これから先も遅くなるけど許してください……
気が向いたら頑張って書こうかな?
俺が真庭本部長に連れられてきた部屋の中に入ると、そこには天使がいた。
「久しぶりだね……って言っても覚えてないか。あははは」
「え?真庭学長、あの人って……」
「ああ、燕がこの前言っていた人物を連れてきた。どうだ?驚いただろ?」
やっぱり覚えていないことに軽く……いや、かなりショックを受けながらも、取り敢えずはベットの横まで歩いていく。
「じゃ、じゃあ……零兄、なの?」
「そうだよ、覚えていてくれてたんだね」
「……うっ……う……ぅ……」
突然啜り泣き始めた結芽ちゃんに慌てる俺、そんなにも俺の存在が泣くほどだったのかそれとも泣かせるほど真庭本部長の顔が怖かったのか分からないまま、どうすれば良いのかハンドパワーの構えをとりながらどうしようか考えているといきなり腰あたりに飛びつかれた。
「れ、零兄!!!!」
……だが、狙ってなのかは分からないが結芽ちゃんの頭は俺のみぞおちにクリーンヒットして大ダメージを喰らった。
「ガハッ……こ、こらこらいきなり抱きつくのは危ないって言ってるだろ結芽ちゃん」
「零兄!零兄!」
「うん。聞いてないね」
しばらくの間、結芽ちゃんが話を聞かずに顔を埋めたまま名前を呼び続けていたので俺は動かずにじっとしていた。ようやく落ち着いたのか、結芽ちゃんは顔を離してこちらの顔を見ながら心配そうに聞いてくる。
「本当に……零兄、なんだよね?」
「そうだよ。久しぶりだね結芽ちゃん」
「……うっ ……うっ……」
「ええ!?ちょっと結芽ちゃん大丈夫!?何処か怪我でもしたの!?」
「ううん、違うの……嬉しくて……」
「そう、なのか……良かった、怪我した訳じゃなくて」
「ん、んん!!お前たち、私の事を忘れてないか?」
「あ……ゆ、結芽ちゃん。ちょっとだけ離れようか?」
「えっ……どうして?」
「真庭本部長が見てるから、ね?」
「……嫌、離れたくない」
「えぇぇぇぇ」
「……だめ?」
「……ふっ、駄目なわけないじゃないか!むしろウェルカム!」
「ありがとう!零兄大好き!」
「俺もだよ結芽ちゃん!ははははは!!」
「……おい、夫婦漫才もそれぐらいにしろ」
いつまでも離れない結芽ちゃんを引き剥がす事が出来ず、されるがままにこの状況を受け入れて癒されていると、邪悪なるオーラを纏ったブラック上司が俺だけを睨んでいた。
「い、嫌だなぁ。ちょっとしたコミュニケーションですよ?……いや、まあ……すみませんでした」
「はぁぁぁぁ。もうそのままでいいから話を聞け」
「了解です」
「今回は特別に私が連れてきたが、これからは神条1人だけなら見舞いに来るのを許可しよう」
「え?いいんですか?」
「あぁ、今のお前達を見ても問題なさそうだからな」
「真庭本部長……ありがとうございます。今まで俺、あなたが悪魔だと思ってたけど人の心もあったんですね」
「……ほう、今までそんな事思ってたのか?」
俺の本心が要らぬとこまで漏れてしまい、真庭本部長の顔が恐ろしくて必死に顔を逸らして下手な口笛を吹いて誤魔化す。
「ねぇねぇ、零兄。これからは毎日会えるの?」
「ん?そうだよ結芽ちゃん。これからは毎日「言い忘れていたが仕事中に抜け出すような事があったら、即刻出入り禁止だ」……ごめん、毎日は無理みたいだ」
「そんなぁ……」
「さて、私は先に朱音様達の所へ戻るが、神条も少ししたら戻ってこい」
気を効かせてくれたのか、それだけ言うと真庭本部長は部屋から出て行った。だが、真庭本部長がいなくなった後も毎日は会えないと知って落ち込む結芽ちゃん。それを見ていられなくなり頭を撫でて励ました。
「毎日は会えないかもしれないけどさ、出来るだけ会いにくるから我慢してくれ」
「むぅ〜……本当に来てくれる?」
「勿論だよ」
「……わかった……約束だよ?絶対に会いに来てね?」
「分かった。約束するよ」
何とか結芽ちゃんの機嫌も良くなり、内心ビクビク怯えていた俺はそっと頭から手を離した。しかし、何故か結芽ちゃんの表情が暗くなり始め何処か粗相をしたのか焦る俺。その俺の慌てように気づきもせずに結芽ちゃんが下を向きながら語りかけてきた。
「……ねぇ、零兄。1つ聞きたい事があるの」
「お、おう。何、かな?何でも聞いてくれて構わないよ」
「1年前、私が入院している時……どうして来てくれなかったの?」
「1年前?……あ」
やばいどうしよう。1年前ってあれじゃん。俺が多忙の日々を過ごしていた時だよ……どう答えるのよ俺!!
