変境で育てられた自称常識人   作:レイジャック

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前回までのあらすじ

零次の前に天使が現れた!!しかし、混乱している零次は何も出来ず為すがままに流れに身を任せ……見事天使と仲良くなった。幸運な出会いに感謝しながら帰宅すると、今度は鬼が現れる……果たして零次は無事に生き残れるだろうか……


常識人零次の日常(波乱)、始まります……


ずしりと重い一撃……それとも鋭くはやい一撃……悩んでる暇はなかった!!

心地の良い一日を過ごしてから数年後……

 

 

あの時に俺の運全てを注ぎ込んだと今の俺は思っていた。いや、まだ残っているのかもしれない……というか残っている。何故ならあれ以来年に4回以上は大天使様にお会いする機会を得ているからだ。

 

俺が心身ともに疲れ果てた時に自ずと足が勝手に動き出し、気がつくといつも神々しく優しいオーラを常時放出している建物の前にいるのだ……そして、まるでプログラムされたロボットのようにインターホンを押し、まず始めに耳が癒され、玄関のドアが開きその姿を目にすると白黒の世界に色が戻り、無邪気に抱きつかれ俺という人間が浄化される……いきなりの訪問でも嫌な顔せずに対応してくれて思わず涙が出てくる……本当に生まれてきてくれてありがとう……本当にありがとう……

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 

やばい、禁断症状が!落ち着け俺!!!俺は一振りの刃……目を閉じて精神を研ぎ澄ませ、深く深呼吸をする。

 

 

「すぅ〜、はぁ〜……よしっ!大分落ち着いてきた」

 

 

何とか自分自身を落ち着かせる事に成功した。ゆっくりと目を開けて周りの状況を確認する……周りには木、後ろも前も右も左も木……

 

 

「そうだ、俺……やっとここまで来れたんだ……ははっ」

 

 

現在、やっとの思いで何年もかけて緻密に計画していた任務を達成し、栄光を堪能している最中なのだ。

 

両親が海外旅行に出かけてからというもの、家事全般を身につけるだけのはずだが、何故か師匠の修行がより一層厳しいものになった。今までは両親の目があったから手加減していたらしい、いわば両親はストッパーがわりの役割を持っていたという事だ。だが、その両親ももういない。 つまり、これからは師匠の独壇場……

 

毎日の修行は鬼の所業の如く、完全に限界以上の内容ばかりやらされた。最早時間という概念などなく、学校がない日は倒れるまで延々と走らされたり、師匠を地に伏せるまでの組手、他にも師匠に参ったと言わせるまでの真剣による命がけの斬り合いなどもあった……結局1度も師匠に勝てなかったけど……1番やばかったのは俺だけが刀を持たないで制限時間まで逃げきるサバイバル訓練……マジで殺しにかかってきたから今までの経験フル動員させて何とか死なずに済んだが、あれは人間のやる事じゃない……逃げても逃げてもすぐに隠れてる場所が見つかり斬りかかってくるし、致命傷を受けた時に師匠は刀を振るう事は流石にしなかったが加減なしに投げ飛ばしたり蹴り飛ばしたりしてきた……最初は冗談きついな〜とか考えていたが、ここまでくればそんな考えは消え、ただただ死なない為に動かない体にムチをうって動かし、血が流れていようが少しでも距離を稼ぐ為、生きるために逃げ続けた……もう二度と師匠に会いたくないという衝動が過去最高記録を更新したのがこの時だ……後で聞いたが、予め俺にGPSを取付けていたとか……それを聞いた時は頭にきて殴り飛ばそうとしたのはいい思い出だ……結局一発も当たらないで逆に殴り飛ばされたけどね……

 

 

 

この鬼のような地獄の修行を経たお陰か、俺は毎日の修行に力を入れて取り組むようになった。ただこなすだけではなく、あの日味わった死の恐怖……ただただ生きたいと願ったが、力がなければ何も出来ずに死ぬだけ……そんなのは絶対に嫌なので修行の他に力を身につける特訓もしている。特に何に対してかは分からないが、とりあえずの目標として師匠を超える事を目標にして今は刀を振るい、たった1秒されど1秒でも早く体を動かせるように足捌きや筋肉や関節などの体のありとあらゆる部位の動きを洗練した……そのせいで、俺の剣はただただ殺す事に特化した剣になってしまったのは失敗したと思っている……だが、そうでもしないと師匠を超えるのは不可能だ。

