どうも話を短くするのが苦手だ……
群馬から帰ってきてからというもの、仕事が前よりもハードになるも文句は言わずに仕事をこなしていく日々を過ごした。数日前には徹夜する程の激務があったにも関わらず、今日も俺の仕事は相変わらず増えることはあっても減ることはない。それでもひたすらに続けていられるのは、今こうして目の前にいる人物がいるからなのかもしれない。
「神条さん。ここでの生活はどうですか?かなり無理をされているとお聞きしましたが?」
そう、折神朱音様が俺の身を案じて局長室へ招いてくれたのだ!
「いえいえ、そんな事はありませんよ。確かに仕事は少しばかり多いですが無理という程ではないので大丈夫です」
「そうですか……もしも何かあれば言ってくださいね?」
「はい。その時は朱音様にご相談します。まあ、そんなことは起きないとは思いますけどね。はっはっは!」
「ふふふ、そうですね。それが一番です」
「まったくです。でも、こうして朱音様とお話し出来るのであれば吝かでもありませんね」
「ありがとうございます。お世辞でもそう言って頂けると嬉しいです」
「いえいえ、本心ですよ……それに、コーヒーまでご馳走になれるともなれば毎日ここへ訪れたくなりますね……なーんて、冗談ですけどね」
「ふふふ、相変わらず愉快な方ですね」
「ありがとうございます。……まさかこうしてここへ招かれるとは思っていませんでしたよ。最初聞いた時は内心動揺しましたね。まさか朱音様も真庭本部長のように無茶振りするのかと」
「そんな事はしませんのでご安心下さい……神条さんにはいろいろとお礼がしたかったんです。貴方のおかげで職員の方々の負担が減りましたので」
「あははは、ほとんど真庭本部長からの無茶振りが原因なんですけどね。ですが、少しでも力になる事が出来ているのなら良かったです」
そう言ってからコーヒーを一口すする。目の前の天使……いや、女神様を見ながらコーヒーを啜る……悪くない、むしろ最高である!あの法被を羽織っている人物とは大違いだ……ああ、どうして人はこうも違うのだろうか。同じ女性だというのに……
「不思議だなぁ……」
「どうかしましたか?」
「いえ、何でもありません……それにしても、俺が言うのもアレですが良いんですか?俺がここに居ても?」
「ええ、構いませんよ。今日は神条さんにコーヒーをご馳走しようと考えていましたので」
「そうなんですか?それはありがとうございます」
「それはこちらの台詞です。今日はお休みでしたのにお呼び立てして迷惑ではありませんでしたか?」
「そんな事微塵もありませんよ。むしろ光栄です」
「そう言って頂けるとこちらとしても有難いです」
「えーっと、どういたしまして?で良いんですかね?」
「ふふふ、はい。それでいいと思いますよ」
目の前の人物が微笑むと俺の視界が一面眩い光で覆い尽くされていく……今日は何て最高な休日なんだろう……今日一日ずっとこうして癒されたい。
俺は今の時間を大切にしたいと思いながら、朱音様と世間話をしようと口を開きかけると、不意にドアがノックされる音が聞こえてきた。
「はい、どうぞ入ってください」
「失礼します」
ノックした人物が部屋に入ると俺の視界は一気に光を失い色を失っていく気がした……そう、何故ならば奴が現れたからだ。
「真庭本部長 ……」
「ん?神条か?今日は休暇だったはずだが」
「今日は朱音様にご招待されたんですよ」
「そうなのですか朱音様?」
「はい。彼にはお礼がしたかったのでこうしてコーヒーをご馳走しているのです」
「と言う事ですよ真庭本部長……それで、朱音様に用事でもあるんですか?」
「ああ、そうだ。朱音様、少しよろしいでしょうか?」
「何かあったのですか?」
「ええ。少しばかりお話しておきたい事があるので、申し訳ありませんが作戦本部まで来て頂けないでしょうか?」
「朱音様、俺の事は気にしなくていいですよ」
「神条さん……分かりました。すみませんが少し席を外しますね」
「分かりました。俺も帰った方がいいですか?」
「いえ、神条さんさえよろしければここに居てもらって構いません」
