変境で育てられた自称常識人   作:レイジャック

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久しぶりに好調に書けたので投稿します。


連日投稿なんて久しぶり過ぎてなんだか嬉しい



……まぁ、相変わらず駄文だけどねー


未だ認識がズレている男

昨日護衛任務の話が上がって、その任務を了承して護衛につく事になった俺は今日、昨夜に真庭本部長からの連絡で聞いた予定時間通りに支度を整えて集合し、あの!お偉いさんがよく乗っている車に乗り込む。そして、現在は朱音様の隣に座り絶賛吐き気を我慢している所だった……

 

「うぷ……気持ち悪い……」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ。この程度なら何とか ……心配いらないよ……君は確か衛藤さん?だったよね」

 

「はい。そうです」

 

「良かった、間違ってはいないみたいだね……昨日は自己紹介出来なかったから改めて……神条零次です。呼ぶ時は名前で構いません。あと、敬語じゃなくてタメで話してくれて構いませんので遠慮しないで下さい」

 

「分かりました。私は衛藤可奈美です。それでこっちが姫和ちゃん」

 

「おい可奈美!」

 

「あははは、ごめん姫和ちゃん」

 

「はぁ……改めまして、私は十条姫和です。昨日はその……無礼な言い方をしてしまい申し訳ございませんでした」

 

「気にしなくていいよ。あれぐらい真庭本部長に比べたら可愛いものだから……それと、無理にとは言わないけど敬語じゃない方がこちらとしても嬉しい。あまり敬語を使われるのは得意ではないので」

 

「……分かった」

 

「ありがとうございます姫和ちゃん」

 

「おい待て、何故そう呼ぶんだ?」

 

「え?衛藤さんがそう呼んでいたからなのですが?駄目でしたか?」

 

「いや駄目という事ではないが、他にも呼び方が……」

 

「もう!姫和ちゃんは相変わらず固すぎだよぉ」

 

「そんな事はない。これぐらい普通だ」

 

「そうかなぁ?あ、そうだ!零次さん、私の事も名前で呼んでください!」

 

「え?別に構いませんが、よろしいのですか?」

 

「はい!それに敬語じゃなくていいですよ。私達も敬語じゃないので」

 

「そうだな。可奈美の言う通りだ」

 

「えーっと、それじゃあ……お言葉に甘えさせてもらうよ可奈美ちゃん」

 

「うん!」

 

「あはははは……さて、自己紹介も終わった事だしこれからは朱音様を護衛する仲間として頑張ろうね、可奈美ちゃん、姫和ちゃん」

 

「うん!頑張ろうね零次さん、姫和ちゃん」

 

「当然だ……それよりその呼び方はどうにかならないのか?」

 

「え?駄目か?……それ以外の呼び方と言えばひよよん・ザ・ないぺっ…!?」

 

「おい貴様、今のは何だ?」

 

「な、何のことかなー?」

 

「惚けるな、今何か言いかけていただろ」

 

「え、いや、その……あれだよ!薫ちゃんがこの前姫和ちゃんの事をそう呼んでいたんだ!断じて俺がそう呼んだ訳じゃない!」

 

「あのちんちくりん……次に会ったら斬る」

 

「姫和ちゃん!?落ち着いて!?」

 

「何を言っている可奈美、私は落ち着いている」

 

「えぇぇぇ……」

 

「ふふふふふふ」

 

「あ、すみません朱音様」

 

「いえ、別に構いませんよ……あなた達を見ていたら少し気分が楽になりました」

 

「朱音様も俺と同じで酔っていたから黙っていたんですか?酔い止めの薬あるので飲みますか?」

 

「ふふふ、違いますよ。酔っていた訳ではないので大丈夫です」

 

「そうですか……何かあったらすぐに言って下さいね?」

 

「分かりました。その時はすぐに言います」

 

「ええ、そうして下さい……もしも朱音様に何かあれば、後で真庭本部長から何をされるか分からないので本当にお願いします」

 

「零次、お前……苦労していたんだな」

 

「姫和ちゃん?どうしてそんな可哀そうなものを見るような目でこっちを見るのかな?」

 

「零次さん……何かあれば言ってね?」

 

「待って、だから可奈美ちゃんもそんな目で俺を見ないで!」

 