 

 

そして、今日……大天使に会う以外にやる事が修行以外になくて、このままではただ息をして動いているだけの奴隷のような生活に不安と不満が爆発し、いつの日かの為に計画していた家出を決行する事にした……しかし、気が動転していた事もありこれは決行直後に問題が発生した……

 

これから何処へ向かうか……そればかり考えて第1の関門である師匠への言い訳でうっかり家出してくると言ってしまったのだ。

 

当然こんな事を言えば師匠も黙ってはいない、だからと言ってここでやめてしまえば絶対に警戒されて次の機会は永遠に来ない……ならばここでこの人物を倒すしか道はない……

 

そう思って行動しようとしたら予想外の展開になった。なんと!あの師匠から逆に提案されたのだ!

 

『俺に勝てたら家出も何でも好きにすればいい……だが、負けたら寝る時以外、食事の時も修行にする……どうする?』

 

流石にここまで言われれば俺も男なので引くなんてことは出来ず……

 

『ふっ、そんなもの決まっている……貴様を倒して好き放題やらせてもらおうではないか』

 

とか言っちゃったぜ!別に後悔はないが、少しというかかなり口調が変わって自分でもビックリした。気がつかないうちに俺は、性格が変わっていたみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

……その後、真剣勝負での決闘を人のいない夜の廃墟で行い、長きに渡る激闘の末、鍛え上げた重く鋭く速い一撃が師匠の剣を真っ二つにして決着がついた……と喜んで油断していたとこに、師匠から刀をひっ取られて投げ飛ばされてしまい……最後は殴り合いの戦いになった。お互いに全ての技術を使って殴ってはかわし、蹴ってはいなす……避ければ引き寄せて投げ飛ばされば受け身をとる……だが全ては防ぎきれずにお互いに傷つき徐々に疲れてきた。そして、年の差がここにきて響いて師匠に隙が出来た。このチャンスを逃さず必殺のゼロ距離無反動掌底を決め……師匠は倒れた……

 

 

まだ痛くて動きにくい体を休ませることもせず、地に伏した師匠に背を向けて、俺は……家出した……

 

 

 

そして、現在目的もなく気の向くままに歩いていたら森の中に迷い込んでいるのだ……

 

 

「でも、何故だろう……凄く気分が良い……空気が美味しいーーーーーーーー!!!!!!」

 

 

師匠がいないだけでこれ程までに世界は美しいと感じられた……思わず涙が出てきそうだよ。

 

物思いにふけるのもやめる。この森に迷い込んだのも何かの縁かもしれない……それならばここを少し探索する事にしよう!それがいい、そうしよう!別に四方八方どこに歩けば出られるか分からなくて諦めた訳じゃないんだからな?

 

「それではここで活躍してもらいましょう……伝説の木の棒倒し〜……なんだか虚しい……気を取り直してさっそく木の棒を垂直に立てて、指を離す!……倒れネェェェェェ!!!俺に空の彼方まで飛んで行けとでも言うのかよ!?無理だろ!」

 

 

あらぬ事に木の棒が直立不動のまま一切動かない状態になってしまった。こうなっては無理矢理自分で倒してその方向に進むしかないが、それでいいのか?……だがこのままでは拉致があかないので仕方なく自分で倒そうとした時に、変化があった。

 

「木の棒が揺れている?風もないし地面も揺れてないのに?……まるで吸引力の変わらないただ一つの掃除機に吸われているような感じだ、あっ、倒れた……俺の勘が告げている、そっちへ行けばまたこの先辛い事が待っていると……でも、ここが何処だか夜だから真っ暗で分からないし、もう腹が減り過ぎて動けなくなりそうだし……俺は……木の棒を信じる!」

 

そうだ、信じるものは救われるんだ……だから俺はこの道を進む事にした。あばよとっつぁん!!

