私と死神さん   作:憲彦

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死神君かなり有能ですね。家にも欲しいです。


第3話

死神君side

 

「さてと。残ってる掃除でも……」

 

邪魔者がしばらく帰ってこないこの時間に、早く残りの掃除を終わらせなくては……と言うか何でこんなに散らかってたんだ?何か夢中になってるものでもあるのか?

 

「ん?これは……」

 

マンガか。境界でも売られてたな。買ったことは無かったけど。でもなんだか無性に懐かしく感じるんだよな~これ。ドレドレ……

 

「成る程……これは部屋も散らかるか。しかし、ここの背景効果は線が多いな……ここはベター忘れてる」

 

全く……確か資料にはマンガ家志望とか書いてたな。これで大丈夫なのか?ここはこうして……ここに使うトーンはこれ。ここもベター。セリフ回しはこれでよし。背景はこれじゃおかしいだろ。効果でもないのに迫力出しすぎだ。ラブコメだろこれ。何で迫力出してんだよ……と言うか何で俺はこんな事知ってるんだ?

 

~4時間後~

 

「ただいま~……ようやく帰ってこれた……量多すぎなのよ。こんなに要らないでしょ」

 

ん?帰ってきた?早くないか……ッ!?

 

「しまったぁぁぁぁぁぁ!!!!無駄なことに時間を割いてしまったぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

やってしまった!俺としたことが!!なんでマンガなんか描いてたんだ!!掃除一切してないよ!4時間も無駄にしちゃったよ!!

 

「あ!?私のマンガ!!なにしてるの……よ……」

 

俺としたことが……は、はははははは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月香side

 

ウソ……私が描いたときよりもクオリティーが上がってる。全体的に構成も作画も良くなってる……何者なの。この死神……

 

「マンガ、描いたことあるの?落ち込んでるところ悪いけど」

 

「え?あるわけないでしょ」

 

初心者?こんな事出来てるのに……なんなのこのハイスペックお化けは!私が買い物に行ってるたった4時間で普通ここまで出来る!?あり得ないでしょ!

 

「負けた……」

 

完全に負けた……ここまでとんでもない物を完成させるなんて……悔しいけど、雑誌に載せるには手を借りるしかない!

 

「ねぇ死神さん!私に力を貸して!連載を取るために」

 

この人がいれば確実に賞を取ることが出来る!雑誌に掲載されることも、連載を勝ち取ることも!そして何より、この人はネタの宝庫!!悔しくても何でも、手を借りる以外の選択肢はないわ!

 

「え?嫌ですけど」

 

「なんで!?こんな才能あるのに!!」

 

「いやここに来た時の俺の話し聞いてました?それとも忘れたんですか?バカですか?」

 

失礼な!これでも高校時代の成績は学年トップだよ!!これでも将来有望視されてたよ!!

 

「俺は貴女の中に残っている神の力が無くなるまでの間、ここで護衛をするだけです。それ以上ここにいるつもりはありません」

 

「じゃあ消えるまでの間で良いから!お願い!!」

 

連載を勝ち取ればこっちのもん!後は私自身のスキルを向上させれば!!と言うかこの人と一緒に描いて無理矢理にでも上手くなってやる!

 

「頭を下げられても……はぁ。分かりました。分かりましたよ。手伝います。ただし、連載が取れそうに無いと判断したら、その時は手伝いませんからね」

 

よし!滅茶苦茶いいアシスタント手に入れられた!!と言うかこの人はネタの宝庫!話を聞いて、それをマンガにすれば絶対に面白いと思う!そうしよう。絶対にそうしよう!!まぁ新しいの書く前に、一応これも持ち込みに使うとしよう……

 

「バッグ何かに入れて……持ち込みにでも使うんですか?」

 

「そりゃあ勿論。使えるものは何でも使うが私のやり方だもん!」

 

そのせいで構想がまとまらない事態が発生するんだけどね。まぁそんなことは置いといて!早速死神さんからネタを沢山抜き取ろう!……あんまりガッツキ過ぎないように気を付けないと。

