せっかくバーサーカーに憑依したんだから雁夜おじさん助けちゃおうぜ!   作:主(ぬし)

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 小林シャーレイの乗機とした架空のF-3S『アリマゴ』について、設定まで考えてたので、それも投稿したいなと。戦闘シーンを本編に入れたかったのですが、話が進むうちに入れなくてもいいことに気が付きまして、消えてしまいました。でも、設定はわりとちゃんと調べて作ったのでこのままメモ帳に埋もれてしまうのは悔しかったので、ここに公開します。
 僕が最初に文章を書き始めた時、書いていたのは小説ではなく、自分で想像した設定資料でした。友だちが書いた小説に、勝手に妄想した設定を送りつけてました。今から考えればその友だちにとってはきっと面倒くさいことこの上ないことをしていたんでしょう。周りを見ることが苦手な中学生のやりそうなことです。とはいえ、今ではその友だちは小説から離れて、自分がこうして趣味でちまちま小説を書いているんですから、不思議なもんです。こうして小説を書くきっかけをくれた彼に感謝。


お茶濁し会のオマケ設定(読まなくても問題ないです)

バーサーカーシャーレイ(小林シャーレイ一等空佐)

 本編バーサーカーからシャーレイに憑依する形で分化した新しい欝ブレイカーがいろいろあって自衛隊内で昇進を重ね、一等空佐(大佐)にまで到達した姿。外見は死徒と化した10代半ばで成長が止まったため変わっていないが、中身はバージョンアップしている。本編バーサーカーが資格趣味の果てにオールマイティを極めるところを、こちらのバーサーカーシャーレイは航空機の操縦を極めることを選び、順調に実現に漕ぎ着けた。元上官で、今は副官となった仰木二等空佐とともに大空の戦場で活躍し、主に人外魔性を相手に戦いを繰り広げ、“光の巨人”にも匹敵する手柄を立て続けた。その実績を上層部に認められ、自衛隊史上唯一となる超高性能の個人専用機(後述)を与えられるまでになった。

 

 

 

<F-3S 機体コード『アリマゴ』>

 

全長:19.8メートル

翼幅:18.3メートル

運用時重量: 32,015kg

最大速度:マッハ2.5~4.0

所属基地:築城基地

 

 本機は日本国航空自衛隊が秘密裏に保有する戦闘機である。現在、F-15J『ストライクイーグル』と共に主力戦闘機として実戦配備されているF-2支援戦闘機の後継機にあたるが、その設計思想には大きな差異がある。それは、本機が超音速下での空対空有視界戦闘に特化した、世界でただ一機の『死徒迎撃用戦闘機(・・・・・・・・)』であることだ。

 

 開発の発端となったのは、10年前、とある空自パイロット(・・・・・・・・・・)より当時の航空幕僚長に直接提出された論文である。アジア系の少女の姿をしたそのパイロットは、深夜に同幕僚長の私邸に不法侵入し、その書斎にて驚愕する幕僚長に論文を手渡すと同時に熱弁を振るった。曰く、「科学で死徒に対抗するためには通常の兵器では不足している」を端緒としたその論文は、「味方の死徒を最先端科学力で武装させれば、たとえそれが若輩の死徒であっても二十七祖すら打倒し得る」という強気の内容であり、かいつまんでしまえば「四の五の言わず私にめっちゃ強い機体をよこしやがれ」という無茶苦茶な要望であった。しかし、この案はその後トントン拍子に承認ステップを駈け上がり、ついに予算が確定。以後、この論文に沿う形で秘密裏に機体の開発・製造が急ピッチで開始されることとなった。この異様な決定スピードの背景には、冬木市での非科学的な爆発現象(『聖杯爆発』)などが確認されたこと、聖堂教会も魔術協会もこれを制御できなかったこと、この世の裏側の論理に従う組織や魔性生物による被害が黙認できるレベルを超えつつあったことなどが挙げられる。それは、陽の光が当たる世界が、長い間保ってきた闇の世界との暗黙の了解を反故にし、反旗を翻す瞬間でもあった。

 

