マリア様がみてる Another ~シスター&シスター~   作:夏緒七瀬

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12 居眠りと妹

 

 瞳子が薔薇の館に着くと、すでに扉の鍵が開いていることに彼女は驚いた。

 直ぐに昨日の閉め忘れを疑ったが、おそらくそれは違うだろうと思った。

 

 今は集合時間のニ十分前。

 おそらく、マリアが職員室に行って鍵を借りてきたのだろう。

 

 菜々ちゃんがマリアに十五分前には薔薇の館に着いているようにと説明したことを予め聞かされていたので、手伝いを頼んだ身としては彼女よりも早く薔薇の館に到着して、彼女の指導をと考えていたが完全に当てが外れてしまった。

 

 瞳子は「あと十分早く来るべきだったかしら?」と考えながら、二階に上がってビスケットのような扉を開く。

 そして、目の前に飛び込んできた光景に呆気に取られた。

 

 窓際に置いた椅子に腰を掛けている少女が、とても心地よさそうに眠っている。

 開いた窓から差し込む木漏れ日を浴びながら、すやすやと寝息を立てている。

 

 そんな穏やかな光景を見た瞳子は、思わずくすりと笑ってしまう。

 そして、静かに部屋の中の状況を確認した。すでに掃除がされており、部屋の中は新鮮な空気で満ちていた。花瓶の水もしっかりと変えられ、人数分のカップの準備もされている。

 

 文句のつけようもなかった。

 指導する必要もなく、彼女はやるべきことを全て終えていた。

 

「いったい、どれだけ早く登校したのかしら?」

 

 だから、瞳子はマリアをしばらく寝かせてあげることにした。

 どうせ他のつぼみも五分前までは薔薇の館には来ないだろう。全員が瞳子に気を使って、ぎりぎりまで二人ででいられる時間を作ってくれるだろうことは考えるまでもなく分っていた。

 

 だから、瞳子はその時間を精一杯有意義に使うことにした。

 瞳子は可愛らしい少女の寝顔をそっと眺めた。

 

「――、?」

 

 瞳子はそこで初めて、自分が妹を持ちたいと思っていることに気がついた。

 この瞬間、瞳子は妹と言う存在を強く意識していた。

 

 自分の姉である福沢祐巳さまが、かつて自分を妹にと思い、抱いてくれた深い感情を――瞳子はようやく理解することができた。

 

「私は、マリアを妹にしたいのね」

 

 自分は彼女の姉になることができるだろうか?

 自分の自慢の姉である福沢祐巳さまのような。そして、その姉である小笠原祥子さまのような。

 

 そんな素敵な姉に。

 

 そんなことを考えてしまったら、瞳子の胸ははち切れてしまいそうなくらいに切なくなった。

 甘くて、痛くて、怖くて、待ち遠しい――そんな感情でこの胸が溢れ返っていた。

 

 

「マリア、私たちは姉妹(スール)になれるかしら?」

 

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