変境で育てられた自称常識人   作:レイジャック

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時は夕刻……ではないが夕方以降は気力が湧いてくる。


今の俺ならいける!さあやるぞ!


エンビエントサウンドモード!!!オン!!!!!

しまった!?これではタッチセンサーが誤認識して再生される!!


その後、俺の耳は耳鳴りがしばらく止まなかった……


READY GO!!!

本日は晴天なり……その日のコーヒーはいつもより2倍マシぐらいに美味しくついつい飲みすぎてしまった。午後の休憩が終わり作業を再開して少し経つと、飲み過ぎたコーヒーのせいでトイレに行きたくなったので1度作業を中断して席を立つ。

 

 

「1度は本場のコーヒーを、採れたての状態から挽いて飲みたいものだな……それにしてもやけに騒々しいが……俺には関係ない事だ。紫様からの呼び出しが無いならそれほど大したことはないだろう」

 

廊下を歩いている最中に聞こえる声がいつもより大きい事も気にせずにトイレに向かい、用を済ませた後部屋へと戻る……すると、中には沖田がコーヒーを飲みながら待っていた。

 

「……何をしている」

 

「やあ、ゼロ。今はコーヒーを飲みながら休憩していたんだ」

 

「別にコーヒーを飲んでいるのは構わないが、何故ここで休憩をとるんだ?」

 

「だって、ここにはゼロしかいないから気を使わなくていいからね」

 

「……貴様の中で俺はどうなっている」

 

「ぼっち……嘘嘘!冗談だから刀を置いて!?」

 

「ふん、命拾いしたな」

 

「冗談一つで斬ろうとするなんて予想してなかったよ……さて、冗談はこれぐらいにしておいて……ゼロ、紫様からの伝令だ。」

 

「何?……今日は大会で不在ではなかったのか?」

 

「予定ではそうだね……だけど、その大会の決勝戦で問題が起きたんだよ」

 

「……今日は楽出来ると思っていたんだがな……」

 

「ドンマイ……」

 

「まあいい、それで伝令の内容は何だ」

 

「ああ、決勝戦で紫様に御刀を向けた人物とその共犯者の2名の捜索の為、親衛隊と共に行動するように……だってさ。」

 

「ほう、あの紫様に御刀を向けるとはなかなか度胸のある奴だな。興味深い」

 

「確かに度胸あるよね。そんな事出来るのはここでは親衛隊の第四席の人とゼロぐらいだもんね」

 

「……否定はしないが、向けた事はないからな」

 

「分かってるよ。それじゃ、そろそろ戻らないと文句を言われるから失礼するよ」

 

「そうか……貴様は楽そうだな……」

 

「そんな事はない、これから忙しくなるんだよ……ゼロ程じゃないけどね……またな、ゼロ。頑張ってくれ」

 

沖田が退室した後、自分以外いないのを確認してから大きく溜息を吐く。

 

「はぁぁ……最近人使いが荒いな。これなら何処かにあるもう一振りの刀を探していた方がまだマシだ……とにかく今は、親衛隊と合流して話を聞いてから考えようか」

 

念のためいつもの準備を整えて、運が良ければもう捕まっているかもしれないと少しだけ期待しながら部屋を出た。

 

 

 

廊下を歩いていると、前方に目標の人物の1人を見つけたので声を掛ける。

 

「夜見」

 

「ゼロ、丁度良かったです。あなたを探していました」

 

「俺もだ……話はある程度聞いているが、本当なのか?」

 

「はい。紫様に御刀を向けた刀使2名は現在捜索中です」

 

「そこで俺は親衛隊と共にその2人を探せばいいんだな?」

 

「そうです。ご協力お願いします」

 

「了解した。それで……具体的に何をすればいいのだ?」

 

「今は情報がありませんので情報収集をお願いします」

 

「それは構わないが、俺のやり方でやらせてもらうが問題ないな?」

 

