神の暇つぶしでAUOにされたので好き勝手に生きます   作:K@krk

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初投稿になります。よかったらお付き合いください。
誤字脱字の指摘や、感想・評価ありましたら、よろしくお願いします。



1.プロローグ

 

えー、大空の上からコンニチハ。

実況はこの俺、しがないフリーターがお送りしております。

え?何言ってるか分かんないって?

俺だって何でこんな状況になってんのか分かんねえよ!!!誰か説明してくれ!!

なんでいつも通りゲームしてる最中に寝落ちした筈の俺が、次の瞬間には空の上に放り出されてんだよ!?

しかもこれ、地上から6700メートルはゆうにあるだろう!?飛行機乗った憶えねえよ!?自宅にいたよ俺!?

足下に見える一面の雲にざあっと全身の血が引いた。

このまま落ちたら……ううっ、想像すんのも嫌な結末しかねえじゃん!!!

 

 

(死ぬ時はせめて布団の中でって決めてたのになあ……)

 

 

叩き付けるような物凄い風圧に息をするのも苦しくて、正直このまま気を失ってしまいたい。

でも俺の精神はそんな事で気を失ってくれるほど繊細でもなかったらしく、それに盛大に舌打ちをしながら雲を突き抜け、ぐんぐんと近付いてくる海面を睨みつけるしかできない。

くっそ、このまま海面に叩き付けられて魚のエサになれってか!?

ああくそっ、こうなったら痛みも無く一瞬で死ねる事を祈るしかない!

 

 

「……短い人生だった」

 

 

ギリ、と迫りくる恐怖に唇を噛み締めたその時だった。

ずっと下の海面。俺が落ちるだろう、そのちょうど落下地点近辺に船が多数見えた。

あ、これなら運が良ければ救助してもらえるかも……なんて思った瞬間、天候が一変した。

ゴロゴロと雷が鳴り響き、あっという間に強風が吹き荒れる。

 

 

「なん……!」

 

 

目を焼くほどの閃光と背中を貫く衝撃に、それ以上言葉を続ける事が出来なかった。

そして次の瞬間にドオォォォォンッッ!!!!と物凄い音を立てて俺は地面に降り立った。

そう、地面に降り立ったんだ、つまり生きてるって事。

だってすんごい音だったよ今の!!

ドオォォォォンッッ!!!だよ!もう車が突っ込んだのかってくらいの轟音!!

なのに俺ってば生きてんの!しかも運が良い事に船の上に落ちたらしい!!どんだけ運が良いんだか!

 

とりあえず生きてるって事と己の幸運を唯々噛み締めた。

 

一日一善、良い事をしてれば自然と自分に返ってくるって婆ちゃんの教えを守ってたのがここで発揮されたのかもしれない。

ありがとう婆ちゃん、婆ちゃんのおかげで俺生きてるよ!でもあの謎の閃光と長時間正座をしていた時のような足の痺れの所為で今動くのはちょっと無理かな!

眉間にしわを寄せたまま痺れが治まるのを待って、漸く動けそうだと判断する。

そして無意識に組んでいたらしい両腕を解き、目を開いて――――――――自分を取り囲むように展開する船団に息を呑んだ。

 

 

(…………なんだこれ)

 

 

「……おいっ、お前誰だ?」

「?」

 

 

ちょっとよく分からない展開に呆然としちまったけど、後ろからかけられた言葉に我に返った。

誰って、ある意味失礼な言い方だよなーなんて思いながら振り返れば、そこに居たのはどこか見覚えのある人物。

正確には、海賊帽を被ったおっさんの後方の麦わら帽子を被った赤い髪の男とピエロみたいな男の二人なんだけど。

あれってたぶんワンピースのシャンクスとバギーだよな?ってことは、俺に声をかけてきたのは海賊王か。

なら、今は原作よりもかなり昔。まだエースもルフィも生まれてないのか。

 

 

「いきなり雷と共に落ちてきたが、空島の人間でもねェようだし……何者だ?」

 

 

ていうかさっきの閃光と衝撃って雷だったのか!?よく生きてたな俺!

んで、さっきの質問にどう答えたものか。ただのフリーターですって言って意味通じるか?

