「あっ杉山君も来たよ!」
「う、うそ!?ね、ねえ本当に私の水着おかしくないよね!?」
「わぁ凄い……織斑くんよりもガッチリ鍛えられてる……」
「あの腹筋に腕周り、何て色気……」
「ごくり、触りたい…」
水着へと着替えたカミツレは覚悟を決めてビーチへと足を踏み入れた、此処に来るまで何度も心が折れそうになっていたのは内緒である。しかし肌が見えすぎているISスーツを皆が着ていると思うんだと、自分で思い込む事で取り敢えず振り切りそうになる理性を抑えこんでいる。眩しく輝くビーチにはしゃいでいる少女達の視線を受けるカミツレの身体は一夏の物よりも鍛え上げられている。毎日続けているトレーニングには肉体面の物も含まれているので当然である。
「おっカミツレ来たんだな。にしても……凄いな腹筋割れてるじゃん」
「毎日鍛え上げてた結晶だからな」
唯ISの操縦訓練をするだけでは意味はない、真耶から口を酸っぱくするほどに言われている言葉でもあった。同時に身体を鍛える事で操縦の負担にも耐えきれる、ISの操縦者保護機構でも相殺しきれない程の負担にも耐え切れるようになる。その為に鍛え続けているカミツレ、事実以前ヨランドに
「んじゃ俺泳いでくるぜ!カミツレも行くか!?」
「自分のタイミングで行く」
「そっか、おおおおっ泳ぐぞぉぉぉぉっっ!!!」
駆け出して行った一夏、それに続くかのように女子達も海へと入っていく。それを見つめるカミツレは深呼吸をして落ち着きを取り繕う、幾ら思い込みでなんとかしているとはいえこれでは余りにも目の毒だ。なんとか気分を落ち着かせていると背中を誰かに押された。
「何落ち着いてんのよ」
「鈴か……男にとってはこれ程までに辛い風景もないんだぞ」
「あ~……成程ね、アンタには同情するわ」
鈴はそのまま、なにやら頑張れと不吉な言葉を言い残したまま準備運動を済ませて海へと入って行った。……そうだった、セシリアと乱の事があったのだった……と思わず頭を抱えてしまう。そして遂にそんな時がやってきた。
「「カミツレさん♪」」
後ろから聞こえてくるウキウキと浮かれているような嬉しそうな声に一瞬身体が震えた、潮風に錆付いたかのような動きで振り向いてみる。そこには自分が選んだ水着を纏っている恋人二人がポーズを決めていた。
「如何でしょうか、ご感想は♪」
「似合いますかね♪」
手に荷物を持っているセシリアが纏っているのはブルーのビキニ、腰に巻かれたパレオが彼女の優雅さを引き立てつつも美しさを際立たせている。豊満な胸を強調するように纏うビキニ、モデル顔負けなスタイルなセシリアの魅力を完璧なまでに引き立てている姿にやや理性が暴れてしまうほどに官能的な印象を受けた。そして乱は明るい緑のビキニを着用している、活発的な乱らしいスポーティタイプで動くのに最適な物。セシリアほどではないが、それでも大きな胸は誘惑的に揺れている。そんな二人の姿に一瞬思考が停止するほどの衝撃を受けるカミツレだが、何とか再起動を果たす。一応、正気は保てている。
「に、似合ってるよ二人とも……うん、流石モデル顔負けだ」
「キャアもうお上手ですこと♪」
「もう本当のことだからって言い過ぎですよぉ♪」
「いや本当に綺麗だよ、一瞬クラって来ちゃったから……」
クラクラしているのは本当である、恋人の眩しい水着姿は他の生徒の水着よりも破壊力がある。その言葉に嬉しさを浮かべる二人、セシリアと乱は持っていたパラソルやシートを広げていくとその下に入った。そしてサンオイルの入った瓶を差し出して笑顔で言った。
「サンオイルを塗ってください♪」
「お、俺ぇ!?」
「カミツレさん以外にありえませんよ。さあさあ♪」
