追跡鶴   作:EMS-10

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 艦○れアーケードの空母棲姫の開脚姿に悩殺されたので、初投稿です(挨拶)

※注意※
R17.9有り
一部、原作とは異なる設定・描写が含まれています


※この小説内の季節は、8月下旬頃となっています。



第92話・暴走する姉鶴

 

side 海風

 

 

──第603鎮守府、執務室──

 

 

14:00。

 

 

(漁船警護の依頼が入っていますね。それから、これは……“反艦娘団体のデモが多発している為、各鎮守府は警戒せよ”……ですか)

 各地の鎮守府で、大規模な反艦娘団体によるデモ行進が起き、提督や艦娘、憲兵さん。その他、鎮守府運営に携わる方達が襲撃され負傷している、と書かれています。

 

(この人達(反艦娘団体)は何を考えているのでしょう?)

 提督達と艦娘達。憲兵さん達や、艤装の設計・開発を行う技術士達。他にもサポートをして下さる方達が沢山居ますが、彼らや彼女達が居なければ、今頃人類は滅んでいるというのに。

 

(……この中(反艦娘団体)に、私の。私達(・ ・)の両親が含まれていると思うと、虫唾が走る(・ ・ ・ ・ ・))

 尤も、既に勘当されているから、もう私の両親ではありませんが。

 

(……今は仕事に集中しなさい、私)

 あの人達(両親)の事なんて、忘れなさい。

 私は。いいえ。私達(・ ・)はもう、自由になれたのだから。

──あら?内線?……工廠からですね。何かあったのでしょうか?

 

 

……。

 

 

(千歳さんの艤装──艦載機格納庫が翔鶴さんをカチ上げた(・ ・ ・ ・ ・)際、小破未満(カスダメ)の損傷を受けた為、修理に資材を使用。使用した資材は鋼材・燃料共に500と、千歳型航空母艦の艤装スペアパーツを使用。次に、瑞鶴さんの艤装──装甲甲板が中破。鋼材・燃料は350使用─)

 工廠妖精さん達から内線で、千歳さんと瑞鶴さんの艤装の修理を行うと連絡が入ったので、書類を作成しないといけません。

 あと、暴走鶴(翔鶴さん)が中破し、入渠した事も、書類に書かなければなりません。

 

(それにしても、千歳さんの艤装。小破未満(カスダメ)の損傷なのに、結構資材を消費しますね)

 瑞鶴さんの艤装の修理よりも多い。

 確か、何時だか千歳さん本人が、「私の艤装は特注品(・ ・ ・)だから、損傷すると、同じ千歳型航空母艦の艤装より、修理に使用する資材がべらぼうに(・ ・ ・ ・ ・)多くかかる」と言っていましたね。

 もし、大破したら、幾らかかるのでしょう?

 

……想像している暇は無いわよ、私。

 損傷した理由を考えないと。理由は……どうしましょう?

 

(味方(翔鶴さん)カチ上げた(・ ・ ・ ・ ・)際、損傷した、なんて書けません……)

 そんな事を書けば、大本営から監査が入る恐れがあります。いいえ、確実に入るでしょう。どうしましょう?

 

(ここは提督に相談しましょう)

 あのお方(提督)なら、上手く理由を誤魔化してくれる筈です。

 

……提督で思い出したけど、大丈夫でしょうか?

 翔鶴さんに襲われ、ただでさえ危うい精神が崩壊し掛かっていますし。

 

 もし精神が壊れてしまったら、私が今までやって来た事が無駄になってしまう。

 私が望むのは、(提督)の意思で私を選んでくれる事。壊れた彼では(・ ・ ・ ・ ・ ・)意味が無い(・ ・ ・ ・ ・)

 

(彼は私の事を、「癒し枠」と認識してくれている)

 今まで一度も仕掛けていない(やらかしていない)。ぶっ飛んだ発言や行動を取っていない。それだからか、彼は私を「真面目で大人しい娘」と認識。

 そして、本性を隠している(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)「真面目で大人しい」私と接する事で、癒されると言っていた、と、秋雲さんから聞きました。

 

(このまま行けば、そろそろ彼から私を求めてくれる筈)

 最近、色々あって彼の精神が幼児退行し掛かっています。そして、誰かに甘えたくて仕方がない、と本人が仰っていました。

 けれど、私に対しては甘えようとすらしてくれません。もしかしたら、私の年齢が原因でしょうか?

