追跡鶴   作:EMS-10

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※警告※
暴力的・グロテスクな描写が含まれています
原作とは異なる設定・描写が含まれています
後半は、頭を空っぽにしてご覧下さい


※この小説内の季節は、9月上旬頃となっています。



第101話・交通事故発生

 

side 千歳

 

 

──__海域、敵棲地付近──

 

 

05:17。

 

 

『航空優勢!この調子で行きましょう!……ッ!敵艦載機、抜けました!』

『大丈夫よ、翔鶴。既に私の子達(艦載機)が向かっているわ』

『敵艦載機、全機撃墜!流石加賀さん!』

『喜んでる暇は無いわ、瑞鶴。まだ敵艦載機は沢山居るのよ?』

『そうそう。大鳳ちゃんの言った通りだよ?それより、そろそろ鬱陶しいから、本命(敵空母)叩いてもいい?江草隊達が出たがってて……』

『私の友永隊も、めっちゃ殺気立ってるから、飛ばしていい?』

 

 

 無線から、陽動を行ってくれている娘達の元気な声と、艦載機のエンジン音。それから、爆発音が聞こえてきた。

 どうやら上手くやっているみたい。一旦無線を切ると、先程私が飛ばした彩雲から報告が入ってきた。

 

(距離、約50.000m。敵は、駆逐ロ級elite(エリロ)5隻、

 駆逐ハ級flagship(フラハ)4隻、

 軽巡ツ級ノーマル(ツカス)5隻、

 雷巡チ級flagship改(フラチ改)7隻、

 重巡リ級flagship改(フラリ改)4隻、

 戦艦ル級flagship改(フラル改)5隻、

 戦艦タ級flagship改(フラタ改)2隻。

 それから、レ級elite(エリレ)2隻、

 装甲空母()が2隻。

 空母棲姫が1隻。

 そして、輸送ワ級flagship(フラワ)が30隻。

 無人島の中心部に、集積地棲姫が1隻、

 集積地棲姫周辺に、PT小鬼群が5()、か……)

 私達の攻撃目標である敵棲地──無人島へ、特殊素材で(・ ・ ・ ・ ・)造られた(・ ・ ・ ・)彩雲を飛ばすと、敵の数と編成が、妖精さんを通して私の頭の中に流れ込んで来た。

 

 出撃前のブリーフィングでは、護衛の敵がもっと居たけど、第二、第三艦隊、第八、第九艦隊の娘達が派手に暴れ、陽動をしてくれているからか、数が減った。

 

(あの数なら、私達でも充分殺れる)

 何せ、そこそこヤバめ(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)のメンバーなのだから。

 特に、長門さん。

 この人は、砲撃精度が非常に高い。敵がどんなに激しく。そして、不規則に動こうが。敵味方入り交じる乱戦でも、確実に敵だけを撃ち抜ける実力者。更に、特殊艤装(・ ・ ・ ・)のお陰か、近接戦闘まで可能。非の打ち所がない。

……小さい娘が好き(ロリコン)で、時々暴走するのを抜きにすれば、の話だけど。こうしている間も、長門さんは、

 

『朝潮ちゃん、いい。霞ちゃん、いい。文月ちゃん、いい。ここは天国か?天国だな、うん。駆逐艦娘、いい。ぐへへへへ……そうだ。確か、向こうの第八艦隊に、山風ちゃんが居たな。後でこの目に焼き付けなければ。

 そういえば小嶋准将が、山風は甘えん坊だと仰っていたな。甘やかしてあげなければ!

 

……真面目な顔をしたまま、邪な思考と感情を持ちながら、三人をこっそり盗み見してる。ダメだこの人。早く通報しないと。帰ったら通報ね。慈悲は無い。

……これ以上、長門さんの思考と感情を読み取ると、頭がどうにかなりそうだから、遮断しましょう。

 

 閑話休題。

 

(伊勢さんも、かなりの実力者みたいだけど──)

 実際に戦っている姿を見ていないから、不明。

 先日見たデータでは、相当やるみたい。あそこ(第8492離島鎮守府)の艦娘だから、信用は出来るでしょう。

 

……扶桑さん?彼女は……うん……。

 

(正直言って、微妙。近接戦闘では相当強いけど……)

 肝心の砲撃精度が……うん。ま、まぁ、平均より高いから、大丈夫。

 他の娘達も、平均よりも高めの実力者だけど、私から見れば、まだまだ可愛い部類に入る。イカれた領域(・ ・ ・ ・ ・ ・)には、まだまだ遠いけど。

 

(……余計な事を考えない。今は役割を果たさなきゃ)

