 

「……古龍が来るんだね」

「らしいな。俺はまだ実感沸かねーけど」

 事の始まりはイアンとグラビモスの狩りに向かった帰りの事。

 森の中で大きな角のようなものが見え、双眼鏡を覗いて驚いた記憶が蘇る。

 

 巨大な龍。

 しかし、ジャンが見たのはそれだけだ。

 

 

 イアン達みたいに調査に行った訳でもなければ、ボウガンを背負って誘導作戦に参加した訳でもない。

 もっとも誘導作戦に参加した狩人は殆ど戻ってきていないが。

 

 

「俺は双眼鏡で遠目に見ただけだからさ、まだ怖いとか……護らなきゃってイメージが沸かねーんだよな」

「うーん、そっか」

「シータやイアンは古龍を見た事があるから、俺とは考えが違うのかねぇ」

「どうだろ。……でも、お兄ちゃんは相手が古龍だからとかそういう理由じゃないと思うな」

 満点の星空を見上げながら、シータはそれとは違う何かを見るように瞳を閉じる。

 

「相手が何でも、お兄ちゃんは皆を護ろうとすると思うし」

「……英雄に憧れてるから?」

「違うかな」

 シータは立ち上がって、クルクルと回ってから後ろで手を組んで振り向いた。

 

 

「優しいから。……戦う理由ってさ、何かになりたいより先に人の根本が来ると思うんだ」

 強くなりたいとか、英雄になりたいとか、それじゃあその理由は?

 

 傲慢な人も居るだろう。誇りが高い人も居るだろう。優しい人も居るだろう。

 同じ理由であっても、その内面は沢山あるんだとシータはジャンに語った。

 

 

「ジャンは、どうして戦うの?」

「あぁ……やっと分かった」

 色々な疑問があったと思う。

 

 ずっとソレを心のどこかで抱えていて、今ようやくその内面に気が付いたんだ。

 

 

「俺はモテたいからハンターやってたんだけどさ」

「さいてー」

 クスリと笑う。

 

「今はお前を護りたいから、愛してるから戦う」

「さいこー」

 二人で笑いあって、抱擁して、唇を交わした。

 

 

 俺は、自分の為に戦っている。

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 表情を引きつらせて、エドナリアは頭を抱え込んだ。

 

 

「ありがたいとは思っているんですが……」

「ダメです。最低でも作戦までは横になっていてください……っ!」

 ベッドに横になっているエドナリアをまるで監視するように、ラルクは隣で座っている。

 

「……一体どういう状態だこれは」

 ドンドルマから帰って来たサリオクは、そんな光景を見て目を細めた。

 

 

 二十歳は超えている筈の自分の義理の妹が、年端もいかない少年に頭も上げられずに従っているのだから表情も引き攣る。

 

 

「う、うわぁ?! ご、ごめんないごめんなさい!!」

「あ、サリオク。ドンドルマに行ってきたようですが、どうでしたか?」

「今は司令と呼べ。というか状況を説明しろ?!」

 困惑するサリオクにエドナリアはここに至った経緯を掻い摘んで説明した。

 

 

 彼女によれば、クエストから戻った後。

 クエスト中に大怪我を負ったエドナリアを心配してか、ラルクが彼女を部屋に閉じ込めて安静にしているように見張っているのだとか。

 本当はゴグマジオスの撃退戦にも参加させないとまで言っていたが、それまで絶対安静にするという約束でなんとか事なきを得たところある。

 

 

「しかしお前がドスイーオスに遅れを取るとはな。ふっ……余程のお荷物でも抱えていたか」

 横目でラルクを見ながら、サリオクは短く呟いた。

 

 ラルクはその言葉を聞いて俯くも、エドナリアはベッドから起き上がってサリオクの腹に拳をぶつける。

 

「グヘッ」

「殴りますよ」

「殴ってるけど?!」

 顔を真っ青にして蹲るサリオクはしかし、半目でラルクを睨んだ。

 発言を撤回する気はないらしい。流石に二度目の拳は放たれないが。

 

 

「僕が荷物だったのは……多分本当です」

「いや、あのドスイーオスは───」

「その自覚はあったか」

「サリオク!」

 再び拳が振られるかと思ったが、ラルクが彼女を止める。

 

 自分のせいでエドナリアが怪我を負った事に関して、ラルクには自覚があったし力不足の荷物だというのは百も承知だった。それでも───

 

 

「でも。……それでも、僕はエドナリアさんに助けられて……助ける事も出来た。ハンターになれたと思うんです。……今度は、僕がエドナリアさんを助けたい……っ!」

 強い意志を込めて、ラルクはサリオクの目を真っ直ぐに見てそう言う。

 本当に強くなったと、初めてあった時とは全く違う表情にエドナリアはそんな事を思った。

 

 

「そうか。ならば、他人の私は何も言うまい。元々上位ハンターでありギルドナイトのこの私が、君のような子供を相手にして何かを言う事などないのだからな」

「サリオク、良い加減に───」

 再び拳が飛んで行こうとした矢先、サリオクは「だが」と言葉を続ける。

 

「だが、もし生き延びたのならどこかで酒を交わす事もあるだろう。私の妹との事はそこで話すとしようか。……だから死ぬ事も許さないし、死なせる事も許さん」

 そんな彼の言葉を聞いて、ラルクは少し間を開けてから顔を真っ赤にして固まってしまった。

 

 

「作戦指揮に関しては私がなんとかしておく。お前はそれまで休んでいろ」

 兄とラルクの言動の意味が分からず首を横に傾けるエドナリアを置いて、サリオクは部屋を出て行く。

 まったくもって理解の及ばない言葉にエドナリアは頭を抱えるが、ラルクは強く拳を握って唾液を飲み込んだ。

 

 

「エドナリアさん……っ!」

「えーと、なんですか?」

「僕が……絶対守りますから!!

