そして、人は常に拾う神の立場になる事ばかりで捨てる神になろうとはしない……
だからこそ、要らぬ事ばかりを拾い世に浸透してしまう……
この男の願いとは逆に……
眩い太陽の光が差し込み部屋の中が明るくなると、1日が始まったと感じられる今日この頃.……
昨日とは違う風景でもいつものように朝の支度をして部屋を出る。朝食がわりに缶コーヒーをコンビニに行って買って飲み、目が覚めてきたら少し運動がてらランニングしながら帰宅する。初めてここで迎える朝は心地よく気分が高揚していく……訳もなく、今日とて雑務をこなす為、作業部屋へ向かう。いつも書類や連絡はこの部屋に誰かが来るのでそれまでが俺の癒しの時間……
「今が永遠に続けばいい……『ゼロ、居るか?』いつだって現実というものは残酷だ……入っていいぞ」
働き始めてから仮面をつけてる間、この厨二病な口調でいたので今ではしっかり板についた……仮面をつければゼロとして職員と接するのが俺の日課だ……最近は、仮面を取っても口調が戻らない時もあるが決してわざとではない。
「失礼します。」
「ああ、沖田か……やはり今日も書類を持ってきたのか?」
「あはは、残念ながら今日は違うよ。ゼロにとってはいい事かどうか分からないけど他の仕事を持ってきたんだ」
「他の仕事?今までにない仕事とでも言うのか?」
「正解、しかも、かなり厄介なね……これを見てくれ」
いつも通りの人物が仕事を持ってきたが仕事自体はいつも通りではなく、沖田という最初に世話になった相手から一枚の紙を渡される。
「これはどういう事だ?」
「それはこっちの台詞だよ、ゼロは一体紫様に何をしたんだい?」
「何もしていない……強いて言えば、今日からは土日以外も働けると伝えた事だけだ」
「そういう事か……ゼロ、ドンマイ」
「おい、どういう事だ?」
「そのままの意味だよ。1つ言える事は、これから先は楽な仕事が少なくなるって事だね……それじゃ、僕も仕事があるから戻るね」
「待て、その事について詳しく教えろ」
「ゼロ、百聞は一見にしかずだよ。それと、あと10分で支度をして外に出ていないと強制連行されるから気をつけてね〜」
それだけ言うと沖田は部屋から出て行く。
「まだ話は……行ってしまったか。仕方ない、言われた通りにしておくか……それにしても、機動隊との連携作業とは一体?」
紙に書かれている内容をじっくり読みながら1人呟く。機動隊、その文字からして肉体労働になるのは明白だ。だが、今までこの部署があるとは聞いていなかったので多少の不安が押し寄せる。
「……何も起きない事を願おうか」
いつもの仕事着、スーツ姿に仮面をつけた状態で念のため刀を持ち、準備が整うと指定された場所まで移動した。
この世には言霊という言葉がある。放った言葉には力があり、それが現実に起こりうる事がある……それは時に些細な言葉でさえも……
指定された場所に着いた俺は、既に何台かの車が停まっているのを不思議に思いながらも、今まであまり見たことのない軍用車に目を惹かれ思わず凝視していた。
「これがバンピー……最大何人乗れるのだろうか?」
車の性能に興味が湧き始めた頃、戦前に行く兵士のような服に身を包んだ1人の男性から声がかかった。
「久しぶりだな、ゼロ」
「お前は……確か警備隊の遠坂だったか?」
「遠山だ。ついこの間まで一緒に仕事した仲なんだから覚えておいてくれよ……」
「断る。俺には野郎の名前を覚えている暇がない」
「どんな理由だよそれ……まあ今更じゃないからいいけどさ」
「それよりこれは何だ?今からピクニックにでも行くのか?野郎だけで」
「うわぁ、野郎だけでピクニックとかないわ〜……じゃなくて、今から現場に急行するんだよ」
「何?現場だと?」
「そう、実は……悪い、準備できたみたいだから詳しい話は車の中でしよう、さあ、ゼロも乗ってくれ」
「俺も行くだと?聞いてないぞ」
「あれ?紫様から今日から強力な助っ人が1人加わるって聞いていたんだけど……ゼロじゃなかったのか?」
あんの女狐ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!
