IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第15話

「お前のせいだ!!」

「理不尽だ」

 

前を歩く一夏と箒の寸劇を見ながら共に歩くセシリアとカミツレ。授業も終わり昼食を取る為に食堂へと向かう途中で箒が一夏に文句を言う。箒は一夏と鈴の関係が気になっているのか授業中に集中力を頻繁に欠いていた。その影響か真耶に5回、そして件の鈴曰く大魔王の千冬に2回睨みを利かされ最終的に軽い一撃を喰らっている。自業自得というか学習しないというか……真耶は兎も角千冬の前で良くもまあ3回も出来た物だとカミツレは一種の尊敬を向けていた。勿論いい意味での尊敬でないのは確かである。

 

「なあカミツレだって思うだろ理不尽だって!」

「俺としては如何でも良い。俺に火の粉は飛んで来なかったからな」

「よ、良く思うけどお前って他人に興味持たないのかよ……」

「大きなお世話だ」

 

適当な返しをしながらも食堂へと向かい続けているカミツレ、入学当初こそ強い怒りと憎しみを抱いていたがその怒りはある程度収まりを見せている。それでも怒りが劣化している訳ではなく表に出さなくなっただけ、実際は一夏とは口も聞きたくないと思っているが学園生活を送る中でそれは難しいと冷静に判断しある程度の会話は許容すると決めたよう。若干の溜息を作りながら辿り着いた食堂では嵐が待ちうける事になっていた。

 

「なあカミツレは何にするんだ?」

「いいからさっさと選べ、後が押してんだ」

「へいへいっと」

 

食堂の券売機で適当に大盛りアジフライ定食を選んだカミツレはセシリアの洋食ランチと共にそれをおばちゃんへと渡すと直ぐに定食が出てきた。それを持って何処か空いて席へと移動しようとした時、教室にも顔を覗かせた嵐は再び接近して来た。

 

「待ってたわよ一夏!!」

 

元気いっぱいと言わんばかりに声を張り上げながらラーメンを持った噂の転入生、凰 鈴音が姿を現した。彼女は如何やら一夏と共に食べたいのか待ち受けていた様子、ならば自分達は関係無いなとセシリアと共に別の席へと移動しようとしたが一夏が折角だから紹介したいから一緒に食べようと誘ってきた上に鈴がカミツレを見て何やら興味深そうに見てきたのでセシリアと共に肩を落としながら一緒のテーブルに着く事となった。その際に箒が一番嫌そうに顔を歪めていたが一夏は全く気付いていなかった。

 

「それにしても久しぶりだな、元気にしてたか?」

「見りゃ分かるでしょ元気も元気よ、アンタこそ偶には怪我病気しなさいよ」

「どーいう希望だよそれ」

 

呆れた顔をする一夏とやや頬を赤らめている鈴、如何にも分かり易い奴だと思わずカミツレは思わずにはいられなかった。そしてカミツレの中での一夏の評価が更に下がった瞬間でもあった。

 

「ンンッ!!一夏、そろそろどういう関係なのか説明してくれるか!!」

「あ~幼馴染だよ、幼馴染」

「(もうちょっとこう、良い感じの紹介してくれても良いじゃない…)」

「んっ何だ鈴、こっち見て」

「なんでもないわよっ!!」

「(ホント分かり易いなこいつ)」

 

如何やら鈴も箒と同じく一夏に対する恋心を持っているようだとカミツレは確信する、もう少し隠そうとする努力をした方がいいのではないかと思わずにはいられない。もしかしたらそれが美徳になっているのかもしれないが。同時に目の前で握手と言う名のライバル関係の確認と牽制を同時に行っている箒と鈴を尻目にアジフライに齧り付くカミツレと貴族らしくテーブルマナーによって丁寧且つ綺麗な食べ方をしているセシリア。が遂に其方へと矛先がカミツレへと向けられようとしていた。

 

「んでアンタが噂の二人目の男性IS操縦者ね、ふぅん結構普通の奴ね。ちょっと期待外れ」

 

じろじろとカミツレの方を睨み付けるかのように観察した鈴は素直な感想を歯に衣着せずに言い放った。カミツレはあまりに気にしないようにしつつ、別に期待されたくは無いなと内心で思った。別段自分が見た目が優れているとは思ってないしそもそも幼稚な挑発のような言葉で反応するのも嫌だったので完全に無視する事にしたが、隣のセシリアが反応した。

 

「凰 鈴音さん、初対面の相手に向かって期待外れという言葉は相応しくは無いのではありません事?貴方の代表候補生としての資質が損なわれますわよ」

「……何よアンタ、アタシをバカにでもしてるの?」

「私はそのような気は一切御座いません、ただカミツレさんに対して失礼だと申し上げているのです」

 

静かに銃口を向けるセシリアに対して、それを真っ向から受けて立つと言わんばかりに強気な態度を崩そうとしない鈴。一触即発のような雰囲気に一夏も止めようと鈴を抑えようとするが鈴は全く刃を収めようとしない、このまま戦いでも始まってしまいそうな予感がする中でカミツレが口元を拭きながら声を出す。

 

「セシリア、その辺りに。俺は気にしてない。それに寧ろ俺は好ましい」

「好ましいってアンタ何言ってんのよ、ダイレクトにアンタは別に珍しくないし目を掛けるほどでもないって言われてるようなもんよ」

「だからだ。ISを動かせると分かってから特別視される事が凄い多くてな、遠回しにお前は平凡だと言われて少し嬉しかったんだよ。感謝しておくよ」

「カミツレさんがそう仰いますなら、私から言う事はありませんわ」

 

そう返すと鈴は虚を突かれたかのようにキョトンとしてしまった、馬鹿にしているともとれる発言をされておいて全く感情を荒がなかった所かお礼まで言われたのは初めての経験だった。先程から黙り込んでいた長髪の男に鈴は湧いても来なかった興味がふつふつと湧きあがり始めて来てしまった、隣の一夏とは全く違うタイプの男だと。

 

「アンタ、確か杉山 カミツレって言ったわね。面白い感じがするわよアンタ」

「そりゃどうも」

「専用機、持ってんでしょ。どうアタシと戦ってみないかしら」

 

突然の試合の申し出、一瞬カミツレはそれに反応するような仕草を見せる。鈴は一体どんな風に出てくるのかと面白そうな物を見つけた子供のような笑いを浮かべている、がカミツレは最後のアジフライを完食すると手を合わせた。

 

「ご馳走様でした、悪いけど俺は訓練で忙しくてな。強くならないといけないもんでね、断らせて貰うよ。セシリア、先に行ってるよ」

「いえ私も食べ終わっておりますわ、では行きましょうか」

 

二人は合わせるように席を立ちながら食器を返却するとそのまま食堂から立ち去って行った。食堂を出るとセシリアはそっと耳打ちするように言葉を紡いだ。

 

「カミツレさん、恐らくそれで正解ですわ。彼女は僅か数年で一から代表候補生の座を勝ち取った力を持っていますから、間違いなく格上の相手ですわ」

「やっぱりか、何となくだけどそれは分かってたよ。それが分かるだけ俺も腕前が上がってきたかな?」

「ええ勿論ですわ!さあ本日はまず自室にてISの戦術講座の続きですわ!」

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