 

「じゃあ、新しいの描くから、死神さんについて教えてくれないかな?出来れば詳しく」

 

「それは何故ですか?」

 

「新しいのを作るために情報が必要なの!」

 

「まぁ良いですけど。何から話せばいいんですか?あ、俺は夕食作りながらですので、聞き漏らしても文句は言わないでくださいね」

 

「分かってるって。包丁は別の袋に入ってるから」

 

「あぁ、俺は必要ありません」

 

そう言って死神さんは、空間に穴を開けて腕を中に入れた。そして何かを掴むとそれを引きずり出してくる。掴んだときの音的に金属の何かだ。

 

「これを使うので」

 

「鎌じゃん!?使いづらいでしょ!」

 

「これ形の変更とか出来るんですよ。ほら」

 

本当だ。一瞬にして形を変えた。しかし何故日本刀に変えたの?包丁に変えれば良かったのに……あ、包丁に変えた。取り敢えずメモしとかないと。

 

「で?何を教えればいいんですか?」

 

「えっと……じゃあ死神って言う存在から」

 

大体死神って言うイメージは怖いものだ。名前を書いただけで人を殺すノートとか。人の魂を持っていったりとか、普通に人の命を奪ったりとか。大体そんなもんだ。でもこの死神さんは全くイメージと違うから、もしかしたら私たちのイメージが間違ってたのかな?

 

「ん~。大体死神のイメージが、名前を書いただけで人の命を奪うノート持ってたりとか、人の魂を持っていったりとかだと思いますけど、まずそんなノート持ってないし、魂を無闇に持っていたり命を奪ったりしたら、神の地位を剥奪された上に消滅処分を食らいますよ」

 

成る程成る程……

 

「本来の俺達の仕事は、自分が管轄している地域の魂の管理。死後、魂を安全にあの世に運び、死後の生活や転生についての説明をします。他にも転生するつもりのない人達のサポート、現世に未練を残して成仏出来ない魂の悩みを解決してます。後は……法を説明したのに無視して周りに迷惑を及ぼしたり、無闇に人を呪ったり襲ったり霊障を起こした連中の始末をします」

 

うわぁ~……見事にイメージが全部外れたよ……

 

「そもそも、俺達死神に物騒なイメージが付いたのは、悪魔や迷い神、騙し神の連中のお陰ですから」

 

「その人たちは何が違うの?」

 

「悪魔は人の前に現れて、願いを叶えさせます。悪魔によって叶える量は違いますが、平均的には3つ叶えて、最後の願いが成就したら、死んだときに魂を持っていって自分の奴隷にしたり、普通に食べたりします。因みに、最後の願いが成就したタイミングで地獄行き確定しますし、願い1つにつき寿命が9年縮みます」

 

うわぁ~。新手の借金取りみたい。まぁ悪魔と分かってるのに願い事を言うのもどうかと思うけど。

 

「迷い神は冥界に行く途中、道を迷わせて精神的に追い込み、最終的には自分達の仲間にします。だから神と言うわけでありません。騙し神は、嘘の寿命を教えて命を奪い、その魂を自分の物として使役するだけです。願い事を叶えない悪魔だと思えば良いですよ」

 

やることも結果も違うけど、どれも碌なことじゃない事は確かね。それにしても……色々いるもんだね~

 

「アイツら消せれば死神の名誉も回復できるんでしょうけどね~」

 

なに物騒な事言ってるの!?あながち物騒なイメージ外れじゃないよそれ!!

