艦○れ運営さん、ありがとうございます。サンタコス瑞鶴最高です。中破すると、紐パンが丸見え。襲いたい。
原作とは異なる描写が含まれています
非常に頭の悪い内容
頭を空っぽにしてご覧下さい
※この小説内の季節は、9月上旬頃となっています。
※前話の次回予告の内容を、一部修正しました。
side 加賀
──第603鎮守府、加賀私室──
目覚まし時計のアラームが聞こえる。アラームを止め、時計を見ると、04:00を指している。
確か、彼は05:00から仕事をすると
(昨夜、夕食後に「明日は07:55に執務室に来てください」と言っていたけど、手伝うわ)
どうやら彼は、私に負担を掛けたくないのか、普段通りの時間に来るよう言ってきた。気にしなくて良いのに。
(……急いで身支度を整えましょう)
身体を起こして軽く伸びをし、布団を片し、顔を洗い、歯を磨き、髪を整え、加賀の装束を纏い、軽く化粧──ナチュラルメイクを施す。
……準備完了。
(
ただ、以前のようにハッキリとは読み取れず、ぼんやりとしか読み取れなかったけれど。
最初は少し戸惑った。しかし、直ぐに受け入れ、普段通り過ごした。表情が殆ど動かなくなったから、周りに動揺を悟られなかったのは幸いでした。
そして夕食時。食堂で彼と向かいの席に座り、目と目が合うと、
その思考は、大規模反攻作戦の事で埋め尽くされていた。
次に、感情。どうやら相当緊張しているみたい。
無理もない。彼は初めて大規模反攻作戦に参加するのだから。
もっと彼の思考や感情を読み取りたかったけど、再び能力が使えなくなってしまった。不安定ね。早く安定させたいわ。
閑話休題。
恐らく、彼の事だから、未だ緊張している筈。緊張を解してあげましょう。
けど、「心配しないで」と言っても、その言葉は彼に届かないかもしれない。
なら、行動で緊張を解すしかない。
何時も通り、バカをやって緊張と不安を吹き飛ばしてあげましょう。私は所謂“やらかす側”と認識されているから、何時もの奇行だと思われるだけで済む筈。
……彼からの信頼と好感度が下がるけど、彼の緊張を解す事が出来るのなら、喜んで汚れ役をやってやるわ。
「やり過ぎないよう、気を付けましょう」
やり過ぎると逆に彼の胃と精神に負担をかけて、疲れさせてしまう。絶妙な加減が必要よ。
(けど、何をすれば良いかしら?お世辞にも、トークスキルは皆無。
ふと、私の視界にある物が入った。これなら、彼にそこまで負担を掛けなくて済みそうね。
視界に入った物を手に持ち、クーラーの電源を切り、部屋を出て執務室に向かった。
side 加賀 out
───────
────
─
side 提督
──第603鎮守府、提督私室──
大規模反攻作戦開始前日。
04:40。
本日の天気、小雨。気温27℃。湿度80%。
昨日から降り続いていた雨は、日付が変わる頃から少しずつ弱まり、今は小雨程度になった。そのせいか気温が少しずつ上がり、肌寒かった昨日と違い、蒸し暑く感じる。
天気予報では、夕方頃に晴れると言っていた。
(晴れると同時に、気温が一気に上がるらしいから、皆にしっかり水分補給をするよう、伝えておかないと)
それから、適度に身体を冷やす事も伝えよう。身体に熱が篭ったままだと、幾ら水分補給しても意味が無くなる。
何故意味が無くなるかは、話すと長くなるから割愛する。気になる人は各自で調べてくれ。
閑話休題。
現在時刻、04:42。普段より早く起き、自分の部屋で身支度を整えている。
何故普段より早く起きているのかって?早めに仕事を終わらせて、明日から始まる大規模反攻作戦に備える為だ。
(明日の02:00に、
その後、ウチの第二、第三艦隊と、向こうの第八、第九艦隊の計24名を__海域に向かわせ、哨戒部隊と戦闘を行い、陽動。
その間に、第一艦隊と第七艦隊の計12名を迂回。
俺達の役割は、
小嶋提督によると、俺達の向かう無人島には
更に、それらの護衛に通常種──駆逐ロ級や駆逐ハ級、軽巡ツ級や重巡リ級、軽空母ヌ級、空母ヲ級、戦艦ル級が、
それだけじゃない。鬼・姫級──装甲空母
勝てるのか?……いや、違う。勝つんだよ。誰一人、
その為には俺がしっかり判断し、指示を出さねばならない。責任重大だぞ。
……身体が震えてきた。まだ作戦は始まっていないのに、こんな体たらく。だらしねぇぞ。しっかりしろ!
