神の暇つぶしでAUOにされたので好き勝手に生きます   作:K@krk

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最後、見る人によってはキャラ崩壊してるやもしれません


3.大海賊時代の幕開け

 

 

東の海(イーストブルー)、ローグタウン。

雲一つない青空の下、蒸し暑さとはまた違った熱気が町を包んでいた。

これから行われる海賊王の処刑を一目見ようと、大勢の人間がこの町に集結している所為だ。

かくいう俺もそのうちの一人だ。本来の目的はまた違うけど。

 

 

「来たか」

 

 

船が港に着き、処刑台がある広場に繋がる大通りを、前後を処刑人と武装した兵士に囲まれ両手に枷を嵌められたロジャーが歩いている。

移動するロジャーの後を追う為に建物の屋根から屋根へと軽く飛び移りながら、在りし日の事を思う。

仲間になれという勧誘は酷く鬱陶しいものだったが、あの船で過ごした時間は存外悪くはなかった。

騒がしくはあったが飯は美味かったし、この世界に馴染むための基盤みたいなものはあの船で作られたと言っても過言じゃない。

彼がもしサーヴァントとして召喚される日が来たら是非とも戦ってみたいと思うくらいには彼個人が好きになった。

 

 

(まあ、クラスはライダーで確定だろうけどな)

 

 

己の死を利用して海賊達の芽を摘むための恐怖の舞台として作られた今日という日を、新たな時代の幕開けへと変えてしまうような男だ。

正直、死なせてしまうのは勿体ない。だが、彼の死をもって大海賊時代は始まるのだから仕方のない事でもある。

 

 

「受け継がれる意志」

「時代のうねり」

「人の夢」

「人々が自由の答えを求める限り、それらは決してとどまる事はない」

 

 

処刑台への階段を上りながら、ロジャーの言葉が広場へと響き渡る。

俺はその光景を眺めながら、大監獄で最後に話した数日前の事を思い出していた。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を使えば、侵入も脱獄も不可能とされる大監獄に出入りするなど容易い事だった。

LEVEL6に収監されたロジャーの元へ行く道中に同じように収監された金獅子も発見している。特に用もなかったから無視したけど。

そして見つけたロジャーは丁度ガープと話を終えたのか、笑みを浮かべていた。

反対に思いつめたような顔をしたガープが灯りを持って去っていくのを見送って、姿を現した俺をロジャーは信じられない物を見たと呆けていたな。

その後伝えた内容にあいつは心底嬉しそうな顔をしていたが。

 

閑話休題(それはさておき)

 

財宝はどうしたのかと尋ねる誰かの声に、ロジャーの口角が上がり、笑い声を上げる。

 

 

「おれの財宝か?」

「許可なく喋るな!!」

 

 

処刑人が制止するが、そんな物じゃロジャーは止まらない。

 

 

「欲しけりゃくれてやるぜ……。探してみろ!この世のすべてをそこに置いてきた!!」

 

 

直後、二本の刃がロジャーの胸に深々と突き刺さる。

幾ばくかの静寂の後、広場のあちこちから歓声が上がり、処刑人達が予想と違う観衆の反応に戸惑いを隠せないでいる。

そして今までの快晴が嘘のように――まるでロジャーの死を悲しむかのように空が曇天となり、間もなく大粒の雨が降り出した。

 

 

(――そろそろ行くか)

 

 

ハデスの隠れ兜を王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)に戻し、見下ろしていた処刑台に降り立つ為に軽く屋根を蹴る。

重力に逆らう事なく軽やかにロジャーの真後ろに降り立った俺に、処刑人二人がぎょっとした顔をした。

 

 

「きっ、貴様何者だ!?どこから現れた!?」

「海賊王の仲間か!?」

 

 

慌ててロジャーに突き立てていた刃を抜いて俺に向けようとする。

だが、処刑人二人の背後に生まれた光の波紋から槍が突き出す方が早く、そのままその胸を貫く。

役目を終えた槍が音もなく黄金の粒子となり消えた事で支えをなくした処刑人二人の体がぐらりと揺れ、その場に崩れ落ちた。

……言っておくが、俺自身の意思じゃない。これは俺に向けられる殺意に対して発動する自動迎撃装置みたいなもんだ。

これに何度ON/OFFスイッチがほしいと思ったか……。

ふぅと軽くため息を吐いて、未だ止まない歓声と雨の中、ふと視界に映った麦わら帽子に目を向ける。

 

 

(やっぱり来ていたのか、シャンクス……)

 

 

泣いているのだろう、帽子に手を当てて俯いている。

他にもバギーやドフラミンゴらしき人物、鷹の目、モリア等大物連中の顔が良く見える。

 

 

(俺が知らんだけで、他にも海賊連中が紛れ込んでるのかもな)

 

 

なんて思う。

 

 

「貴様の望んだ通りの結果になったな、ロジャーよ。……良い笑みではないか、処刑された男の顔とは思えぬぞ」

 

 

