人間、諦めが肝心と誰かが言っていたから大丈夫だろ!
最近寝不足で頭が働かないんだけど、どうすんのよ俺!?
正解は〜……Cエごほんっ、本編の後!!
暗く長い道を黙々と進み、血を撒き散らしながらも体を動かし続ける。
「……はぁ……はぁ……あそこか……」
前方から聞こえてくる音に向かって歩み続ける。鞘を持つ右手に自然と力が入り、痛みを堪える為歯を食いしばる。
「……はぁ……はぁ…………あれは……真希か……ガハッ」
尚も歩き続けていると見慣れぬ場所に辿り着き、そこで見知った人物を見つけた。
「ここで何をしている……」
「ゼロか……その怪我はどうしたんだ!?」
「気にするな……ただのかすり傷だ……ガハッ」
「そんなわけないだろ!早く手当てしないと!」
「要らん……それよりここで何をしている……」
「それは……」
「そっちに何かあるのか?……あれは……紫様か……」
「……ゼロはあれを見ても驚かないんだね」
「まあな……そうか、奴は……大荒魂は……やはりこうなったか」
「ゼロ、君は知っていたのか?」
「最初から知っている……これで奴とも終わりだな……」
「知っているだと?それなら何故……ゼロは今まで共に行動していたんだ!」
「……契約だ……人々に危害を加えなければ協力すると……」
「……なんでそんな事を?」
「皮肉な話、奴のお陰で荒魂による被害は減った……だから、協力していた……それもここでおしまいだがな……最後に貴様に会えて良かった」
「ゼロ?」
「別れの挨拶ぐらいはしておきたかったからな……さよならだ、真希」
「何を言っているんだ?おい!待ってくれ!ゼロ!」
真希の呼び止めに応じず、その場から紫様……大荒魂がいるフロアへと飛び降りる。
「お前の剣は私に届く事はない。折神紫を超える刀使は……」
「大荒魂が刀使を名乗るとは……世も末だな」
苦しくて息もままならないながらも、必至に平静を装いながら大荒魂を挑発する。
「貴様は……ゼロ……」
「久しいな、紫様……今は大荒魂と言った方が良いか?」
「な!?ゼロ、お前は気づいていたのか!?」
「無論だ……紫様に初めてあった時から気づいていた……そうだよな、大荒魂」
「そうだ。ゼロ、貴様は初めて会った時から私の正体に気づけた唯一の人物だ」
「最初からだと?それならどうして奴に協力していた!?答えろゼロ!!」
「……あの時の奴は無害だったからな……奴のお陰で無駄な血を流す者も減った。故に、協力したまでだ」
「やはり貴様は敵だったのか……」
「……そう解釈するのが自然か……別に恨んでも構わない……だが、今は先にやる事があるので話は後だ」
「……何をするつもりだ」
「奴に一矢報いるだけだ……大荒魂よ、初めて会った時の契約を覚えているか?」
「ああ、覚えているぞ」
「そうか……それでは、人々に危害を加えた時……貴様を斬ると言ったのも覚えているな?」
「ふん、そんな事も言っていたな……それがどうした?」
「……ここに倒れている刀使達も同じく人だ……先程から見ていたが、貴様自ら危害を加えていた……故に、俺は契約通り貴様の敵となり貴様を討つ……異論はあるか?」
「ふん、戯言を……今の貴様に何が出来る?そんな体で私を討てるとでも?」
「確かに無理かもしれない……だが、それでも俺は……全身全霊をもって貴様を討つ!」
「まさか貴様がここまで愚かだったとはな……やってみるがいい」
「そのつもりだ……出し惜しみしている暇が俺にはない……悪いが手加減なしで相手させてもらうぞ!」
鞘から刀を抜き出して切っ先を向け、今も余裕な態度を見せている相手を仮面越しに睨みつける。
「……せいぜい足掻いてみせろ」
「……ふん、俺に猶予を与えた事を後悔するなよ?」
刀を握る左手と鞘を持つ右手を下ろして深呼吸し、大きく息を吐いてから地を思い切り蹴って相手の懐に移動する。
「はぁぁ!!」
思い切りよく刀を振り上げて胴体を斬ろうとするも、簡単に刀で受け止められ残りの5本の刀がそれぞれ別の方向から斬りかかってくる。
「遅い!」
5本の剣を見極めて避け、避けきれなければ鞘で軌道を変えて逸らし、下段からの斬り上げには自身の持つ刀を振り下ろして弾く。突きの攻撃を仕掛けられれば刀で逸らして横に受け流し、上段からの振り下ろされた攻撃は半歩程体をずらして最低限の動きで躱す。
「……なぜ当たらない」
「ふん、貴様の攻撃は手数が多すぎる……だからこそ、重ならないようにする為僅かな隙が出来ているのだ……刀が多ければ勝てるとでも思ったか?」
「貴様っ!!」
挑発にのった大荒魂が先程よりも速度を上げて斬りかかるも、今度は腕を下ろしたまま全てを躱しながら徐々に距離を詰めていく。そして、自身の間合いに入ったところで斬り上げてまずは左腕を肩から分断し、そのまま体を回転させて攻撃を避けた後に切り上げた状態のままの腕を振り下ろして右腕を肩から切り離す。