「はい。それではよろしくお願いします」

 

「ああ……夜見、何かあれば力を貸すから遠慮はするなよ」

 

「必要な時はそうさせてもらいます」

 

「そうしてくれ……それではまたな」

 

夜見に無理をしないように遠回しで言ったが、果たして伝わっているのかどうか……とりあえずやるべき事は把握したので、夜見と別れた後、俺は俺のやり方で独自に情報収集を始めた。

 

 

「……しばらくの間情報収集をしてはみたものの、そう簡単に見つかるはずもないか……それにしても、中学生とは知らなかった……中学生の刀使が身近に1人いるが、まだTPOをわきまえている……はず。それでも公の場で御刀は向けない……何か理由があるのか?」

 

寝る前に1人部屋で考えてみたが情報が少な過ぎて御刀を向けた理由が分からなくなる。

 

「もしかして、折紙紫の正体を知っているのか?……いや、まさかな……今日は寝るか」

 

眠気もだんだんと強くなり考えるのもだるくなってきたので寝床についた。

 

 

 

 

 

翌日、あまり気持ちよくもない朝になり眼を覚ます。今日の天気は曇りで気分が良くないのにも納得した。

 

「今日の天気は嫌いではないのだけどな……情報収集も手詰まりな事だ。今日は作戦本部へ足を運ぶか」

 

作戦本部に情報を共有してもらう為、身だしなみを整えてから部屋を出て行く。

 

 

無駄に長い廊下を歩いていると、前方に見た事がある人物が見えた。

 

「な!?羽島学長……何故ここにいる?それに、結芽も部屋から出ているとは……今日は雨でも降りそうだな」

 

今の俺は素顔を仮面で隠しているが一応挨拶をしておこうと思い近づいていくと、いきなり結芽が抜刀し、羽島学長の隣にいる生徒の首元で寸止めした。

 

「はぁ、流石にこれは度が過ぎている……」

 

結芽の行動に呆れながら気づかれないように一瞬で背後に移動する。

 

「成敗……」

 

適当に一声入れてから結芽の頭に少し強くチョップをかます。

 

「いったーい!いきなり何するの!」

 

「おはよう結芽」

 

「ゼロおにーさん!?どうしてここに!?」

 

「今から作戦本部に行こうと思ってな……それで、貴様は何をしていたんだ?」

 

「こ、これは……その……」

 

「はぁ……御刀を抜くのは構わないがTPOをわきまえろ」

 

「うぅ、ごめんなさい……」

 

「次からは気をつけろ……後でスイーツを持っていくから今は部屋に戻れ」

 

「本当!やったー!それじゃ私、部屋で待ってるよ!」

 

「あ、ああ……」

 

「それじゃ、またね!」

 

本当は相手側に謝罪して欲しかったが……返事を聞いた後すぐに部屋へ歩いて行ってしまった。どうして親衛隊はこうも心配事ばかり増やしていくんだ……

 

「はぁぁ……美濃関の学長と美濃関の生徒であっているな?」

 

「は、はい!」

 

「えぇそうよ。あなたは?」

 

「ここで働いている職員のゼロだ」

 

「ゼロ!?」

 

「まさか!?あなたがあのゼロなの!?」

 

「どの事を言っているかは知らんが恐らくそうだ……それで、先程結芽……第四席が美濃関の生徒に失礼な事をしてすまなかった」

 

「いえ!私は大丈夫なので頭を上げてください!」

 

「……分かった……それと、信じられないかもしれないが第四席に悪気はないので大目に見てくれ」

 

「そうなのですか?」

 

「ああ……やはり信じられないか?」

 

「そんな事はありません!私は……ゼロ様を信じます」

 

「ふふっ、私もゼロ様を信じます」

 

「ありがとう感謝する……それと、様付けは止せ……ゼロでいい。それと敬語も不要だ」

 

「え?よろしいのですか?」

 

