マリア様がみてる Another ~シスター&シスター~   作:夏緒七瀬

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11 早起きと朝の空気

 翌朝。

 マリアはいつもよりも早く目が覚め、そしていつもよりも三十分は早くリリアン女学園に登校した。

 

 三薔薇さまは、朝八時までこの薔薇の館を訪れる。毎朝ではないけれど、本日はつぼみも含めて全員がこの館に集合するということなので、最低でも十五分前にはこの薔薇の館に到着していることが望ましいと、マリアは菜々さんに教えてもらっていた。

 

 お姉さま方はだいたい五分前に到着して、つぼみたちは十五分前には薔薇の館に集合する。

 それが暗黙のルールのようだった。もちろん部活動やそれぞれの事情などがあるので絶対ではないが、何かの話し合いが行われる際には、このルールが適用される。

 

 しかし気が急いてしまったマリアは、何と一時間も前にリリアン女学園に登校してしまった。

 マリア像の前でお祈りをしてから薔薇の館に向うと、やはりというか当たり前のように誰もいなかった。

 

「やっぱり、まだ誰もいない」

 

 マリアはそう呟きながら校内を見回してみる。

 この広々とした学園の中に、まるで自分一人しかいないような感覚を覚えた。

 寂しくもあり、少しわくわくもする、そんな感じ。

 

「そうだ。菜々さんに万が一を教えてもらったんだった」

 

 マリアは八時十五分前に菜奈さんと薔薇の館の前で待ち合わせをしていたのだが、もしも彼女が遅刻をしてしまったら、職員室で薔薇の館の合鍵を借りられると教えてもらっていた。

 すでに先生には話を通してあるとのこと。

 

 マリアは直ぐに職員室に行って薔薇の館の鍵を借りて来た。

 その際、当直の先生が「こんな早い時間に?」と驚いていた。

 

 薔薇の館の鍵を開けて中に入ったマリアは、高揚した気分を抑えながら二階へと上っていく。

 今、自分が全校生徒の憧れの場所にいる。

 

 それも、たった一人で。

 

 そう考えると、マリア自身も何だか特別な人間になったようで嬉しかった。

 まるで物語の登場人物の一人になったような気がしていた。

 

「まぁ、そんなことは言っても私はただのお手伝い。えっと、何をするんだっけ? せっかくだから菜奈さんを待たずに全部済ましておこう」

 

 そう考えたマリアは、さっそく行動を開始した。

 

 二階の窓を全部開けて朝の心地良い空気を部屋の中に呼び込み、部屋の床を簡単に履いてゴミを片付ける。濡らした雑巾でテーブルを簡単に拭き、花瓶の水を変えた。

 

「後は、三薔薇さまが薔薇の館に着いたら、確かお茶を用意するんだっけ? 瞳子さまはどんなお茶を飲むんだろう。やっぱり紅茶かな?」

 

 そんなことを考えながら、マリアはティーポットとティーカップの準備を始めた。

 しかし、そうは言ってもまだ七時半。

 

 菜々さんが来るまで、まだ十五分もある。

 

「椅子に座って待っていよう」

 

 マリアは一つだけ開けたままにした窓の近くに椅子を運び、穏やかな風を感じながら誰かが来るのを待つことにした。

 

 欠伸をかみころし、うとうととしながら。

 

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