変境で育てられた自称常識人   作:レイジャック

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頭が痛いーーーーーー喉も痛いいーーーーーーでも、ゴールデンウィークだヒャッハーーーーーーー!!!!!



……特にやることもないんですけどね!!


Stop a injection!?

雨が上がって傘もレインコートも必要なくなり、周りの景色も見える範囲が広がる。湿ったアスファルトの道路を通る人も車も少ないこの場所……山中のある一箇所。その場所に簡易設備を設置し、現在は雨が降っていない為設備の外に整列している隊員たちの正面に仮面を付けたスーツ姿の男が立っていた。

 

「……何故俺まで前に立たなくてはいけないのだ。まだ準備が整っていないんだが……」

 

準備途中に急に集合がかかり不本意ながら立たされている現状に少しばかり不満を持つ……が、今現在隣にいる人物が一歩前に出てこれからの予定を全員に伝えている最中なので我慢する。

 

「それにしても流石指揮経験者だ、俺には真似できないな……これで同年代なのだから世の中は本当に広いな」

 

見つめた先にいる人物はとてもさまになっていて思わず拍手の1つや2つしてやりたくなる。最近小耳に挟んだ男女問わず人気があると言う噂にもこれを見れば納得する他ない……噂の信憑性に現実味を感じてきた頃ようやく話が終わり、隊員は各々が自分の役割を全うするため持ち場に着く。あるものはここに立ち入らない様に道路にあるカラーコーンの脇で監視をし、あるものは簡易設備であるテントの中で本部と連絡を取ったりするためのパソコンを随時監視している。かく言う俺はと言うと……親衛隊のメンバーで集まりトークに華を咲かせていた。

 

「流石親衛隊第一席なだけあって、中々に様になっているな真希」

 

「ゼロ!からかわないでくれ!」

 

「そう怒るな、今のは本心だ」

 

「本当かい?」

 

「嘘を言っている様に見えるか?」

 

「……はぁ、分かった。ゼロを信じるよ」

 

「そうしてくれ……それで、3人集まっていたから来たが俺は不要だったか?」

 

「はい。ゼロに来て頂く必要性はありません」

 

「夜見、気のせいかもしれんが俺に対して当たりが強くなってないか?」

 

「そんな事はありません。私はただ、こわ……事実を述べたまでです」

 

「今何か言いかけてなかったか?」

 

「気のせいです。ゼロの聴力が低下したのではないでしょうか」

 

「……やはり当たりが強いな。何か気に触る事でもしたのか?」

 

「……そんな事はありません」

 

「ゼロ、あなたは一体夜見に何をしたんですの?」

 

「それは僕も気になるね。こんなに夜見が話しているところなんて今まで見た事ない」

 

「おい待て、俺が何かした事を前提に聞いてくるな。それに本当に心当たりがない」

 

「獅堂さん、此花さん。ゼロの言う通り、私は何もされていないので大丈夫です」

 

「本当ですの?脅されて言わないようにされているわけではありませんのね?」

 

「無理はしなくていいんだよ夜見、僕達は夜見の味方だから安心して真実を話してくれ」

 

「……貴様らは俺を悪逆非道な人間だと思っていたのか?」

 

「ふふふっ、今のは冗談ですわ」

 

「冗談だと?」

 

「はい。冗談ですのでお気になさらないでください」

 

「ははっ、ごめんゼロ。本当はこんな事するつもりはなかったんだけど、寿々花が驚かせたいって言うから、つい興味を持って協力したんだ」

 

「ちょっと真希さん!?」

 

「此花さんの提案は興味深い事だったので私も協力させてもらいました」

 

「夜見まで!?違うんですのよゼロ!ただ私は驚いたところを見てみたいと言っただけですの!」

 

「……だが、実行しただろ?」

 

「それは……そうですけど……」

 

「確かに言ったのは寿々花なのかもしれないが、実行した貴様らにも責任があるのを忘れるなよ?」

 

「うっ……そうなるか……」

 

「……如何なる罰もお受けしましょう。必要とあらばご随意に」

 

「はぁぁ……別に気にしてないからその必要はない」

 

「許して……くれるんですの?」

 

「許すも何も冗談を言っただけだろ……それだけの事に腹をたてる程、心は狭くないつもりだ」

 

「ありがとうゼロ!」

 

「礼を言われる様な事は何もしていないぞ?……それで、結局のところ俺はここに集まらなくてもいいのか?」

 

「はい。先程申し上げた様にゼロにはこの場に来て頂かなくても結構です」

 

「そうか……夜見はよく誤解されそうだな」

 

「何の話ですか?」

 

「無自覚か……いや、何でもない」

 

「そうですか……そういえばゼロと共に行動するのはこれが初めてでしたね」

 

「そうかもしれないな。大抵は本部内でしか会う機会もなかったからな……それがどうしたんだ?」

 

「今回の作戦の為に連絡を取りあえるようにしておいた方がよろしいかと」

 

「連絡先を交換するという事か?」

 

「その通りです。如何なさいますか?」

 

「確かに夜見の言う事にも一理あるな……では、連絡先を交換しようか」

 