「そうですか……特にやることもないのでお言葉に甘えます」
「分かりました。もしも帰る際は作戦本部にいますので声をかけてください」
「了解しました」
「神条、悪いな」
「気にしないでください真庭本部長、俺はここでコーヒーを飲みながら気長に待ちますよ」
「そうか。あまり寛ぎすぎるなよ?」
「……善処します」
「そうしておけ。それでは朱音様」
「ええ。それでは神条さん、失礼します」
こうして俺の最高の1日の幕は、真庭本部長によって閉じられた……朱音様と真庭本部長が部屋から出て行き、1人残った俺は真庭本部長に怒りを覚える……
「なんてな。 原因は例の襲撃犯か荒魂だろうから別に恨みなんてないけどね……さて、これから何して暇を潰そうかな?」
話し相手もいない中、やる事もない俺は……現代社会に生きる1人として、迷う事なくスマホを取り出してソシャゲを始めた。
「目指せ!ノーダウンクリア!」
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あれからずっとソシャゲをやって時間を潰していたが、とうとうゲージが尽きてこれ以上進める事が出来なくなったのでスマホをポケットにしまう。その後、まだ飲みかけの冷めたコーヒーを口にする。
「……冷めると少し味が変わるが美味いな」
香りも弱くなるも、ほんのり香るコーヒーの匂いは嫌いではない。そうしてまた一口コーヒーを飲んでいると、ドアの向こう側から声が聞こえてきた。
『この中でお話ししますので、皆さん入ってください』
ドアが開く音が聞こえ、続々と誰かが入ってくる。それでも俺はコーヒーを啜る事をやめない。
「なんだ神条、まだいたのか?」
「うぐっ……真庭本部長、その言い方は酷くない?」
あまりの扱いの酷さに俺は本人に向きなおり訴えると、その近くには約半数見た事がある顔ぶれが集合していた。
「「「零次!?」」」
「零次さん!?」
「あれ?皆久しぶりだね」
「舞衣ちゃんの知り合い?」
「う、うん。この前偶然会ったんだ」
「なんだエレン、お前も知っていたのか?」
「ハイ!この前任務でお会いしたんデス!薫とさーやも知っているのですか?」
「おー。この前の任務で一緒になってなー」
「私も、任務で一緒になった」
「そういえばお前達4人は神条と会った事があるんだったな」
「ハイ!でもどうして零次がここにいるのデスカ?」
「今日は朱音様にご招待されてね。今はコーヒーをご馳走になっていた所だったんだよ」
「そうなんですか朱音様?」
「ええ。彼にはお世話になっているので何かお礼をさせて頂こうと思いまして」
「あははは、そこまで大した事はしていませんけどね……さて、俺は席を外した方が良さそうですね」
「待て神条……朱音様、彼にも同席させませんか?」
「そうですね……彼は例の者達と面識がありますから、お伝えした方が良いでしょう」
「ありがとうございます……そういう事だ神条、お前もここに残れ」
「うん、全然理解できていないんですが。そもそも俺に拒否権はないんですか?」
「そんなのあるわけないだろ」
「予想以上に真庭本部長がブラックな件について」
「何か言ったか?」
「いえ何も……まあ特に今日はやる事もないのでいいですけどね」
「そうかそうか。素直な奴は嫌いじゃないぞ」
「すみません、俺は真庭本部長みたいな人はちょっと遠慮しておきます」
「あぁん?」
「ひぃっ!?すんません!何でもないです!今のは冗談です!」
「まったく、相変わらず減らず口を叩く奴だ」
「それはお互い様ですよね?……あ、いや何でもないです」
「はぁぁぁ、お前の相手は疲れる……まあいい、それでは朱音様」
「ふふふ、それでは皆さんはそちら側へ」
朱音様から勧められて約2名程はソファに座り、他の者はソファの後ろに並び立つ。そして、反対側のソファには朱音様が座り、その側に真庭本部長が立つと朱音様が話し始め、写真をテーブルに置く。
「今のところ、確認されてるのは2人います。1人は獅堂真希で間違いないでしょう……そしてもう1人は、そもそも刀使ではありません」
「刀使じゃない?じゃあ……」