「とにかく乗ってくれ。これ以上は時間がない」
「……仕方ない、行くだけ行ってみる事にするか」
「よしっ!ゼロ、こっちだ。ついてきてくれ!」
「……はぁ。今日からこれではこの先生きていく自信がないぞ………」
喜ぶ1隊員とは逆に憂鬱になりながら案内された車両に乗り込み現場へ出発した。
現場に到着するまでの間、俺は詳しい内容を確認する為遠山に話しかける。
「きん……遠山、さっきの話だが」
「今きんって言ったよね!?」
「……気にするな、大した事じゃない」
「こっちとしては大した事なんだけど……」
「それよりもだ、俺は今回機動隊との連携とだけしか聞いていない……一体今から何をするのだ?」
「あ、誤魔化した……今日は、というか今日からはゼロに警備隊の他に刀使と連携して被害を抑える為に協力してもらう事になっている」
「刀使だと?現場と言うのはまさか……」
「その考えで間違ってはいないけど、俺たち警備隊は主に避難誘導だからそれほど危険ではない」
「そうか、なら安心「警備隊はね……」……おい、今の発言はどういう意味だ?」
「それは……いいか、ゼロ。冷静になって聞いてくれ……紫様からはより安全に避難誘導できるように有効活用してくれと言われているんだ」
「何……だと……!?それは何の冗談だ?」
「現実なのよ、これ……そう言うわけだから頑張れ、陰ながら応援してる」
「……ふっ、いいだろう……給料分、いや、給料以上の働きをしてみせようじゃないか」
もうここまでくると怒りを通り越してしまう。そっちがその気なら俺はその上をいってやろうじゃないか……見てろよ女狐、俺が貴様の掌の上で踊らされるだけの存在ではないという事を証明してやる!
「お、おう。よろしく頼むぞ……それと、紫様からは臨機応変に対応させるように言われてるから、危なくなったら引けよ?」
「敵を前にして引くだと?笑わせるな、敵を前にしたら殲滅あるのみ……地獄をみせてやろう……ハハハハハ!!」
「お、おい!?正気に戻れゼロ!」
「何を言っている貴様、俺は正気だ……何なら刀使より先に荒魂を倒してしまっても構わないのだろう?」
「それ死亡フラグだからな!?まあ、やる気になってくれたのはいいが……あまり無理はするなよ?」
「ふんっ、たかだか荒魂如き恐るるに足りんな」
「お前本当にどうした?何かキャラ変わってない?」
「戯言を……俺は俺だ……それ以上でもそれ以下でもない……」
「……もう好きにしてくれ」
「そうさせてもらおう」
「はぁ、紫様は人選間違えたんじゃないか?」
どうしてか、遠山はまだ動いてもいないのに疲れている。どうしたのだろう?日頃の疲れが溜まっているのか?それならば、少しでも負担を減らす為に俺が頑張らねばならないな!
折紙紫が勝手に仕組んだ事を知る事が出来て、今度仕返しをすると考えている最中も車は走り、やがて現場付近に到着し車が停まる。ここからは足を使っての移動となる為、隊員一同と俺は車から降りて現場まで駆ける。現場に近づくに連れて戦闘音と思わしき効果音がだんだんと大きくなり、人々の悲鳴も聞こえてきた。
「俺が荒魂の相手をする。異論はないな?」
「分かった、こちらは人々の誘導完了後合流する。それまで死ぬなよ」
「誰に向かって言っている……心配した事を後悔させてやろう」
「ああ、そうしてくれ……健闘を祈る!」
「貴様もな、遠坂……」
途中で二手に分かれて行動を開始する。別れ際に俺は遠山……とか聞こえたが気のせいだろう。警備隊と別れた後、目標の荒魂を目視出来るとこまで来ると、そこには制服を着た少女達が一体の荒魂と交戦中で金属音が鳴り響いていた。
「くっ!何て強さなの……皆!陣形を崩さないでちょうだい!」
「そうは言っても!この大きさの荒魂相手にこの人数では不利よ!」
「まさかこんなのがいるなんて聞いてない!」
「一体どうなってんだよ……っと!」
「今はそんな事考えないで集中して!4人だけしかいないけど、今応援を要請しているからすぐに増援が来るわ。それまで持ちこたえるのよ!」
「そうは言っても……こっちはもう限界よ」
「もうここで私の人生終わるのかな……」
「縁起でもない事言わないで!……きゃっ!」
「隊長!ぐっ!こいつ……」
「仕方ありません……私が相手している間にあなたが隊長を救助して!」