 そんな決意の言葉を聞いて、エドナリアは特に理由を聞く事もなく「はい。頼りにしています」と答える。

 

 

「と、とにかく今は寝てください!」

「えぇ?! あ、は、はい……」

 少年は強く拳を握って、決意と共に前を見るのだった。

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 なんとも言えない顔で、一人の青年が男の話を聞いている。

 

 

 どうも目が覚めた───というか目覚めたらしいニーツは、酒の勢いでイアンに絡みながら自慢話を話していた。

 中には興味深く面白い話もあったのだが、どうもこんな女と寝ただのあの女は良かっただのという話ばかりでイアンは興味が持てない。

 

 どうせなら彼の狩人としての話を聞きたいのだが、そういう気分ではないのか話の内容は殆ど女性がらみである。

 

 

「お前もなー、良い歳なんだから女くらい経験しないとよぉ。それともアレか、コッチの趣味か。ケツなら俺が相手してやるぜ! ハッハッハッ!」

「そ、そんな趣味だけは絶対にない……」

 苦笑いしながらイアンがそう言うと、ニーツは「なんだぁ」と残念そうに肩をすくめた。初めて会った時の印象はもう何処へやら。

 

「さて、俺は可愛い女の子でも探してくるか。……最後の晩餐かもしれねーしなぁ」

「え、縁起の悪い事言うなよ。みんな無事に───」

「俺達は間近じゃねーがアイツを見た。アーツ兄さんの渾身の一撃に怯みもしなかったアイツをな」

 ふと何処か遠くを見ながら、ニーツはイアンにそう答える。

 

 

 木々をなぎ倒しながらひたすら真っ直ぐに進む巨大な龍。彼等は明日、その龍と戦わなければならない。

 

 

「死のうなんざ……英雄になろうなんざ思っちゃいない。だがな、アレはそういう覚悟が必要な相手だ。分かるだろ?」

 そうとだけ言って、ニーツは席を離れていった。

 

 

 喧騒にまみれて、一人で静かな時間を過ごす。

 

 

 そんな相手と何のために戦うのか。

 

 

 

「調子狂うな……」

「ハンターとしてのあの人は私好きだけどなー」

「レイラ?」

 イアンが頭を抱えていると、背後から飲み物を持ったレイラが寄ってきて「隣良い?」と聞いてきた。

 答えを聞くよりも先にイアンの隣に座った彼女は、手に持っていたジョッキを傾けて喉を潤す。

 

 

「お酒か?」

「ノンアルコール」

「ジュースか」

「子供扱いしないで」

 口を尖らせるレイラは、お酒でも飲み込んだあとかのようにジョッキを机に叩きつけた。

 果汁のジュースが少し溢れて机を濡らす。やっぱりジュースだったので、イアンは苦笑した。

 

 

「むぅ」

「俺もニーツの事はハンターとして尊敬してる。ちょっと関わり辛い性格はしてると思うけどさ」

「初めて会った時とかね」

「そういえばあの時だっけか」

 出会った時の事を思い出して、イアンは物思いに耽るように瞳を閉じる。

 考えてみればアレから全く時間は経っていないのに、何処かこの数日は濃くて長く感じていた。

 

 

「イアンも格好良かったよ」

「狩りの時は必死で……それに、アレがランスの役目っていうか」

「違う違う。初めて会った時の事」

「あー、ん?」

 自分の勘違いを認めはしたが、しかし彼女の言う事が少し理解出来ずにイアンは首を横に傾ける。

 

「あの時もそうだし、ゴグマジオスと戦う事だってそう。誰かの為に戦う人って、やっぱり憧れちゃうな。……私は皆にお父さんを認めさせる為にしか戦ってないから」

「それだって誰か……お父さんの為なんじゃないか?」

「分かんない。私が父親を馬鹿にされるのが嫌なだけなのかもしれないし。……戦う理由って分かんないものだよ。難しいよね」

 その答えが見つからないまま、死地に赴いて自分がどうなるかも分からない。

 

 

 どうにもそんな事に不安が募るのだが、だからといって逃げるのは違うような気がした。

 

 

「だからさ、一緒に生き延びようよ。せめてその答えが見つかるまでさ」

「レイラ……。あぁ、そうだな」

 伸ばされた拳に拳で返し、二人は同時にジョッキを傾ける。

 

 叩きつけられた二つのジョッキから同じ飲み物が溢れて、レイラはクスリと笑った。

 

 

「イアンもジュースなんじゃん」

「子供扱いするなよ。明日の為に控えてるだけなんだからな」

 あはは、と。短い笑いが酒場の隅で漏れる。

 

 

 決戦は明日だ。

 

 

   ☆ ☆ ☆

 

 風が吹く。

 

 

「立地の影響か、それとも運命か。ドンドルマは昔から古龍の襲来が多かった。だが、その理由は未だ明らかになっちゃいない。……なぁ、何を求めて此処に来る。それとも、何かがお前を求めているのか」

 巨龍はゆっくりと脚を進め、その地に降り立った。

 

 

「その答えは神のみぞ知るってなぁ。俺たち人間は、ただ争うだけだ。さぁ───」

 ───沈め掻臥せ戦禍の沼に。

 

 

「───始めようか」

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