強めに頬を手で叩き、喝を入れる。
……よし、震えが止まった。けど、緊張まで解く事は出来なかった。
…………。
(まず、資材と武器を確認。次に、妖精さん達と艦娘達のバイタルをチェック。それから──)
身支度を整え、部屋を出て執務室に向かいながら、頭の中で予定を組み立てる。
にしても暑いな。汗が止まらない。さっさと執務室に行って、クーラーつけよう。
(涼月と長門さんの艤装は既に修理済。二人は入渠を済ませ、メンタル・フィジカル共に万全。五月雨は腹部に風穴を開けられていたが、昨日の内に復帰。その後、厳重注意したから大人しくなってくれた──おっと、着いた)
気が付けば、執務室の扉の前に立っていた。
さっさと入ってクーラーつけて、仕事しよう。
ポケットから鍵を取り出し、解錠。ゆっくりと押して開けて、中に入る──
「」
「……」
<〜〜〜♪
「……」
執務室から出て、扉を閉める。
ありのまま起こった事を話す。
俺は普段より早く起き、仕事をする為、執務室に入った。
扉を開けると同時に、涼しい空気が俺の全身に掛かってきた。どうやらクーラーがついているみたいだ。消し忘れたのかな?いや、違う。昨夜、執務室を出る際、ちゃんと消した。
……話を戻す。執務室に入ると、マイクを右手に。リモコンのような物を左手に持ち、無言・無表情で佇む本日の秘書艦、加賀さんが居た。
それだけでなく、妖精さん特製、小型ジュークボックスから加○岬が流れたので、ゆっくり後退し、執務室の扉をそっ閉じして退室した。
何で○賀岬なの?その曲、先日発売された井○裕香さんが歌う新曲じゃん。あれか?
何故、加○岬というタイトルなのか説明するとだな……長くなりそうだから、割愛するわ。
……じゃなくて。幻覚と幻聴が同時に起きる程、疲れているのかな?
ここ最近、瑞鶴達に襲われたり。五月雨がやらかしてその対応に追われたり。色々あり、疲れている。
それだから、俺の脳がおかしな幻覚と幻聴を引き起こした。きっとそうだ。
軽く頭を振り、気を取り直してもう一度。
扉に手を掛け、ゆっくりと開け──
そっ閉じ。うん。幻覚でも幻聴でもない。ちゃんと見えた。聞こえた。マイクとリモコンのような物を持ち、無表情で棒立ちする加賀さんが。そして、加○岬の
……あの、加賀さん。何をしているのでしょうか?何で執務室に居るんですか?俺、言いませんでした?執務室には07:55に来てくださいって。それから何故、小型ジュークボックスを設置して、加○岬を流して歌おうとしているの?ねぇ、何で?
……イカン、少し胃が痛み出した。
ツッコミどころ満載だけど、もうツッコミ入れん。無心だ。無心で執務室に入って、胃薬を飲もう。
(……よーし。行くぞ!)
素早く扉を押し開け、突入!目的は、
「おはようございます、提督」
……あれ?加○岬のイントロが流れない。それに、加賀さんがマイクとリモコンのような物を持っていない。
それだけじゃない。俺の執務机の上に、胃薬と魔法瓶が置かれている。
……えっ?何で?は?さっき見た時は、置かれていなかったぞ?