この瞬間を待っていた!!如何にも興味はないけど交換する必要性があるように演じた俺は、スマホをポケットから取り出す。

 

「此花さん、獅堂さん。2人も連絡先を交換しては如何でしょうか?」

 

「僕達もか!?」

 

真希が声を大きくしながら驚く表情を見ていると胸が痛くなった……まさかここまで嫌われてるとは予想外で思わず涙腺が崩壊しかけた。

 

「はい。万が一に単独行動になった時の保険として交換しておくべきかと思います」

 

「確かに夜見の言う通りですわね……常に2人以上で行動出来るとも限りませんし」

 

連絡先交換でここまで悩む人初めて見たが、これは異常だ……しかも、夜見の考えが保険として交換するとか本人の前でそれを言うか?俺に対する親衛隊からの好感度は思った以上に低かったようだな……おぉ、大天使様。俺にはあなたしかいないようです……

 

「そ、それでは仕方ありませんわね。私も交換するといたしましょう」

 

「寿々花と夜見が交換するなら僕も交換しないとだね、うん」

 

真希と寿々花は少しばかりぎこちなくなりながらスマホを取り出す。俺に対する親衛隊からの認識を改めた事により、今の俺はこれしきの行動にも動揺する事はなくなった……無我の境地へ辿り着いた俺はそのまま夜見に従い、3人と連絡先を交換した。

 

「それでは今後何かあれば連絡を下さい」

 

「私にも連絡下さって構いませんが、その、殿方とは初めてですのでご迷惑をお掛けするかもしれませんが……」

 

「僕にもいつでも連絡してくれて構わないよ」

 

「……ああ、必要な時は連絡する。3人も何かあれば連絡してくれて構わない……悪いが準備が途中なのでここで失礼する」

 

現在の無我の境地に至った俺は、先程から我慢している涙を見られたくなかったので急いでその場を離れ、準備中であった物資が置いてあるテントの中に戻り仮面を取って段々と溢れ出てくる涙をハンカチで拭った。今の心境はとても複雑で、連絡先を交換できた喜びの涙と親衛隊からの好感度を知ってしまった悲しみの涙が同時に目から溢れていた……

 

ようやく涙も止まり、まだ鈴を選定している最中だったのでハンカチをしまい仮面をつけてから作業を始める。現在も思案中の鈴の有無に1人で唸りながら悩んでいると後ろから声を掛けられた。

 

「ゼロ、何をしているんだ?」

 

「ん?何だ、真希か……見ての通り、鈴を持つべきか悩んでいる最中だ」

 

「鈴?そんなの何に使うんだい?」

 

「そんなの決まっている、熊対策の為だ」

 

「そ、そうか……一応言っておくけど、今回僕達の任務は衛藤可奈美、十条姫和の両名を捕らえる事だ。そんなもの持ち歩いていれば逃げられるよ」

 

「なるほど、それではいかんな……ではここに置いておくとしよう」

 

「それは自前かい?」

 

「無論だ。常に俺は最悪の状況を想定して最善を尽くす事を念頭に準備をするからな。そして今回は山中と言う事で用意していたんだが……まあ、そんなことはどうでもいい……何か用か?」

 

「あぁ、これから夜見に索敵してもらい僕と寿々花は2名を捕らえに行く……ゼロはどうする?」

 

「3人とも不在となると、残って居た方がいいだろ。それに準備も途中だったからな……」

 

「そうか。それじゃ悪いけど留守の間はこの場を頼んだよ」

 

「了解した。真希達も無理はするなよ……無理をするくらいなら俺が「手を貸してやる、でしょ?」……」

 

「ちゃんと覚えているよ。もしも力が必要な時は連絡する」

 

「そうか……気をつけろよ」

 

「ありがとうゼロ……それじゃ行ってくる」

 

真希は一言挨拶をしてからテントを出て行き、又も1人だけになった。

 

「油断して返り討ちに合わなければいいのだが……3人とも無事に戻ってこいよ……せっかくの機会だ、帰ってくるまではここで寝ているか」

 

先程から真希以外誰も来ない事をいい事に、戻ってくるまでの間だけその場にあった物資の中から折りたたんである段ボール箱を地面に敷いて寝た。まるでキャンプに来た様な気分になり、3人が戻るまでぐっすりと眠れた……

 

 

起床はテントの外から微かに聞こえた隊員の話し声で目を覚ました。

 

「おい、先程戻ってきた第一席の様子がおかしくなかったか?」

 

「そうか?別にいつも通りだと思っていたけど」

 

「いやいや、あれは絶対に何かあったに違いない。今まであんなお姿見たことない」

 

「そうは言うけど、お前は今回初めて一緒になったばかりじゃないか」

 

「……それはあれだ。第六感的な?」

 

「分かったからさっさと持ち場に戻るぞ」

 

「了解、了解」

 

会話をしていた隊員達が遠ざかった後、段ボールを片付けながら先程の会話の内容を思い返す。

 

「真希の様子がおかしいだと?……念のため確認してくるか……」

 

テントの中を綺麗にして寝ていた痕跡を無くしてから真希の元へ向かった。

 

 

テントを出て周りを見回すと1つのテントだけ厳重に警備が固められていた。本来の目的から離れるが気になったので、1度真希を探すのを中断してその場にいる隊員に話しかける。

 

「何かあったのか?」

 

「ゼロ!今までどこにいたんだ?」

 

言えない……今まで昼寝していたなんて口が裂けても言えない……どうにか誤魔化さないと!