「構わん、その方が楽だ」

 

「……分かりました」

 

「分かりました。これからはゼロと呼ぶわね」

 

「それでいい……悪いが第四席と約束してしまったのでこれで失礼する」

 

第四席、結芽のフォローをしてから2人と別れ、作戦本部には行かず自室に備えつけてある冷蔵庫にある好物のモンブランケーキSPを取りに行き、泣く泣く持ち歩き結芽が待つ部屋にスイーツを差し入れる。さらば俺のスイーツ……

 

 

「うっ……うっ……お前のことは忘れない……マイスイーツ……」

 

 

この前休暇の1日を使って並び苦労して手に入れたモンブランケーキSPは惜しくも、俺ではなく今も尚美味しくいただいている少女の口の中に入り消えていった。これ以上見ている事が出来なくなった俺は先程少女のいる部屋からそっと退室し、作戦本部に向かう……

 

「そろそろ気を引き締め直さないとな……そういえばこの部屋には美濃関と平城の学長達が居るんだったな。今度こそきちんと挨拶しておこうか……鎌府学長だったらこんな気にもならないのだがな……」

 

ようやく気分も落ち着きドアを開くと、各校の生徒達と両学長の他に寿々花と真希、そして……鎌府学長がいた……

 

「ついてない……」

 

「あら、ゼロ。何か御用で?」

 

「あぁ、情報を共有しようと思ってな……対象の刀使だが以前から面識はなく、大会の日が初対面だと判明した。両名の所在地付近で聞き込みしたが、片方は見た事があっても片方は知らなかったみたいだから間違いない」

 

「数日前まで見かけないとは思っていたけど、そこまでしていたとは知らなかったよ」

 

「真希。己の目や耳を使って得た情報程確かなものはない……そっちは何か分かったか?」

 

「逃亡中の刀使2名の潜伏先はある程度把握した」

 

「あとは時間の問題ですわ」

 

「……そうか」

 

くそっ!これが現代!流石に俺1人の力とは違って居場所まで分かっているとは……これでは立つ瀬がないな。

 

「ゼロ!紫様の役に立つ事も出来ない恥知らずが!」

 

何の突拍子もなく1人の女性が声を荒げる。だいたい予想はつくが一応確認のためそちらを向いた。

 

「……鎌府学長もいたのか」

 

「気づいていませんでしたの?」

 

「気づかなくても支障はないだろ?」

 

「何だと貴様!おまけの分際で!」

 

うん知ってる。でもそこまで大声出して言わなくても良くない?全員こっち見るからやめてほしい……ホント、マジで……八つ当たり、ダメ、絶対!最初は何だか落ち込んでるように見えたんだけどな……

 

「まったく、何故紫様はこんな無能共に任務を与えたのかしら。こんな無能共よりも私の方が「……おい」あらぁ、事実を言われて悔しいの?」

 

「確かに俺が無能なのは認めよう」

 

「ふん!最初からそう言えば「だが貴様は無能共と言ったな?」……え、ええ。それがどうしたの」

 

「無能共と言ったのを取り消せ」

 

「はぁ?何故そんな事……」

 

「2度も言わせるな……無能共と言ったのを取り消せ」

 

2度目はほんの少し殺気を混ぜながら言って見ると鎌府学長だけでなく、この部屋にいる全員が固まっていた。師匠のように殺気だけで相手を気絶させる事は出来ないが、あと一押しすればいけそうな気がしたので、今度は腕を組んで少し冗談も入れながら話す。

 

「鎌府学長……YES or DIE ?」

 

「あ、あの……「YES or DIE ?」……YES……」

 

「ふん、くだらない事を言っている暇があるなら他の事に費やせ……たかが知れるぞ?」

 

「……はぃ」

 

先程の威勢は何処へいったのか、その後は何も言い返さず静かになった。

 

「ツッコミを待っていたんだがな……」

 