 気を取り直し、皆に先ほど確認した敵艦隊の編成と数を報告。動揺するかな?と思ったけど、皆冷静だった。

 逆にやる気を出し、殺気立ち始めた。大丈夫そうね。

 

……あ、気付かれた。

 流石に会話しながらだったから、彩雲の操作が荒くなって、敵に気付かれてしまった。

 けど、問題ない。何時でも発艦出来るよう、艦載機──艦戦・艦攻・艦爆隊を待機させている。それに、敵はまだ私達の位置に気付いていない。

 けど、エリレと装甲空母()、空母棲姫が大量の艦載機を発艦させたから、見つかるのは時間の問題ね。

 

「敵に気付かれたわ。私は艦載機を飛ばすから、名取さんと高雄さんと利根さんは対空戦闘の用意を!

 阿武隈さんと鬼怒さん、文月ちゃん、朝潮ちゃんと霞ちゃんは先行して撹乱!

 長門さんと伊勢さん、扶桑さんは砲撃で牽制、その後突撃して暴れて!」

 

『『『『『『了解!』』』』』』

 

「発艦!」

 皆に指示を出しながら、艦載機を発艦。

 艦載機格納庫を開くと、獲物目がけて一気に大量の艦載機が飛び立った。

 

(先ずは、敵艦載機を艦戦で墜としましょう)

……あら、その程度の数で私と殺り合う気?舐められたものね。

 

 私の艦戦の5()倍以上(・ ・ ・)の数が向かってきたけど──

 

「数だけじゃ、勝てないわよ?」

 散開させ、先頭を飛ぶ敵艦載機を墜とす。敵も撃ってきたけど、最低限の動きで回避させながら、真っ直ぐ敵陣に突っ込ませる。それにより、敵の編隊が崩れた。

 迷わず真っ直ぐ突っ込んできた事に驚いたのか、敵の動きが少しだけ鈍くなっているわね。良い的よ?

 

 動きが鈍くなったのを、見逃さず、撃ち墜とす。

……実戦慣れしている。

 そこそこの数を墜したけど、動揺せず冷静になり始めている。まぁ、何も問題ないんだけど。

……あら?敵艦隊に水柱が上がったわ。

 

『第二主砲、撃て!』

『ほらほら、余所見してると沈むよ?』

『駆逐艦娘達の援護は任せろ!!』

 

 どうやら扶桑さんと伊勢さん、長門さんが狙撃したみたいね。

 艦娘の力で視力を強化して見ると、伊勢さんと長門さんがエリロ4隻、フラハ1隻、ツカス3隻、フラチ改3隻、フラリ改2隻、フラル改1隻、フラタ改2隻を沈めた。

 

『この海域から出て行け!』

『沈みなさいッ!』

『これでも喰らえ〜!』

『ちょっ、みんな、前に出過ぎ!あたしの指示に従ってぇ〜!んんっ!従ってくださぁい!』

『残念、アブ(阿武隈)の指示は、駆逐艦達に届かなかった』

『鬼怒お姉ちゃんは黙って!』

 

 阿武隈さん達が突撃し、雷撃を叩き込んだわね。

……エリレの奴ら、味方を盾にして回避しやがった。相変わらず小賢しい。

……あっ!エリレが1()、逃げた!

 

(マズいわね。逃げられると厄介な事になる)

 私達の存在を報告されたら、お客さん(・ ・ ・ ・)が増えちゃう。私は平気だけど、他の娘達に負担が掛かってしまうから、急いで仕留めなきゃ──

 

 

『何処へ行く気でしょうか?』

 

 

──爆撃機を突撃させようとしたら、何時の間にか扶桑さんが、逃げようとしたエリレの背後に立ってた。どうやら縮地を使ったみたい。

 

(何度見ても見事ね)

 アレ(縮地)が出来る艦娘なら、何人も見た事があるから驚かないけど、イカれた領域(・ ・ ・ ・ ・ ・)入っていない(・ ・ ・ ・ ・ ・)扶桑さんが出来るとは。

 覚醒したら(・ ・ ・ ・ ・)どうなるのかしら?少し楽しみね。

 

 

『その大砲で私と勝負する気ですか?ふふっ……うふふふふふふっ……あははははははははは!!!』

 

 

……あーあ。エリレが艤装ごと、三枚おろし(・ ・ ・ ・ ・)にされちゃった。

 どうやらあのエリレは、残って戦っている奴と違い、覚醒種(・ ・ ・)じゃないから、覚醒し掛かっている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)扶桑さんに、簡単に殺られた。

 

『敵艦載機の動きが鈍りました!』

『今じゃ!撃ち墜とすぞ!』

『了解しました!』

 

 エリレの片方が沈んだ事で、敵艦載機の一部の動きが鈍くなっている。チャンスね。さっさと墜しましょう。

 

 

…………。

 

 

「今のうちに長門さんと阿武隈さん、鬼怒さん、朝潮ちゃん、霞ちゃん、文月ちゃんは敵棲地を攻撃して!