 

 

 

 

 

 

そこからの道のりはとても険しい道で、立ち入り禁止のテープが落ちているのを見かける事もあったがきっと気のせいだよな……周りに生き物の気配を一切感じないのもたまたま冬眠しているたげだ、間違いない!!

 

その後もかなりの時間歩いたが一向に森を抜けない、思わずどんだけ〜と言ってしまう程だ……IKKOだけに……くだらな!

 

1人で自分自身にツッコミをいれながらも歩みを進めていると、ようやく森の向こうにひとつだけ小さな小屋が見えてきた。これで誰かいれば道案内してもらえるかもしれないと希望が見えてきたのでスピードを上げ小屋に近づいていく、だが、小屋から半径5mに入った時俺の勘が危険だとアラームを鳴り響かせた。さっきまで小屋だと思っていたのがあと少しという場所で急に異質な空気に変わり、小屋の隙間からは時折見える光が嫌な雰囲気をプンプン匂わせていた。

 

「おいおい、ここに来てまさかの展開だな……木の棒、お前は俺をどうするつもりだ?……答えろよ、答えてくれよ!ウッドスティック!!」

 

俺は必死に問いかけるが誰も答えてくれない……だって、木の棒だもの……だが、この小屋には何か惹かれる物があるのか危険だと分かっていても何故かその中に入ってみたい衝動にかられる。

 

「毒を食らわば皿までって言うし、十分警戒すれば問題ない……よな?……漢、神条零次、行きまーす!!」

 

 

ここまで来た事を無駄にしたくなかった……木の棒の思惑でただ躍らされただけなんて笑われ者だ、そんな事を知られれば大天使様に失望されて面会拒絶になってしまう……それだけはダメだ!絶対に!腹を括って自分の勘を無視して小屋の中に入って行った……

 

 

「ちわーっす!三◯屋でーす!……よし、誰もいないな……」

 

 

念のため大声を出しながら扉を開けるも案の定無人でホッとしている。そうと分かればあとは拝見させてもらおうじゃないか……もしかしたら保存食があるかもしれないからな!

 

無人の小屋の中を軽く見て回り、役に立ちそうなものを探したが何も無かった。あるのは先程外から見えた怪しく光る小さな割れた鏡と1つの書物と縦長の木の箱、箱の蓋には何やら書いてあるが汚くて読めないので放置し、まだ読めそうな書物を手に取り読み始める。

 

「えーと、『取…明…禁』取扱説明書の事か?禁っていうのが気になるけど、たぶん禁止事項みたいなことだろ……となると……やっぱりあの箱の中身のことだよな〜、とりあえず流し読みするか」

 

一通り目を通し始める。3分後、読めない場所は飛ばしながら読んだのであまり時間はかからないで済んだ。書かれていた内容は箱の中身についてなのか分からない程内容がぶっ飛んでいた。

 

曰く、これは悪しき力が宿るものであり触れれば精神が崩壊して廃人とかすので絶対に触れるな!とか、曰く、糧となる供物を差し出せば絶大な力を有し、もう一振りの刀と合わせれば命さえも具現しうる程の代物だが、その代償は所有者の生命力であり失敗すればそのまま永遠の闇に呑まれる……だが、稀に命尽きないものがいる……らしい……考えるな、感じろとか、最早ファンタジーな作品のネタを書き殴っている痛い作者の書物である。いわゆる厨二病という病が発症したんだろう……そうとしか思えない程の内容だった……それより、らしいってなんだよ!?絶対作者の妄想じゃねーか!

 

 

だが、もしもここに書かれている事が本当なのであれば……高く売って一生遊んで暮らせる!!思い立ったが吉日というし、ここは1つ、確認してみようじゃないか!

 

「まずは直ぐに実感が出来るものから検証すれば良いか。たしか持った瞬間に精神崩壊するんだよな?」

 

俺は木の箱の蓋をゆっくりと開ける。すると、中から出てきたのは一本の刀だった。正直玉手箱のような物を期待していたのでがっかりしたが、今はそれよりも検証するのが先決なので気を取り直して恐る恐る刀を持ち上げる。

 

「…………何も起きないんだが……まあそれはそうだろうな……ん?何か箱の下に紙があるぞ?『取扱説明書 弍式』」

 

弌式は何処いった!?いきなり次の説明しようとしてるよこれ!?あれ?でもよく見ると何か挟まってるぞ?

