今日も鎮守府は平和です
お前らの嫁だろ、早くなんとかしろよ
心臓の弱い方は、ご注意下さい
※この小説内の季節は、8月下旬頃となっています。予め、ご了承下さい。
side 千歳
──第603鎮守府、工廠──
提督が幼児退行しかけた翌日。
09:20。
「烈風改……チェック。
流星改……チェック。
彗星一二型甲……チェック」
先日の緊急出動で酷使したせいか、機体に結構な負担が掛かっていた。
夕張さんや、工廠妖精さん達が直してくれたお陰か、何度確認しても異常は見られない。良い腕をしているわ。
(次は、艦載機妖精さん達のバイタルを、再チェックしましょう)
久々の夜間飛行だったから、メンタルにかなり負担が掛かっている。緊急出動後は不安定だったけど、今は大分回復してくれた。大規模反攻作戦に向けて、万全な状態に整える必要があるわね。
(間宮羊羹があれば良いんだけど……)
残念ながら、
(通販で、と○やの羊羹を取り寄せましょう)
今回はそれで我慢してもらって、大規模反攻作戦が終わったら、間宮羊羹をプレゼント。あと、伊良湖の最中もプレゼントしてあげましょう。
──あら?工廠に誰か来る。
妖精さん達のバイタルを再チェックしようとしたら、誰かの気配を感じた。この気配は──
(──翔鶴さん?)
間違いない。翔鶴さんね。
そう思ったのと同時に、翔鶴さんが工廠へやって来て、頭の中に彼女の思考が流れ込んで来た。
『艦載機の確認をしないと。それから、艤装の。弓の手入れをして──』
(思考は正常。感情は……こっちも正常。どうやら
暴走している時の翔鶴さん、思考と感情が滅茶苦茶──まるで
本当は頭に流れ込まないよう、遮断したいけど、
(そうしたら、
皆に気付かれないよう、裏で何度も翔鶴さんがやらかす前に阻止している。けど、ほんの少しでも気を抜くと、すぐにやらかす。行動力有り過ぎよ!
しかも、翔鶴さんだけでなく、海風ちゃんまでやらかそうとしている。
今から一ヶ月程前。休養状態の時、提督達が秋○原へ出かけた際、海風ちゃんは
(流石にマズいと思って、海風ちゃんが出撃で鎮守府に不在の日に、痕跡を残さないよう注意しながらお部屋にこっそり入って、
海風ちゃん、時々自分で服用して確認しているから、すり替えた事にすぐ気付かれちゃった。
そのせいで、新たに通販でお薬を購入。更に、常に肌身離さず持ち歩くようになってしまった。お陰で、すり替えられなくなっちゃった。勘弁して……。
(海風ちゃんだけでなく、矢矧さんまで裏で色々企てているし。おまけに、最近山城さんが弾けちゃったし。もう
更に、
もし、海風ちゃんと矢矧さんの本性を準くんが知ったら、冗談抜きで精神崩壊起こしちゃうかもしれない。いいや、間違いなく起こすわね。
「──あら?千歳さん?」
いけない、翔鶴さんに気付かれてしまった。考え事をするのは、一旦やめましょう。
…………。
11:00。
「──はい、お疲れ様」
艦載機妖精さん達のバイタルチェック、完了。何名か少しだけ不安定だったけど、○らやの羊羹と間宮羊羹、伊良湖最中をプレゼントする事を確約した途端、正常値に戻ってくれた。あんまり言いたくないけど、チョロい。
(翔鶴さんは──まだメンテナンスをしているわね)
ふと顔を上げ、翔鶴さんが居る方を見ると、真剣な表情で自分の艤装を点検している。
『弦が大分劣化しているわね。それに、弓自体も。これ以上使ったら、戦闘中に破損する恐れがある。新調しましょう』
思考や感情も、表情と同じく真剣。普段のぶっ飛んだ言動や、思考・感情が嘘のよう。
(普段から
なお、現実は──
『新調するには、提督に申告する必要がある。ふふ……うふふふふ……合法的に提督に近付ける……ふひっ……うぇひひひひひ……』
……うん。どうしてこうなった。私が異動してきた時は、結構真面目な娘だったのに。
(原因は知っているけど、言えない……)
準くんに、翔鶴さんが
その中の一つ。「艦娘と提督が互いに合意の上で」「避妊をするのなら」「黙認する」という物を、翔鶴さんは盗聴して知っているから、あんな言動を取るようになった、
(なんて、教えられない。どうすればいいの……)
まだ、私の力を教えるわけにはいかない。教えたら、きっと今の準くんじゃ受け入れられなくて、精神崩壊しちゃう。
(あと、最近異動してきた加賀さん。彼女も私と同じ力を持っている)
ただ、私と比べて
(丁度、異動して来てから今日まで読み取れなくなっていて、凄く不安に思っているみたいだけど──)
近いうちに安定して、読み取れるようになるでしょう。
(最初は色々やらかす気だったみたいだけど、今は正気に戻ったのか、まともになっているのが、唯一の救いね)
もし加賀さんまで暴走したままだったら……考えたくもない──
(──って、アレ?翔鶴さんが居ない?)