 

「ふっ、少し野暮用でな……俺の事よりもこのテントの事を教えろ。何故ここだけ厳重に警備されている?」

 

秘技!話をすり替える!これで問い詰められまい……どうだ!

 

「それなんだが、少し前に1人の刀使がここに来たんだ。だが、どうも怪しくてな……それで、先程から第二席の方が尋問している」

 

「ほう、刀使がここに来ていたのか。しかし、何故寿々花が尋問している?」

 

「それは分からない。ただ、第一席の方は少し気が立っていたからそれと関係してるのでは?」

 

「そうなのか?今は何処にいるか分かるか?」

 

「すまん、尋問が始まる前に何処かに行ってしまったから分からない……第二席の方なら知っているんじゃないか?」

 

「そうか……この中に入っても大丈夫か?」

 

「う〜ん、ゼロだから大丈夫じゃないか?」

 

「……安心しろ、このテントから脱走させはしない」

 

「それなら問題ない。だが、あまり長居はするなよ?」

 

「了解した。それでは行ってくる」

 

「ああ、気をつけろよ」

 

隊員から無事許可を貰えたので、開いている入り口から中に入る。すると、用が済んだのか入り口付近で例の刀使に向かって何やら凄い発言をしている寿々花がいた。

 

「万死に値するというのはいささか言い過ぎではないか?」

 

「!?ゼロ!どうしてここに?」

 

「ゼロ?」

 

そこまで驚くことではないと思うんだが……それよりも、ゼロという名を聞いても驚かないそっちの座ってる刀使……ナイスなバス……おほんっ!チャーミングなカチューシャですね!

 

「俺が野暮用で離れている間にここだけ警備が厳重になっていたから様子を見に来た……それで、そこにいるのは何者なんだ?」

 

「長船の刀使ですわ。あの子が言うには賊どもを捕らえにきただけみたいですわよ」

 

「例の刀使2名の事か……まあ、それが嘘か本当かはこの際どうでもいい。それよりも寿々花に聞きたい事がある」

 

「私に?何ですの?」

 

「真希の様子がおかしいと聞いたが、今何処にいるか知らないか?」

 

「さあ?私には頭を冷やしてくるとだけ言って何処かに行ってしまわれたので場所は分かりませんわ」

 

「頭を冷やす?」

 

「ええ、先程の事を気にしていたみたいでしたので今はそっとしておいた方がよろしいですわよ」

 

「先程というのは例の刀使を探しに行った時のことか?」

 

「そうですわ」

 

「そうか……何があったかは知らんが、今は寿々花の言う通りそっとしておくか」

 

「それがよろしいかと……私はこれから真希さんを探しに行くのですがゼロはどうしますの?」

 

「特に予定はないが、いざという時に動けるよう少し周辺を捜索でもするとしよう」

 

「あら?てっきり一緒についてくると思いましたわ」

 

「俺も少しはデリカシーというものを理解しているからな。その場に居なかった俺が今の真希に会わない方が面倒にならないだろう」

 

「ふふふっ、ゼロは本当によく分からない人ですわね」

 

「それはどういう意味だ?」

 

「さあ?ご想像にお任せしますわ」

 

「……ふん、もういい。寿々花、もし真希の頭が冷えていたら伝えてくれ。生きてさえいればチャンスはまた訪れる。と……では、失礼する」

 

凄く青臭いセリフを吐いて恥ずかしくなった俺は、ポーカーフェイスを貫いたままそのテントを出て行き周辺の森の中を捜索し始めた。

 

「失敗を責める事もせず相手を気遣うなんて……本当によくわからない人ですわね。ゼロ」

 

「あの〜、スミマセーン。今の人ってもしかして、あの噂のゼロ様ですか?」

 

「ええ、そうよ。あなたも知っていますのね」

 

「ハイ!よく噂は耳にしているので!……それにしても噂とは全然印象が違いますね〜」

 

「そうかもしれませんわね。言っておきますけど彼も親衛隊ですから御刀を向けないように注意した方がよろしいですわよ」

 

「え?親衛隊なんですか?」

 

「あら?知りませんの?彼は親衛隊第0席ですのよ」

 

「そんな話聞いたことありません」

 

「ふふふっ、それはそうですわ。名目上は親衛隊のサポート要員ですもの」

 

「サポート要員?親衛隊なのにですか?」

 

「そうよ。だからと言って甘く見ない方が良いですわよ?……それでは私はこれで失礼しますわ。またお話ししましょう」

 

ゼロが居なくなった後、彼の知らない間に無駄に彼の評価を上げてから寿々花は武装した隊員を残し真希を探しに行った……

 

 

 

 

 

周辺の森の中を捜索し始めてから数分後、一本の電話が入った。

 

「……何の用だ?」

 

『ハロー!久しぶりだねゼロ』

 

「ああ、そうだな。それでは切るぞ」

 