「……凄い……これがゼロの実力……」
「あり得ない……貴様は一体何者だ……」
「貴様がよく知っているはずだ……親衛隊第0席のゼロだ……今は、元だがな」
「おのれゼロ……刀使でもない貴様に何故勝てない……」
「それは俺が人間だからだ……貴様には分かるまい……これこそが人という脆弱なる存在の力だ……」
「……ゼロ、貴様は絶対に排除しなくてはならない」
「ふん、やってみるがいい……荒魂である貴様に出来るか?」
「貴様ぁ!!」
尚も写しを張り直せない様に斬り続ける事で、大荒魂は残った4本の刀で対処するのが精一杯の中互いに語り合う。それからも繰り広げられる目の前の異様な光景に、少女は刀を持ちながらも目を奪われていた。
「これがあいつの……終焉の異名を持つゼロの戦い……一体何者なんだ?」
幾度も打ち合う中、負傷しながらも傷1つつけられていない人物を見ながら少女は呟く……これならば大荒魂を倒せるのではないかと思った矢先、事態は最悪な結末へと向かった。
「……くっ!」
「……終わりだ、大荒魂よ」
4本のみとなり先程より隙が生じるようになった大荒魂が、全ての攻撃を今まで避けていた人物の行動が予測できず、避けられると思った4本の刀全てを弾かれて互いにぶつかり合う。まるで軌道を読んでいたかのような剣さばきに驚愕して隙を生んでしまい、それを見逃すはずもないゼロは切っ先を大荒魂が取り憑いている折神紫の心臓に向けて突きを放った……
「……な!?」
だが、突然ゼロの体から急激に力が抜けていき動きが鈍くなる。人であれば気づかない程の変化であったが、目の前の大荒魂には見抜かれてしまい、一本の刀に全神経を集中させて隙が生じているゼロの腹を突き刺した……
「……ガハッ……タイムリミットか……」
「ふん、残念だったな」
「……流石に分が悪かったか……」
大荒魂が刀を抜くとゼロは膝をつき前のめりに倒れた。
「ゼロ!」
「……ゴホッゴホッ……やはり最強の……刀使と言われるだけの実力があるな……」
「……貴様が最後、刺し違えていれば倒せたかもしれなかったものを……ゼロ、何故貴様は最後躊躇した?」
「……はぁ、はぁ……共に過ごした仲だから……憎くても貴様を……殺したくないと思ってしまった……ゴフッ……はぁ……」
「ふん、本当に貴様は面白い奴だな……荒魂相手にそんな事を言うのは貴様ぐらいだ」
「……俺は……己の心に従ったまでだ……はぁ……はぁ…………」
「ゼロ、せめてもの情けだ……お前はそのまま果てるがいい」
「………………」
「ゼロ!!」
「無意味だ。その人物は既に虫の息だ……もうじき息絶えるだろう……」
「そんな……」
「人の心配をしている暇があるのか?次はお前だ……十条姫和」
「……ああ、そうだな。お前は私が倒す!!」
「姫和……逃げ……ろ……」
「……すまないゼロ……私はここで逃げるわけにはいかない!」
「お前に出来るのか?……ゼロが動けない今、折神紫に敵う者はこの世に……」
大荒魂が最後まで言い切る直前、後ろから物音が聞こえてきた。
「紫、久しぶり!」
先程まで倒れていた少女が立ち上がりながら刀を左右交互に持ち替え、友達に挨拶するような気軽さで話しかけてきた。
「……湊」
「……可奈美?」
「……貴様は……誰……だ……」
共に戦ってきた仲間である少女の雰囲気の変わりように、姫和と俺は違和感を覚える。
「……あり得ない」
大荒魂から発せられる言葉の意味が分からず困惑するのも束の間、限界間近の状態で意識を繋ぎとめていた俺に突然の目眩が襲ってきた。
「……クソッ……まだ……終わってない……のに……」
突然の目眩に抵抗できず、結末を見届けられないまま俺は……意識を手放した……
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次に目覚める事はないと思っていたが、眩い光が瞼越しに伝わってきたせいで無理矢理覚醒させられて意識が戻り始める。
「……案外俺もタフだな……」
意識を失った後、どれ程の時間が過ぎていたのかも分からずにいる俺は、何よりも気にしていた2人の少女達の生死を確認する為目を開けて周囲を僅かに動く首を動かして確認する。
「……いた……ここからじゃ分からないな……っ!」
体に力を入れると腹が痛み、悲鳴をあげそうになるのを我慢しながらゆっくりと体を動かし、両手をついて身を起こす。そして、両手に鞘と刀を持ち、刀の切っ先を地面に突き刺して自身の体を支えながら足に力を入れて立ち上がろうとするも、バランスを崩して倒れる。それでも諦めずに再度立ち上がろうと試みるが上手くいかず時間がかかり、何度目かになってようやく立ち上がる事が出来た。まだ不安定なバランスの足取りでゆっくりと倒れている2人の元まで歩み寄り見下ろすと2人の吐息が僅かに聞こえてきた。