ふと、翔鶴さんの気配が消えている事に気付き、考え事をするのをやめた。
何度も工廠内を見たけど、何処にも居ない。
(まさか、準くんの所に行ったの!?)
さっき翔鶴さんは、「弓を新調する為、提督に申告しよう」と考えていた。
マズい。今日の秘書艦は摩耶さんだ。彼女では翔鶴さんを止められない!ああもう!早く止めなきゃ!
(最近、身体に
艦娘の力のお陰で、20代の女性と同じ外見年齢を保っているけど、中身はもうオバさんなのよ?そのせいで艤装を纏っていない状態で、準備運動も無しに急に動くと、関節のあちこちがバキバキ嫌な音を立てて痛むのに!おまけに最近、身体が
(憂さ晴らしに、ドロップキックをぶちかましてやる!)
今の私は少しだけ機嫌が悪いから、
side 千歳 out
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─
side 提督
──第603鎮守府、医務室──
13:10。
「摩耶。俺が死んだら、俺の部屋にあるPCのHDDを、完膚無きまでに破壊してくれ」
見られたら色々ヤバいからね。俺の尊厳が失われちゃう。特に「新規フォルダ」って名前のフォルダ。瑞鶴が着任するまで、
……もし今、瑞鶴達に「新規フォルダ」の画像を見られたら、犯されるんじゃね?うん、間違いなく、確実に犯されるね。消した方がいいな。けど、4年以上かけて集めた
「縁起でもねーこと言うなよ……」
「いや、マジでそろそろ俺、死ぬから」
上手く言葉に出せないけど、何故か分かる。俺はそろそろ死ぬ。断言出来る。提督の勘が、そう告げてくるんだ。
「死ぬ事確定なのかよ!」
「そうだ!」
「胸を張ってドヤ顔で言うな!提督が。
「摩耶……」
お前……俺が死んだら、悲しんでくれるのか?嬉しい。嬉しいよぉ……イカン、涙出てきた。
俺は今、医務室のベッドで横になり、摩耶に看病と説教をされている。
本音を言うと、良識人筆頭の海風か矢矧。もしくは木曾か鈴谷。バブみを感じる大鳳。この5人の内の誰かに看病してもらいたかったけど、彼女達は哨戒任務とタンカーの警護中で、鎮守府に居ない。
それだから、現在鎮守府に居る娘達の中で、比較的まともな摩耶に頼み、こうして看病してもらっている。とても失礼な事を言っているけど、許してくれ。俺、ちょっと。いや。かなり心に余裕が無くてな……あーもう、自分でも何言ってるのか、分からなくなってきた。
……何で医務室で休んでいるのかって?いいぜ、教えてやる。
あれは今から二時間ほど前の事だ。
摩耶と二人きりで、痛む胃袋と格闘しながら執務をしていたら、
それだけなら良かったんだけど、奴は暴走していた。
『最近あまり構ってくれなくて、お姉ちゃんの心、壊れそう……』
俺の心の方が壊れそうです。いや、既に壊れました。主に、君のせいで。
心の中でそう思ったが、どうやら自分でも気が付かないうちに口に出していたらしく、バッチリ
しかし、摩耶がすぐに止めてくれたお陰で、俺は飛び掛ってきた
それから暫く、摩耶は
摩耶を気絶させ、舌なめずりしながら接近してくる
『
そして、某県の方言を叫びながら
ちなみに、ドロップキックをぶちかまされた
(骨が折れても俺に迫ってきたの、怖かったなぁ……)
まるでゾンビみたいだった。いや、あれはゾンビだな。涼月二号ですか?コノヤロー。勘弁してくれ。
ただでさえウチの鎮守府、
……あっ、【薩人鬼】ってのは、山城の別名ね。
「ぶっこ抜く時の声や姿──顔が鬼みたいだった」と、一緒に出撃した摩耶達から教えてもらったから、【鬼】。
それらを合わせて、山城の事は【薩人鬼】と呼ぶ事にした。
……とにかく、化け物ばかりなんだから、これ以上増えないで?これ以上増えたら……増え……たら……増え……──
(……とまぁ、千歳さんが
嗚呼、平和が欲しい。誰か、平和をください。
……いや、願っているだけじゃ、何時まで経っても平和を得る事は出来ない。自分で行動を起こして、平和を手に入れなきゃダメだ。
まず、平和にする方法。これは野原主任に言われた事だけど、俺が
けど、抱こうとすれば確実にトラブルが起きそう。いや、起きる。断言出来る。
例えば、避○具を用意しても捨てられたり。