「ゼ、ゼロ。何か言いまして?」

 

「いや何でもない……寿々花は何故そんなに怯えている?他の者も先程から静かだが何かあったのか?」

 

「気づいていないんですの?」

 

「何の話だ?」

 

「……いえ、気づいていないのならそれでいいですわ」

 

「そうか……そう言えば美濃関学長には挨拶したが平城の学長にはまだだったな。知っているかは知らんがここで働いているゼロだ」

 

「……初めましてゼロ様、私五條いろは言います。お会いできて光栄です」

 

「そんなにかしこまらなくてもいい。様付けも敬語も不要だ。美濃関の学長にもそう言っている」

 

「そうなの江麻ちゃん?」

 

「え、ええ。だから私はそうしているわよ」

 

「そう。ほならそうさせてもう」

 

「そうしてくれ、その方が楽だ」

 

「ふふっ、ゼロは変わったお人やなぁ」

 

「そうか?特に自覚はないんだがな」

 

どうやら平城学長には変人認定されてしまったようだ。まさか知らぬ間に俺は何かしでかしたのか?

 

ここにいる鎌府学長以外の学長とはこの先仲良くやっていけそうだと感じた時、周りがざわつき始めた。何か起きたのか聞こうとすると、真希に先を越される。

 

「どうした」

 

「横須賀基地から問い合わせが……南伊豆の山中にたいしてS装備の射出があったか……と」

 

「S装備だと!?」

 

「何の報告も受けていませんわ」

 

「こちらが映像です」

 

奥にあるモニターに問題になっているS装備射出の画像が映し出され、この場にいる全員が注目した。

 

「確かに、射出用コンテナっぽいなぁ」

 

「撤収は延期だ!その正確な着地点を割り出せ!」

 

何と言う事でしょう、先程まで意気消沈気味だった人物が一枚の画像を見る事によって元気になったではありませんか……本当にこの人のメンタル半端ないな……

 

少しだけそのメンタルを分けてもらえないか割と真面目に考えていると、誰かが扉を開けてこの部屋に入ってきた。

 

「獅堂さん、此花さん。紫様より出動命令が出ました。ご準備願います」

 

何……だと……!?この場に俺だけ残すことは許さん!気まず過ぎるぞ!ええい、こうなれば俺もこれに乗じて退散する!

 

「夜見、俺も同行して構わないか?」

 

「はい。是非お願いします」

 

「何!?ゼロも来てくれるのか!」

 

「ああ、少し事情があってな……」

 

この場から離れるという事情がな!

 

「あら、それはありがたいですわね」

 

「ゼロに来ていただければ私も心強いです」

 

「世辞はいらん……それより、ここで時間を潰していていいのか?」

 

「そうだね。夜見、出発の準備は整っているのか?」

 

「はい。あとは私達の準備が整えば直ぐにでも向かう事が出来ます」

 

「そうか。それでは行くぞ3人共」

 

真希が率先して部屋を出たのに続き、夜見と寿々花と俺はその後を追って部屋を出た。

 

 

 

部屋を出てから一直線に現場まで向かう為の足となる車両まで、前に寿々花と真希、後ろに夜見と俺が並び歩いていた。

 

「今になって私達を出すなんて、紫様もずいぶん勿体つけましたわね」

 

「君が紫様のお側を離れるとは珍しい」

 

「索敵には私の力が役立ちます」

 

「確かにそうだな……だが、あまり無理はするなよ」

 

「心配いりません。これも紫様の為ですから」

 

「……何かあれば力は貸す。それだけは忘れるな」

 

「ありがとうございます」

 

今度は直接言ってみたが、夜見は変わらず気づいていない……こうなれば目を光らせて無理をしないようにするまでだ……

 

「結芽は居残りですの?」

 

「彼女が出ると、不必要な血が流れますので……」

 

「確かに……しかし、あり得ないですわ。折紙家管轄外のS装備が存在するなんて……」

 

