マリア様がみてる Another ~シスター&シスター~   作:夏緒七瀬

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17 菜々さんとあっけらかん

「菜々さん、ありがとう」

 

 教室に戻ったマリアは、菜々さんにお礼を言って頭を下げた。

 

「気にしないで。私が勝手に首を突っ込んだだけだから」

「ううん。本当に助かったよ。私も菜々さんみたいに、はっきりと自分の意見を言えたらいいんだけど」

 

 マリアは、少し困ったように言って笑った。

 そんなマリアを見た菜々は、「そうだ」と提案する。

 

「明日からしばらく、私と一緒にお昼ごを飯を食べない? そのほうが、周りの生徒も余計なことを言ったりしないだろうし」

「でも、菜々さんの迷惑じゃない?」

「ぜんぜん」

 

 菜々さんはきっぱりと言って微笑んだ。そして、こそこそ話をするように口元に手を当てて続けた。

 

「私、クラスメイトと少し距離感があるっていうか、あんまり打ち解けていない気がするんだ。だから、マリアさんと一緒にお昼ご飯食べれたら嬉しいんだけど」

「それはきっと、菜々さんが立派な黄薔薇のつぼみ(ロサ・フティダ・アン・ブウトン)だからだと思うよ。それに中等部の頃から、薔薇の館に通っていたんでしょう?」

 

 マリアも、こそこそ話をするように小さな声で言った。

 

「通っていたっていうか? まぁ、色々あってそうなったというか。ほとんどお姉さまのせいなんだけどね」

 

 菜々さんはやれやれといった感じで言った。

 

「でも、すごいよー。そりゃ、みんなも少し近寄りがたいった思っちゃうかも」

「そんなことぜんぜんないんだけどね」

 

 菜々さんはあっけらかんと笑う。

 

「あ、あの、菜々さんがいいなら、その、明日から、お昼ご飯ご一緒してもいいですか?」

 

 マリアは、顔を赤らめて言った。

 

「うん。実はね、お昼ご飯を食べるのにうってつけ場所があるの」

「うってつけの場所?」

「私のお姉さまはあんまり好きじゃないみたいだけど、祐巳さまと志摩子さまのお気に入りで、一年生の時に良く使っていた場所なんだって」

紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)が? 楽しみだなあ」

「実を言うとね、私、マリアさんが薔薇の館に招待されて嬉しんだ」

 

 菜々さんが打ち明けるように言う。

 

「嬉しい? どうして?」

「私、黄薔薇のつぼみ(ロサ・フェティダ・アン・ブウトン)って言っても一年生でしょ? 他のつぼみは二年生だし。やっぱり同級生がいると心強いというか、安心する」

「そっかー。やっぱり菜々さんはすごいね。私だったら、瞳子さまや乃梨子さまと一緒の立場なんて考えられないよ。考えただけで緊張しすぎて心臓を吐き出しそう」

 

 それを聞いた菜々さんはころころと笑った。

 ああ、何て素敵な笑顔なんだろう――マリアはそんなことを思った。

 

「マリアさんって面白いね」

「ええ、面白くないよ?」

「ふふふ、面白ってば。それじゃあ、今日の放課後もよろしくね」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 二人は微笑みあった。

 

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