「零次……安心しろ、朱音様は私と可奈美が守る。だからお前は休んでいろ」

 

「やめてぇぇぇ!優しくしないでぇぇぇ!逆に気づくからね!?」

 

俺が本心からこの場で訴えるも相手にされず、俺の様子を見て3人とも笑い出した。

 

「何故だ……何故誰も理解してくれないんだ……まさか、真庭本部長が洗脳しているのか!?」

 

1人でこの状況を考え始めていると、少しずつ気分が悪くなり考えるのをやめて俺は大人しく口を閉ざして窓の外を眺めながら吐き気を我慢した。俺の具合を見てから……ではないが、会話がなくなると他の者達も黙りしばし沈黙が流れる。それがどれ位続いただろうか、俺の具合も喉元まで何かが込み上げて流れるのを必死に堪えていると、突然可奈美ちゃんが口を開いた。

 

「あの、防衛省で護衛って……一体何があるんですか?」

 

「これから、とある重要な相手と面会します」

 

「重要な相手?」

 

「とても重要な相手です。正直なところ、何が起こっても不思議ではない……だからあなた達に同行をお願いしたいのです」

 

「私達でお役に立てるんですか?」

 

「あなた達でなければ、駄目なのです」

 

「私達でなければ……っ!」

 

「もしかして……」

 

「……あぁ、やっぱり俺は蚊帳の外……うっ」

 

「零次さん!?」

 

「……大丈夫、防衛省までは持たせてみせる……ぜ……ぅぅ」

 

「大丈夫ですか神条さん?」

 

「き、気にしないで下さい……これぐらい大した事は……すみません、今はそっとしておいてください……」

 

「え、ええ」

 

もうすぐ噴火して口から飛び出す一歩手前の状態を保つため、その後は一言も喋らないで1人、己の糧となり消化された物を防衛省に着くまでこらえ続けた……

 

「……本当にこんな奴を連れてきて大丈夫なのか?」

 

「あはははは……」

 

「衛藤さん、十条さん。今はそっとしておきましょう……」

 

「そうですね……」

 

「零次さん、頑張って……」

 

防衛省に着くまでの間、3人から見守られていた俺は昨日食べ過ぎた事を後悔しながら外を眺める事しか出来なかった……

 

______________________________________________

 

ようやく車が止まり目的地まで無事に堪え切った俺は、いくらか楽になりながらも念の為口元を押さえ、御刀の入った竹刀袋の紐を肩から斜めにかけて背負い車の外に出て、朱音様の後ろに着いて歩く可奈美ちゃんと姫和ちゃんの後ろに着いて歩く。

 

「……不甲斐ないな俺」

 

着いて歩く最中周りの隊員や刀使の人からは変な目で見られるが、その理由が口元を押さえながら歩いている自分を想像すれば納得の出来る事だったのであまり見ないようにしながら歩く。すると、朱音様が止まったので俺は歩みを止めてじっとその場で待つ……口元を押さえながら……

 

「ご苦労様です」

 

「孝子さん!聡美さん!」

 

「久しぶりね」

 

「何故お二人が?」

 

「昨日づけで配属されたんだ」

 

「気をつけてね」

 

今し方、可奈美ちゃん達の知り合いから不穏な言葉が聞こえてきたので朱音様に聞こうと試みるも、驚いた拍子に口を開けて汚物のバーストストリームを発射するかもしれないと思い、踏みとどまる。

 

「えっと……そちらの方は?」

 

「ああ、零次の事ですか……今はそっとしておいてください」

 

「そ、そう……でも何で竹刀袋なんか持ってるの?」

 

「それは多分、身を守る為の道具が入ってるんだと思います。昨日準備していたみたいだったから」

 

ごめんよ可奈美ちゃん、実は昨日は準備としていろいろ食べまわっただけなんだ……これは毎日持ち歩いてるから今日も何となく持ってきただけなんだよ?