 

(未だ成人していないから、理性が邪魔をして行動を起こせないのかもしれません)

 遠慮なんてしなくていいんですよ?寧ろ、ばっちこいです!憲兵さんが怖い?大丈夫!バレなきゃ犯罪じゃないです!

 

 自慢ではありませんが、私はそこそこ発育の良い身体をしています。

 第603鎮守府に所属する同い歳の娘達の中では、涼月さんにはやや劣りますが、立派な胸を持っています。

 

(大きいだけでなく、柔らかさと(しな)やかさを兼ね備えていますよ?)

 人をダメにするソファならぬ、提督をダメにする胸です!一度味わえば、ハマる事間違いなしですよ?

 けど、彼は全くと言って良いほど、私に手を出してくれない。だから、

 

(お茶に少しだけ盛り(・ ・)ましたが、あまり効果が出ていないみたいです……)

 こっそりチラ見しましたが、彼の下腹部のアレ(・ ・)は、大人しいまま(・ ・ ・ ・ ・ ・)でしたし……。

 

 以前、休養状態の時に秋○原へ行った際、購入したお薬──媚薬をお茶に盛って飲ませて様子を見ましたが、少しだけ顔が赤くなり、軽く発汗するだけで、予想よりあまり効果が出ていなかった。

 私が媚薬を服用した時。たった数滴服用しただけで、言葉に出すのもアレですが、効果は絶大で、一晩中身体が火照り、大洪水(・ ・ ・)になって眠れなかった。

 

(中身は昨夜、確認したばかりだから、間違いなく効果が出る筈なのに……)

 何時だか、お薬の効果を確かめる為服用したら、全く効か無く、不審に思って医療妖精さんを脅して(・ ・ ・)調べてもらったら、お薬の中身をすり替えられていた事が判明。すぐに通販で同じお薬を再購入し、常に肌身離さず持ち歩いていたから、すり替えられてはいない。

 

(お薬が効きにくい体質なのかしら?)

 お薬の効果が出てきた頃に、不自然にならない程度に軽くアプローチをかけて、手を出してもらう予定だったけど、結果は……お電話が鳴ったり、翔鶴さんの襲来でそれどころでは無くなってしまいました。

 

(今回は諦めましょう)

 一度に何回も仕掛けると、彼が不審に思い、警戒されてしまう恐れがある。焦らないでゆっくり行きましょう。

 まだまだ、時間はあるのだから。

 

(例え、今は瑞鶴さん達に心が向いていても、最終的に私に心が向けば、それでいい)

 例え瑞鶴さん達で卒業(・ ・)しても構わない。

 ハジメテ(・ ・ ・ ・)が私でなくてもいい。

 どれだけ時間が掛かっても、待ちます。

 どんなに回り道(・ ・ ・)をされようが、道草を食おうが(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)、私は大人しく待ちます。

 何時でも。何時までも。

 けど、

 

(貴方(提督)の心が私に向かなかったら、壊します(・ ・ ・ ・))

 本音を言えば、貴方を壊したく(・ ・ ・ ・)ありません。

 だから、渡良瀬さん。いいえ、お兄さん(・ ・ ・ ・)さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私に、貴方を壊させないでくださいね?

 

 

 

 

 

 

 

 

side 海風 out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

──第603鎮守府、医務室──

 

 

14:40。

 

 

「だから、ダメだってば!」

 

「けど、仕事が──」

 

「そんな状態で仕事なんてしたら、余計に悪化しちゃうよ!」

 

「瑞鶴がお粥を作ってくれて、それ食べて胃薬飲んだから、大丈夫──」

 

「全然大丈夫じゃないよ。提督さん、とても辛そうな顔してるよ?」

 

 くそっ、誤魔化せなかったか……。実は未だ、胃がズキズキ痛む。そのせいで、顔に出てしまったようだ。

 