例えば、○妊具を使っていても、気が付かないうちに、こっそり細工──穴を開けられる──を施されたり。
例えば、行為中に艦娘の力を使って強○されたり。
例えば、俺の精神が壊れるまで○姦してきたり。
(……うん。有り得る)
全部、行為中に起こりそう。気が付けばパパにさせられていそう。あっ、パパになったら、
「お、おい、提督!?しっかりしろ!泡吹いてんぞ!?」
「お゙お゙お゙お゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙お゙お゙お゙お゙ぼ゙ぼぼぼゔゔぅ゙ぅ゙ぅ゙…゙…゙」
「涼月みてぇな声出すな!──って!?血!泡に血が混じってる!?」
あっ、胃が痛い。口内で広がる匂いと、鉄みたいな味。これ、血が出てるね。胃から出血したな。
……あ、ベッドシーツに垂れちゃった。わ〜い、真っ赤だ〜!すっご〜い!
「い、今、医療妖精さんを呼んでくるから、くたばるんじゃねーぞ!」
「い゙っ゙ぞの゙ごど、゙死゙に゙だい゙!゛」
「ダメだっつってんだろ!なぁ、頼むから、死なないでくれよ!」
摩耶がガチ泣きし始めた。……しっかりしろ、俺。死にたいだなんて、馬鹿な事考えるんじゃねぇ。
「ごぼっ……すまん、どうかしてた」
ティッシュで血泡を拭き取り、摩耶に謝罪。あーあ、ベッドシーツと提督服を汚しちまった。クリーニング出さなきゃ。
「……信じてるからな?」
そう言うと、摩耶は医療妖精さんを呼びに、医務室を出て行った。
彼女(彼?)──医療妖精さんは、基本医務室に居るんだけど、今は
(うぇっ……口の中、血の味が……)
水で
摩耶が医療妖精さんを連れてくるまでの間に、洗面台に向かい口を濯いだ。
しかし、濯いでも再び胃から胃液やら血が上がってきたから、不快な味と匂いが口内に広がってきた。
うぇっ。気持ち悪い。摩耶ァ、早く医療妖精さん連れて来てくれェ……。
……………………。
…………。
…。
──第603鎮守府、執務室──
翌日。08:30。
「提督、お疲れではないですか?大丈夫?」
「ありがとう、海風。俺なら大丈夫だ。心配かけてすまない……」
「大切なお体です。無理はしないでください。……あ、海風、
「なんか、気を遣わせてすまん」
「いえいえ、お気になさらないで下さい♡」
天使のような笑みを見せてくれた。嗚呼。癒される。荒んだ俺の心に、ラストエ○クサーのような回復効果を与えてくれる。海風……いい……。
──電話だ。現実に戻れ。えーと、ナンバーディスプレイは……小嶋提督からだ。まさか、また深海棲艦が侵攻して来たのか!?
……。
「──いえ、こちらこそ、ありがとうございます!……はい……はい……了解しました!では、失礼致します」
……ふぅ。深海棲艦の侵攻じゃ無かった。良かった。
(……安心している場合じゃない。急いで準備しないと)
先程、小嶋提督から連絡が来て焦ったけど、内容は「深海棲艦達が潜水艦を投入してきた」という物だった。侵攻じゃなくて本当に良かった。
(……だから、安心している暇は無いぞ)
今日の出撃組は未だ出ていないから、編成と装備を見直さないといけない。
……復活した、とはいっても完全じゃないが、昨日と比べれば遥かにマシになった。
いやぁ、流石妖精さん。安心感がハンパねぇ。妖精さん、マジハンパないって!どんな怪我や病気をしても、直ぐ治してくれるもん。全治何ヶ月もする怪我や病気を、一日足らずで治してくれる。そんなんできひんやん普通、そんなんできる?言っといてや、できるんやったら──
(──イカン、昨日見たコピペの影響を受けている)
落ち着け。正気に戻れ。さっさと放送入れて、皆に伝えないと。けれど、
(皆を集める、って事は、必然的にヤベー奴らも集まるんだよなぁ……)
ヤベー奴ら──特に淫乱鶴が危ない。けど、千歳さんが止めてくれるから、少しだけ安心出来る。けど、全く襲われないわけじゃないから、怖い。
(今日はどんな風に襲ってくるのかなぁ?あはははは……)
昨日は蛇みたいに舌をチロチロさせながら迫って来た。一昨日はペニーワ○ズ。今日は何かな?窓ガラスぶち破って、「窓の外からコンニチハー!娼鶴だよ〜♡」って襲来するのかな?
