機動戦士ガンダムSEED DESTINY 〜僕の平和〜   作:自由の魔弾

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PHASE 06 災害の祝福

"ミネルバ"のブリッジでは、なんとも言い難い空気に包まれていた。その状況は正に一触即発。原因は一人の少年とプラントの議長によるものだった。

 

「な、何を言っているのか分かりません。何ですか、"災害"って?」

 

やや乾いた口調でソーマは尋ねる。彼としては、この話をされる事が死と同じくらい重要なため、なるべく速攻で話を切り上げたかった。しかし、デュランダル議長はあえて言いふらすかの如く、答えた。

 

「あぁ、悪かったね。君にとっては話しづらい事だったのかな?ましてやこの状況では」

 

ソーマは内心苛立っていた。この男は自分の事を利用するため、わざと知らないふりをしていたのだ。こちらがミネルバを利用する事を、恐らく何処からか情報を得たのだろう。

 

(それなら、こちらも次の手に出るまでだ)

 

心理戦と化したこの状況では、もはや言い逃れは出来まい。ならば、先手を取らせてもらおう。

 

「・・・いやぁ〜、バレちゃいましたか。確かに前大戦時、僕はあの機体に乗って戦いました。やっぱり、ザフトだと死刑になるんですかね?」

 

ソーマは自らを暴露するという、この状況で最も生存率の高い策に出た。自分がそうです、だから何ですか?と言わんばかりのドヤ顔で。

一瞬、呆気に取られていたデュランダル議長も、次の瞬間には柔らかい笑みを浮かべて答えた。

 

「心配には及ばないさ。ザフトの軍人でも無ければ、ましてや一般市民だ。今となってはその行いを知る者も少ないだろう」

 

結果としては、心理戦はソーマが一歩リードといった感じだ。本人としては、今さら死刑なんて糞食らえだとも思っていた。ただ、建前が欲しかっただけのようだ。

 

「んじゃ、この話はここで終了ってことで・・・・・」

 

ソーマは話を切り上げると、すぐさま気掛かりだった管制の少女の所まで駆け寄った。

 

「やぁ!こんにちは。僕はソーマだよ!遠目からでしか見てなかったけど、君ってやっぱり可愛いね!歳も同じくらいかな?あっ、これ僕の連絡先ね。ついでと言っちゃ悪いんだけど、今度一緒に食事でもどうかな?」

 

鬼気迫る様子のソーマに、思わず驚くメイリン。が、戦闘中なこともあり、静かに返す。

 

「何考えてるんですか!今は戦闘中なんですよ!ただでさえ状況が混乱しているのに・・・」

 

メイリンの言葉に、ソーマはわざとさばさばした口調で言い放つ。

 

「それはもう大丈夫だよ。この戦闘は既に終わってるから。ほら、見てみな」

 

ソーマの示した画面を見ると、そこには撤退を始めた三機の強奪機体が映っていた。さらにソーマは、追い打ちをかけるように言葉を続ける。

 

「それにコロニー外には母艦も待機してるはず。こっちのモビルスーツはエネルギー切れ寸前。この"ミネルバ"が出てったところで、敵艦は既に逃亡完了。ついでに戦闘終了ってことだ」

 

ソーマのあまりにも的確な予想が、この状況で最も起こり得る可能性を秘めていた。レーダー担当の管制員がすかさずスキャンすると、コロニー外の味方母艦が次々と撃墜されていることをタリア艦長に報告する。強奪機体はまだコロニーの中にいることから、自ずと外の部隊がいることが裏付けられた。

 

「あなたは・・・一体・・・」

 

メイリンが小さく言葉を漏らすと、ソーマはとびっきりの笑顔で答えた。

 

「僕はただのイケメンな一般市民兼モビルスーツ乗りだよ☆」

 

その笑顔は不思議なことに見たものに恐怖を与えるもの以外には見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「案の定、逃げられた訳だけど・・・・・・納得いかないわね」

 

タリア艦長は小さく繰り返す。もちろん彼女が納得いかないのはこの結果にではない。予想したソーマにでもない。

隣にいたアーサーが強調するように告げた。

 

「艦長は彼が次の戦闘の指揮を執ることに納得いかないのですか?」

 

思わずタリア艦長はアーサーを睨む。地雷を踏んだとばかりに、アーサーは罰の悪そうな顔をして、静かに謝罪する。もちろんタリア艦長も、彼が悪いとは思わない。実際に誰も悪くはないのだから。

 

「アーサー、貴方は彼の事どう思う?」

 

突然の質問にアーサーは戸惑いながらも答えた。

 

「はぁ・・・そうですね。やけに達観しているとは思いました。少ない情報で戦況を素早く理解し、それで次の手を考える。とても一般市民とは思えませんね。まあ、すこしおちゃらけたところもあるようですが・・・」

 

タリア艦長は、お前が言うなと喉まで出掛かったが、話の的は捉えていたのでその言葉を飲み込んだ。

 

「議長が許可したとはいえ、やっぱり納得いかないわね・・・」

 

タリア艦長の憂鬱はまだまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、何で私があなたと一緒に資料を探さないといけないんですか!」

 

ソーマは次の作戦を練るため、"ミネルバ"艦内にある戦闘資料を手当たり次第漁っていた。通信担当のメイリンを連れて。

 

「いや、だってこの船に知り合いって議長と君しかいないし・・・」

 

「私はあなたの知り合いじゃありませんから!」

 

ソーマの言葉にツッコミをいれるメイリンだが、内心既に諦めていた。

 

「うるさいなぁ、君は議長を働かせるつもりか?軍人がそんな事していいの?」

 

ソーマはさっきから同じことを何度も繰り返していた。実際にこの言葉には逆らえないことは知っていたし、何より使い勝手が良い。

 

「うぅ、分かってますよ。はぁ・・・何でこんな事に・・・あっ」

 

「なした!何かあった・・・ブハッ!!」

 

ソーマはメイリンの方へ振り返ろうとすると、飛んできたタ○ンページ並の資料を顔面に喰らい、その場にぶっ倒れた。

 

「ご、ごめんなさい!でも、何でもありま・・・せん・・・よ。あの大丈夫ですか?もしも〜し。あっ、気失ってる」

 

 

その後、約三時間後に目を覚ましたソーマは、メイリンに密かに取り付けた盗聴器で戦闘資料を見ながらほくそ笑んだことで、ソーマは小さな復讐を楽しんだそうだ。

 

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