「折紙家と管理局以外、あれを開発、運用できる組織などない……あるとすれば管理局内?」

 

「例の舞草、ですわね」

 

「連中が噂通り、特祭隊内部の造反分子であるならあり得なくもない」

 

「紫様は十条姫和達が彼らと接触すると踏んで泳がせていた……という事なのかもしれませんわね」

 

「十条姫和達は紫様の掌の上で踊らされていたという事か……見事な手腕だがやり方としてはあまり褒められたものではないな」

 

「ゼロは紫様のやり方に不満があるのですか?」

 

「当然だ。いくら中学生と言えど戦闘訓練を受けた刀使だ。一般のの大人であっても取り押さえるのは難しい……下手をすれば死者を出していたかもしれない。そんな奴らを野放しにするのは危険だ」

 

「確かに……ゼロの言う通りだ」

 

「そう……ですわね」

 

「今回は死傷者が出ずに済んだが、これから先も同じとは限らない……この際だから言っておく。俺は俺のやり方でやらせてもらう。人々を危険に晒すならば協力出来ない。例え紫様からの命令だとしても……だ……」

 

「ゼロ……」

 

「……安心しろ、今のは例え話だ。それに、紫様とて人々を危険に晒す真似はしないはずだ」

 

「そうだね。紫様が そんな事するはずがない」

 

「それならば今後も協力する……必要の際は遠慮なく言ってくれ」

 

「ふふっ、分かりましたわ」

 

「それでは今後ともよろしくお願いします」

 

「頼りにしてるよゼロ」

 

「任せろ……さて、着いたな」

 

長い道路を歩き続け、ようやく移動の為の車両がある場所についた。既に他の隊員達がスタンバイしていたので、二手に分かれてそれぞれの車両に乗り出発した。

 

 

車が走り始めてからというもの、目的地まであと1時間くらいあるのでひと眠りしておこうと思ったのだが……

 

「夜見は何故こっちの車両に乗っているんだ?」

 

「2人一組で行動するのが最善と判断しました。あちらには獅堂さんと此花さんが乗っていますのでこちらに乗るのが最適かと」

 

「そうかもしれないが、何も隣に座らなくてもいいのではないだろうか……」

 

「……万事の際の備えです。すぐ側に居れば連携もスムーズにいきますので」

 

「おい、それは今思いついた事だろ」

 

「……そんな事はありません」

 

「……まあいい、目的地まで時間がある。俺はひと眠りする」

 

「分かりました。到着した時に起こしますのでごゆっくりお休みください」

 

「ああ、頼んだぞ……」

 

起こしてもらえるならば安心して眠れると思い、ゆっくりと目を瞑り座ったままの状態で少し首を傾け楽な姿勢になってから眠ろうとする……

 

「…………」

 

「…………」

 

どういうわけか眠気が一向に来ない……それもそのはず、何せ先程から隣から視線を感じてゆっくりも出来ないのだから……

 

「……はぁ、何か用か?」

 

「!?」

 

「先程からこっちを見ていただろ」

 

「気づいていましたか……」

 

「当前だ。それで、何か用でもあったのか?」

 

「一つだけお聞きしたい事が……」

 

「聞きたい事だと?何が聞きたい」

 

「ゼロは寝る時も仮面をつけたままなのですか?」

 

「なるほど、確かに仮面をしたまま寝れば気にはなるか……基本的に仮面は自室以外では外さないからどう答えればいいか困る」

 

「部屋では外すのですか?」

 

「そうだな。時々取り忘れる事もあるが自室では外しているぞ」

 

「そうなんですか……」

 

「流石に寝る時は外さないとゆっくり休めないからな……他に聞きたい事はあるか?」

 

「それではもう一つだけ……何故今回同行してくれたのですか?」

 

「……お前達に何かあった時の保険だ……」

 

「保険?」

 