「タギツヒメです」
「え?」
「え?」
「え?」
「っ!?」
「タギツヒメは5ヶ月前の戦いで隠世に追いやったはず。もう復活したのデスカ?」
「誰に取り憑いたんだ……」
「ふむふむ、なるほど……さっぱり分からん!」
「神条?今大事な話をしているからちょーっと黙ろうな?」
「……はい」
「いえ、今のタギツヒメは人に取り憑いているわけではありません。荒魂自体が人の姿で現れたのです」
「そんな事が?」
「……駄目だ。全然話についていけない」
「零次、お前タギツヒメを知らないのか?」
「いやいや知ってるわけないじゃん。俺刀使じゃないんだよ?」
「……そういえばそうだったな」
「そういう事だ……それでタギツヒメとは?」
「まぁ難しい事を言っても分からないだろうから、今は荒魂とだけ覚えておけ」
「なるほど、とても分かりやすいな 」
薫ちゃんから猿でも分かるレベルでタギツヒメについて教えてもらっていると、突然ドアがノックされる。
「入ってください」
朱音様が入室を促すとドアが開き、職員がファイルを手に持ちながら入ってきた。
「失礼します……局長代理に、市ヶ谷から連絡が」
そう言ってファイルを朱音様に手渡し、それを朱音様が受け取って目を通すと表情が変わった。それを今度は真庭本部長に見せると、朱音様と同じく、あの!真庭本部長が驚いていた。
「これは……」
「ようやく許可が降りましたね……衛藤さん、十条さん。2人は明日、私と一緒に市ヶ谷の防衛省まで同行してください。護衛任務です」
いきなりの朱音様からの申し出に戸惑う2人、そんな2人を見て呑気にコーヒーを飲みながらぼやく俺……
「護衛任務ねー。刀使の方も大変なんですね……このコーヒー、また味が変わったが美味いな」
「何を他人事みたいに言っているんだ神条は」
「いえいえ、他人事ですから。はっはっはっは」
「……朱音様、あそこの馬鹿も同行させてはいかがでしょうか?」
「だって薫ちゃん」
「オレかよ!?お前のことを言ったんだろ!」
「いやいや、俺の名前は零次だから違うでしょ「神条、お前の事だ」……え?俺なの?」
「そうだ。お前でも盾代わりはなるだろ……という事で、どうでしょうか朱音様」
「えーっと、彼は大丈夫なのでしょうか?」
「安心してください。彼は頑丈なので盾としては優秀ですよ」
「そこなの!?というか俺は盾じゃない!」
「うるさいぞ神条」
「俺の扱いが雑すぎやしない?ねぇ?」
「……朱音様、何かあった時の備えとして彼を同行させた方がよろしいかと」
「え、ええ。確かに備えて置くべき相手ですが……よろしいのですか?」
「はい。問題ありません……そうだな?神条」
「いや待って下さい。問題ありすぎじゃないですか?第1、俺刀使じゃないんですよ?真庭本部長は馬鹿なんですか?」
「ほう、そうかそうか。今後は仕事を倍にして欲しいか。ならば仕方ないな」
「ああ!そういえば明日は休みなんだ!でもやる事ないんだよなぁ!何か護衛任務がやりたいなぁ!!」
「それでは明日、朱音様の護衛任務が丁度あるんだが頼めるか?」
「是非!神条零次、謹んでその任務お受けいたしましょう」
「頼んだぞ……というわけで、彼の了承は得ていますので遠慮しないで下さい」
真庭本部長と俺のやり取りを見ていたこの場の全員が口を開けて唖然としている中、朱音様だけは何とか声を出した。
「そ、そうですね……それでは神条さん、頼めますか?」
「はい!喜んで!」
「そ、そうですか……それでは明日、よろしくお願いしますね」
「イエス!ユアハイネス!」
「あー、私が言うのもなんだが……お前は相変わらずブレないな」
「何を言っているんですか真庭本部長……これが俺と言う人間ですよ!」
「……まあ、念の為言っておくが迷惑はかけるなよ?」
「分かってますよ。朱音様達の安全を第一に考えて行動するので安心してください」
「……分かっているならそれでいい」
「零次……お前馬鹿なのか?」
「ちょっと待って薫ちゃん、どうしてそうなる?」
「私も薫と同じ。いくら何でもおかしいと思う」
「沙耶香ちゃんまで!?」
「零次、薫とさーやの言う通りだと思いマース」