そう思った次の瞬間、耳を劈く轟音と水柱と揺れが俺を襲った。

なんとかその場に踏ん張る事は出来たが、海水が勢いよく頭からかかる。

 

 

「おい、ロジャー!!おれを無視して呑気に話し込んでじゃねえ!!」

「親分の誘いを断ったこと、あの世で後悔しやがれ!!」

 

 

その声をきっかけにわーわーと響く声と続く砲弾の音に、どうやら戦闘中に俺がお邪魔したらしい。

一般人でしかない俺が此処に居るのは物凄く危険でしかないので保護してもらいたい。

とりあえず彼らに近付こうとする意思とは反対に、俺の体は船首の方を向いた。

 

 

「痴れ者が……。天に仰ぎ見るべきこの(オレ)に水を掛けるとは。その不敬は万死に値する!」

 

 

え、急に何を言い出してんの俺!?

 

 

「そこな雑種どもよ、もはや肉片一つも残さぬぞ!!」

 

 

背後が揺らめき、そこから光の波紋と共に現れたのは数えるのも嫌になるほどの数の剣だった。

剣だけじゃない、斧や槍や名前も分からないような数多の武器の群れが、まるでつがえられた矢のようにその場に留まっている。

その光景に、この場に居る俺含めた誰もが息を呑んだ。

俺の視線は数ある船の一つに固定されている。

たぶんあれがさっき撃ってきた船なんだろう。

 

 

(ちょ、ちょっと待ってくれ…………!!)

 

 

くっと軽く顎が動いて、まるで生きているかのようにくるりと剣先が船へ向けられた。

俺の困惑と意思を無視して、放たれた矢のように武器の群れが舞う。

容赦無く撃ち出されるそれは、瞬きするほどの僅かな時間の間に船に降り注ぎ、次々と爆発して炎を上げる。

俺はその光景を呆然と見つめたまま、ふいに寝落ちする直前に聞いた声を思い出した。

 

 

 

 

『君、死んじゃったばかりで悪いんだけど、ちょっと僕の暇つぶしに付き合ってよ』

 

 

 

 

あれが、神様ってやつだったのだとしたら、随分と趣味が悪いんじゃなかろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼シャンクスside

 

 

 

今にも雨が降り出しそうな不安定な天気の中、金獅子のシキが率いる何十隻という船に囲まれて皆が各々の武器を手に開戦の合図を待っていた。

そんな中でいつものようにバギーだけが狼狽えて甲板を走り回っている。

 

 

「ロジャー船長ォ~~~~!!!命が一番だって!!!ここは一つ、一時的に金獅子の言う事聞いてさァ!!」

「お前、いくら切られても死なねぇェ体になったんだからいいじゃねェか」

「弱点はいっぱいあんだよ!!バーカ!!」

 

 

おれはいつもの調子でバギーに話しかけ、そしていつものように罵倒されてしまう。

せっかく能力者になったってんだから、バギーも自信持てばいいのにな。なんて思いつつ、相棒に手をかけてその時を待つことにした。

諦めの悪いバギーはどうにかして船長を止めることが出来ないかと辺りを見回し、扉から出てきた船医であるクロッカスさんを見つけ駆け寄っていく。

 

 

「そうだ、クロッカスさん!船長の容体はどうだ!?戦わねェ方がいいよな!ドクターストップかけてくれ」

「生憎だが、絶好調だ」

「うぐぅぅ……レイリーさぁぁぁん!!!」

 

 

コキコキと首を鳴らしてどこか楽しげな様子のクロッカスさんに呻き声を上げ、続いて船のNo.2であるレイリーさんに助けを求めに行くバギー。

そんなバギーの帽子を引っ掴んで止めたのはギャバンさんだ。楽しそうに笑っている。

 

 

「諦めろ。長ェ付き合いだが、おれ達がロジャーを止められた事はねェ!!」

「そんなあぁぁぁぁぁ」

「トムの船、オーロ・ジャクソンを信じろ!!――ロジャーには、もう時間がない……!!」

 

 

そうして一人嘆き続けるバギーを置いて、船長同士の問答が始まり、そしてロジャー船長の声がその場に響き渡る。

 

 

