5分で考えた適当シナリオ。
きっとサンタさんがストーリーに関わるならこんな感じ

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そのサーヴァント、サンタにつき

 

世界というものは理不尽だ。

親に愛される者もいれば、愛されない者もいる。

大人になれないまま、死を迎える者も多い。

大人になれ、というわけではない。

大人というのは夢がなさすぎる、現実を知りすぎている。

だから諦めたがる、認めたがる。

そしてそれを他に押し付けたがる。

これが世間だから、これが現実の厳しさだと。

 

だが、子供は違う。

ありもしない空想を語り、

できもしない夢を語り、

ありもしない将来を語る。

 

そのような夢を見させる為に、大人は存在する。

 

「それが私......いや、私達の役目であろう。

星見の天文台(カルデアの諸君)

 

闇に堕ちた騎士王は、最後の願いとして祝福を求めた。

この者たちの旅路に、幸あれと。

同時に、思ってしまったのだ。

このような少年少女に、世界の行く末を任せて良いのかと。

良いわけがない。

彼女は円卓の騎士だ。

騎士の中の騎士、聖剣の担い手。

弱者を救うために剣をとった。

たとえ反転しようとも、その在り方は変わらない。

故に求めた。

この旅路に、付き添える力を、と。

そのささやかな願いは、

 

「サーヴァント、セイバー。

いや、私に力を貸した者の為に、こう名乗るべきであろう。

サーヴァント、ライダー。

アルトリア・ペンドラゴン・オルタ・サンタクロース。

サンタオルタちゃんと呼んでくれ」

 

とある聖人によって、叶えられた。

ただし、衣装はミニスカファーコートと少々現代ナイズされてはいたが。

 

「馬鹿な、貴様は霊格を砕かれ、消滅を待つのみであったはず!」

「サンタが死んだらプレゼントが届けられないであろう、たわけ」

 

邪魔立てするものを一刀の元に切り捨て(カリバーし)、死を待つ少女に救いを差し伸べる。

 

「オルガマリーとやら、貴様生きていたいか」

「私は......でも......死んでいるのでしょう?」

「願え、そうすれば叶えられる。

なにせ、私は聖夜の奇跡(サンタクロース)だからな」

「......私は、私はっ!」

「その願い聞き届けた。

では枕元に靴下を下げておけ」

 

 

◇◇◇

 

 

 

「あのー、本当に、あの騎士王?」

「如何にも」

「なんでちゃっかり居座っているんですか......」

「他に行くあてもない」

 

その後、肉体を失っていた所長を除き、藤丸立香とマシュ・キリエライト2名は無事に特異点Fより帰還した。

サンタオルタという異物を伴って。

 

帰還直後からさも平然のようにモスモスと食堂でターキーを食い漁るサンタオルタを見て、藤丸立香は頭を悩ませた。

あんなに強敵で強そうで威圧感のあった騎士王が、こんなに可愛くて良いのかと。

 

「あのー、騎士王さん?」

「サンタオルタ」

「騎士王さん?」

「サンタオルタ」

「......サンタオルタさん?」

「なんだ、藤丸立香」

 

頑なにサンタと呼ばれたいサンタオルタの頑固さに辟易しつつ、立香はなんとかコミュニケーションを取ろうと口を開いた。

 

「なんで、俺たちを助けてくれたんですか」

「理由などない」

 

ターキーを頬張りながら、きっぱりと言い切った。困惑する立香を見てか、サンタオルタは言葉足らずな発言を補うよう続けた。

 

「貴様は息をするとき、意識して呼吸しようとするか? しないだろう。それこそ無意識にやっている、からな。

つまるところ、貴様は呼吸するという行為が体の真髄まで染み込んでいるからだ。

私も同じだ。

良い子には贈り物を、悪い子にはお仕置きを。

貴様は良い子だった、それだけだ」

取りつく島もない、とため息を吐く立香にちょうど放送で呼び出しがかかる。

一言サンタオルタに断りを入れ、食堂から出ようとした時、

 

「持っていけ、選別だ」

 

何かを投げ渡される。受け取ってみると、紐に通された三枚の古ぼけた金貨だった。

 

「何かの役にはたつだろう」

「......ありがとう」

「当然だ。貴様が良い子である限り、私はお前の味方だ」

 

その後、藤丸立香、マシュ・キリエライト両名に第1特異点が発見されたことが告げられた。

 

その同時刻、

 

「......なにやら、弟子ができる予感がする」

 

 

「へぷちっ」

「おおジャンヌよ、大丈夫ですかな」

「平気よ。

でも、ちょっと嫌な予感がするの。

なんというかその、自分の黒歴史と遭遇するような......」

「?」

 

 

 

 

 



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