「あれ?エレンちゃんもなの?……もしかして、舞衣ちゃんも?」
「え!?えーっと……私も皆と同じかな?」
「oh yeah……俺に味方はいなかった……クソゥ!」
俺は拳を握りながら下を向いて静かに叫んだ……
「こらこらお前達、あまり神条をいじめるな。その内泣くぞ?」
「あんたが言うか?」
「何を言っている?私は頼んだだけだ……引き受けたのはお前だろ?」
「くっ!確かにそうだが……拒否権が一切なかったじゃないか!」
「神条さん……真庭本部長、やはり彼を同行させるのはやめませんか?」
「ですが朱音様、それでは朱音様が危険に晒される可能性が高くなります」
「覚悟は出来ています。それに、十条さんと衛藤さんが居るので心配いりません」
「朱音様……分かりました。神条、そう言う事でこの任務はなしだ」
「え?いいんですか?」
「ああ、朱音様の計らいだ。断ってもらって構わない」
「そう言う事なら辞退「せっかく、1週間ぐらい休暇を与えようと思っていたが仕方ない」しません!」
「別に無理しなくていいんだぞ?」
「いえいえ、無理はしていませんよ。俺が引き受けたいから引き受けるんです」
「そうか……それで本音は?」
「そんなに休暇を貰えるなら断るわけにはいかない!」
「……神条、お前は本当に馬鹿だよ」
「酷っ!?」
「はぁぁ。まあ本人がそう望んでいるなら止めはしないが……いいですか朱音様?」
「え、ええ。構いませんが……本当によろしいのでしょうか?」
「お気になさらないで下さい朱音様、これは俺が望んだ事です。それに……俺だって力になれるならなりたいですからね」
「神条さん……本当によろしいのですね?」
「はい」
「……分かりました。それでは明日、十条さんと衛藤さん。神条さんの3名は同行して下さい」
「了解」
ようやく話がまとまったと思いきや、俺の後ろで静かにしていた少女が突然声を上げた。
「ちょっと待ってください!」
「どうした十条?」
「どうしたじゃありません!こいつを連れて行くなんて正気ですか!?」
「ねぇ君?初対面だよね?流石にこいつ呼ばわりされるとへこむんだけど?」
「落ち着け十条、こいつ呼ばわりするのは良いがこれは決定事項だ」
「ちょっ!?それは俺的に良くないんですけど!?」
「……すみません真庭本部長。私もこの人を連れて行くのは危険だと思います」
「可奈美……」
「確かに衛藤の言う通りだ……だが、危険なのはこいつも承知の上だ。そうだろ?」
「YES! OFCOURSE! 」
「……そう言う事だ」
何故か俺の返事に対し、真庭本部長は俺から顔を背けていたがその理由が分からないまま話は続く。
「ですが!?こいつは刀使ではないんですよ!?」
「あー、まあそうだな。だが、こいつが居れば危険に晒される可能性が低くなる」
「何故ですか!?」
「さっきも言ったがこいつは優秀なんだ……盾として」
「やっぱり盾なんですね……いや、もう盾でもいいですけど……」
「それとも十条は朱音様が危険に晒されてもいいと?」
「そうではありませんが……」
「納得はできないか」
「……はい」
「衛藤も十条と同じか?」
「はい。どう考えても危険です」
「……納得できるかは分からないが、こいつはフリードマンからの推薦でここに来た」
「フリードマンの?」
「グランパが!?」
「ああ。エレンと柳瀬も知っての通り、こいつの腕を見込んでスカウトしたと言っていた」
「どういう事ですか?」
「それは……例の獅堂ではない黒フードの襲撃犯をこいつが撃退したと聞いている」
「「え!?」」
「嘘だと思うならその場にいた、エレンと柳瀬に聞いてみろ」
「……本当なのか?」
「ハイ!零次がいなければ危ないところでしたヨー」
「本当なの舞衣ちゃん?」
「うん。本当だよ可奈美ちゃん……その時に私とエレンちゃんは零次さんに助けてもらったの」
「嘘……」
「……ありえない」
「本当の事デスヨ。かなみん、ひよよん」
「そういう事だ。だからこそこいつも同行させようと思うんだが……異論はあるか?」
「……いえ、ありません」
「……私も」
「いや待て、そんな大層な理由ではなかった気がするんですけど?」