 

「『説明書 弌式』……あったけど破れてるじゃねーか!!しかも、何でタイトル以外破れたあとなの!?栞がわりに使うなよ!!……はぁ、さっきの書物の物はこれじゃないやつだったのか……はぁぁぁぁぁぁ」

 

ため息しか出ない、やはりあの書物はただの妄想を書いただけだったのだろう。考えてみれば当然だ、そんな馬鹿げた物がこの世に存在するはずない……まだまだ俺も子供だな……

 

「まあ仕方ないから取説読むか。いきなり弐式だけど……」

 

まだ読んでいない取説をとりあえず読み始める事にしてページを開く……しかし、読み終えた後に俺はとんでもない勘違いに気づいた……この刀が想像をはるかに超えた物であることに……

 

「ノロ殺しの刀、祖滅狂眼だと!?……読み方分かんないけど、これを使えばあの巷で有名なノロを倒せるって事だよな……凄いなこれ……」

 

 

まさかの掘り出し物だ、見た目は普通の刀と大差ないが用法用量を守れば全くの別物になると書いてあった。まずは直ぐにその用途を身につけるために、説明書の内容を思い出しながら刀を抜く。

 

 

「刀を抜いたらまず初めに血を流しますだったよな、それじゃ血を流すか……っておかしいだろ!!いきなり血を流すとかこれを書いたやつは狂ってんのかよ!馬鹿なの!?……でも、このままじゃ何も出来ないから仕方ない……血を一滴流すだけでも大丈夫だよな?」

 

アホな説明書通りに従い、抜いた刀で指先を薄く切り血を一滴刀身に流す。付着した血はまるで生きているかのように吸い込まれていき、血がなくなると怪しく光出した。

 

「おお!マジで説明書通りになった、なんか負けた気分だ……くっ!だが本番はこれからだ!さあ次だ次!」

 

まるで新しいおもちゃを貰った子供のように、それから俺は説明書通りに従いながらいろいろ実践して、日が昇る頃になってようやく刀から手を離して深呼吸をする。

 

「もう朝になったのか……少し集中し過ぎていたみたいだな……さて、一通りの事は試した事だからここから出るとしよう」

 

説明書の内容は全て把握できたので、この小屋に用がなくなり出ることにした俺は最後に肩慣らしとして落ちてあった埃だらけの書物を取って、上空に投げ捨てた後に切り刻む。

 

「ふっ!……ちっ、埃が邪魔で少し斬れなかったか……もう少しこの刀を使いこなせるように体に馴染ませなければな」

 

上空に投げ捨てた書物は一部を残して全てが細切れになり地面に落ちていた。誰もいない事を良いことに散らばるクズを片付けずに小屋を出る。そして、外に出ると眩いほどの日差しに照らされ体が軽くなる。周りを見れば大きな木が一本あったのでその木の頂上まで飛び乗り周囲を見渡した。

 

「最初からこうしていれば良かった……あれは俺の知っている学校……ここから真っ直ぐに行けば辿り着く筈だな」

 

ようやく見知った場所が見えたので、一目散にそこへ向かって木から木へと飛び移りながら移動して駆けていく……あの導いてくれた木の棒を置いて……

 

その後、学校に近くなるとようやく俺の知っている道に出たのでそれから目的地を変更して自宅へと帰還する。

 

 

だが、彼は知らない……最後に切り刻んだ書物に重要な内容が書かれていたことに……

 

 

一部だけ残っていた紙にはこう書かれていた……

 

 

『取扱説明書 禁 に続く』

 

 




今宵、この身に無限に広がる空の彼方より舞い降りた


我、古の記憶を使い全ての道しるべから1つの可能性に繋がる語りをここに記す!!


唸れ!己の指!アクセルフィンガー!!!!





(厨二病ってたまにやると楽しいよね!)
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