「お前の申し出は断る!!」

「……つまりその答えは、今ここで殺してくれって意味だよな!!!?」

「てめェら全員叩き潰すって意味だよ!!!」

 

 

戦いの火蓋が切って落とされたその瞬間、雷雲が轟き、風がうねるような嵐へと変化する。

その瞬間、オーロ・ジャクソン号の船首へと雷が落ちた。

視界が真っ白に埋め尽くされ、轟く轟音に何も聞こえなくなって誰もがその場に立ち尽くす。

 

 

「……マジかよ……」

 

 

数秒経って何とか回復した視界で船首を見れば、雷の中から現れたとしか思えない人影に思わずそんな呟きが漏れた。

まるで何事もなかったかのように金の髪を揺らめかせ、同じ色の鎧を身に纏う姿に息を呑む。

黄金で出来た鎧など、常ならば『趣味が悪い』と鼻で笑いたくもなる代物だが、その男が纏えば品のある高貴なものへと変わる。

その場にいるだけで圧倒的な存在感を放つそいつに気圧され、おれだけじゃなくこの場にいる皆が動くことが出来なかった。

なのに。

 

 

「……おいっ、お前誰だ?」

 

 

そんな中で、ロジャー船長だけが口を開いた。

船長の声に嵐のような風をものともせずに振り返った男を見て、おれは我を忘れて魅入ってしまった。

顔の造形もそうだが、何よりも目を惹いたのは滴り落ちる血のような鮮やかな深紅の瞳だった。

船長を見ていた氷のように冷たい目が、一瞬だけ俺とバギーを見て、不機嫌そうに細められる。

その一瞬だけで力が抜けそうになる足を叱咤した。背後で尻もちをつく音がしたがたぶんバギーだろう。

 

 

「いきなり雷と共に落ちてきたが、空島の人間でもねェようだし……何者だ?」

 

 

船長が男の気を逸らすかのように再度尋ねた。

そして男が口を開こうとした瞬間、耳を劈く轟音と水柱と揺れが船を襲った。

 

 

「おい、ロジャー!!おれを無視して呑気に話し込んでじゃねえ!!」

「親分の誘いを断ったこと、あの世で後悔しやがれ!!」

 

 

そういや金獅子との戦いの最中だったな、すっかり忘れてたぜ。

闖入者の事は船長に任せて、応戦する為に剣を抜く。

早速砲撃手が敵船へとぶち当てていた。対抗するようにあちこちから砲弾が飛んでくる。

戦場特有の高揚感に胸を躍らせようとしたその時、あの男がおれ達に背を向けた。

 

 

「痴れ者が……。天に仰ぎ見るべきこの(オレ)に水を掛けるとは。その不敬は万死に値する!そこな雑種どもよ、もはや肉片一つも残さぬぞ!!」

 

 

海水で濡れた髪をかき上げ、男の怒声が響き渡ると同時にまたもや不思議な現象が目の前で展開される。

男の背後が揺らめいたと思ったら、そこから光の波紋と共に数えきれないほどの剣が現れた。

剣だけじゃない、斧や槍や名前も分からない見た事もないような数多の武器の群れが、まるでつがえられた矢のようにその場に留まっている。

その光景に、この場に居る俺含めた誰もが息を呑んだ。

 

 

(能力者だったのか……!!)

 

 

いったい何の悪魔の実の能力なのかさっぱり分からないが、どうやらかなり凶悪な能力のようだ。

不機嫌そうな顔のまま、くっと軽く顎が動いて、まるで生きているかのようにくるりと剣先が敵船の一つへ向けられた。

 

 

 

『死ね』

 

 

 

言葉にならぬ男の命令を忠実に受け、撃ち出された剣が舞う。

容赦無く撃ち出されるそれは、瞬きするほどの僅かな時間の間に船に降り注ぎ、次々と爆発して炎を上げる。

そばにいた船にも幾つか被弾して、そっちにも炎が上がるのが見えた。

 

 

「どうやら運命の女神とやらは、我々に味方しているようだな」

「レイさん……」

「金獅子は踏んではならない尾を踏んだようだ」

 

 

尽きることなく射出される武器の雨と荒れ狂う天候に救われたこの戦いは、後に「エッド・ウォーの海戦」と呼ばれるようになった。

 

 

 

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