「胃薬と白湯よ。どうぞ」
「あ……え……?ありがとう、ございます?」
疑問に思っていると、加賀さんが魔法瓶からコップに白湯を注ぎ、トレイに胃薬とコップを載せて差し出してきた。
色々言いたい事があるけど、今は胃薬を飲もう。
……。
胃薬を飲み、痛みが引くと、加賀さんが申し訳なさそうな顔をしながら、優しく俺の腹部──胃のある位置を手で
あ〜……加賀さんの手、暖かい……落ち着く……じゃなくて。
「あの、何で
聞きたい事は山ほどあるが、とりあえず、何故此処に居るのか聞く事にした。
「貴方の仕事を手伝う為よ?」
「いや、その……俺、執務室には07:55に来てください、って言いましたよね?」
昨夜、しっかり伝えた。そして、加賀さんも「分かりました」と言ってくれた。それなのに、何故?俺、誰にも言っていないよ?予定より早めに起きて、仕事するなんて。
「えぇ、言ったわ。けれど、貴方の事だから、早起きして仕事をすると思ったの。だから、私も早起きして手伝う事にしたの」
「……成程。けど、何故この時間に来るのが分かったのですか?」
偶然にしては出来過ぎている。まさか、盗聴器や隠しカメラを俺の部屋に仕掛けたのか?そんでもって、この時間に仕事をする事を知った──
「貴方の事なら、何でも分かるわ。表情筋の動きや視線で、貴方が何を考えているのか、手に取るように分かる」
怖っ!?
「昨夜、食堂でチラッと時計を見ていたわ。その視線と表情で、何を考えているのか予想したの」
あっ、確かに見た。そんで「明日は早起きして05:00頃に仕事しよう」と
「時計を見た時、貴方は5の所を凝視していたわ。そして、予定を考える顔をしていた。そして、さっき言ったけど、貴方の事だから早起きして仕事をすると思いました。だから、5時頃に仕事をすると予想し、こうしてこの時間に此処に来たの」
「な、成程……」
どうやら、盗聴器や隠しカメラを仕掛けて、この時間に執務室に行く事を知ったわけじゃ無さそうだ。
……それにしても、怖い。加賀さん、視線と表情だけでそこまで予想出来るなんて、怖いです。何でそんな事出来るの?アレか?かつて大本営本部に所属していたから、そういった事を教えられ、出来るようになったのか?大本営本部凄ェな。流石魔境。
……やめろ。魔境とか考えるな。予想されるぞ。
……ん?待てよ。仕事をする事と、時間を予想し、此処に来たのは分かった。だが、何故小型ジュークボックスを設置して、俺が執務室の扉を開けるのと同時に加○岬を流したんだ?疑問に思っていると、
「加○岬を選んだ理由は、私の適性艦名繋がりで。流した理由は、貴方の緊張を解す為よ。本当はミラーボールやマラカスとか設置して、カラオケルームにしようか悩んだけど、後片付けが面倒になるから、やめました」
「執務室はカラオケルームじゃないよ」
俺の
あの、やるなら談話室にしてください。執務室は仕事をする場所であって、遊ぶ所──娯楽施設ではありません。
……瑞鶴達のようなヤベー奴らが居ると、ドッタンバッタン大騒ぎが始まって、娯楽施設に早変わりするだろって?気の所為だ。
「後片付けもそうだけど、やり過ぎると貴方の精神と胃に負担をかけてしまうから、気を付けたのだけど……結果的には、負担をかけてしまったみたい。本当にごめんなさい……」
疑問に思っていると、加賀さんが答えてくれた。そして、申し訳なさそうな顔で謝罪してきた。
やり方はアレだけど、気を遣ってくれたみたいだ。お陰で、さっきまで肩に力が入り、緊張気味だったけど、少し力が抜けて、気が楽になった。ありがとうございます。
「不安になる気持ちは分かるわ。けど、必要以上に不安にならないで?」
「あっ……」
慈愛に満ちた顔をし、とても優しい手つきで俺の頭を撫でてきた。俺がガキの頃、良くこんな風に撫でてもらったっけ。
昔は俺の方が身長が低かったから、簡単に撫でられたけど、今は俺の方が背が高くなった。その為、加賀さんはつま先立ちをして、プルプル震えながら、必死に背を伸ばしている。
……なんか、可愛いな。
「……何を笑っているの?」
いけね、思わず笑っちまった。そのせいで、加賀さんは不機嫌そうな顔をして、ジト目で睨んできた。
「……何時の間にか、こんなに大きくなって。昔は可愛らしい背丈と顔をしていたのに」
「顔の話はやめてください」
マジでやめて?トラウマなの。幼い頃は女顔だったせいで、周りにからかわれて、トラウマになったんですよ?