 お粥を食べ、胃薬を飲み、執務室に戻って仕事をしようとしたが、瑞鶴に止められてしまった。

 けど、休んだら仕事が片付かない。そう言ったら、

 

「仕事なら私達がやるから、提督さんは休む!いいね?」

 

 俺の代わりに、瑞鶴達がやってくれる、と言ってくれた。有難い。有難いけど、

 

「流石にそれは悪いから、執務室に戻って仕事を──」

 

「もし執務室に行ってお仕事する気なら、殴って気絶させるよ?」

 

「分かった分かりました大人しく休みます」

 だから手をボキボキ鳴らさないで?真顔で迫らないで?今の俺、かなり弱っているから、君に殴られたら気絶どころか永眠しそうです。

 

「いい?今日は何も考えず、大人しく休んで。分かった?」

 

「分かった……いててて」

 さっき早口で一気に喋ったせいか、胃が痛みやがった。

 

「だ、大丈夫?」

 

「だい、じょう……ぶ。だいじょ……うぶ……」

 

「青い顔して、顔を歪めながら言われても、説得力無いよ……。もう喋らないで、横になって?」

 

 あっ、ちょっ、両肩掴んで何を──ベッドに優しく押し倒されちまった。

 そして、素早くタオルケットをかけて、俺の枕元にナースコールのような装置を置いてくれた。何かあった時、これを押せば、医療妖精さんが直ぐに来てくれる。

 

「本当は付きっきりで看病してあげたいけど、海風を手伝わなくちゃならないから、行くね?」

 

「そうか。忙しいのに、お粥とか作ってくれて、ありがとう」

 本音を言えば、甘えたい。行ってほしくない。けど、我儘を言うわけにはいかない。我慢しろ。

……そういや最近、ドタバタが続いていたから、あまり瑞鶴に構ってやれなかった。きっと、寂しい思いをさせてしまった筈。それなのに、俺に尽くしてくれる。

 

(本当なら、瑞鶴は俺に甘えたい筈。なのに、甘えず。それどころか、俺を甘やかしてくれる)

……あれ?めっちゃ良い女じゃね?俺には勿体ない位に良い女だよ。

 ヤベー奴だと思っていたけど、認識を改めようかな?

 

「どういたしまして」

 

 満面の笑みを見せてくれた。姉鶴(翔鶴)の笑みとと違い、安らぎを感じる。

 嗚呼、天使だ。天使が目の前に居る。癒される。

 今まで脳筋空母だの、危険人物(変態淑女)だのと認識していたけど、瑞鶴は天使だ。認識を改めよう。最近、ぶっ飛んだ事していないし。

 

「それじゃ、また後でね?」

 

「……あぁ」

……行っちゃった。

 瑞鶴が医務室を出ると、静寂に包まれた。

……そういや、瑞鶴(瑞稀)の奴。

 

(翔鶴(静流)の事について、一言も話さなかったな)

 てっきり、最近の奇行について話してくると思ったんだけど、全く触れてこなかった。

 

(もしかしたら、俺に気を遣ってくれたのかな?)

 今の俺は翔鶴もとい、娼鶴(・ ・)の名前を聞くだけで、身体が強ばる。

 ただでさえ精神的に弱っていて、更に重度の胃潰瘍を患っている。そんな状態で娼鶴(・ ・)の話をされたら、吐血する自信がある──

 

(──っててて。痛みが……) 

 うへぇ。考えた途端、胃が痛み出した。

 今は休んで胃を治そう。それから、熱中症になったのか、今朝から身体が熱い。首筋と両脇の下に、冷えピタ貼っているのに、熱が下がらない。夏風邪でも引いたのか?

 おまけに、何故か下半身の一部に血が集まりだしている。何でだ?変なこと考えていないのに。瑞鶴に抱き着いたからか?ここ数ヶ月、発散させていないし。

 

……。

……。

……とにかく、さっさと回復させて、明日バリバリ働いて休んだ分を取り戻さないと。

 それから、翔鶴をどうにかしないといけないな。

 

「……オギャりたい」

 いきなり何を言い出すんだ?と思ったそこのあなた。俺もそう思う。

 自分でも何故オギャりたい、と言い出したのか分からない。

……いや、理由は分かる。最近、誰かに甘えたくて仕方がない。それだから、オギャりたいと口に出しちまった。

 

(マジでどうしちまったんだ?)