もう返事はないと分かっていながら俺はその正面に回り込んで、笑みを浮かべたまま死んでいるロジャーの胸から刺さった刃を抜いてやる。

財宝に加える価値すらないそれらを捨て置いてロジャーの遺骸を抱き上げると、下から武装した海兵達が上がって来ようとしているのが見えた。

 

 

「命が惜しくばそこで止まれ」

 

 

なので連中が上がってくる途中の数段上に威嚇の意味を込めて一本の剣を投擲してやる。

目論見通り足を止めた海兵達に満足げに頷いて、俺は言葉を続ける。

 

 

「そこから一歩でも踏み入れば、先程の雑種のように命を散らす事となると心得よ」

「ぐ……だとしてもこのまま海賊王を連れて行かせるわけにはいかん!なんとしても死守せよ!!」

「奴を捕らえよ!!逃がすな!」

 

 

正義を背負った将校数人が地上から海兵達を押し退けて駆け上がってくる。

俺は仕事熱心だなと心底冷めた目でそれを見つめ、相手をしてやる気もないのでさっさと王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)からさっき戻したハデスの隠れ兜を出して被る。

俺の姿が消えた事と次いで階段に突き刺さったままの剣が黄金の粒子となって消えていく様に海兵達からざわめきが上がるのをBGMに、その場を後にした。

 

 

(真面目に相手をしてやる義理もないし、第一面倒くさい)

 

 

それが俺の素直な感想だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼ロジャーside

 

 

「おれの財宝か?」

「許可なく喋るな!!」

「欲しけりゃくれてやるぜ……。探してみろ!この世のすべてをそこに置いてきた!!」

 

 

おれの言葉を遮る為に降り抜かれた刃がこの胸を貫かんと迫ってくる。

時間が酷くゆっくりと進んでいるかのような感覚の中で、それがはっきりと見えた。

だがそんな事よりも、その先に広がるどこまでも青く澄んだ空がおれの好きな海を連想させて酷く気分が良かった。

 

 

(ああ……いい天気だ……)

 

 

死への恐怖は元よりなく、ルージュと生まれてくる子の保護もガープに頼んだ。

ほんの少しの心残りも、数日前に現れたあいつのおかげできれいに消え去ったしな。

 

 

(ギルガメッシュ……本当に、不思議な奴だよお前は)

 

 

出会いは奇妙奇天烈で、航海中の船から突如として消えちまったと思ったら、今頃になってふらりと現れる。

しかもまあ、場所はあの大監獄の地下深くときたもんだ。笑っちまうぜ。

 

 

『何を呆けている海賊王』

『お前……ギルガメッシュか……?』

『なんだ、もう耄碌したのか?そんな事では王の名が泣くぞ?』

 

 

暗闇の中でも光を放つ黄金の鎧に身を包んだあいつはそう言って憐れむかのようにおれを見ていた。

 

 

『おれはまだそんな歳じゃねェよ。……しかしまあ、よく誰にも気付かれずにこんなとこまで来たもんだ。いったいどんな手を使った?』

『ふん、(オレ)がわざわざ答えてやる義理もあるまい?』

『それもそうか。なら、おれに何の用だ?』

『なに、死にゆく貴様に冥土の土産でもくれてやろうと思ったまでよ。ありがたく思うがいい』

 

 

そう言って奴が渡してきた数枚の紙――写真に、おれは息をするのも忘れて魅入っていた。

そこには、島に残してきた俺の妻ルージュとその腕に抱かれた赤ん坊が写っていた。

その赤ん坊が、まだ彼女の胎の中、性別すら分からない俺の子供だとすぐに分かった。

慌てて写真を捲る。

次に写っていたのは、生意気そうな顔をした小さな子供が楽し気に同い年くらいの金髪の子供と鉄パイプ片手に森の中を走っている姿だった。

次――10歳くらいに成長した子供が同一人物だろう金髪の子供と年下の黒髪の子供と杯を交わしている。

次――ガープと殴られたのか頭に大きなこぶを作った子供がにらみ合っている。子供の後ろに同じようにこぶを作った黒髪の子供が大泣きしている。

次――10代後半といったくらいか、海賊旗を掲げて数人の部下らしき男達を率いて船に乗っている。

 

 

(ああ、おれと同じ海賊になるのか……)

 

 

気が付けば涙が零れていた。

 

 

『どうだ、海賊王?土産には十分すぎる品であろう?』

 

 

涙でこれ以上濡れないように写真を遠ざけながら、おれはその言葉に頷いた。

たしかに、これ以上ない、いいや最高の土産(プレゼント)だった。

 

 

懐に忍ばせた写真を見る事はもう出来ないが、それでも俺には逞しく成長した息子の姿が焼き付いて離れない。

 

 

(叶うなら、お前がワンピースを見つけてくれることを願ってるぜ、エース……)

 

 

直後、二本の刃が胸に深々と突き刺さり、そこでおれの意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 




ロジャーに「エース」って呼ばせてみたかったんです……。
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