色々あったけど、一番は加賀さん。貴女に女性の服──加賀さんの私服を無理矢理着させられ、妹役をやらせられて市中引き回しの刑に処された事。これが一番キツかったと記憶しています。
……間違って、加賀さん──麻子さんのおやつのプリンを食べた罰だから、自業自得っちゃ自業自得なんだけど。
と、とにかく、貴女のせいで俺は──
(……ん?あ、あれ?加賀さんの様子がおかしいぞ?)
さっきまで慈愛に満ちた優しい顔をしていたのに、今は頬を上気させ、瑞鶴達が時折見せるような、
「……ねぇ、
「提督ですよ、加賀さん」
今は仕事中です。役職名で呼んでください。
「5分。いいえ、3分でいいから、女装してくれないかしら?」
「やだ」
ぜってーしねぇぞ。俺はもう二度と、女装しないと心に決めている。頼まれたって、するもんか。
「お願い!女装して!そうすれば
「嫌だよ!?」
頼まれたってするもんか!つーか加賀さん、キャラ。キャラ壊れてる。そんな迫真の顔をしながら迫らないで!あと手!俺の両肩を手で掴んで迫らないでください!迫力あるから怖いです!!
「昔と違い、男の子らしい顔つきになったけど、まだ面影が残っているわ!メイクをすれば、充分
「準にゃん言わないで!?」
ヤメロォ!俺のトラウマを呼び起こすなァ!
「お願い!一生のお願いよ!女装してくれたら、私、何でもしますから!!」
「ん?今、何でもするって……じゃない!幾ら頼まれようと、お断りします!あと、女性が軽々しく“何でもします”なんて言うんじゃありません!」
「10分!10分だけでいいから!」
「さっきより長くなってるし!?」
さっき3分だけでいいって言ったでしょ?例え3分だろうが1分だろうが、断るけど。
「せめてメイクを!メイクさせて!!」
「どっから取り出した!?」
掴んでいた肩から手を離したと思ったら、マジシャンのように一瞬で化粧品を掌に出現させたぞ!?
「艤装の
「艤装って、便利だね」
流石、妖精さんの謎技術。すげぇや。……感心してる場合じゃねぇよ。このままだと、男の娘にさせられちまう!
「大丈夫、本当に大丈夫だから。怖がらないで。私と貴方だけの秘密にするから。乱暴な事しないから。ね?ね!」
「やめろ!そう言って、乱暴な事する気だろ!薄い本みたいに!……あっ、やめて?瞳孔カッ広げて鼻息荒くしながら迫らないで?やめっ──ヤメロォ!?」
この後、加賀さんと俺の攻防が繰り広げられた、と言っておく。
何度も全力で、ノーザンライトボムや、ツームストンパイルドライバーをぶちかましたのに、平然としていやがった。
そして、抵抗虚しくメイクされ、ついでに、女装──黒髪セミロングのウィッグを被らされ、加賀さんの装束のスペアを着させられた。
あと、加賀さんが使役する妖精さん達に、髪の毛以外の全身の体毛を
余談になるが、加賀さんと攻防を繰り広げた事で、他の娘達が目を覚まし、執務室にやってきて、メイク&女装した姿をバッチリ見られました。
ドン引きされるだろうなぁ……。そう思ったが、皆の反応は「可愛い!」だった。
……ははっ。笑えよ。笑いたきゃ、笑え。
……あのさぁ、明日から大規模反攻作戦が開始されるんだよ?こんな事してて、いいのか?
残念ながら、俺の問いに答えてくれる娘は居なかった。誰か、俺に代わってアイツらにお説教してくれる娘は居ないかな?居ないよね──
「提督、しっかりしなさい」
「矢矧……」
──居た。居たよ!第603鎮守府の
「とっても可愛いのだから、そんな暗い顔しないで笑顔を見せて?あっ、写真撮ってもいいかしら?」
「ガッデム!!」
オメーもそっち側かよ!嬉しそうな顔しながらス○ホを向けんじゃねぇ!!
──────────────
俺は男だ!女性じゃない!ましてや、男の娘でもねェ!!
……じゃなくて。こんな事してて、大丈夫なのか?