『stop! まだ用件を伝えていないじゃないか』

 

「挨拶が用件ではなかったのか?」

 

『そんな用件だけで君に電話はしないよ』

 

「はぁ……それで、用件は?」

 

『実は少し困ったことになってしまったんだ』

 

「S装備の事か?」

 

『それは問題ない。既にこちらで回収してあるから大丈夫だ』

 

「早いな……となると、ここに来ていた長船の刀使が関係しているのか?」

 

『流石ゼロ、耳が早いね』

 

「別にそんな事はない。長船の刀使1名と先程会ったばかりだから知っているだけだ」

 

『何!?それは本当かい!?』

 

「こんな時に嘘は言わん」

 

『そうか……その長船の刀使はどうなったんだい?』

 

「今はこちらで取り調べを行なっている最中だ……安心しろ、危害を加えるつもりはない」

 

『そうか、それは良かった……おっと、話が逸れてしまったね。悪いけど少し協力してくれないか?』

 

「出来る範囲でなら構わん」

 

『ありがとう!ではさっそくで悪いが、そこに向かった長船の刀使2人をどうにかして見逃してくれ』

 

「2人か……1人は今取り調べ中なんだが?」

 

『そこを何とかしてくれ!頼むよ!』

 

「……俺が協力している事を貴様の組織で知っている人間は?」

 

『君の事をかい?僕以外にはある人物が協力してくれたとしか言ってないから僕だけだね。どうしてそんな事を?』

 

「今後の予定のためだ……貴様以外信用できないからな。もし偶然居合わせた時、裏切られる可能性を考慮しなくてはならない」

 

『用心深いんだね、君は』

 

「そういう生き方をしてきたからな……途中まではこちらで何とかしてみるが、後の回収はそちらでどうにかしろ」

 

『おお!やってくれるのか!』

 

「……貴様には借りがあるからな」

 

『ありがとうゼロ!』

 

「借りを返すだけだ。礼は無事送り届いてからにしろ」

 

『ははは、それもそうだね。それじゃ、付近まで迎えに行くからそこまでは頼んだよ』

 

「承知した。見逃しはするが、こちらにも事情はある。もしも、死者を出せば、その時は容赦しない……いいな?」

 

『……分かったよ、絶対にないとは言えないけどそんな事する子達ではないから心配しないでくれ』

 

「そうだといいがな……1つ言い忘れていたが今後も貴様以外には俺の事を口外するなよ」

 

『本当に君は信用していないんだね……肝に命じておくよ。それでは良い結果を期待してる』

 

「善処する。ではな」

 

スマホの通話終了を押して電源をスリープ状態にしてからポケットにしまい、これからの事を考えながら尋問されていた長船の刀使がいるテントへ進路を変えて歩き出す。

 

「あんな事言ってみたものの、これからどうするか……あの数の隊員が居れば容易には逃す事が出来ない。それこそ、荒魂みたいなのが現れて混乱してる隙をつくしか方法はないが、周辺に荒魂の反応もないから無理だな……せめて自力で人の目が少ないところまで移動してもらえればどうにかなるんだがな……詰みだな」

 

あれこれとプランを模索しながら必至になって考えて歩いていると車のエンジン音が聞こえてきた。

 

「例の刀使を見つけたのか?……好都合だ、人が少なくなる今の内にどうにかして逃すか」

 

絶好のチャンスが舞い降り、車を何台か残してエンジンのかかった車はテントのある場所から遠ざかって行く。この時であれば、人1人までなら煙幕でも撒けば容易に逃がせると考え少し急ぎ足になりながら向かった。そして、目的のテントの中に入ってみるとそこには誰もいなかった。もしかして先程ここから移動した車の中にでも連れていかれたのではないかと考えていると、突然テントの外から刀の打ち合う音が聞こえてきたので急いでテントを出る。

 

「おい!何があった?」

 

「ゼロ!取り調べ中の刀使が脱走した!」

 

「何だと?協力者でもいたのか?」

 

「分からない、気がついたら他の隊員達は気絶していたんだ」

 

「……隊員に怪我はないのか?」

 

「まだ確認していないが、見たところ全員意識を失ってるだけだ……俺が注意していればこんな事にはならずに済んだのに……」

 

話しかけた隊員は悔しそうに自分を責めていたが、別に死人が出たわけではないからそこまで責めなくてもいいんじゃないか?

 

「過ぎた事を悔やんでも仕方ない、まずは倒れている隊員達を一箇所に集めるぞ」

 

「了解!」

 

未だに鳴り止まない森の中から聞こえる打ち合う音を気にせずに、隊員とともに倒れている者を一箇所に集めはじめた。

 

 

「……特に怪我している者はいないようだな」

 

「ああ、全員気絶してるだけで良かった……本当に……」

 

やはり、事態を重く捉えてしまっている隊員は今にも泣きそうになりながら、倒れていた隊員達の無事に喜んでいた。そんな隊員をフォローしてやるために一声かけようとした時、突如森の中から上空に向かって赤黒い炎ではない何かが柱となって吹き出した。

 

「今のは……ちっ、貴様達はこの場から離れるな」

 