 彼女のために新型機の開発が進む中、まず既存のF-15MJ『近代化ストライクイーグル』の特別改修機が用意された。この機体によって、領空から侵入を試みる人外魔性を数多く駆逐することに成功し、新型機計画の実現性に拍車をかける結果を残した。基本設計から半世紀が過ぎた第4世代戦闘機では彼女の求める性能には遥かに及ばず、当初から限界が予想されていたものの、当該機は後期生産型だったために大きな拡張性と発展性を有しており、予想を超えた活躍を繰り広げた。ネバダ州ネリス試験訓練場にて行われたアメリカ空軍との異機種間空戦訓練(DACT)に参戦した際、たった一機で米空軍のエースをことごとく撃墜。痺れを切らした基地司令が当時極秘扱いだった最新鋭機F-22『ラプター』3機を投入するも互角以上の戦いを見せ、4分間の鍔迫り合いの後に勝利を収めた。この特別改修型イーグルは彼女の愛機として2年と半年間の激戦を駆け抜けたが、強力な大型飛翔生物との戦闘により中破規模の損傷を受け、辛うじて硫黄島航空基地に帰投するもパイロット共々滑走路上にて爆発炎上。無傷のまま炎から歩み出てきた彼女の敬礼に見送られながら鉄屑と化した。だが、機体の魂であるブラックボックスは彼女によって爆発直前に回収されており、これが新型機の開発に大きく貢献することとなった。

 

 次に、第4.5世代戦闘機であるF-2支援戦闘機を、三菱重工業及びロッキード・マーティン社の協力によって格闘性能面を改修した『スーパーF-2』が間に合わせとして用意され、2年間の任務についた。小型軽量かつ高機動を誇る当該機は飛翔型怪生物に対して勇戦を魅せるも、ハワイから日本領空に侵入した第二十七祖の一角、第十八位『復讐鬼』エンハウンスとの戦闘によって太平洋上で大破・撃墜された。エンハウンスは最高速度マッハ4に達する恐るべき加速力を有しており、最高速度マッハ2のF-2では不利な戦闘を強いられた。対空ミサイルの猛追をやすやすと振り切り、機銃弾を跳ね返す第二十七祖との戦闘はさすがの彼女も大いに苦戦したが、大破直前、わざと残していた中距離対空ミサイル2基と400ガロンの燃料を抱えたままエンハウンスに体当たりを敢行。辛くも敵に後退必至の傷を負わせて脱出し、ブラックボックスを担いだまま太平洋の荒波を踏破・帰還した。しかし、健在だったエンハウンスは再戦の意思を燃やしながら回復を遂げ、今度は中国大陸から日本領空に侵入。彼女とのリベンジ・マッチを果たすために憤怒のマッハ4.5で突入してきた。これを迎撃するため、三菱重工業の愛知県小牧南工場にて最終調整中だった、完成したばかりの新型機『アリマゴ』が急遽投入されることとなったのである。

 

 

 本機は、自衛隊のみならず世界にも例のない『死徒迎撃用戦闘機』として開発がスタートした。次期主力戦闘機問題に揺れる複雑な情勢下、F-2の後継実証機という被膜を被って着床を果たした本機は、切迫する魔の世界との戦闘を目前に急ピッチで開発が進められた。防衛企業の技術実証機の側面もあるため、三菱重工業が基本設計と各社との調整を担当し、特徴としてそのほとんどの部品を国内企業から調達している点が挙げられる。

 

 F-15Jなどのエンジンをライセンス生産し、技術を高めてきたIHI社は新型大出力ターボ・ファン・ジェットエンジンを担当。本機はこれを2基搭載し、双発型とした。これにより、F-22『ラプター』やユーロファイター『タイフーン』のような各国の最新鋭機同様に、再燃焼型推力増強装置(オーグメンター)(アフターバーナー)を使用せずとも超音速で飛行できる超音速巡航(スーパークルーズ)性能を獲得している。さらに、この巡航時に再燃焼型推力増強装置(オーグメンター)を使用することでその推力は1.5倍にまで増強され、ジェットエンジンのデメリットである再加速時のタイムロスを補って余りある、ミサイルに匹敵する速度を叩き出すことに成功している。また、排気口(ノズル)には3次元推力偏向(ベクタード・スラスト)ノズルを採用。推力の噴射方向を直感的にコントロールすることで、補助翼や方向舵などの動翼に頼らない、より複雑な動きが可能となっている。これを、F-2の製造によって技術を蓄積したナブテスコ製デジタル・フライ・バイ・ワイヤシステムによる制御と組み合わせることで、現行の第5世代戦闘機(米国のF-22『ラプター』、F-35『ライトニング』が該当する)を大きく上回るフレキシブルな空中格闘戦(ドッグ・ファイト)性能を獲得した。ミサイルと同等の速度で空中を自在に移動する死徒との戦闘において、この能力は非常に重要となる。