……まぁ、さっき、妖精さんに皆のバイタルをチェックしてもらったら、俺の女装した姿を見た事で、皆の緊張とかが吹き飛んだみたいだから、いいか。
俺は信じていた。なんだかんだあっても、こうして皆と笑って過ごす事が出来ると。
そう。信じていた。それなのに……何故、あんな事が起きてしまったんだ?
俺の問いに答えてくれる奴は居ない。
……現実逃避していないで、向き合おう。
嗚呼……誰かに甘えたい。しかし、不用意に甘えたら、母性に目覚めた彼女達に
……うえっ、口ん中に血の味が。水で
……瑞鶴か。大丈夫。一人で飲めるよ。だから
──追跡鶴 第4章・狂乱編 完──
【唐突に始まる、第5章の非常に頭の悪い嘘予告】
※やや長め。
「これより、大規模反攻作戦を開始する。全艦、出撃!」
渡良瀬提督が提督している。緊張や不安は無いようだ。大丈夫そうだね。
「さぁ、花火大会を始めましょう?」
「花火になるのは、深海棲艦だけどね♪」
由良、夕立、獰猛な笑みを浮かべながら、物騒な事を言うな。
「索敵機より報告。敵艦隊を発見!」
「敵艦隊が艦載機を発艦させやがった!撃ち墜とすぞ!」
「ここは譲れない!」
第二艦隊旗艦の翔鶴が、彩雲で敵艦隊を発見し、摩耶と時雨が対空戦闘を開始したようだ。それにしても凄い数だ。
「全機爆装、準備出来次第発艦!目標、空母棲姫!やっちゃって!」
「優秀な子達、本当の力を見せてあげて!」
こちらは、第三艦隊旗艦の瑞鶴と大鳳が抜群のコンビネーションで、敵艦載機を次々に墜としている。見事だ。
「ふん。重巡洋艦が飛行甲板に着艦した程度で沈むなど。貴様、
いや、那智。普通、重巡洋艦が飛行甲板に着艦なんてしないからね?そんな事されれば、空母は沈むぞ?
「とぉぉ↑おう↓!!」
熊野。君まで那智の真似しなくていいよ?レディはそんな奇声あげながら飛行甲板に着艦なんてしないよ?
「目標地点到達。攻撃開始!」
所変わって、こちらは第一艦隊。旗艦の千歳が指示を出して攻撃している。けど、かなりの数が居るから、突破するのに時間がが掛かりそう──
「首と溜め込んだ資材寄越せ」
──アッサリ突破しやがった。うん、何も見ていない。返り血で全身がドス黒くなった姿で、獰猛な笑みを浮かべながら深海棲艦の首を刎ねる扶桑なんて、見ていない。
「ねぇ、こいつら……殺っちゃって、い~い?」
……文月が無邪気に笑いながら、集積地棲姫を轢き殺している光景なんて、見ていない。いいね?
「来いよ、戦艦ル級flagship改。主砲なんか捨てて、素手でかかって来い。……怖いんですか?軽巡相手に、ビビっているのですか?」
名取さん、フラル改を挑発しないで?フラル改も、挑発に乗らない。ああもう、艤装を投げ捨てるんじゃないよ。コ○ンドーごっこしたきゃ、他所でやりなさい。
「ヤロオオオオォォオォォォォブッコロッシャアアアアアアアアア!!!!」
キェァァァェェェェァァァァァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!フラル改が、人語を話したァァァァァァ!!?
「作戦完了!全員、五体満足で帰還したよ!!」
全身傷だらけ。艦娘の装束が、煤や返り血で色々アレな姿だけど、元気に微笑みながら瑞鶴が報告してきた。ほら、渡良瀬提督。何か声を掛けてあげな?
なんやかんやあったけど、無事に大規模反攻作戦を終えたみたいだね。
残党も片付けて、平和が訪れた。派遣されてきた艦娘達も、それぞれの鎮守府に帰ってしまった。少し、寂しくなるね。
「あ、中佐に昇進した」
どうやら今回の作戦で、渡良瀬提督は中佐に昇進したみたいだ。おめでとう!
「提督さん。ううん、準。約束果たして♪」
……昇進して喜んでいる所悪いけど、渡良瀬提督。君が皆とした約束を果たす時が来たぞ。逃げるなよ?あっ、パパにならないよう、気を付けてね?
「やめて!?