「え?ゼロはどうするんだ?」

 

「俺は逃げた刀使を追う……悪いが貴様達はこの場を頼む」

 

「ゼロ、本当に行くのか?相手は少女とはいえ刀使だぞ」

 

「ふん、下らん。たかが刀使に遅れをとるほど俺はヤワじゃない……それに、夜見がいるなら尚更引くわけにはいかん……後は頼んだぞ」

 

「了解!ご武運を!」

 

「……要らぬ心配だな。だが、感謝する」

 

隊員からの応援に礼を言い、対象の刀使と夜見が向かった森の中へと駆けて行った……夜見には説教してやらないとだな。

 

 

先程の異常があった場所へ向かいひたすら森の中を駆けて行くと……対象の刀使の他に見たことのない刀使と思われる少女3人の背中が見えた。そして、その先には……右目から何かを生やしている夜見がいた……

 

「……開いた口が塞がらないとはこのような時に使うのだな……そんな冗談言っている場合ではないな、一刻も早くどうにかしなくては……」

 

細心の注意を払い音を立てずにその場に近づいて行く。そして、ようやく座り込んでいる刀使の近くの木までたどり着いた時、事態は急展開した。木に隠れて目を離している隙に何があったのか、夜見が1人の少女を押し倒している構図が俺の目に映った……

 

「……これが俗に言う百合展開……悪くない……はぁ、俺は疲れて夢でも見ているのか?」

 

目の前に広がる光景に頭の中で整理がつかず困惑する。それでも目は離さずにいると、夜見が少女の顔の前に切っ先を構えた。

 

「これ以上はまずいな……仕方ないが力づくで止めるほかない……許せ、夜見」

 

右手に持つ鞘を180度回して持ち替え、抜刀した際に峰打ち出来るようにしてから木の陰から出ようとすると、夜見がいきなり苦しみだした。

 

「まさか!あのポーズは……窒息のサインだったか?……仕方ない、早く人工呼吸をしてやらねばならんな、うん」

 

まだ混乱している俺は、場違いな対処法を考えながら夜見の元へ歩みだした……別に人工呼吸がしたいわけじゃない、夜見を助けたいだけだ!勘違いするな!

 

 

三歩程歩き、近づくに連れて胸の高鳴りが大きくなっていく中、またもや夜見に異変が生じた。突然、夜見の体から何かが吹き荒れて夜見と近くにいた少女が夜見に抱きつきそれに覆われた。

 

「くっ!流石は夜見、危機察知能力が高いな!」

 

自分でも何を言っているのか分からなくなりながらも、今起こっている状況を分析する為、力を行使する。

 

「『真眼』……2人とも生きてはいるか……」

 

他の人とは景色が違って見えるようになり、その目を使って2人の姿も確認出来た。だが、未だに消えない何かを消さなければ近づくのは危険な為様子を見守る事にした。

 

様子を見守る事にしてからすぐに変化が現れ、徐々に勢いがなくなり、やがて吹き荒れていた何かは地面に液体だけをのこし消滅した。

 

 

「助かった、の?」

 

「そうみたいです。たぶん、ノロの力とバランスが取れなくなったんですネ。人の体にノロを入れるなんて、無茶にも程がありマス」

 

「荒魂をあんな風に使うからだ」

 

「ねー」

 

目の前の刀使達は皆無事に生き残り各々に感想を言っている。最後の方に聞こえたのは誰が言ったのか分からないが、身長の丈よりも長い御刀を持っている少女から聞こえたような気がしたのだが気のせいか?すっかり出るタイミングを逃した俺は、気づかれないように木の陰に再び隠れて出る機会を待つ事にした……

 

「よかった、生きてるよ」

 

「これからどうする?この騒ぎだ、すぐに他の親衛隊が駆けつけるぞ」

 

……すまん、実はもうこの場に来ている……

 

「問題ない。エレン」

 

「ねねっ」

 

「はい!了解デース!タクシー1台至急手配願いマース!」

 

「タクシー?」

 

タクシー?こんな場所まで来るのか?……それよりも、また声が聞こえたぞ?幻聴か?まったく、どうやら俺は疲れているようだな……休みが欲しい……

 

「ねぇ、この人はどうするの?」

 

「置いていけ、どうせ親衛隊が連れて行くはずだ」

 

「そうだな、流石に連れてはいけないだろ」

 

「そうですネ。薫とひよよんの言う通りです」

 

「それはそうなんだけど……大丈夫かなぁ?」

 

夜見の心配をする少女は困った様に他の刀使達の言う事に了承しかねている。すると、突然どこからか声が聞こえてきた。

 

「それならばこちらで預かるとしよう」

 

「誰だ!」

 

刀使の問いかけに答える為、預けていた背を木から離して刀使達の目の前に姿を現わす。

 

「……お前は何者だ」

 

「そうだな。そこにいる女の仲間とでも言っておこうか」

 

倒れている少女を指差して質問に答えると、刀使達の警戒がより一層増した。

 

「くそっ!管理局の奴か!……悪いがお前には少し痛い目をみてもらう」

 

先程から質問を投げる刀使は迅移を張り、切っ先を仮面をつけた人物に向けた。

 