「……2人とも納得できないのは仕方ない。私も朱音様も最初聞いたときは同じだったからな」
「ええ、そうですね。初めて彼とお会いした時、最初はその話を信じられませんでしたからね」
「ええ。今でも信じられませんが、エレンと柳瀬の反応を見る限り本当の事みたいですね」
「そのようですね」
「どうしてさっきから俺を無視して話が進むのかな?俺の声聞こえてるよね?」
今も尚顔を背けて俺の声にも耳も向けずに話を進められて、俺も負けじと真庭本部長を凝視する。
「零次、お前が普通じゃない奴だとは薄々気づいていたが……まさかそこまでだったとはな」
「零次は何者?」
「え?あー……沙耶香ちゃんには悪いけど、俺はただの学生だよ。襲撃犯を撃退したのだって運が良かっただけだからね」
「運が良いだけで退けられるほど、タギツヒメは甘くない」
「えぇ〜……そう言われても困るんだけど……そんなに危険なの?」
「危険なんてものじゃない、奴は……災厄だ」
「んー?……なるほど!災厄と最悪をかけてるんだね!」
「……朱音様、真庭本部長、本当にこんな奴を同行させるのですか?」
「……十条、言いたい事は分かるが耐えてくれ。私も少し不安になってくるから」
「大丈夫……だと思いますよ十条さん。少しばかり不安な事はありますが、彼は良い人です」
「気のせいか?俺の印象が最底辺まで落ちたように感じるのは」
「いや、気のせいじゃないだろ」
「ねねっ」
「そこはフォローしてくれるとこじゃないかな?」
「そんなのオレが知るか」
薫ちゃんから言われた事は最もな事だったので、俺は今の自分の状況を受け入れた。
「……ふっ、男というものは常に孤独と隣合わせに生きているとは、こういう事だったのか……」
「何を言っているんだお前?」
「気にするな……それはさておき、朱音様の盾代わりにはなるのでよろしくお願いします」
「……こいつもこう言っている事だ。十条、衛藤、仲良くとは言わないが同行させる事を許してくれ」
「……朱音様がよろしいのであれば私はこれ以上何も言いません」
「姫和ちゃん……私も、朱音様が安全になるなら賛成です」
「十条さん、衛藤さん……私は彼にも同行して頂きいと考えています。よろしいですね?」
「「はい」」
「それでは明日、あなた達3名には市ヶ谷まで同行してもらいます」
「神条の事は気にしなくていいから、朱音様のことを頼んだぞ。十条、衛藤」
「任せてください」
「はい」
「……やはり俺の扱いが雑だな」
「何か言ったか神条?」
「神条零次、この命に換えてもお守りいたします!」
「ああ、期待しているぞ……盾として」
「ふっ、もう盾でもいいですよ……神条零次の本気、見せてやります!」
「ふふふ、それではお願いしますね神条さん」
「了解!……と言うわけで、明日に備えて準備をしないといけないのでこれで失礼しますね」
「急にどうした神条?準備も何もお前には必要ないだろ?」
「いやいや、最悪の場合はこの身を盾にしてお守りしますけど、俺だって死にたいわけではありませんからね……その為の準備ですよ。ではこれにて失礼します」
冗談半分のセリフを吐いてソファから立ち上がり扉まで歩き、俺は背後から聞こえる真庭本部長の声に振り向かずに片手を上げてからドアを開けて部屋から退出する。
「ちっ、神条のやつ無視しやがって……今度会ったら仕事を増やしてやる」
「真庭本部長落ち着いてください」
「んんっ……失礼しました朱音様」
「なあおば……本部長。本当に零次のやつを同行させるのか?」
「ああ、そのつもりだ。何だ薫、神条の事が心配か?」
「べ、別にそんなんじゃねーよ!!」
「ほう?そうなのか?」
「ったりめーだ!大体あいつを心配する必要がないっておばさんも言ってたじゃねーか!」
「薫どうしたんデスカ?顔が真っ赤デスヨ?」
「はぁ!?そんな訳ねーだろ!……エレンは、零次の事心配じゃないのか?」
「私デスカ?私は全然心配なんかしていませんヨ!だって零次デスカラ!」
「それはどう言う意味なんだ?」
「そのままの意味デース!マイマイだって心配してないと思いマスヨ?」