 

「し、死んだ人って全員冥界?で暮らしてるの?」

 

「イエ。大体は冥界の1歩手前、現世との繋ぎ目である境界で暮らしています。転生する気のない人、現世の様子を確かめたい人が暮らしていて、冥界は完全に転生する魂と現世に未練のない人が暮らしています。数は圧倒的に少ないんですけどね」

 

そんな風に棲み分けされてるんだ……てっきり全員同じ場所で住んでると思ったんだけどな~。やっぱ実際に聞いた方が全然良いな~。

 

「死神さんが今までで1番印象に残ってる人っている?境界に住んでる人で」

 

「印象に残ってる人ですか……キャラの濃い人達の固まりみたいなもんですからね。境界って。そこで1番となると……あぁあの2人だな」

 

「誰ですか?」

 

「名前は教えられませんが、夫婦です。片方は殺した方で片方は殺された方です」

 

なにそれ!?スゴ!

 

「女性の方、つまり殺した方は、幼かった頃のたった1つの夢を叶えるために、必死で努力してきた。それこそ血反吐を吐いていっそのこと死んでしまった方が楽だと言うくらいに。そして作り上げた夢を叶えるための翼は、所詮子供の夢物語だと大人たちにバカにされ、汚され、踏みにじられた。その結果、1回世界を破壊しようとしました。その事件の被害者の1人が、彼女の旦那になった男です。彼曰く、昔の自分に似てるところがあるらしく、どうにも放っておけなかった様で」

 

な、何か物凄くとんでもない事をサラッと言ったような気がする……

 

「まぁ、一緒に暮らすように誘導したのは俺なんですけどね」

 

誘導したの!?

 

「何の詳細も伝えてなかったんですけど、どう言った訳か彼は彼女の正体を知ってました。でも、気にするなと言ってずっと一緒にいたんですよ」

 

心ひろ!?と言うかカッコいいな~。その人。自分を殺した相手に「気にするな」って一蹴り。男前過ぎるでしょ。

 

「あと、その人。他の神に1回喧嘩売りましたね~」

 

「なんで!?」

 

「仕事聞かれたときに言ってませんでしたが、罪人の死者の魂は、死んだときに裁判にかけられます。事の大きさによっては、転生する権限と境界や冥界で生活する権利も失い、永遠に地獄をさ迷うか消滅させられます。幸いにも彼女は、罪は大きかったものの最期の最期に行った行動のお陰で、事実上の無罪を勝ち取りました」

 

それもスゴい!誰が弁護したんだろう?

 

「まさか弁護に出て1週間も仕事をストップさせるとは思いもしませんでしたよ」

 

この人やってた~!!なんなのこのチートは!能力お化けか!?

 

「しかし、実は彼女、新しいの生命体になるものを作り上げてたんです。新しい種族になる可能性を持った者を。それが一部の神は気に入らなかった様で、判決無視して消滅させようと企んでたんです」

 

神さまも随分人間みたいな所があるんだな~。自分にしか出来ないことをやる人間が出ただけで気に入らないとか。しかも消そうとまでするなんて。

 

「その事に気付いたので、急いで転生させようとしたんですけど、彼が俺に頼み込んできたんです。空っぽの頭を地面に叩き付けてね。その後、消滅させようと企ててた神達に「殺したきゃいつでも来い。それなりの覚悟をきめてからな」って啖呵きってました」

 

マジでなんなのその人!いい人過ぎるんだけど!好きな人の為にそこまでやるのか!最早小説とかマンガとかのキャラじゃん!!カッコ良すぎるよ!!

 

「さてと。話の続きは後にしましょうか。晩御飯も出来たことですし」

 

え?もう!?話してた間に完成させたの!?そしてスゴく美味しそう!!死神が作るから、てっきり魔界の一般的なオヤツみたいなのが出てくると思ってたのに。まさかビーフシチューが出てくるとは……




死神族族長

ここにいる死神君の直接の上司で、ここの死神君を育て上げた人。因みに育ての親でもある。しかし、あんまり威厳がない。元々は現場で動いていたのだが、族長を継いでからは専らデスクワーク中心になってしまった。うp主がイメージしてるのは、完全に某6代目火影のコピー忍者です。

次回もよろしくお願いします!感想や評価、お気に入り登録も是非お願いします!!

……死神君の変態スペックを垣間見た回であった。
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