「……ほう、中々様になっているな」

 

「黙れ!これ以上時間をかけている暇はない……すぐに終わらせる」

 

「それもそうだな。貴様の遊戯に付き合う程、こちらも暇ではない」

 

「貴様ー!」

 

「駄目ですひよよん!!」

 

「何故止める!こいつは管理局の奴らの仲間なんだぞ!」

 

「それはそうですが……でも、駄目なんです……」

 

「もしかして、奴に対して情でも湧いたのか?」

 

「いえ、そう言うわけではなくて……」

 

「どうしたエレン?あいつについて何か知っているのか?」

 

「はい。彼は……親衛隊の人です……」

 

「何?親衛隊だと!?」

 

「それは本当かエレン」

 

「本当です……彼は、親衛隊第0席のゼロです……」

 

「な!?」

 

「おいおいマジかよ……」

 

「……悪いが貴様達のガールズトークに付き合う暇はない。通らせてもらうぞ」

 

律儀に待っていたが、痺れを切らし宣言してから強行突破する事にして夜見の元へ歩み出す。歩きだしてからも警戒は止まず、1人の刀使は常に構えを取ったままの状態でいたが、構わずに足を進めた。そんな中、遂に俺は幻聴の正体を知る事になる。

 

「それは……荒魂か?何故ここに……」

 

ツインテールの少女の近くまで来てようやく気づく。その少女の側には小動物のような荒魂が存在していた。

 

「違う。ねねはオレのペットだ」

 

「ねねっ!」

 

「何?ペットだと?荒魂なのにか?」

 

「そうだ」

 

「……ふむ、それならば問題はないな」

 

「え?」

 

「ね?」

 

荒魂をペット言い放つ少女の瞳には揺るぎのない意志を感じたのでペット認定してやると、今まで警戒していた表情の少女の顔は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔になった。

 

「どうした?俺を笑わせるつもりか?」

 

「はっ!?そんな訳ないだろ!」

 

「……冗談だ。気にするな」

 

割と本気で怒鳴られ少しだけショックを受けたので、これ以上関わらない様に再び歩み出す……

 

 

「お、おい!」

 

「……何か用か?」

 

「お前は……ねねを斬らないのか?」

 

「何故そんな事をしなければならない?」

 

「だって、ねねは荒魂なんだぞ?」

 

「だが、貴様のペットなんだろう?」

 

「それはそうなんだが……」

 

「ならば斬る必要はない……それに、被害を出しているわけでもないからな……もう行っていいか?」

 

「あ、ああ……」

 

「では失礼する」

 

呼びかけられたので仕方なく少女に付き合い、用がなくなるとすぐに背を向けて歩み出す。僅かな距離であるにも関わらず時間が少しかかり、今やっと夜見の元に辿り着いた。

 

「可奈美!逃げろ!」

 

「え?」

 

突然の叫びに戸惑う少女……しかし、そんな事構わず、相手の心情も知らずに話しかけた。

 

「貴様が共犯者か……確か衛藤と言ったか?」

 

 

「そうですが……あなたがあの噂のゼロ様なんですか?」

 

「どう言われてるか知らんが噂は噂だ。様付けするな、ゼロでいい」

 

「え?いいんですか?」

 

「別に構わん。敬語も使わなくていい」

 

「えーっと?それじゃあ、ゼロって呼ぶね?」

 

「そうしてくれ……早速だがそこの女……夜見を渡してもらうぞ」

 

「あ、はい……」

 

了承を少女から得た俺は、衛藤から夜見を預かり地面に寝かせて念のため脈を測る。脈は弱々しくだが感じ取る事が出来たので一安心していると、隣から視線を感じた。

 

「やはり心配か?」

 

「……うん」

 

もの凄く落ち込んでいる少女は不安気な眼差しを夜見に向けながら答えた。その姿を見て、もっと早くに対処していれば良かったと罪悪感を感じ、せめて目の前の少女が落ち込まなくても済むようにと、少女の頭に手を置いてフォローの言葉を掛ける。

 

「貴様が斬らなかったから夜見は今生きている。気に止むことはない……夜見のことは任せろ。絶対に死なせはしない」

 

「ゼロ……うん、その人の事をお願いします」

 

「承知した……それより、何だか顔が赤くなってないか?」

 

「えっ!?そ、そんな事ないよ!!」

 

「……まあ、本人がそういうなら信じよう……さて、俺は夜見を連れて戻るとしよう」

 

寝かせていた夜見を抱えて立ち上がり、少女達に背を向けて歩き出した。

 

「待て!」

 

「……はぁ、今度は何だ?」

 

「貴様は私達を捕らえに来たのではないのか?」

 

「あぁ、そうだな。確かに貴様の言う通り、逃走中の貴様達2人とそこの脱走した1人を捕らえるつもりだ」

 

「やはりか……」

 

「だが、事情が変わった。ある人物からの依頼で今回は見逃してやる事にした」

 

「ある人物?」

 

「……それじゃあ、ゼロは私達を見逃してくれるの?」

 

「本来ならばそっちの長船だけを見逃す予定だったがな……夜見を助けてくれた礼だ。今回は全員見逃す」

 