「そうなの舞衣ちゃん?」
「う、うーん……どちらかと言うと朱音様達が心配かな?」
「どういう意味だ?」
「別に可奈美ちゃんや姫和ちゃんを信じてないわけじゃないよ。ただ……」
「ただ?」
「零次さんがタギツヒメを庇ったりしたら問答無用で斬らないか心配かな」
「はぁ?タギツヒメを庇うだと?」
「うん。零次さん、優しいから庇うかもしれない……この前だって、襲撃犯を斬った時謝ってたし……」
「……益々あいつが何を考えているのか分からなくなってきたぞ」
「ははははは!」
「真庭本部長?」
「どうしたんですか紗南センセー?」
「ああ、悪い悪い。まさか斬った相手に謝るとは予想外過ぎてな……本当に神条は面白い奴だ」
「いやいや、そこ笑うとこじゃないだろ?」
「そうは言ってもな。薫、お前は斬った相手に謝るか普通?」
「いや、ないな」
「そうだろう。そもそも謝る位なら御刀を向けない……まったく、本当に訳の分からない奴だな」
「おいおい、そんな奴をここに置いといていいのかよ、おばさん」
「誰がおばさんだ誰が……そうは言ってもあいつはよく働くからなぁ。それにあいつがタギツヒメに手を貸すと思うか?」
「それは……無いと思う……」
「そうだろ?それに神条なら何か理由をつけて逃げる筈だ」
「あー、確かにありそうだな」
「零次ならあり得ると思う」
「そうなの沙耶香ちゃん?」
「うん。この前の任務で真庭本部長にいろいろ言って断ろうとしていたから」
「まあ、本部長は聞く耳持たないから無意味なだけだがな」
「でも、最後には必ず引き受ける」
「沙耶香、それはおばさんがそういう状況を作っているだけだぞ」
「おい薫、人聞きの悪い事を言うな。それと、本部長と呼べ」
「オレは事実を言ったまでだ!」
「そうかそうか。お前も仕事を増やして欲しのか」
「一言も言ってないだろ!……ったく、これだからブラックな上司は嫌なんだ」
「聞こえてるぞ……こほんっ、話が長くなったな。明日は十条と衛藤がいない分、他の者は荒魂が出現した時はよろしく頼んだぞ」
「「「「了解」」」」
「十条と衛藤は明日、朱音様の護衛を頼む」
「「了解」」
「十条さん、衛藤さん。明日はよろしくお願いしますね」
「「はい」」
「話はこれで終わりだ。それでは解散!」
彼がいない間に,、非常識な所を褒められてる?事を彼は知らない……
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退出してから神条零次は準備を着々と進めて……いなかった。
「明日に備えて食いだめしておかないとまずいよなぁ……という訳でこれから数字よりも実は種類が多いアイスの店に行ってくると思うですが、一緒にどうですか?」
「うん、ごめん。全然話がわからないんだけど?」
「はっはっは!冗談はやめてくださいよ沖田さん。笑えませんよ?」
「いや笑ってるよね?それに冗談じゃないんだけど……よく分からないけど、明後日の書類は減らせばいいんだね?」
「はい。もしかしたらこの前のように、明日に戻ってこれるか分からないので……お願いできませんか?」
「分かった。そういう事なら仕方ないね」
「ありがとうございます……さてと、そろそろ行かないといけないのでこれで失礼します」
「え?本当にアイス食べに行くの?」
「まさかぁ、アイス以外も食べに行きますよ」
「そこなの!?」
「何がですか?」
「そういう意味で聞いたんじゃないんだけど……まあいいや、それじゃ明日は頑張ってね」
「はい。では失礼します」
部屋に戻る前に立ち寄った作業部屋で沖田さんと少し仕事の話をしてから、明日に備えて俺は街へと出向いた。
「今日は食のお祭りじゃーーーーーー!!!!ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
まさか明日、彼があんな状態になるとは……誰にも予想出来なかった……
やっと2人との面会だったけどあまり絡ませることが出来なかった……
だが、これからは2人の出番が増えるのでそこでたくさん絡ませたい!……という作者の願望。
次回を期待してくれ!!