 

「朱音様の護衛か何かなのか?」

 

「はい。私達3人は朱音様の護衛です」

 

「そうだったのか……聡美も言ったが、気をつけるんだぞ」

 

「はい」

 

「分かっています」

 

本来なら会話に混じろうと自分自ら声をかけたかったが、今のままではマーライオンの姿を晒す事になるかもしれないのでじっと我慢する。美女や美少女との会話する機会を断念せざるを得ない状況に陥った昨日の俺に怒りが沸きながらも、そのまま目的の場所まで案内に従って向かった。

 

「この先が……」

 

これから面会する相手がいると思われる扉の前に立つと不思議と口元から手を離し俺は呟いていた。そんな俺に気づきもしないで扉が開かれて朱音様は堂々と中に入って行く。最後尾の俺も開かれたままの扉を潜り抜けて中に入ると中の光景に思わず言葉を失った。何故ならそこは何処かの場所を真似て作ったのか、殺風景な部屋で1つだけ社みたいな物があるだけだったのだ。

 

「……でも、今の俺には丁度いい。おかげで吐き気も収まってきた」

 

派手な装飾もなく不快になるような物がない為、自然と気が楽になり吐き気も収まってくる。そんな中、突然構え出した姫和ちゃんと可奈美ちゃんの行動に疑問を持つと、朱音様は社の方を見上げたまま声を出す。

 

「構えを解いてください」

 

朱音様の言う通り構えを解く2人を後ろから見守りながら、さっきの綺麗な刀使2人を思い返して再度後悔して下を向いていると、朱音様が社に向かって言葉を発した。

 

「拝顔を賜り、光栄でございます……タギツヒメ」

 

その名を聞いて驚く2人。それとは裏腹に、長船の刀使が巨乳揃いな事に気づいてしまって驚く1人……そう、俺のことだ!

 

「まさか、長船はバストサイズが入学条件に組み込まれているのか?……でも、薫ちゃんは違うからそれはないか」

 

俺の呟きに誰も気づかないまま時間は流れる……内心聞かれていなかった事に安心していると、社の方から声が聞こえた。

 

 

『その名が指すものは別にいる』

 

「では、何と?」

 

『タキリヒメと呼ぶ事を差し許す』

 

「承知しました。私は……」

 

『折神朱音、そして衛藤可奈美、十条姫和……』

 

「……あれ?俺は?」

 

まさかさっきの呟きが聞こえていたのか?だから関わりたくなくて居ないもの扱いしてるのか?……こいつはとんだ大物だな!恐るべき地獄耳の持ち主か?

 

「タキリヒメ、率直にお伺いします。あなたは我々に仇為す者でしょうか?」

 

『質問は許さぬ……イチキシマヒメを我に差し出せ。お前達の手にある事は分かっている』

 

上から目線で語る自称タキリヒメの言葉に俺は耳を疑った……まさか……俺にはMとしての素質でもあるのか?その口調、悪い気はしない!

 

『人にとって真の災いはタギツヒメ。そして、イチキシマヒメの理想に人は耐えられない』

 

「故にあなたに従えと?」

 

『我はタキリヒメ、霧に迷う者を導く神なり……人よ、我がお前達が求める最良の価値をもたらそう。タギツヒメは力を得ているはず。時間は限られている』

 

タキリヒメの今の言葉を聞いて俺は1つの可能性を導き出した。声からしてたぶん女性?の正体は……その人のSかMを見極める凄腕のプロなのだろう。故に俺も今現在試されているという事か?……だが、俺はどちらかと言えばSがいいな。痛いのはあまり好きじゃないんだ……

 

その後もこれからどんな審査があるのか内心ワクワクしていると、それ以上は何も言わずに沈黙の時が流れ、朱音様の判断により話が終わり部屋から退出した……くっ!あれは放置プレイの審査に違いない。朱音様の護衛がなければずっと残っていた自身がある!

 

「俺は……Mなのか?」

 

部屋を退出してから自分の新たな一面に納得が出来ずに悩んでいると、急に朱音様が体制を崩して倒れそうになる。それを後ろから抱きとめる……前に可奈美ちゃんが体を支えた。くっ!あと少しでラッキートラブルが起きる予感だったのに!悔しい!

