機動戦士ガンダムSEED DESTINY 〜僕の平和〜 作:自由の魔弾
ここはラグランジェポイント4に建設された新世代コロニーのプラントのひとつ、“アーモリーワン”。その居住区エリアにある一つの小屋で、椅子に腰掛けながら窓の外を眺めている少年がいた。少年の名はソーマ・アイリス。先の戦争の中で、ナチュラルでありながらコーディネーターを遥かに凌駕する操縦技術を持ち、両軍に甚大な被害を与えた張本人だが、今は既にモビルスーツから手を引いて、一般人としてひっそりと暮らしていた。黒髪で黒い瞳、身長も一般人より少し高い17才の少年だ。ただ、一般人と違うことと言えば………
「あぁ〜………女の子触りてぇ〜………」
若干、変態なだけである。
初めまして、ソーマ・アイリスです。今日は暇なので、街を散策することにしました。先の戦争からもう2年。世界はすっかり平和を取り戻していました。僕も元オーブ市民だったため先の戦争に巻き込まれて、目の前で家族、友達、大勢の人が殺された現実を目の当たりにしました。
だから誓った。こんな事はいつまでもしてちゃいけないと。
だから求めた。戦争を止めるだけの力が欲しいと。
そんな過去を振り返りながら路地をを歩いていると、急に目の前に女の子がふわりと飛び出し、気づく前に僕は思いきりぶつかってしまった。相手もこちらにまったく気づいていなかったようだ。倒れそうになるところを僕はあわてて手を伸ばし、抱きとめる。
「おっ………と!大丈夫かい?」
柔らかそうな金髪の頭が目の下にあった。相手は驚いた様子で僕の顔を見上げる。きょとんとした大きな目が印象的な、妖精めいた雰囲気の少女だ。白いドレスが、彼女の非現実的な印象をさらに深めていた。はっきり言って、美少女だ。
「だれ……?」
少女はつぶやいた。なるほど、声も綺麗だ。
「ん?僕かい?僕はソーマ。ソーマ・アイリスだよ。君の名前は?」
「なまえ………ステラ」
この少女はステラというらしい。見たところ一人のようだ。
「ステラちゃんね………ちゃんとまわりを見ないと駄目だよ。分かった?」
言葉に強制力を加えながら注意する。ステラちゃんも一瞬たじろぐが、ちゃんと聞き入れてくれた。
「っ!………ごめんなさい」
ちゃんと反省してくれてるようだ。素直な子にはご褒美だ♪
「ステラちゃんは良い子だね〜。よしよし」ナデナデ
僕はご褒美にステラちゃんの頭を撫でてあげた。決して、ステラちゃんに触りたかったとかじゃないんだからな!
ステラちゃんもいきなり頭を撫でられたので、戸惑っていた。
「なに……してるの?」
「なにって、頭撫でてるに決まってるじゃないか。ステラちゃんは良い子だから、特別だよ♪」
「本当に……?ステラ、良い子?」
ステラちゃんは「良い子」という言葉を聞いて、ぱぁ〜っと表情が明るくなる。
「あぁ、良い子だよ。僕も素直な子は好きだよ♪」ナデナデ
僕の「良い子」という言葉を再び聞いて、微笑むステラちゃん。あぁ、本当に可愛いなぁ………お持ち帰りしたい。というか、お持ち帰りしちゃおう!
「ステラちゃん。よかったら、これから僕と一緒に来る?」
「駄目……。スティングとアウルが居るから……」
残念!お持ち帰り失敗。まぁ、しょうがないか………
「そっか……それじゃあ、しょうがないね。待たせてるんだったら、早く行ってあげると良いよ。それじゃ、僕は行くから。じゃあね、ステラちゃん!」
僕はステラちゃんに手を振りながら、別れの挨拶をする。
「うん……。バイバイ、ソーマ!」
ステラちゃんも僕に向かって、手を振りながら街のほうに走って行った。やっぱり良い子だ。あんな良い子が居るなら、戦争を止めるために頑張った甲斐があるってもんだ。
その時、持っていた通信機に反応があった。僕はすかさず手に取り、応答する。
『あー、もしもし。聞こえるか?ソーマ』
「おっさん……久しぶりだな。もう戦争は終わったから、連絡しないんじゃなかったのか?」
『おっさん言うな。仮にもお前の機体を作った人間だぞ。それより緊急事態だ。アーモリーワンにある新型MS3機が狙われてるらしい。今、座標を送るから、指定された場所まで行け。お前の機体が待ってる』
「了解した。その任務、全力であたらせてもらう」
僕は通信を切って、走り出した。これから起こると思われる開戦の火種を消しに………