 最近、理性の制御が上手く出来ない気がする。そのせいで、今までなら思わなかった事を。オギャりたいとか考えたり、バブみを感じる娘に甘えたり──あん?ノック?

 

「誰だ?」

 胃が痛むから、あまり大きな声を出せなかったけど、この声量なら聞こえた筈。誰が来たんだろう──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

I'm your Mother(ママだよ♡)

 

 

「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」

 アイエエエエエッ!!?娼鶴(・ ・)!?娼鶴(・ ・)ナンデ!?

 ドアを開けて入ってきたのは、翔鶴型航空母艦の装束を纏った、娼鶴(・ ・)さんでした〜。ちなみに、胸当ては付けていない。

 

 ビックリし過ぎて大きな声で叫んじゃったよ。それなのに、胃は痛まなかった。胃薬の効果が出てきたからかな?

 つーか、流暢な英語だなぁ。俺も英語を流暢に話せるようになりたい。学生時代、もっと外国語──英語を真面目に勉強しておけば良かった。

 いや、まだ遅くはない。ユー○ャンとかで勉強しよう。大規模反攻作戦が終わったら、申し込もう。

 

……何を考えているんだ?今はそれどころじゃないぞ?

 ヤベーよ、ヤベーよ。逃げないと。

 

 色々言いたい事はある。君、まだ入渠していた筈でしょ?まだ完治に時間が掛かる筈でしょ?

 それから、何故「I'm your Mother(ママだよ♡)」って言いながら入室して来たの?もしかして、俺の「オギャりたい」って呟きを聞いたの?

 

(とにかく、今は逃げよう)

 考えるのは後だ。

 けど、身体が上手く動かない。そうだ、ナースコールだ!誰か助けを呼ぼう!

……あれ?無いぞ?おかしいな。瑞鶴が枕元に置いてくれたのを見たのに。

 

「コレを探しているの?」

 

「ああ、そうだ──」

──何時の間にか娼鶴(・ ・)さんが俺のすぐ傍に立ち、掌にナースコールを乗せ、ハイライトの消えた目で、瞳孔かっ広げ、口を三日月のように吊り上げて嗤いながら(・ ・ ・ ・ ・)見せてきました。

 わーい、受け取りたくねぇ。

 

(怖い怖い怖い!)

 娼鶴(・ ・)さん、顔。顔がヤベーっすよ。放送出来ない顔しているよ。

……あっ、(貞操)の危険を感じたからか、身体が動いてくれた。

 

 素早く飛び起き、ベッドから降りて娼鶴(・ ・)から距離を取る。

 

「あらあら。そんな急に動いたら、身体に障る(胃潰瘍が悪化する)わよ?」

 

 動く原因を作ったのは君なんですが。

 言いたいけど、口には出さない。言ったら暴走して、襲われる恐れがある。

 

「ほら、ベッドに戻りなさい?大丈夫よ、ママが沢山愛情を注いであげるから♡」

 

 いえ、結構です。今の君に愛情を注がれたら、間違いなくパパ良瀬(・ ・ ・ ・)になる。

 

「恐れないで。童○が死ぬ(卒業する)時間が来ただけよ……」

 

(オメーは何処の死○部隊三番機だよ!?)

 まだ○貞を失うわけにはいかない!ハジメテ(・ ・ ・ ・)は瑞鶴──瑞稀に捧げると決めているんだ!何が何でも逃げて、○操を死守してやる!

 

「戻らないのなら、強制的に戻すわ」

 

 あの、近寄らないでください。おーい、手錠と鎖を取り出して、何をする気ですか?というか、何処から取り出したんですか?アレか?艤装の格納領域(空きスロット)に仕舞っていたのかな?

 

……アッ、アッ、やめて?手錠と鎖をジャラジャラ鳴らしながら迫らないで?本能的恐怖を感じて、胃が痛んじゃう……あれ?痛まない。何で?