「ありがとう!ゼロ!」

 

「……貴様の本当の目的は何だ?」

 

「今言った通りだが?」

 

「ふざけているのか?貴様も親衛隊ならばどんな手を使ってでも捕らえるはずだ」

 

「ひよりちゃん……」

 

「なるほど……生憎だが、俺は親衛隊とは名ばかりで本来の役目は親衛隊のサポートだ」

 

「サポートだと?」

 

「そうだ。納得できないならば、今回は倒れた夜見の手当てを優先する事にしたとでも解釈してくれ」

 

「……いいだろう、貴様を信じてやる」

 

「もう!ひよりちゃんは少し心配し過ぎだよ」

 

「何を言っている。これが当たり前なんだ」

 

「確かにこの状況ではそこの刀使の考えが正しいな……」

 

「ゼロまで!?」

 

「話がわかる奴だな……姫和でいい……」

 

「突然どうした?」

 

「私のことは姫和と呼んでいいと言っている。少しだけだが貴様は信じられるからな……」

 

「……それならばこちらもゼロと呼んでくれて構わない」

 

「ああ、そうさせてもらう」

 

「うぅ〜。ひよりちゃんだけずるいよ!ゼロ!私のことも可奈美でいいよ!」

 

「そ、そうか……分かったからあまり大声を出すな」

 

「ごめんなさい……」

 

「いや、分かれば良い……俺が協力できるのはここまでだ。後は自力でなんとかしろ」

 

「待って下さい!」

 

「……そろそろ他の奴らがここに来るぞ?」

 

「最後に1つだけ聞かせて下さい……どうして私達刀使を逃す手助けをしようとしたんですか?」

 

「……先程も言ったがある人物の依頼だからだ……奴には借りがあるからな」

 

「借り……ですか?」

 

「そうだ。……ああ、そう言えば1つ伝言を頼みたい」

 

「伝言?」

 

「ああ、誰でも構わん。奴に会ったら借りは返したと伝えてくれ」

 

「おい、奴って誰だよ」

 

「……科学者に見えない服装をした爺さんだ。では失礼する」

 

これ以上引き留められると夜見の容態が悪化してしまうかもしれないと思い、今度は歩きはせずに森の中を駆け出す。

 

「科学者に見えない服装?」

 

「おいエレン……」

 

「そんなまさか!?……これは後で詳しく聞かなければいけませんネ……」

 

「エレンちゃん達は知っているの?」

 

「ああ、予想だが合ってるだろ」

 

「そうですネ。かなみんとひよよんもすぐに会えますよ!」

 

「そうなの?」

 

「まあまあ、話は後デース!まずはタクシーの所まで向かいましょう!」

 

「おぉー」

 

「ねねー」

 

「タクシーで奴らに追いつかれないのか?」

 

「それは大丈夫デース!とにかく今は集合地点まで行きましょう!」

 

「……本当に大丈夫なのか?」

 

「まあまあ、ひよりちゃん。今はほかに行く当てもないから行くだけ行ってみようよ」

 

「……仕方ない、そうするか」

 

ノロの残骸だけを残し、ゼロが去った方向とは逆方向に4人は歩き出した。

 

 

 

 

 

森の中を駆けてから数分もしないうちに見慣れた場所が木々の間から見え、そこへ向けて走るスピードを上げ、森の中から抜け出した。もしも、車が通っていれば引かれていたかもしれないが、そんな事を気にせずに治療できるテントの中に運び夜見を寝かせる。

 

「ゼロ!やはり君だったのか。あまりの速さに隊員達が動揺していたぞ」

 

「それは悪かった。緊急事態だったのでな……」

 

「緊急事態?……な!?夜見!?どうしたんだこの怪我は!?」

 

「……俺が着いた時には既に倒れていた。安心しろ、息はある」

 

「そうか……良かった。他に誰か居なかったか?」

 

「悪いが見ていない……本当なら追うべきだが、夜見が危ういので戻る事にした。すまない」

 

「謝らないでくれ、ゼロ。確かに例の刀使を捕まえることも大事だが夜見も僕達の大事な仲間だ。ゼロの判断は正しいよ」

 

「そう言ってくれるとこちらとしても助かる……ありがとう、真希」

 

「別にお礼は要らないよ……悪いけど夜見の事は任せてもいいかな?」

 

「それは構わないが……追うのか?」

 

「ああ、このまま逃すわけにはいかない……夜見の分もあるからね」

 

「そうか……気をつけろよ」

 

「分かってるよ。それじゃあ行ってくる」

 

真希は逃走中の刀使達を追うべく、テントから出た後車に寿々花と一緒に乗り込み捜索を再開した。

 

「……罪悪感で心が折れそうだ……今は治療する事に専念しておこう……」

 

真実を知る者はこの場でただ1人、真実を胸の内に秘めまずは目の前の女性を治療する事に専念した……

 

 

応急処置程度の治療が終わってからしばらく経つと、テントの外からこちらに向かって近づいてくるエンジン音が聞こえてきた。やがて、車が止まり中から誰かが降りてこのテントに近づいてくる足音がした。

 

「ゼロ、夜見の方はどうだい?」

 