「そうだ。もしもの時近くにいればどうにか出来るかもしれないだろ?……一応、名目上は親衛隊のサポート要員だからな」

 

「ゼロ……ありがとうございます」

 

「気にするな。それに、一度は直に目にしておきたかったからな」

 

「例の2人をですか?」

 

「ああ、どうも情報が少なすぎてどういった者なのか分からない。だからこそ、己自身で判断したかった。俺の敵になるか、それとも否か……」

 

「彼女達は敵です。紫様に御刀を向けたのですから」

 

「それは分かっている。だが、紫様に御刀を向けた理由はわからないだろ?俺はその理由が知りたい……」

 

「理由ですか……例えどんな理由があるとしても紫様に御刀を向けた罪は変わりません」

 

「そうだな。理由があれば何でも許されるほど世の中甘くはない……それでも、公の場であるにも関わらず行動した。それ程の事をしなければならない理由があったのかどうか……これは単に俺が知りたいだけだから気にするな。もしも親衛隊の夜見達が傷つく事があれば容赦はしない……例え誰であろうとな……」

 

「……ゼロは何故そこまでしてくれるのですか?」

 

「俺も親衛隊だから……なんてな。今のは冗談だ……ふむ、つい話し込んでしまったようだ」

 

長く話し込んでいたようで、いつの間にか目的地付近に到着していて車両が止まっていた。

 

「着いたか……夜見、一つだけ言っておきたい事がある」

 

「何ですか?」

 

「例え何があろうと親衛隊は俺にとって大切な存在だ……だから、無理だけはしないと約束してくれ」

 

「……善処します。ですが、絶対にとは言い切れません」

 

「それで構わない……ありがとな、夜見」

 

手を伸ばし夜見の頭を撫でる。だが、夜見は何故か下を向いてしまった。どうやら機嫌を損ねたみたいだ……

 

「あぁ、すまない……気分を害してしまったな」

 

「いえ……大丈夫、です……」

 

「そうなのか?だが、顔が赤いようだが……やはり何か気に触る事をしていたのではないか?」

 

「……お気になさらないでください。私は……大丈夫ですので……」

 

「……夜見がそう言うのなら信じるが、何か気に触った事があるのなら言ってくれ……改善するように努力する」

 

「はい、その時は遠慮なく申し上げます」

 

「あ、ああ……さて、それでは先に降りて待っている。気分が落ち着いたら合流しよう……また後でな」

 

夜見の顔色を伺い、特に問題もないと判断して別れた後は他の男性隊員の簡易設備の設置を手伝った。

 

「……こんな事初めてです。ゼロ、あなたという人は……いつまでもここに居ては獅童さんと此花さんに申し訳ありません。私も合流しましょう……」

 

ゼロと別れて少し経ち、気分も落ち着いてきた頃には簡易設備も完成していたので車を降り、少し急ぎ足になりながら親衛隊の寿々花と真希の元へ向かった。

 

 

 

 

 

簡易設備の準備も隊分けも済み、万全な状態になった頃……事態は動き出す。

 

「丁度、雨が上がりましたわね……」

 

「さあ、山狩りだ……」

 

 

こうして捜索対象の少女達を探し出す作戦が開始した……

 

 

「……野生の熊が出ないように鈴を持っていた方がいいのか、鈴の音でバレないように持っていかない方がいいのか……悩むな」

 

 

この中で1人だけ所持する物を真剣に悩む者もいたと、隊員の1人が言っていたのは少し後になって知ることになる……

 

 




キタキタキタキタきたきつねいいよね!!

……ごほん!やっとアニメ第1話入れた!嬉しすぎてブリッジしちまったぜ!

ここからが正念場、少しづつ、でも確実にヒロイン要素を増やさなくてはいけないからな!


最近は1話から見直しているけど……さやかちゃんの表情の変わりようぱねぇ……新OPの時の笑顔が1番輝いてますよね1!

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