……あっ、想像したら、胃が痛くなってきた。
「提督、お茶をお持ちしまし──て、提督!?お顔を顰めていますよ!?それに、汗が……まさか、胃が痛むのですか!?」
「だ、大丈夫だぞ、海風」
気が付かないうちに顔を顰めていたらしく、トレイにお茶を載せて持って来た海風が、心配そうな顔をしながらそう言ってきた。
そして、秘書艦用の机にトレイを置くと、ポケットからハンカチを取り出して、俺の顔を優しく拭いてくれた。
嗚呼……天使だ。癒される……。
(……あれ?この光景、見た事ある)
確か、瑞鶴が異動して来た日、涼月にしてもらった。あの時の涼月は天使だった。天使だった。大事なことだから、二回言ったぞ。
(そして、数日後。
……まさか、ね。海風はゾンビみたいに覚醒なんてなしない。絶対しない。海風は天使だ。今までも。そして、これからも!だから、海風は堕天使なんかに、なったりしない!絶対に!
……そういや昨日、浦樹が「大人しい娘達や、良識人だと思っている娘達を疑え!」とか言っていたな。
HAHAHA、まさか……ね。けど、
(おいおいおい、嘘でしょ?嘘だよね?嘘だと言ってよ、バー○ィ!)
もし浦樹の言った事が本当なら、海風は……海……風、は……うみ……か……ぜぜぜぜぜ……──
「てっ、提督!?やはり、痛むのですね?待っていてください!今、胃薬と白湯をご用意致します!」
「だっ、大丈夫!本当に大丈夫だから、心配しないで?提督さんは超元気だから、そんな顔しないでくれ、海風」
オイィ!?
「し、しかし……」
「本当に大丈夫!大丈夫だから、そのお茶貰うね!」
おぉん。そんな悲しそうな顔をしないで?そんな顔をされると、余計に胃が痛んじゃう!その原因を作ったのは俺なんだけど。
慌てて海風が煎れてくれたお茶を飲む。ちなみに、緑茶だ。
未だ暑いから、冷茶を用意してくれたが、今俺の胃は死にかけている。それだからか、冷た過ぎず。かといって熱過ぎない、絶妙な温度のお茶を用意してくれた。
(うん、美味い。それに、胃に負担が掛からない温度だ)
海風の気遣いに感謝しつつ、お茶を飲み続ける。
少しだけ
「うふふふ……飲んでくれた。あはっ♡」
んん?海風が微笑みながら、何やら呟いている。聞き取ろうとしたけど、声が小さくて聞き取れなかった。何を呟いたんだろう?
……まぁいいや。さて、さっさと放送を入れて、皆を会議室に集めるか。その前に、
「お茶、とっても美味しかったよ、海風」
お礼を言っておこう。
side 提督 out
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Another side
『お茶、とっても美味しかったよ、海風』
何故?何故嬉しそうな顔をしているの?
ねぇ、何故?
ねぇ。
ねぇ。
ねえってば。
「そんなに他の女がいいのかああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!」
Another side out
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次回予告
第91話・
「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」
【補足的なナニか】
・間宮羊羹…給糧艦、間宮の適性者のみが知る、とても美味しい特製羊羹を指す。
何故、間宮の適性者しか知らないのか。それは国家機密につき、明かされていない。
・伊良湖最中…給糧艦、伊良湖の適性者のみが知る、とても美味しい特製最中を指す。
何故、伊良湖の適性者しか知らないのか。それは国家機密以下略。
・とらやの羊羹…とっても美味しい。けど、良い値段がする。
緑茶をお供にして食べると、幸せな気分になれます(ステマ)。
・こわい…某県の方言の一つ。意味は「疲れる」。
・ぼっこれる…某県の方言の一つ。意味は「壊れる」。
・ハンパないって!…元ネタは「大迫半端ないって!」のコピペ。
以上、補足終了。
Q:何故、某県の方言を使ったの?
A:なんとなく←