IS 苦難の中の力   作:魔女っ子アルト姫

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第341話

「だぁぁっまた負けた……ちょっと真耶先生また腕上げたんですかぁ……?勘弁してくださいよ、あのタイミングでのグレネードとかどうやって回避するんですか」

「ふふんっ私だってカミツレ君のお師匠様に恥じない様にならないといけないですからね♪」

『だからって私の操作するヴァンガードの進路を先読みしてグレネードを蹴って飛ばして命中、それを起爆させて3基を撃墜なんて咄嗟によくもまあやりますね』

 

ピットにて言葉を交わしながらも休憩をしているカミツレ、その日は久々の真耶とのマンツーマンで訓練を行っていた。普段通りにコースの復習と真耶餞別のメニューをこなした後に模擬戦をする流れ、そして又もや敗北記録を伸ばしてしまった事へ思わず項垂れてしまう。今日こそはと意気込んだのだが……以外にも真っ向勝負を挑んできた真耶に対して良い所まで行ったのだが……グレネードで"ヴァンガード"を落とされてから流れを奪われたのか、敗北を喫した。

 

「でも私も本当に危なかったです、後SEが80を切ってましたから……」

「うわぁっ後数発だったのかよぉ……俺は何時になったら師匠に一泡吹かせられるんだぁっ!!」

「カミツレ君の弱点は基本的にないですからね、だから正面突破の実力で切り抜けただけですよ。作戦を正面突破って結構有効だったりしますからね」

「実感しました……」

『しかしこれでもメニューを増やして千冬さんにも打ち合って貰ってカミツレの練度も上がってると想いましたが……これは再評価した方が良いですかね』

「そうしてくれ……」

 

と言いつつも今回の敗北の要因は明らか、真耶の実力が急激に伸びている。彼女自身元々腕利きだったこともあるが弟子を持ったことで意識を切り替えたのか最近は自主的に教員用ISで稼働訓練を積んでいる。そしてその実力は嘗ての全盛期を既に軽く超えている程に伸びている。並の国家代表と比べても遜色などしない程に。そんな所に一人の影が入って来た、思わずカミツレは瞳を鋭くするが入って来た人物を見て真耶は少しだけ顔を柔らかくした。

 

「あらっ何の御用ですかエミュレールさん」

「ふん、そう呼ばれると妙に気分が悪いな。お前にそう呼ばれるのは好かんぞ真耶」

「フフフッ失礼、最終的に私に勝てなかったジブリルさんと訂正しますね」

「ぐっ貴様……!!!」

 

そこに立っていたのはアイリス王女の護衛である女騎士のジブリル・エミュリール氏だった。そんな彼女を何処かからかうかのように転がしている真耶に視線を向けてみると紹介しますねっと良い笑顔を作ってから手を向けた。

 

「私が現役時代に私のライバル(仮)だったジブリル・エミュリールさんですよ」

「おい」

「だって私は全然認めてないのにライバルとしての自覚を持て!!とか言われても困りますよ」

「そもそも貴様が自らの実力を無駄に謙遜する所が気に入らなかったのだ」

「まあそれは置いといて」

 

フンッ!!と鼻息を荒くしながら不機嫌そうにしながらも真耶への嫌味を垂れ流すジブリルだが真耶はそれをあっさりとスルーしながらカミツレに先程の戦闘の講評を聞かせつつも戦闘データをモニターに流して説明を始めてしまった。ジブリルは矢張り気に喰わないと言いたげな態度をしつつもモニターに映った真耶とカミツレの戦いに改めて見入った。

 

「此処はちょっと隙が大き過ぎますよ、それを引きずってこの後のタイミングでライフルの発射タイミングが狂ってランチャーを撃ち落とせなかったんですよ」

「いやあの時は即座に"ヴァンガード"に切り替えたんですよ、だからここで背後で出てくるでしょ。そこで体勢を変えつつも"ディバイダー"の連結時間を稼ぎつつも"ドライブ・キャノン"の無駄を潰せますしそこからの大火力は確実に真耶さんもよけきれないでしょ」

「成程そういう事だったんですね……確かにこれは私も駄目だったなぁ……」

「それをあっさりグレネード一個で潰された俺の身にもなって下さいよ」

「アハハハッ~ごめんなさい、これは確かに私が上手過ぎましたね」

「事実だから何も言い返せない自分が悔しい……」

 

カミツレも敗北こそしているがその練度は代表候補生の中でも群を抜いている、何せ師匠が師匠なのだから。そんな相手に連戦連勝記録を伸ばし続けている真耶大概化け物である。

 

「おい真耶、お前―――私と戦った時よりも遥かに強くなっているな」

「えっそうですかね……私はそう言う実感ないですよ?」

「全く……でなければ何故死角からの攻撃を陽動だと見抜いた上で正面から来る子機も囮、そして真下からの攻撃を回避して反撃に転じられる!?」

「そう言われても……全部勘で捌いただけだから何とも……」

「か、勘!?」

「勘に負けたのかよ俺……」

 

それを聞いて呆然とするジブリル、今の中にあった全方位攻撃と高速移動から弾幕射撃を対処するなんて自分には確実に出来ない。それをやるカミツレも怪物的な印象を抱かずにはいられないのにそれ以上の化け物が目の前にいる事になる。頬を掻きながら真耶は大袈裟だなぁと言いつつも説明する。

 

「カミツレ君との対決は基本的に全方位警戒を常に強いられますからね、そりゃ勘も鋭くなりますよ。気を抜いたら一瞬でハチの巣ですもん。お陰でこの前なんてアタリ付きお菓子の大当たりを一発で当てましたから!」

「いやそれ俺関係なしに先生の運ですよね」

 

と胸を張る真耶にツッコミを入れるカミツレと本気で呆れるジブリル。酷く変わっていたように思ったのに全然変わっていなかった事への脱力なのか、自分の知っている真耶のままだった事への安心感なのかは極めて謎である。




妻「へぇ真耶さんとお知り合いだったんですね」

私「原作だと教員として入ろうとした彼女が、真矢さんの陰謀で生徒として入る羽目に会ったりしてるよ」

妻「真耶さん何やってんの」

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