 

(もしかして、本能的恐怖を感じて、身を守る為、今だけは痛まないように身体が抑えて、逃げられるようにしてくれているのか?)

 それか、アドレナリン的な物が過剰に分泌されて、痛みを感じ無くなっているか。どちらにせよ、好都合だ。

 

「ほら、ベッドに戻りなさい?今なら付きっ切りで添い寝して、子守唄を歌ってあげるから♡」

 

「結構です」

……言っちゃった。心の中で思うだけにしようとしたら、口に出しちゃったよ。

 

 

 

(<(((⚫)))><(((⚫)))>)

 

 

 

 わーい!すんごいお目々で見つめてきたァ!

……ちょっと待て。様子がおかしいぞ?

 

「ぅ゛……ぅ゛ぅ゛……」

 

 何だ?唸っている?それだけじゃない。

 

(歯を食いしばっている?)

 それに、手に力を込めている。そのせいで、手に持っている手錠と鎖が軋み、少しずつ潰れ始めている。

 

(一体何が──ッ!?翔鶴の瞳の色が、赤くなっている!?)

 彼女の瞳の色は、胡桃色……でいいんだよな?胡桃色をしている。それが、まるで点滅するように、胡桃色になったり、赤色になったりしている。

 

(瞳の色が赤くなる、って事は、艤装の影響を受けて、暴走しているのか?)

 以前、瑞鶴や加賀さんがそうなった。

 

「ち……がう……ちが……う……」

 

「!?」

 

「こん……な、事……望んで……いない……」

 

「!!」

 途切れ途切れだったが、今、翔鶴が「違う」、「こんな事、望んでいない」と言った。これは……確定した。

 

 

艤装の影響を受けて、暴走している

 

 

(野原主任が言っていたな)

 好意を寄せる異性(・ ・)に。心の底から「愛したい」と思った相手が居た時のみ、積極的になる。

 稀に(・ ・)性欲が高まり過ぎて理性が崩壊し、おかしな言動を取るようになる、と。

 

(最近、翔鶴がぶっ飛んだ発言や行動を起こすようにったのは、艤装の影響を受けたからか!?)

 なんてこった。今まで逃げ回ったり、他の娘達に止めてもらっていたが、逆効果な事をしていた!

 

(どうすればいい!?)

……どうすればいい、だと?分かっているだろ?野原主任から教えてもらっただろ?

 

 発散すれば、一定期間(・ ・ ・ ・)は大人しくなる、と。

 

 つまり、だ。

 

(抱く(・ ・)しかない)

 それ以外の方法は無い、と言っていた。

 けど、俺は──

 

(ハジメテ(・ ・ ・ ・)瑞鶴(瑞稀)に捧げると決めている)

 こんな時に何を言っているんだ?と思うかもしれない。けど、俺は──

 

「──ガッ!?」

 な、んだ!?

 突然、首に衝撃が走った。一体何が起きた!?

 

「くふっ……くふふふっ♡」

 

 ぐあああ!首!首締められている!

 瞳の色が赤色に(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)染まった(・ ・ ・ ・)翔鶴が、俺が考え事をしている間に距離を詰め、妖艶な笑みを浮かべながら、右手で首を絞めてきた!

 マズい、ベッドに押し倒されちまった!

 

「あは♡」

 

 うおっ!のしかかってきた!

 そのせいで、翔鶴の大きな胸が、俺の身体に直撃。柔らかいなぁ……じゃねーよ!今はそれどころじゃねーだろ!

……くそっ!ダメだ。力が強過ぎる!

 

 必死に抵抗するも、どうやら翔鶴は艦娘の力を使って俺の身体を押さえているからか、ビクともしない。

 幸い、俺の首を絞めている右手には、そこまで力が込められていない。もし本気を出されたら、とっくに俺の首と胴体が離婚している(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

「ねぇ……どうして抵抗するの?どうして私を受け入れてくれないの?」

 

「しょ……かく……」

 くそっ、手に力込めて、首を絞めてきた。声が出ない。

……あっ、ヤベッ!下半身の一部が、ヤバい事になってきた!おい、落ち着け!俺の主砲(・ ・ ・ ・)!今、最大仰角(・ ・ ・ ・)になったら──

 

「うふふふっ……アハハハハハハ!やっと!!やっとその気になってくれたのね!!!」

 

──こうなる。

……あっ、こら、主砲の先っちょ(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)を、左手の指で突っつかないで?ここ数ヶ月発射(・ ・)していないから、刺激を与えられたら誤射(・ ・)しちゃう。

 

……冷静に考えている場合じゃない。マジでヤバいよ、これ。あっ、待って、待って!?翔鶴さん、マジで待って!!やめてっ!?Yシャツ引きちぎらないで!?