あーあ、早速瑞鶴に
……無事、渡良瀬提督は、自分に好意を寄せる全員と、
「……あれ?何か、
どうした?瑞鶴。……ああ。やっぱり、そうなったか。提督と
最初は戸惑うかもしれないけど、そのうち慣れる。もしダメなら、渡良瀬提督に頼りな。
「なんて事考えているの、翔鶴姉!」
「瑞鶴こそ、何でそんな事を考えるの!?」
……あーあ。
「準くん、二人を止めて。私じゃ無理」
千歳が匙投げた。うん。あれは渡良瀬提督じゃなきゃ、止められないね。けど、殴りあっているから不用意に近付けば、巻き添えを喰らう。どうする?渡良瀬提督──
「提督に迷惑かける奴は……誰だああああ!!!」
混沌とした鎮守府に、救いの神が舞い降りた!
圧倒的徒手格闘が、
あれま、一分も掛からず鎮圧しちゃった。
凄いぞ、山城!最高だ、山城!千歳や渡良瀬提督に出来ない事を平然とやってのける!そこにシビれる!あこがれるゥ!
そして時は流れる。
少しずつだけど、以前の平和な……平和だったか?まぁいい。平和な鎮守府に戻ってきた。このまま平和が続くといいなぁ。
「Guten Morgen!」
はい壊れた!平和壊れました!何でこうも狙いすましたかのようにトラブルが飛び込んでくるんだ!!チクショウメェ〜!!!あと、すまねぇがドイツ語はサッパリなんだ。日本語でおk。
「これが、
おいドイツ娘。目をキラキラさせながら変な事言うな。あーあ。せっかく平和になりかけていたのに、瑞鶴達が……渡良瀬提督、あと頼む。君の嫁達だろ、早くなんとかしろ。
「ジュウコンカッコカリの条件を、緩和する」
おや?横須賀守府を運営する、榊原大将がとんでもない事を言い出したぞ?どれ位、緩和するの?
「最低条件を、大佐以上。それから──」
ほう?大分緩和されたね。これなら、渡良瀬提督の所も、そのうちジュウコンカッコカリが可能に──
「深海棲艦、コロスベシ」
「慈悲ハ無イ」
「深海棲艦 全員 ブッ殺ス」
深海棲艦達、逃ゲルルォッッッ!!!
再び時は流れる。
今度こそ平和が訪れた。もうトラブルなんて発生しないでくれ。頼むから。
「……」
おや?初霜。どうしたんだい?浮かない顔をして。何かチラシのような物を持っているね。
何々?……クラシックコンサート開催のチラシか。最近、平和になったから、こういった催し物が頻繁に開催されるようになった。これも、君達艦娘が頑張ってくれたからだ。誇りな?
「……チクショウ」
……私は何も聞かなかった。そして何も見ていない。普段穏やかな初霜が、怒りに充ちた顔で、目を血走らせる姿なんて。
……そっとしておこう。さて、次は秋雲の様子を見るか。
「やっぱ、絵は良いねぇ。描いてて楽しいよ。女の子の裸体サイコ〜!」
うん。秋雲は何時も通りだ。楽しそうに絵を描いている。何度見ても上手だなぁ。……描いているのは、薄い本用のR指定の付く物だけど。
……ん?ああもう、床にゴミを放置するんじゃない。だらしないぞ──って、コレ、何かのチラシみたいだ。ビリビリに細かく破かれている。
えっと、こっそり集めて、妖精さんの不思議パワーで元に戻して──へぇ、絵画展のチラシか。けど、何故こんなビリビリに破いたんだ?
……あまり、深く詮索しない方がよさそうだね。やめておこう。
よーし、他の艦娘達の様子も見よう。えっと、秋雲の部屋から近い、矢矧にするか。お邪魔するよ。
「……髪の毛って、消化されずに残り続けるらしいわね」
……矢矧さん、真面目な顔で肉切り包丁を持ったまま、何を言い出すの?ねぇ?ねえってば!?
こんな所に居られるか!私は海風の所に行くぞ!
「……まだ、我慢してあげます。ふふっ……」
……ケミカルな色の薬品が入った薬瓶持ちながら、何故そんな狂気に充ちた顔して笑っているの、海風。
くそっ、ここもダメだ。次!夕立!彼女なら。彼女なら、大丈夫!なんてったって、渡良瀬提督に迷惑をかけないようにしてる艦娘だもん!