「わかりました!」
「行きますよ!はぁ!!!」
「うわっ、危ない!もう!素早い上に体が大きいとか反則だよ!……隊長、しっかりして!」
「すみません……迷惑をかけてしまって……」
「そんな事気にしないで。さあ、彼女が相手している内に体制を整えよう!」
「ええ、そうね……「きゃぁぁぁぁ!!」そんな!?」
「でりゃぁ!!おい!早く逃げろ!!くそっ!こっちばっか狙ってくんなよな」
「何をしているの!早く逃げなさい!」
「分かってるけど!『@¥#:%&$!”#$%』あ……」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
……俺は今、近くまで来て少女達の戦いを見ているのだが……え?あれが素早いの?しかも大きさが良くて9m位しかないぞ?この前見た荒魂は全長何十メートルもあるムカデみたいな奴なのに、この荒魂は見てて思わず笑いがこみ上げてきそうなんだけど……嘘だろ……最初見た時劇団の稽古か何かだと思ったんだけど……仕方ない、遠何とかに言った手前相手しないとな……
「はぁ……期待はずれだ……」
「え?」
ゴリラのような形をした荒魂(笑)を頭から足まで一閃し、活動できなくなった荒魂が力なく倒れていく。完全に機能停止した事を確認した後、車の中で貰って片耳につけたインカムに指を当てて任務完了を報告する。
「こちらゼロ、任務完了。これより帰還する」
『こちら本部、荒魂の反応消失を確認しました。ご苦労様です。帰還してください』
「了解……呆気なかったな」
まるで手応えがない敵に失望しながら、残骸と固まっている少女達を放置してその場を離れ警備隊と合流した。
「ゼロ、荒魂は刀使の御刀が唯一の対抗策だ……お前は一体……いや、詮索するのはやめよう」
「何をゴチャゴチャ言っている、早く作業を終わらせて帰るぞ」
「ゼロって俺が隊長になってから冷たいよね?」
「何を言っているんだ貴様は?前も今も変わらん」
「……そうだな。それではこれより修繕活動に移行する。まだ住民の確認が終わっていないので慎重に行え。もしかしたら瓦礫の下敷きになっているかもしれないからな」
「了解した」
警備隊と合流した後、任務は修繕活動へと移行して作業を行い、それから夕方までは時折休憩を入れながら瓦礫の撤去や被害の大きい場所の資材の手配等を行った。そして、作業もひと段落すると今日の作業を明日へと持ち越しにして再び警備隊と一緒に車で帰還する。
帰還後、報告は警備隊に任せて自室へと戻りベットに寝転ぶ。これから毎日働き詰めになるので定時で上がれる時にはそうするように心掛けているので今日はゆっくりと休んだ。
今回の出来事が原因で変な噂になるとも知らずに……
……………………
「以上で報告は終わりです」
「そうか、戻っていいぞ」
「はい、失礼します」
報告に来た職員は彼女に丁寧にお辞儀をしたあとにその部屋から退室した。
「荒魂を討伐するとは予想外だ……ふふっ、ゼロ、貴様はつくづく私を楽しませてくれる面白い奴だな……」
夜の空を窓越しに見上げながら彼女、折神紫は1人楽しそうに笑う……今までにない程に彼女は今回の出来事に関心を持ちながら、今後の事について考え始めた。
「さて、今月中には迎える準備を整えておかないとな……親衛隊……その内奴にも何か席を用意するのも面白そうだな……」
その手元には2枚の書類が握られていて、そこには少女の顔写真とその少女に対する情報が書き記されていた。
「この者達は力を望むか否か……どんな選択を取るか楽しみにしているぞ……」
手元に握られていた書類を机に置き部屋を出る……その紙にはその少女達の名前がこう書いてあった……
『平城学館高等部一年 獅堂真希』
『綾小路武芸学舎一年 此花寿々花』
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とある病院の一室にて……
「ケホッケホッ…………苦しいよぉ…………パパ……ママ……零兄……助けて……………………」
Dead or Alive …………
最後が何故か短編集というか4コマ漫画みたいになってきた!
喜怒哀楽の展開が始めと終わりとで急激に変わりすぎていてやばい……
これからはシリアス展開も書く!……ようになれる文才が欲しい……