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「月香さん。起きてください。学校に遅刻しますよ」
「ん~…後5分~」
「全く……遅れても知りませんからね」
起きなかったら遅刻する。でもこの幸せな時間はもっと味わってたい!それにここから学校までは近いから5分くらい余分に寝ても余裕余裕!……そんなことを毎日思っている自分を、全力で殴りたいです。
「ヌアァァァ!!!もうこんな時間!」
「だから言ったのに」
5分どころか、あれから20分も寝ちゃったよ!!早く食べないと確実に遅刻だよ!寝癖も直さないと!何で目覚ましに従わないかな~もう!!
「早く朝食食べないと学校に遅れますよ?」
「分かってるよ~!!」
死神さんの作ってくれたトーストとサラダを口に入れて、一気に牛乳で胃袋まで流し込んだ。それじゃあ消化に悪い?今はそんなこと言ってられないの~!急がないと遅刻しちゃうぅぅぅぅ!!
「気を付けて下さいね~」
「は~い!」
「はぁ~……間に合った……」
遅刻寸前だったけど、なんとか学校に入れた……あの時ちゃんと起きてればな~。私、天城月香はマンガ家志望の何処にでもいる専門学校生です。毎日学校に通いながらマンガを書くための知識を身に付け、持ち込みをしたりして夢を追いかけている普通の女の子!……の筈何ですけど……死神さんと同居してるのは普通の事でしょうか?
「それは後で作者が回想入れてくれますよ」
「ウオッ!?なんで学校に!?」
「お弁当を届けに来ました。朝忘れて行ってましたよ?」
「あ、ありがとう……って、人前に出てきて大丈夫なの?周りから見たら普通に怪しい人なんだけど……」
「大丈夫ですよ。月香さんにしか見えてませんから。それに今は周りに人が居ませんし」
そうだった。死神さんこう言う事には気を使うんだった。そもそも私以外見える人はいないんだった。焦る必要なんて無いじゃん。はぁ……。私に作ってくれた弁当を渡すと、壁をすり抜けて空を飛びながらマンションへと帰っていった。実体があるんだが無いんだがよく分からない……
私と死神さんが出会ったのは、私が進級してからすぐの事だった。その日は描いていたマンガが完成したので、出版社に持ち込みをしていたのだ。だが、
「はぁ……またダメだった……」
結果はいつものようにダメだった。絵は良いと言われるのだが、内容に新しい物が感じられない。どこに行ってもそんなことを言われて毎度帰されてしまうのだ。
「向いてないのかな~……私」
親や高校の時の担任の反対を押しきってまで入学したのに……就職の方が良かったのかな……親に負担もかけてるのに、これじゃダメだな~。でも!入ったからには意地でも結果を残す!うん!ん?
「なにあれ……」
顔を叩いて気合いを入れ直し、少し上を見上げた時だ。人?の様な何かが話をしていた。
『今月に入ってから4回目ですよ。違反切符取られるの』
『いやぁ~。あはははは……』
眼鏡をかけた男の人が、黒いローブをまとって骸骨の仮面を付けている人に怒られていた。しかもスゴく大きい鎌を持っている。え?凶器じゃん!?
『……では、ルールに従って境界へと帰って貰います。異論は在りませんね?』
『はい……』
ローブを着ている方が、鎌を軽く横で振るった。すると突然、空に変な穴が開いて、そこに怒られていた男の人が入っていった。私以外にも空を見上げてる人は沢山いるのに、誰もその光景に気付いていない。全員素通りしている。まるで見えていないかの様に……すると今度は地面に降りてきて、ビルの間にある狭い路地まで歩いていった。
『こんな所でどうそれたんですか?』
『ニャア~』
「え?ウソ……」
さっきまで飛んでいた怪しい人がそこに行くまで、確かに何も居なかった。なのに、その人が腰をおろした瞬間に、猫が出て来たのだ。見えないところから出てきたとかじゃなくて、本当にフッと現れたのだ。
『成る程……家族が心配で成仏できないと』
『ニャア~』
え?猫と話してるの?やっぱ危ない人!?
『そのご家族と言うのは?』
答えられる訳ないでしょ!?でも、聞かれた猫はある一点をジッと見ていた。話をしていた人も、猫の視線の先を見る。それに釣られて私も見てしまった。なにも居ないだろうと思っていたが、そこには4匹の猫がいた。話に出てきた家族なのかな?
『あちらがご家族ですか?』
そう聞くと、猫は首を縦に振った。一連のあり得ない事の数々に、私の頭はパンクしかけている。
『では……よっと』
パチン!
え?なにしたの?急に4匹の猫に向かって指を鳴らしたけど……
『これで、あなたの家族の今後は大丈夫です。私のかけた呪いより強い物じゃない限り、何か悪いことが起こるなんて事はあり得ませんので。一応彼らはこのあと保護されて、ある人達に飼われるのですが……まぁ口で言うよりも見た方が早いですね。境界に行けば、彼らの事はいつでも見られます。必要とあらば、私たち死神がサポートを行います。境界に行って貰ってもよろしいですか?』
『ニャア~』
『ありがとうございます』
すると、また鎌を軽く振った。今度は猫サイズの小さい穴が出来上がった。猫はその穴に入って歩いていく。私はそのようすをマジマジと観察していたのだ。そして
『ん?』
「あ……」
目が合ってしまった。急いで目を反らしたのだが、その人?はゆっくりと私に近付いてくる。なんで?!どうして?!私なんかした!?
『あの。もしかして見えてます?聞こえてます?』
「み、見えてません!聞こえてもいません!!」
『いや。答えてる時点で見えてるし聞こえてますよね』
「見えてません!見えてませんからぁぁぁぁぁ!!!」
そう叫んでその場から逃げ出したんだった~。周りからはかなり変な目で見られてたけど……。部屋に戻ったら、これは全部夢だと自分に言い聞かせて布団に潜り込んだんだけど……
~次の日~
ピンポーン
「はぁ~い!今開けま~す!どちら様です……か……」
「昨日振りですね。天城月香さん」
「なんで!?」
「訳あって、今日から一緒に行動することになりました。事情を説明するので中に―」
バン!カチャッ
なんでなんでなんで!?あり得ないでしょ!と言うか何で私の住んでる場所とか名前とか分かるの!?それよりも一緒に行動するって何!?訳が分からないよ!!
「あの、突然閉めて鍵かけるの止めてくれません?」
「なんで入ってこれるの!?」
「死神ですから。これくらいの事は出来ますよ」
「死神!?え!?私死ぬの!?嫌だよ!!」
「死にませんよ。死神をなんだと思ってるんですか?そう言ったことも含めて説明するので、取り敢えず中に入れてください」
「はい……」
はぁぁぁぁ……私の人生、終わった……。お父さん、お母さん、今までありがとう。
天城月香
高校卒業後に夢であったマンガ家になるために専門学校に入学。今年で2年目に入るが、周りがどんどん賞を取ったり雑誌に掲載されたりする中、自分だけ中々上手く行かずに悩んでいた。そんなある日、数奇な運命で死神と同居することに。彼女の生活はどうなることやら……
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