「……提督さん、甘えてくれないかなぁ。
……夕立ちゃんが母性に目覚めたようです。
……あの、A○azonで、ガラガラとか、おしゃぶり。おしめとか色々買い込もうとしているけど、それ買って何する気?ねぇ?
くそっ!もうダメだ!頭がおかしくなりそうだ!次!満潮!彼女なら……今度こそ大丈夫だ。満潮は口は悪いけど、根は素直でとっても良い子だから、何も問題ない筈!
「ふふっ♪」
……あっ、満潮だ。ス○ホの画面を眺めている。
うんうん。歳相応の笑顔を浮かべ、ご機嫌そうに鼻歌を歌っている。良かった、まともそうだ。
所で、ご機嫌そうに何を見て──
「んふふっ♪」
……第603鎮守府のメンバー全員が写った集合写真を見ているようだ。
但し、満潮と提督以外の顔は、黒く塗り潰されているけど。
……君もか、満潮。
……もう、第603鎮守府はダメみたいですね(諦観)
「……準。ワシの寿命を削るのは楽しいか?ん?」
更に時は流れる。
所変わって、渡良瀬提督の実家だ。彼の祖父、茂さんが死にそうな顔をしている。
それもそうだ。渡良瀬提督がお嫁さんを連れてきたのだから。それも、複数人。
……大丈夫?もういい歳しているから、ポックリ逝かないよね?久々の登場なのに、可哀想。
「孫ならくれる!好きにして良い!だから……お願いします。後生ですから、喧嘩しないでください。ワシの寿命を削らないでください」
おぉう……茂さんがガチ泣きしながら、渡良瀬提督の嫁さん達に土下座して頼み込んでる。
「準、お前、覚悟決めたみたいだな」
あれ?ゲンさん。こちらも茂さん同様、久々の登場だ。
「《……懐かしい。何故、懐かしいと感じるの?》」
どうしたの、裏瑞鶴(仮名)?ゲンさんの顔を見て、懐かしいと言ったけど、知り合いなの?
「《私は……わたし、は……》」
裏瑞鶴(仮名)の様子がおかしいぞ?大丈夫か?
追跡鶴 第5章・憔悴編
近日公開
「……ねぇ、
「……俺もだ」
「……アタシもだ。あと、マヤりん言うな」
「……奇遇ね、私もよ」
「……あたしもです」
「……私も。あと鈴谷さん、その渾名はやめて。私、女優じゃない。艦娘よ」
「……ごめん」
……鈴谷達、苦労しているんだね。皆、虚ろな目をして、目元に深いクマが出来、頬はゲッソリと痩せこけ、今にも死にそうな青白い顔をしている。
少し前まで元気そうだったのに。今じゃ、あの頃の面影が全く無い。
「……胃薬貰いに、医務室行こっか?」
「「「「「行こう」」」」」
君達も胃潰瘍持ちになってしまったか。その……ご愁傷様です。
……おっかしいなぁ?こんな事になるなんて。人間の心を少し。いや、かなり過小評価していたようだ。
こんなにも進化するとは。いやはや、人間は面白い。もっと見続けたくなってしまったよ。
※予告内容と本編は、【一部を除いて】異なる場合がございます。
予め、ご了承ください。
次回予告
……いよいよ大規模反攻作戦開始ね。
心配しないで、提督さん。
……ありがとう。行ってくるね。
翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴、抜錨!
追跡鶴 第5章・憔悴編
第100話・大規模反攻作戦、開始
「第8492離島鎮守府の艦娘達、アタシらの鎮守府よりイカれてんなぁ……」
【補足的なナニか】
・渡良瀬茂…久々の登場。第603鎮守府を運営する提督、渡良瀬準少佐の祖父。90歳。未だ猟師をしている、パワフルお爺ちゃん。手拭いで、孫の渡良瀬準少佐を吹っ飛ばす事が可能な程の膂力を持つ。
声が「秋元羊介」さんに激似らしい。
・ゲンさん…本名、野原元太。上記の渡良瀬茂の親友。90歳。昔、提督をしていたらしい。
以上、補足終了。