 

「ずっと!ずっと!ずっとずっとずーっと!!この時を待っていたわ!!!」

 

 やめてぇ!ベルトを外そうとしないでぇ!俺、やだよ!ハジメテ(・ ・ ・ ・)が逆レ○プなんて!

 

「先日○卵したけど、安心して?今、気合と根性で排○するから!」

 

 全然安心出来ません。やめてください。もし気合と根性で○卵されて合体(・ ・)したら、本当にパパ良瀬(・ ・ ・ ・)になっちゃう。今、避○具無いから、このまま本番(・ ・)に入ったら、デキる(・ ・ ・)恐れがある。。

 というか、○卵って、気合と根性で出来るの?艤装の力と艦娘の力を使えば出来るのかな?

 

……そんな事考えている場合じゃないって!止めないと!!

 丁度、俺の喉を拘束する手が緩んだから、声を出せる。

 

「ま、待ってくれ──」

 

「待てない!」

 

「ッッッ!!?」

 信じられないほど大きな声で、待てないと怒鳴られた。

 それと同時に、妖艶な笑みを浮かべていた翔鶴の顔が、鬼気迫るものに変わった。

 

「私は!ずっと我慢してきた!ずっと!ずっと!!

 あとどれだけ我慢すればいいの!!教えてよ!!!」

 

「───ッッッ!!?」

 こ、鼓膜が、痛い。それ程の大声で怒鳴られた。

 おまけに、翔鶴が瞳から、大粒の涙を零した。

 

「貴方が待ってくれ、と言ったから、待ち続けた。ずっと。ずっと。ずっとずっとずっとずっと!でも、幾ら待っても貴方は手を出してくれなかった!それどころか、距離を取った!!あまつさえ、私を否定してきた!!他の人達に助けを求め、逃げ続けた!!私って、そんなに魅力無いの!?ねぇ……

答えてよ!!ねぇ!!!」

 

「ごっ……があっ!?」

 く、首を絞める力が、強くなった!声がっ、出せ……ない……!!

 

「……もう待てない。待たない。

犯す!!!」

 

「お゙、お゙ぢづ──ぐ゙え゙っ゙!゙?゙」

 落ち着いてくれ、と言おうとしたけど、首を絞められているせいで声を出せなかった。

 

(あっ、ズボン脱がされた)

 何故か思考は冷静だった。

……今まで放置したツケが回ってきた。

 襲われる度に逃げ回った。

 そのせいで、翔鶴の心を傷付けてしまった。

 追い詰めてしまった。

 全部、俺のせいだ。

 全部、全部、俺が──

 

「……違う」

 

(──えっ?)

 突然、翔鶴が小声で何か呟いた。聞き取ろうと思ったけど、首を絞められているせいで酸素が頭に回らず、意識が朦朧としているから、何て言ったのか分からない。

 

「違う。違う。違う違う違う違う違う!!違うッッッ!!!」

 

「────げほっ!!?」

 突然、翔鶴が「違う」と言って、両手で頭を抱え、頭を振りだした。

 お陰で、喉から手が離れ、呼吸が出来るようになった。

 

「わ、たし……こんな……こんな事、望んでいない……」

 

 翔鶴はそう言いながら俺から離れ、震えだした。

 瞳を見ると、胡桃色に戻っている。恐らく、正気に戻ったのかもしれない。

 

「し……しょう、かく?」

 恐る恐る声をかけると、一瞬だけビクッと身体を震わせ、ゆっくりと顔を上げて俺を見つめてきた。

 瞳の色は──胡桃色だ。

 

「ち、違……違う、の……違うの!」

 

