私と死神さん   作:憲彦

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特に言うことはない!


第4話

死神くんside

 

何故そんなにガッツイて食べるかな……日本の惣菜は不味い訳ではないはずなんだが……

 

「おかわり!」

 

「はいはい。そんなに慌てなくても沢山ありますから」

 

「だって美味しいんだもん!」

 

子供みたいだな。まぁ、こんなに食べてもらえたり美味しいって言われるのは作った側としては嬉しいですね。今までで誰かに食べさせる機会はなかったので。いやあったにはあるか……酔っ払った族長に……ただただガツガツ食われて吐かれただけだけどな。それに比べたらどれだけありがたいことやら……

 

「あ、そう言えばさ~」

 

「なんですか?」

 

「神様ってどうやってなるの?始めっから決まってるの?」

 

食事中にメモ帳を出さないで欲しい。別に食事の後でもいい様な気がするのだが……でも絶対に聞かない限り食事を終わらせそうにないな。

 

「じゃあ、メモは後にして食事に集中してください」

 

「は~い」

 

素直にしまってくれた。聞き分けのいい子だな。

 

「別に最初から決まっていると言う訳ではありません。人は死後、魂だけの状態になって初めて持っている能力の全てが判明します。その時に持っている霊力や神に通ずる力。今の貴女の中にあるヤツです。それを見定めて神になる素質のある者に声をかけます。他には生前の行いや肉体があったときの身体能力などで」

 

俺は確か声をかけられたんだったよな~。族長に。何で俺にしたのなは今でも謎だ。

 

「勿論強制ではないので、生活や転生を希望した場合はそっちが優先されます。神になる事を決めた場合、当然試験を受けて、その後に適性検査。そしてどこかの神の元へと行きます。神の種類は……まぁ沢山いると思ってください」

 

大雑把に言えばこんなもんだ。神と一言で言っても種類は沢山いる。俺の様な死神もいれば、生命を創造する神だっている。1人1人の人生を決める神も、世界その物を管理する神だって存在する。説明しようとすればキリがない。そもそも人間や世界を管理するのだ。それこそ多種多様で多面的に物事を管理する必要がある。必然的に種類が多くなってくるし、いつだって人手不足だ。特に死神はただでさえ業務が面倒。神について説明したときに、開始1分で全員に嫌われてしまう。前回紹介した仕事の他に、罪人の魂の弁護、今やっている早死にしそうな人間のサポート、悪霊化した霊の始末、そしてたまにだが過去に言って歴史の修正もして来る。昔話とかによく出てくる妖怪どもの始末をするためだ。コイツらは一々釘を刺さんとすぐに調子に乗って手が付けられない。定期的に数を減らさなければすぐに歴史を変えようとしてしまう。流石に城を破壊するのは面倒だった。妖怪はそこそこ相手にしてきたが、その件だけは覚えている。

 

「沢山いるんだ~。ねぇ、その中に行動や人生を決める神もいるの?」

 

「いますよ。当然」

 

「え!?じゃあ私たちの行動もその先のやることも全部決まってて、私たちはその上を歩かされてるの!?」

 

なんだ。そんなことに驚いてたのか。

 

「決められてると言っても大雑把にです。この年に生まれて、この年までに結婚できて、この年に死ぬ。くらいですよ。決められてるのは、その人の人生にとって大きな機転てなるときです。考えてみて下さい。貴女が今この場でトイレに行きたいや水を飲みたいと言う事も、全部決められる筈がないでしょ。今思い付きで出てくるものなんですから」

 

逆にそれおも決められていたらどれ程楽になるのか。決められていない、感情とは別の動きをする等、矛盾が生じることを平気で行う。良い意味でも悪い意味でもだ。全て管理できれば楽なのに……

 

「なら良かった……」

 

何に安心したんだよ……まぁ確かに決められて、それを歩かされてると思うのは少し嫌ですね。気づけばの話ですけど。

 

「マンガの構想考えないとな~」

 

「食べてからにしてくださいね」

 

「ハムハムハム!!ゴクッ!ごちそうさま~!」

 

「お粗末様でした」

 

ちゃんと噛んで食べて欲しいですね。健康の事を考えると。

 

「ん~……」

 

「今度はどうしました?」

 

「いや~。さっきの話を完全に死神さん視点で描こうと思ったんだけど、あの夫婦どんな感じのキャラデザで行こうかな~って」

 

「そんなことでしたか。ならこれをどうぞ」

 

取り敢えず写真でも渡しておけばすぐに描けるでしょう。あれだけの能力を持っているわけですから。元々の物があればすぐにキャラクター化出来る筈です。

 

「ありがと!後で背景とかベターとかもよろしくね!」

 

「分かってますよ」

 

全く……そろそろ回想終わっても良い頃だと思うんだけど……まぁどうせそろそろ終わるか。しかし……本当にマンガを書くのが好きなようですね。この人は。大概夢で終わらせてしまう夢なのに。まさかここまでのめり込むとは……ん?

 

「この写真は何ですか?随分古い物のようですが」

 

「え?あぁそれ……小学校に入った直後に撮った写真だったかな?左に写ってるのが私。右は幼馴染みの親友……だった人」

 

ん?何故突然そんなに暗く?まさかお情けで仲良くしてくれていたとか言う落ち?それとも……

 

「友達と川に行って遊んでた時に死んじゃったんだ。溺れてた別の友達を助けて。その代わりに……」

 

成る程。そう言うことですか……しかしどこかで見たことあるような……妙ですね。月香さんが小学生の時となると、俺はまだ死神成り立て。それに写真に書いてある日付の8月17日はまだ神にすらなっていなかった筈。何故この2人に見覚えが……ん~思い出せない。

 

「他人のために命を落としたんですね」

 

「愚かだって言う?」

 

「当然です。俺の知り合いにも何人かいますからね。誰かのために命を捨てた人が。残された者の事を考えれば、愚かとしか言いようがありません。動かなかった死神も愚かですけどね」

 

人として、その行いは立派で讃えられるべき行動なのかもしれない。しかし、俺の様に様々な人間の生前やその後を見ると、愚かとしか言えない。他にかけられる言葉は無い。

 

「だよね~。私もそう思うよ。少しは、考えてほしかったよ……」

 

「好きだったんですか?この人のこと」

 

「べ!べべべべ別にす、すすすす好きとかじゃないから////!絶対に好きとかじゃない……から」

 

おや?

 

「でも、実際は分からないかな……今でも覚えてるんだ。彼と話してたとき、心が暖かくなって、落ち着いて、無条件で安心して、ずっと話してたかったから。多分、今も昔と変わらずに毎日お喋りしたり遊んだりしてたら、私は好きになってたかも」

 

もうそれ確実に好きになってんじゃん。今度族長にでも聞いてみるとするか。一応サポートしろって言われた訳だし。

 

「あ、死神さん。この原稿に背景お願い。この写真に写ってる通りで良いから。それ終わったらベターも。効果やトーン貼りは全部終わったらやるから」

 

「分かりました。しかし、ちゃんと寝てくださいね」

 

「分かってるわよ!私だって早死にしたくないもん」

 

なら良いんですけどね……




実際にマンガになってるのを読んでみたいですね。無気力な救世主とか今書いてるこれを。

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