 

「朱音様!?」

 

「大丈夫です……」

 

後ろからなので顔は見えないがどこか疲れているように感じたので、すぐに先程の事を忘れて朱音様の身を案じていつでも支えられるように万全の状態で後ろについて歩いた……が、それ以降倒れそうになる事は無いまま車に乗り込み本部へと帰還する。

 

「今回で2度もチャンスを逃すとは……俺もまだまだだな」

 

帰りは特に気分が悪くもないながらも、外の景色を眺めながら俺は呟いた。防衛省の門を抜けてからすぐの事であった為、すぐに気持ちを切り替えて視線を外そうとした時に偶然にも見た事がある姿が目に入った。

 

「真希か?一体ここに何しに……そうか。彼女も審査してもらう為にきたのか」

 

さっきの出来事を思い出してここに来た理由を理解すると、あまり知られたくないだろうと思い視線を外して遠くの空を眺める事にした。

 

しばらくの間ずっと空を眺めて呆然としていると、突然可奈美ちゃんが朱音様に問いかけ始めた。

 

「朱音様、あの……一体何がどうなっているんですか?教えてください」

 

「分かりました……姉の中にいた大荒魂は、あなた達に倒された後3つに別れました……先程会ったタキリヒメ、各地でノロを集めているタギツヒメ、そしてもう1つはイチキシマヒメです……私達は考え違いをしていました。姉は、大荒魂にただ体を支配されていたのではない……その身を賭けてずっと抑え込んでいたのです。それが今は、それぞれの目的を果たす為に己の意志で自由に動いている。非常に危険な状態です」

 

どうやら可奈美ちゃん達も知らなかった事だったらしく、珍しく黙って聞いていたが、俺は相変わらずよく分かっていなかったので解説者の薫ちゃんも不在の為、そのままただ朱音様の言葉に耳を傾けながら外を眺め続けた。

 

「政府の一部はタキリヒメを手放したくはないようです。ですがそれは難しいでしょう……あれは人がどうこう出来る者ではありません」

 

また少しの間沈黙が流れる。そして、窓の外の景色がトンネルの壁に変わってしまった時、姫和ちゃんが口を開いた。

 

「イチキシマヒメがこちらにあるというのは本当なのですか?」

 

「ええ。絶対に安全な所で保護しています」

 

それを最後に空気が重くなった気がした……この場で発言しても火に油だと判断し、俺はトンネルの中だから息苦しくなったのだと自分に言い聞かせて無理矢理納得した。

 

その後も空気が重いまま車は走り続け、やがて本部に到着すると俺は何事もなかったかのように車から降りる。そして、朱音様から感謝の言葉を頂いてから解散となり、俺は一目散に自室へと戻りベットに転がる……女性の間でのやりとりであそこまでピリピリした雰囲気を味わったのは初めてだったので、精神的にも疲れ果てていた事もありすぐに眠りにつく事が出来た。

 

「マジでパないんだな女って……これからは色々と気をつけよう」

 

_______________________________________________

 

次の日……昨日は無事に朱音様の護衛任務を達成した事によりご褒美として、休暇を満喫して……はいなかった。

 

「真庭本部長め……『休暇は与えると言ったがすぐにとは言ってない』とか……はぁぁぁ」

 

真庭本部長の言葉巧みな誘導によって昨日は仕事をこなしたが、まさかの休暇は来週に与えると言われ、反論しては見たもののそれ以上続けると取り消すぞと脅迫された俺は止む無く引き下がり、今は書類の整理をしていた。

 

「……女怖い……もういっそのこと逃げ出してしまおうかな?」

 

そうは言ってもチキンな俺は結局のところ実行に移せないまま諦める事が目に見えているので、俺は考えるのをやめてペンを走らせる……すると突然、スマホに電話がかかってきたので誰からか確認もせずに電話に出た。

 

「もしもし神条です」

 

『やぁ!久しぶりだね!』

 

「爺さん?」

 

『覚えていてくれていたようで良かったよ。そっちでの生活はどうだい?』

 

「休息が少なくて今にも逃げ出したい」

 

『ははははは!そうかそうか』

 

「いや、笑い事じゃないんだけど……それで、今日はどうしたんですか?」

 

『あぁ、そうだった……来週あたりに学校でテストを受けてもらいたいと連絡が入ったのでね。急で悪いんだけど、来週に学校へ行ってくれないか?』

 

「テスト……だと……!?」

 

『あぁ、流石にテストは受けてもらわないと困る。それだけは僕にはどうしようもない。授業なら何とかして出席扱い出来たんだがね』

 

「……ちなみに爺さん、テストの日程を変更は可能ですか?」

 

『無理だね。君の担任教師が無理にスケジュールを立ててもその日が限界だったらしい』

 