「簡易的だが応急処置は済ませた。今は呼吸も安定している」

 

「そうか……ゼロ、目標の刀使達に逃げられた」

 

「……お前達が無事なだけで十分だ。それに、これはお前だけの失態ではない、俺にも責任がある。あまり気負い過ぎるな」

 

「そんな事はない!僕があの時油断していなければ……」

 

「真希さん……」

 

急に自分自身を責め始めて周りが見えなくなったみたいで、暗い顔をしながら俯いてしまっている。このままでは精神が病んでしまう恐れがあるので、夜見の側で椅子に座っていた俺は重い腰を上げて真希の前まで近づき、左手の中指を曲げて親指で抑えたままの状態で真希のおでこまで移動させる。

 

「おい、真希。こっちを見ろ」

 

「僕が……あの時……」

 

「はぁ……天誅」

 

「痛っ⁉︎いきなり何をするんだゼロ!」

 

「貴様は馬鹿か?」

 

「何だと!?」

 

「この世に完璧な人間なんて存在しない、人間誰しも失敗する事はある……いいか真希、お前は大切な事を忘れている」

 

「大切な事?」

 

「ああ、そうだ。何か分かるか?」

 

「……心当たりがないな。一体僕は何を忘れていると言うのさ」

 

「ふん、仕方ないから特別に教えてやろう……貴様が忘れている事はだな……貴様は1人ではないという事だ」

 

「1人じゃない?」

 

「そうだ、貴様は常に自分1人で成し遂げようとしている節が見られる……心当たりがあるのではないか?」

 

「……確かに。ゼロの言う通りだ。でもそれの何が悪い……僕は親衛隊の一員としてやらなくてはいけないんだ」

 

「その考えは間違いだ」

 

「……僕のやろうとしてる事が間違えているだと?」

 

「そうではない、貴様がどんな事でも1人でやろうとしている事が間違いだと言っている……意気込みは評価するが貴様は無理をし過ぎだ。少しだけでいい、仲間を頼れ」

 

「ゼロ……でも、そんなの迷惑じゃないか」

 

「そう思う奴は放っておけ。俺がその分力を貸してやる」

 

「……いいのかい?」

 

「ふっ、愚問だな。俺は貴様ら親衛隊のサポート要員だぞ?断る理由がどこにある……」

 

「……ははっ」

 

「ふふっ」

 

「……貴様ら、今ので笑う要素が何処かにあったか?」

 

「ごめんゼロ、つい可笑しくて……そうだね、僕は1人ではないんだ」

 

「そうですわよ真希さん、私達は同じ親衛隊の仲間ですわよ?必要な時は力をお貸ししますわ」

 

「ありがとう寿々花……ゼロもありがとう」

 

「礼を言われるような事はしていない……それに失敗したならば次にそれを活かせばいいだけだ」

 

「生きてさえいればチャンスはまた訪れる、だったよね」

 

「……寿々花から聞いていたか」

 

「ああ、寿々花が僕を呼びに来た時にね……今回は失敗したけど次は絶対に捕えてみせるさ。その時は2人とも力を貸してくれないか?」

 

「勿論ですわ」

 

「ふん、気が向いたらな……」

 

「ありがとう寿々花、ゼロ……さあ、帰って紫様に報告しないとだね」

 

「そうですわね、それに夜見の治療も設備が整っている場所の方がよろしいですわね」

 

「そうだな。いつ何が起きるか分からないからな……さっさと帰った方が夜見の為だ」

 

「そうだね、夜見も大切な仲間だから……よしっ、撤収だ!2人とも準備を整えろ!」

 

「先程までとは正反対に元気ですわね」

 

「それは……夜見が心配だからなのではないか?」

 

「そうかもしれませんわね……はぁ、私は真希さんと撤収作業の指揮をとりますのでこれで失礼しますわ」

 

既にいつもの覇気を取り戻しテントの外から威勢のある声がする場所へ寿々花は向かった。

 

「さて、俺も準備するか……まずは夜見を車の中に移動させるか……」

 

現在も寝息を立てている夜見を抱え、車の中に運ぶ事にした俺はテントの後片付けを丸投げして一台の車両に向かい歩いた。そして、夜見を寝かせるためのスペースを確保した座席にそっと降ろしてから、他の隊員達と撤収作業に勤しむ。荷物やテントなど全て片付けた後は心配だったので夜見の乗っている車に乗り本部へ帰還した……

 

 

 

 

 

本部に到着後、早々に夜見を治療室へ運び込み専門のスタッフに丸投げしてから一度自室に戻り一眠りした。

 

「……後で夜見の様子を確認しに行くか。それまでは少しだけ……寝てもいいだろ……」

 

いつもより疲れが残っていたのか、ベットインするとすぐに眠りにつくことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




長文過ぎてごめんなさい。思った以上に長くなってしまったよ……

だがしかし!ここは自分が1番か2番目位に書きたかったとこなので力を入れてしまうのは仕方ないのだ!!!


少しだけだが、主人公?サイドの面々との絡みがかけて満足満足、一本満足バー!

こ、これで俺も……安心して寝れる……おやすみ……
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