 開発段階では、急を要するスクランブル出撃に対応するためにF-35『ライトニング』のような垂直離着陸装置(VTOL)が装備される予定であったが、国内企業の技術力では実現に至ることは現時点で不可能と判断されたため、着脱式の離陸支援噴射装置が本機のために開発された。これを機体胴体部に装備し、離陸と同時にパージする方式を採用している。

 常人であれば、本機が叩き出す速度にも機動にも肉体が耐えきれずに瞬時に圧死することは確実だが、少女の姿をしたパイロットは常人でもましてや人間でもないこと。背骨がへし折れて内蔵がねじり切られるような殺人級の加速度()も彼女にとってはそよ風のような負担でしかないことから、パイロットへのG負担軽減策は度外視されており、フライトスーツも従来のものを使用している。

 

 機首レドーム内には、三菱電機が次期主力戦闘機用に開発した新型のアクティブ・フェーズド・アレイ式火器管制レーダー『J/APG-2』を先行採用している。これにより、人型サイズの小型目標に対しても高精度な探知が可能となった。その逆に、本機はその全面の塗装が宇部興産製の特殊塗料によってつや消しの黒一色に統一されており、滑らかなステルス形状と相まってレーダー反射率は限りなく低くされている。これには、死徒はそのほとんどが夜間に活動するため、必然的に本機も暗闇での任務が基本となるからであり、少しでも敵からの視認性を低めることが目的である。尚、この特殊塗料には、京都東寺にて現在も安置されている空海和尚の蓬髪が溶かし込まれている。これは康保5年(968年)に東寺の長者(管理者の意)であった観賢により空海の即身仏から散髪されたものの一部である。この塗料の効果により、死徒などの魔性生物には本機が視認しにくくなるジャミング効果が発揮され、また非科学的な腐食攻撃などから装甲やコンピューターを保護する役割を担う。

 

 翼は同世代機に比べても一回り拡大化しているが、日本のお家芸である炭素繊維複合材料と高価な合金をふんだんに使用しており、可能な限りの軽量化が図られている。この巨大な翼の特色として、両翼の鋭角部分に関門海峡の海底部点検中に発見された古代の宝剣(・・・・・)を圧延加工した金属板が貼り付けられている。発見された当時もまったく腐食が見られていなかったこの宝剣は、寿永4年(1185年)に壇ノ浦にて失われたものと推測されたが、宮内庁がその結論を認めることを拒否したため預かりどころが宙に浮いていたところを、防衛省が秘密裏に傘下に置く企業が展示の名目で内密に買い取り、川口金属工業によって熱間圧延異形形鋼加工が施され、本機の両翼先端部に極めて鋭利なブレードとして装備される運びとなった。『クサナギ・ブレード』と名付けられたこの刀身のようなブレードは魔性生物に対して強力な毒性を有し、並の怪生物であれば近付けただけで悶死するほどである。これにより、本機は機銃やミサイルといった通常兵装のみならず、翼のブレードによる近接戦闘までも行えるようになった。

 

 ミサイルなどの兵装についても申し分はないが、対抗する敵が敵であるため、偏りがある。直系の親となるF-2が対地・対艦戦闘も担える汎用機(マルチロールファイター)であるのに対し、本機は空対空戦闘に極特化しており、搭載を想定されたミサイルはすべて空対空ミサイルである。超音速・自立誘導式の三菱電機製『AAM-4B空対空ミサイル』、及び欧州日本共同開発の統合新型空対空ミサイル『メテオールJNAAM』を合計14発、胴体内と翼下ハードポイントにマウントする。機銃はオーソドックスなゼネラル・エレクトリック社製20mmガトリング砲をライセンス生産した『JM61AIバルカン』だが、弾頭部は一般的なタングステン鋼ではなく、魔性生物に対する殺傷効果が確認されている純銀で被覆されている。

 

 以上のように、本機はエースオブエースのみに許された高価格・高スペックを誇り、対魔性生物戦闘において事実上、世界最強の機体である。普段は、福岡県の築城基地に配備されており、夜間にのみ緊急出撃(スクランブル)している。築城基地が選ばれた理由は、日本海・太平洋の両面をカバーできること、直系であるF-2が数多く配備され、整備実績が豊富であること、基地及び滑走路が海側に突き出した形状のため民間人のひと目をしのげることが挙げられる。




やっぱり設定を考えるのは面白いね。小説を書くのと同じくらい好きです。もし同じ趣味の人がいたら、僕にも送りつけてくださいませませ。僕は喜びます!!

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