「つまり来週までのテストの日までしか勉強する時間がないと言う事……本当に急ですね」

 

『ごめんよ零次君』

 

「いえ、いいですよ。こればかりはどうしようもないですからね」

 

『そう言ってくれると助かる』

 

「どういたしまして。それでは早速真庭本部長と相談してみます」

 

『あ、それならもう言ってあるから大丈夫だ』

 

「え?そうなんですか?」

 

『まあこれぐらいはね……一応紗南君も後で伝えると思うが、3日後から約2週間程度は休暇を貰えるはずだ』

 

「ま!ま、ま、ま、マジですか!?」

 

『おいおい、落ち着きたまえ零次君』

 

「いやいやいやいや、休暇ですよ?しかも2週間もですよ?落ち着くなんて無理です!」

 

『あ、あぁ、そうか』

 

「そうですよ……他には何かありますか?」

 

『それ以外は特にないからそろそろ切るよ、仕事の邪魔をするのは悪いだろうからね』

 

「気にしなくてもいいんですけどね……それでは俺も仕事を再開しますね」

 

『分かった。大変だろうけど頑張ってくれ。それでは切るよ』

 

「はい。失礼します」

 

スマホの通話終了を押す前に画面は切り替わり、既に通話は終了していたのでスリープモードにしてから机の上に置いて作業を再開した。

 

この頃の俺は書類の山を片付ける事で精一杯だった為、防衛省で大変な事になってるのも知る事なく時が流れていく。俺がその事を知ったのは夕方に近づいた頃に電話がかかってきた時になる。

 

『おい神条、一区切りしたら私の所まで来い』

 

「急ですね。何ですか?暇なんですか?」

 

『馬鹿を言うな、こっちはこっちで大変な事になっているんだ』

 

「大変な事?何か起きたんですか?」

 

『ああ……防衛省にタギツヒメが現れた』

 

「ふぁっ!?そんな事が!死傷者は!?」

 

『落ち着け、怪我をした者はいるが死者は出なかった……衛藤と十条には感謝している』

 

「そうですか……それで、俺に大事な話でもあるから電話してきたんですね?」

 

『あぁ、次の任務についてだが……それは後で直接話す。それよりも3日後にお前には休暇を与える事を話しておこうと思ってな』

 

「それならじ……フリードマンさんから聞きました」

 

『そうか……お前も学生だから仕方ない』

 

「文句は俺じゃなくて担任の先生に言ってくださいよ。まあ先生も無理をしてでもその日を空けてくれたんだと思いますけどね……」

 

『ふん、お前が居なくても大丈夫だがな』

 

「ですねー。俺が出来るのは盾代わりにですもんねー……言ってて悲しくなってきた」

 

『お前は馬鹿か?……すまん馬鹿だったな』

 

「うぉい!?」

 

『はっはっはっは!それじゃ切るぞ、また後でな』

 

最後に豪快に笑ってから真庭本部長は電話を切ってしまい、通話が終了して俺の行き場のない怒りは窓を開けて声を出し発散させた。

 

「真庭本部長の人でなしーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

近所迷惑も考えないで叫んだ後、スッキリした俺は窓を閉めて椅子に座る。

 

「もう絶対ブラックだよここ……仕方ない、すぐに終わらせるか」

 

気分が重くなったまま俺は残った書類を片付け始め、やがて最後の書類を終わらせると少しだけここでコーヒーを飲んで休憩してから真庭本部長の元へ向かう。

 

「……何処にいるか聞いてなかった……やばいやばいやばいやばい、このままじゃ俺は確実に説教されて仕事を増やされる!」

 

かなりまずい状況になりスマホの存在も忘れるほど焦り、とにかく手当たり次第に廊下にいた職員から何処にいるかを聞き出して一目散に、その聞き出した情報の場所まで走った……

 

 

そこに知り合いがいるとも知らずに俺は駆ける。それだけが今の俺に出来る事なのだから……

 

 

「どうか今日は機嫌がいい真庭本部長でありますように!!」

 




……と言うわけで、皆さんが思っている事を予想してみますね。


……戦わないのかよ!?


どうです?当たってますか?……作者もこう思いながら書いていたので、たぶん読んでる方もそう思ってるんじゃないかと……

争いは何も生まないんだぜぇ!!!

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