「……はぁ……はぁ……生きているな……だが……一体何が起きた?」
そこには2人の少女の他にもう1人、大荒魂でもあった折神紫が近くで倒れていた。細心の注意を払いながらその姿を観察していると、そちらも僅かに胸が上下していたので刀を構える。
「……攻撃してこないか……だが、安心はできないな」
先程までの姿と違い、今は普通の人にしか見えない折神紫相手であっても警戒を解くような真似はせず、ポケットに隠し持っていたスペクトラム計を取り出して荒魂の存在を確認する。
「……反応しないだと?……あり得ない……奴は……折神紫の体から離れたのか……それとも、この2人が……荒魂だけを消し去ったのか?」
今も目を開けないまま息をしている2人を見ながら現状を分析するも、見ていなかった俺に分かるわけがないと結論づけて考えるのを止めた。
「まあいい……これでようやく終わりだ……見ていてくれたか……結芽」
救えなかった少女の名を呟き上を見上げる。本当は自身の手で終止符を打ちたかったが、同じ結末を迎える事が出来たので素直にその事実を受け入れた。
「……ゼロとして生きるのもこれで終わりだな……さようなら……紫様」
今まで共に過ごしてきた人物であったのが、今ここにいる折神紫なのかは分からない。それでも、礼儀として本人に聞こえずとも別れの挨拶を告げ、その場から立ち去った……
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立ち去った後、親衛隊ではなくなったので荷物を片付ける為本部へと戻る。途中、周囲を見回している真希や意気消沈している鎌府学長とその傍に居る夜見、結芽を抱えながら歩いている寿々花を見かけたが、全て遠回りしながら会わないように移動した。合わせる顔がない……今までどんな顔をして接していたかも分からなくなっていたので、会わないのが最良だと自分に言い聞かせ、本部にある自室まで誰にも会わないようにして戻った……
「……廊下とかに血痕をつけてしまったが、沖田に後は任せるか……着替えも部屋着と替えのスーツ1着しかないから軽いな……本当に俺には休日が体を休める為のものでしかなかったのだな……これ以上考えないようにしよう……」
血のついたスーツを脱いで袋に入れて縛り、怪我した場所を包帯で巻いてから部屋にあった替えのスーツに着替え、部屋着などは大きめのボストンバックに詰め込む。刀は竹刀袋に入れて怪しまれないように隠し、二台のスマホを初めから備え付けてあった机の上に置く。最後に本を何冊かバックの中に詰めてから持ち上げ、竹刀袋を肩にかけてから締めに掛かる。
「……これでもうここには2度と足を踏み入れないだろう……アディオス」
名残惜しいがこれ以上ここにいてはいつまでも、結芽の死を思い出し引きずってしまいそうだったので窓を全開にして逃げるように飛び降りた。地面に着地すると間髪入れずにその場から走り出して敷地から遠く離れた場所まで逃げる。追っ手が来ることも考慮して、とにかく走って走って走り続ける……
体力が尽きるまで闇雲に走り続けていた体が限界に近づき、思わず何もない所で躓いて盛大に転び、荷物を全て手放した。
「どわぁ!……痛っ、俺にはドジっ子の才能でもあったのかよ……はぁぁぁ」
倒れて仰向けになりながら夜空を見上げると、星々が無数に輝いていて少しの間眺めていた。
「本当に色々あったな……親衛隊はこれからどうなるんだ?……いや、俺にはもう関係ない事か。そもそも人1人も救えない俺が考える事自体間違っている……それに、あの3人なら何とかなるだろ……結芽ちゃんには生きていて欲しかったな……」
最後の時も側に居る事が出来なかったのを悔やみ、自分を責めた。そんな事しても意味が無いとは知っていても自分の不甲斐なさを責めずにはいられない……
「過ぎた事を考えていても生き返る訳じゃないんだ、前を向いて歩かないと……それは分かってはいるんだけどな ……はぁぁぁ、これからどうするかな?」
今後の予定を決めないまま逃げ出した俺は、これからの人生を夜空を見上げながら1人、山の上で考える……
「……決めた。次があるか分からないけど、今度は誰も失わないように自分を磨こう……」
時間を確認する事もなくひたすら悩み続けた結果、2度と同じ過ちを繰り返さないために今度はゼロとしてではなく、神条零次として生きていく事にした。
「そうと決まれば家に帰るとするか……でも、後少しだけここで気持ちの整理をしてからだな……」
酷く疲れきった心を癒す為、もうしばらく星を眺めながら1人だけの時間を過ごしてから家に帰った……
そうだ、寝ればいいじゃない……だって、PTSDの患者だって寝ていたら治ったと聞いたことあるもん!!
……まあまあ、そんな事を気にしていても仕方ないので放置しておいて……
やっとこれで波瀾編に次から突入だーーーーーーー!!!!!!