「私が入院しているの知らなかったの?」
「それは……」
俺が何か言おうとした時、何処かから俺の脳内に直接語りかけてくる。
『選べ。1、そんな事より狩に行こうぜ!と言ってこの場を凌ぎきる。2、実は俺には病院に入ると爆発する呪いがかかっているんだ……と言って土下座をする』
……うん、全然意味が分からないね。何をさせたいんだろうこの声の主は……でも、おかげで少し冷静になれた。正直に話そう、俺の本心を……
「毎日乗り切るのに精一杯で知らなかったんだ……ごめん、結芽ちゃんが入院してるのを知ってたらすぐにでも会いに行ったんだけど……って言っても信じてくれないか」
「……本当に知らなかっただけなの?私に会いたくなくて来なかったんじゃなくて?」
「そんな事は絶対にあり得ない!例え、手足をもがれていたとしても俺は結芽ちゃんに会いに行くさ!」
「零兄……ちょっとその表現はないと思う」
「……ごめん」
「でも、私に会いたくない訳じゃないんだね……よかった」
「本当にごめん結芽ちゃん」
「零兄、もういいよ。それにこれからはちゃんと会いに来てくれるんだよね?」
「ああ、勿論だよ。今度は絶対に会いに来る……絶対にだ……はぁぁ、俺って肝心な時に限って役立たずだな」
「そんな事ないよ!零兄がいたから私は……」
「結芽ちゃん?」
再び抱きついてきて顔を埋める結芽ちゃんに、最後何を言おうとしてたのか聞き出そうとするとかすかに聞き取れる位の声で呟いていた。
「私ね、入院してる時ずっと諦めかけていたの……パパもママも来なくなった後も、ずっと私はベットの上で生き長らえているだけの毎日……痛くて苦しくて何度も助けを求めて……でも誰も来てはくれなかった……その時気付いたの。もう、私の生きている理由も価値もないんだなぁって」
「……そんな事を考えていたのか」
「うん。でもね、それでも1つだけ死ぬ前にやっておきたい事があったんだ……」
「……それは何かな?」
「それはね、零兄から一本取る事だよ……最後に会った時の事覚えてる?」
「ああ、覚えてるよ……もしかしてあの時の事、結構気にしてたのか?」
「当たり前だよ!だってあの時の私は自分で言うのも何だけど、刀使の中でかなり強かったんだよ。それなのに……零兄には勝てなかった!刀使じゃないのに!」
「えーっと、それは……なんかごめん」
「……でもね、その時の私より強い相手はほとんどいなかったからすごく嬉しかったんだ……そしていつからか、零兄から一本取る事が私の目標になっていたんだ……だから私、それまでは絶対に死にたくないと思えたんだよ?」
「そうなの?」
「うん……零兄と出会わなかったらきっと、私は生きる事を諦めていたと思う……今こうして生きているのは零兄のおかげなんだよ?」
「結芽ちゃん……」
「零兄は役立たずなんかじゃない……私にとっては生きる希望を与えてくれた恩人なの……」
「……そうか、それじゃあさっきの言葉は撤回するよ」
「うん!」
上を向いて満遍の笑みを見せてくれる結芽ちゃんに俺は心を奪われた……と錯覚するほどに、今の結芽ちゃんは立派に成長していて涙を流しそうになった。守りたいこの笑顔……いや、守らなければならない!それが俺の生きる理由だ!!!!