満面の笑みで問い掛けて来る二人、その笑みには逆らえないのかそのままパラソルの下へと入る。そこでは既にセシリアが水着を紐解いて寝そべっていた。シートに押し付けられている胸は僅かに背中からでも見えているのが非常に目に毒だ。そしてパレオが外れている事で発育が良いお尻も誘惑的に見える。顔が歪みそうになるのを必死に止めながら、サンオイルを手に塗ってまず暖めていく。数回だが海に入った事がある、その時に兄が日焼け止めを塗る時はまず暖めた方が良いと言っていたのを無意識に守っていた。
「そ、それじゃあセシリア塗る、ぞ……?」
「よろしくお願いします……♡」
すべすべとした絹のような美しいセシリアの肌に手が触れて、サンオイルを塗っていく。一度共に浴場へと入りそこで肌が触れ合っている経験があるからか、カミツレはほんの僅かに気が楽であったがそれでもこんなじっくりと自分から触れていたわけではないのでどちらにせよ心臓に悪い。
「んっ……あんっ……」
「こ、声を出さないでくれセシリア……」
「だって、凄い、んっ……お上手ですので……ぁっいいっ……♡」
「……何も、考えるな……そうだ、無心だ無心…」
そのまま無心でオイルを塗り続けて行き、カミツレは乱にもそれを同じ事を施した。乱も艶っぽい声を出してカミツレの腕前に気持ち良さそうにしていた。元々農作業をしていたカミツレにとって、作業後に身体が凝るのは良くある事であった。それで兄とよく接骨院などに行っており、そこでマッサージのコツをなどを教えて貰い兄や三羽烏の人達にやっていたりしていた。腕前も好評だったりしていた。そんなカミツレのオイル塗りも流石にお尻や前は、セシリアと乱にやってもらった……が、足などはカミツレがやる事になってしまった。そしてやり終えた後には……カミツレは顔を赤くしながらも荒々しく息を吐きながら、自分の身体にオイルを塗っていた。
「ぁぁっなんて官能的な感触だったのでしょうか♪」
「本当♪お風呂の後にもお願い出来ます!?」
「是非是非!!」
「……確りと服着てくれるならやるよ」
「「やったっ♪」」
もう疲れてしまっているのか返答も力がなくなっているカミツレを他所に二人はハイタッチをする。確かに疲れたが…恋人が喜んでいるのだから良いかと折り合いを付ける事にした。そんなカミツレの前に更なる苦難が舞い降りた。
「カミツレ、随分とお疲れだな。まだまだ始まったばかりだろうに」
「……千冬さん、お願いですから俺を虐めないでください……」
目の前に立ったのはマッチしている黒のビキニを身に纏い、大人の魅力を全開に引き出している千冬の姿であった。セシリアと乱も十分にモデル顔負けなのに、二人に全てにおいて勝っているのは流石千冬と言わざるを得ない。思わず二人も負けた……と言ってしまう。
「この後に真耶も来るぞ、まあそれはそれとして……さあハニトラ訓練水着編の開始と行くか」
「いいいぃぃぃぃっ!!!!???」
「これからビーチバレーに参加する。オルコット、凰も参加しカミツレとチームを組め。そして、私に敗北した場合……ふふふっ」
「っ!?勝ちますわよ!!」
「勿論!!!」
「ま、負けられない戦いが此処にある……!!!!」
この後、プロも裸足で逃げ出すかのようなプレーを連発する千冬に必死に食らい付けていく三人。だが圧倒されてしまい負けると思ったその時、千冬のスパイクが地面に突き刺さると同時にボールが音を立てて割れてしまった。これによって試合は無効、引き分けとなりカミツレはなんとか一命を取りとめた。
「カミツレ……お前千冬姉と仲良いんだな、お疲れさん」
「……完全に俺が遊ばれてるだけだろ……」
ジュース片手に労ってきた一夏に感謝の意を感じるほどに、カミツレは色んな意味で疲れてしまっていた。
「なんだったら、カミツレさえ良ければ千冬姉貰ってくれないか?」
「っ!!?」
「いや冗談だから本気にするなよ……大丈夫か?」
「……心臓に悪いからマジで止めろ……後お前が義弟とか絶対に嫌だ」
「酷くねっ!?」