 そして、再び大粒の涙を零しながら、震えた声でそう言ってきた。やっぱり。

 

(自分の意思じゃ無かった)

 艤装の影響を受けて、あんな事をしてきたみたいだ。

……納得している場合じゃないぞ。

 今は正気に戻っているが、何時また暴走するか分からない。

 

(抱けば解決するのだろうけど……)

 今ここに避○具は無い。というか、買っていない。

 もしヤったら(・ ・ ・ ・)デキる(・ ・ ・)

 それに、

 

(何度も思っているが、ハジメテ(・ ・ ・ ・)瑞鶴(瑞稀)だと決めている)

 こんな時に何を言っているんだ?と思うかもしれない。けど、こればかりは譲れない。何故なら、

 

(約束したんだ)

 以前、瑞鶴と翔鶴と話し合って決めた。俺のハジメテ(・ ・ ・ ・)瑞稀(瑞鶴)だと。だから──ッ!?

 

(医務室のドアが、吹っ飛んだ!?)

 突然、金属同士がぶつかる独特の音がしたと思ったら、物凄い勢いでドアが吹っ飛んだ。いや、吹っ飛んできた……って、危ねぇ!!

 

静流(・ ・)ッ!!」

 

「キャアッ!?」

 

 慌てて静流(・ ・)を抱き寄せる。何故抱き寄せたか、って?ドアが静流(・ ・)目掛けて吹っ飛んできたからだ。

 

(ま、間に合った……)

 間一髪、ドアは静流(・ ・)に直撃せず、医務室の壁に突き刺さった(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 幾ら艦娘の力を使って物理的衝撃を和らげられるとはいっても、目の前で傷付く姿は見たくない。

 というか、誰だよ!いきなり医務室のドアを吹っ飛ばしてきた……の……は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見ィつけたァ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「」

 

「」

 

「うふふっ。うふふふふふっ♪」

 

 

 まるでゾンビのようにユラユラと揺れながら。

 

 

「遺書の用意は済んだか?」

 

 

 瞳孔を限界までかっ広げ。

 

 

「応急修理女神にお祈りは?」

 

 

 両目から赤い光を噴き出し(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

 

「部屋のスミ(・ ・)でガタガタ震えながら命乞いをする──」

 

 

 地獄の底から響くような声を。

 

 

「心の準備は──」

 

 

 真顔で。しかし、口端を吊り上げて笑いながら、艦載機格納庫を片手で担いで俺達を見つめる──

 

 

 

 

 

「OK?」

 

 

 

 

 

 恐らくマジギレしている魔王(千歳さん)が立っていた。

 

 

 

 

 

 

(あっ、これ、死んだわ)

 

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

 





次回予告


……ねぇ、渡良瀬くん──じゃなかった。提督、昨日何があったの?
 なんだか翔鶴さんが幼児退行しかけているのだけど……。
……えっ?何も無かった?嘘よ!絶対何かあった筈──ちょっ、泣かないで!ああっ!私が悪かったわ!だから、泣かないで!よしよし、いい子いい子!!
……あら?大本営から封筒が届いたわ。何かしら?
……はぁ!?艦娘異動のお知らせ!?あっ、提督!?提督ッ!!?しっかりして!!!


第93話・ドジッ娘なんて、言わせません!


「提督ッ!その手を絶対離してください!離さなかったら、私の貞操が無くなると思ってください!!お願ァい!!!」


【補足的なナニか】

・この小説内の資材消費について…単位は、原作の艦これと同じモノとなっています。

・遺書の用意は済んだか?〜…「HELLSING」に登場する「ウォルター・C・ドルネーズ」の台詞、「小便済ませたか?神様にお祈りは?部屋のスミでガタガタ震えながら命乞いをする心の準備はOK?」が元ネタ。

以上、補足終了。



Q:海風はどうしてああなった?

A:大人しい娘程、溜め込みやすく、弾けるとヤベー奴になるって、それ一番言われてるから。古事記にも書かれているから(書かれているとは言っていない)。
 海風が病む程提督に好意を抱くようになった理由は、まだ先になりますが本編で明かします。今暫くお待ち下さい。
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