機動戦士ガンダムSEED DESTINY 〜僕の平和〜 作:自由の魔弾
ミネルバside
「全くもって意味が分からないわ!一体何なの、今の通信は?」
私、タリア・グラディスは酷く悩まされていた。シンが発進したその直後、所属不明のモビルスーツが現れ、ミネルバの配下に入りたいなどという事を言ってきたのだ。ただでさえ、進水式前にこんな緊急事態に巻き込まれているというのに、今度はこれだ。いい加減、うんざりしてきた。
「あの……艦長、どうしますか?」
ミネルバの管制担当のメイリン・ホークが、動揺した声で聞いてくる。まぁ、無理もないだろう。予想外の敵襲と援軍の緊急要請、そしてあの意味不明な通信と来たのだ。誰だって、混乱するに決まっている。
「………とにかく状況が分からない以上、放置しておく訳にもいかないわ。彼の搬入作業に移るよう整備斑に伝えてちょうだい。作業終了後、彼を館長室まで連行して。もちろん、手錠をする事を忘れないで」
そう指示すると、メイリンは強く頷き、すぐに命令を伝達する。確かに彼の事も大事だが、今は奪取された三機の方だ。早くなんとかしなくてはという思いだけが、私の中で渦巻いていた。
「さぁ〜ってと、ミネルバからの返答はどうかな?」
さっきの通信から、既に10分は経っただろうか?未だなんの返事も寄越さないミネルバが、段々と不気味に思えてきた今日この頃。でも、“最悪撃ち堕とせばいいんじゃね?”なんてことを考え始めても、誰も文句は言えないだろう。待ちぼうけを食らうのも別に初めてでもない。今まで何回女の子たちに待たされたことか………。それに比べれば、この程度の待ちぼうけなんかどうってことないやい!…………なんか悲しくなってきたなぁ(´・_・`)
そんなことを思っていると、通信がきた。もちろん相手はミネルバからだ。
「ミネルバ艦長のタリア・グラディスです。モビルスーツパイロット、聞こえてますか?」
僕は即座に返事をした。女性を待たせるのは、僕のポリシーに反するからな。
「はいはいは〜い!聞こえてますよ!なんの返事も無かったので、殺されるんじゃないかと思ってビクビクしてたところですよ」
会話の間にジョークを混ぜながら話すことを忘れない。交渉において、相手の機嫌を損ねるような事だけは絶対にしてはならない。
「はぁ………まぁいいわ。とりあえず、ハッチを開けるのでそっちに入ってもらってもいいかしら?」
「了解しました、タリア艦長♪」
「………ともかく、よろしく頼むわ。(アーサーとは違う面倒くささだわ………)」プツン
なんだか最後、呆れられていた様な気がしてならないけど、初コンタクトは大成功かな?とりあえず、今は言われたとおりに動くとするかな。
「人はなんで争うことをやめられないんだろうな。争っていても、虚しいだけなのに……………ん?」
足下に何かぶつかった感触を感じ、見てみる。そこには、ひとつのアルバムがあった。よく見ると、手紙が貼り付けてある。
「やったのはおっさんだな?律義に手紙まで添えてある。内容はっと………」
『ソーマへ
お前がこれを読む時、お前はまた戦いに身を置いているのだろう。本当ならお前にはこんなものに乗らずに平和に暮らしてほしいのだが、世界は残酷だな。だから、これだけ言っておく。
“はやく終わらせて来い”
あと苦しくなったらそのアルバムを思い出せ。気休めかもしれないが、お前の家族の写真が入っている。元々、お前の物だけどな。言いたいことはそれだけだ。あとはお前のやりたいようにやればいい。じゃあな!』
「おっさん…………気休めなもんか!まったく、あんたには助けられてばかりだぜ!今度会ったら飯のひとつでも奢らせろよな!」
思わぬ応援を受けた僕は、その想いを胸に秘めてミネルバの格納庫を目指した。