「零兄?どうしたの?私の顔に何かついてる?」
「え?あ、いや……そ、そうだ!ベットから起き上がれない位だったみたいだけど、今は平気なのかなぁって」
思わず見惚れていた事は恥ずかしくて言えなかったので、別の話題を出して話を逸らした。この巧妙な手口に気づかずに結芽ちゃんは、俺から離れて元気がある事をアピールしてきた。
「うん、平気だよ……って言ってもまだ出歩いたりするのは無理なんだけどね」
「そうなのか?顔色もいいし元気もあるから問題ないように見えるんだけど?」
「それはここ最近で調子が良くなっただけだよ。今はまだリハビリ中で、真庭学長が言うには後1ヶ月は様子見だってさ〜。それまではあまり出歩かないようにって言われてるの。もう、こんなに元気なのに〜」
「あははは、真庭本部長も結芽ちゃんの事が心配なんだよ。あの人見た目と違ってかなり優しいからね……俺以外にはね」
「ふ〜ん、そうなんだぁ……そういえば、零兄は何で真庭学長の事を本部長なんて呼んでいるの?」
「え?真庭本部長から話を聞いてないの?」
「ううん、何も聞いてないよ?」
「そうなのか……あー、その、実は1ヶ月前からあの人の部下として働いているんだよ」
「ええっ!?そうなの!」
「まあ、働いていると言ってもほとんどが雑務なんだけどね」
「それじゃあ今は刀剣類管理局とか言う所で働いているんだよね?」
「え?うん、そうだけど。それがどうしたの?」
「あのねあのね!実は私も前にあそこで遊……働いていたんだよ!」
「へぇ、そうなのか?……それより今遊んでいたと言おうとしてなかった?」
「そ、そんな事ないよ?」
「怪しい……まあ俺の気のせいか」
「そうそう、零兄の気のせいだよきっと!」
「そうだな、そういう事にしておこう……それより、結芽ちゃんが働いていた時は辛くなかったか?」
「ううん、そんな事ないよ。おねーさん達は忙しそうだったけど、そんな時は紫様が他の人に仕事を回していたから辛いなんて事はなかったと思う」
「へ、へぇ……ちなみに、紫様がどんな人に仕事を回していたか知ってるかな?」
「う〜ん……あ!確かゼロおにーさんにやらせるとか言ってるの聞いた事がある」
マジかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!もしかして沖田とグルなのか?……絶対にそうに違いない!!!握りこぶしを作ってプルプル震えながらも叫ぶのを我慢した俺は偉いと思う。結芽ちゃんはその様子を見て、心配そうにこちらを見てきた。
「零兄?」
「あ、ああ。何でもないよ……」
何とか平静を装って返事を返すと、今度はスマホの着信音が鳴り響く。
「『ダーダーダーダーダダーダーダダー……』もしもし神条です」
『そろそろ戻ってこい!いい加減長すぎるぞ!』
「りょ、了解!神条零次、これより帰還します!」
『……30秒だけ待ってやる。遅れたら……分かるな?』
「はい!それでは失礼します!」
突然の罵声に反射的に口調が変わるも、今回は穏便に通話を終える事が出来た。
「悪い結芽ちゃん、俺もう行かないと」
「えぇ〜、まだ全然話足りないよ〜」
「本当にごめん!」
「むぅ〜」
「今度来る時、お土産にデザート持って来るから、ね?」
「本当!」
「お、おお」
「分かった!約束だよ!」
「あぁ、約束だ……それじゃあまたね」
「うん!またね!零兄!」
結芽ちゃんが手を振り見送りしてくれる中、気乗りしないながらも俺は扉へ向かい歩き出す。そして、扉を開けてから最後に1度振り返って手を振り返してから部屋を出た。
「……結芽ちゃんが生きていた……これは夢じゃないよな?」
未だに信じられない俺は部屋を出て扉を閉めた後、少し結芽ちゃんのいる部屋から遠ざかり自分の頬を摘む。
「……痛い。痛い!痛いぞ!はははは!!!すごい痛いぞ!!!」
側から見れば気が狂ったのかと思われるかもしれないが、それでも今の俺にはこの痛みこそがとても嬉しすぎて何度も頬を力強く摘んだ。
それから少しして摘むのをやめた俺は、少しずつ冷静になってくるも未だに笑いが止まらずにいた。
「現実なんだよな……あぁ、こんなに心の底から笑ったのは久しぶりだな……っと、こうしてはいられないんだった。早く行かなきゃ」
まだ笑いを抑えきれない俺は、両手で頬を叩いて気を引き締めてから真庭本部長の待つ部屋まで戻った。戻る際、俺の足取りはいつも以上に軽く、少しだけ歩調が早くなっていたような気がする……
〜fin〜
……しかし、人生とは上手くいかないものだ。ここで終わればそれこそハッピーエンドだっただろうに……
呼び戻されてからは、何故か追加の書類を用意されて今日中に書類を終わらせるように無理難題を押し付けられ、すぐに本部に戻り作業をした。その後も、真庭本部長からと言いながら沖田さんから書類を渡されて、寝る間も惜しんで作業をすると気がつけば外は明るくなっていた……
神条零次の護衛任務は、徹夜後一睡もせずに開始されるのであった……
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とある一室で少女はとても楽しそうに布団を被りながら笑っていた。
「また零兄に会えるんだ〜。ふふふ。次はいつ来るのかな?……はぁ、早く会いたいなぁ。会ってもっとお話ししたい!……見ない間に大きくなっていたなぁ零兄。まるで別人みたいだったけど、あの頃と一緒で優しかったなぁ」
そう言って少女は、先程撫でてくれた自分の頭に手を当てる。
「えへへ〜、撫でられちゃった。また撫でてくれるかな?……ううん、そんな事より再会したのに何も言われなかったのはちょっと残念。私ももう中学生なのに〜……今度会った時は言葉遣いを変えてみようかな?寿々花おねーさんから教えてもらったのを挑戦してみーよおっ!」
……駄目だ、全然キャラが分からなくなってきた……
やはりもう一度見直して書くようにしようと決めた今日この頃……
次回からはもっと考えて書きま……せーーーーーーん!!己が欲望に忠実に書きます!!
ここから先は駄文のオンパレードどだ!!!ヒャッハー!!