 高雄さんと利根さん、名取さんは、彼女達の援護を!

 扶桑さんと伊勢さんは、残ったエリレを殺るわよ!」

 敵艦載機を全て墜とし、エリレ以外を全て沈め、落ち着いてきたと判断したから、敵棲地付近に残っているフラワ(ワ級flagship)達と、フラワを護る空母棲姫。そして、集積地棲姫(本命)を叩くよう指示を出した。

 今の所、大怪我を負った娘は居ない。このまま油断せず戦いましょう。

 

『くっ、あのエリレ、他の奴らとは違います!撃っても斬っても、弾かれてしまいます!』

『何よ、あの動き!?アクロバット過ぎるんだけど!』

 

 扶桑さんと伊勢さんの戸惑ったような声が、無線から聞こえた。

 それもそうよ。アイツ、覚醒種(・ ・ ・)だし。

 

(本当なら、今後に備えて覚醒種(・ ・ ・)と戦って経験を積んでもらいたかったけど──)

 今は大規模反攻作戦中。個人的な感情を優先してはならない。

 それに、以前覚醒種(・ ・ ・)のレ級と戦った時、ウチの娘達に経験を積ませる為、加減して様子を見ていたら、山城さんが死にかけた。

 今、あの時のような事が起きたら、今後の作戦に支障が出てしまう。だから、

 

「二人は下がってて。私が殺るから」

 

『『りょ、了解!』』

 

 危険な目に遭わせるわけにはいかないから、二人が反論しないよう、殺気を出しながら、下がるよう指示。ごめんなさいね、怖がらせちゃって。

 

(……あらあら。分かってるみたいね)

 私の殺気を感じ取ったからか、目の前のエリレの雰囲気が変わった。

 先程までは、扶桑さんと伊勢さんの相手をしていたけど、余裕があるからか、獲物を弄ぶような顔をしていた。

 

(しっかり敵と認識してくれたみたい)

 小馬鹿にするような笑みはなりを潜め、真剣な顔で私を見つめている。

……何処を見ているの?

 私の目を見ていたと思ったら、視線を逸らした。

……私の艦載機格納庫を見ている?

 

 

『───キヒヒッ♪』

 

 

……エリレの奴、嗤いやがった(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 どうやら、軽空母艦娘だと認識したからか、警戒度を下げたみたいね。馬鹿が(・ ・ ・)。その油断が命取りになるのに。どうやらコイツは、なりたて(・ ・ ・ ・)のようね。

 内心で呆れていると、奴の身体から瘴気が溢れ出し、圧迫感と殺気が増し始めた。

……来るわね。

 

 

『━━━━━━━━━━━━!!!!』

 

 

 突如、エリレが咆哮。涼月さんの咆哮程(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)じゃない(・ ・ ・ ・)けど、奴を中心に衝撃波が生み出され、私達に襲いかかって来た。

 どうやら、フラグシップクラスに覚醒する気(・ ・ ・ ・ ・)みたいね。けど──

 

 

『━━━━━グゲッ!?」

 

「死ね」

 そんな暇は与えない。

 慈悲も。容赦も。一切無し。

 お前のお遊びに付き合う暇は無い。さっさと死ね。

 艦載機格納庫を担いで海面を蹴り(・ ・ ・ ・ ・)、奴の懐へ一瞬で接近(・ ・ ・ ・ ・)

 未だ吼えている奴の頭に、叩き付ける。お前が馬鹿にした物で頭を砕かれる気分は如何?

 エリレの頭が、スイカ割りされたスイカのように、砕け散った。まずは一つ。

 

「ガァッ!!」

 

(あーあ、面倒臭い)

 エリレの頭を砕いたけど、尻尾が襲いかかってきた。

 レ級の尻尾──艤装は、(レ級)が死のうが、破壊しない限り動き続ける。本当に面倒臭い。

 

 襲いかかってきた尻尾が口を開き、砲撃してきた。けど、それは予測済。

 最低限の動きで回避して、艦載機格納庫で殴る──のはやめましょう。大ぶりの得物だから、避けられる。素手(・ ・)で殺った方が速いし、確実ね。

 頭の中で素早く判断して、艦載機格納庫を投げ捨て、大きな口を開けている奴の口に、右手を突っ込む。

 あらあら。得物で殴打してくると思っていたからか、驚いてる。

 

(バイバイ)

 もっと驚く様子を見たかったけど、遊んでいる暇はないから、さっさと終わらせるわ。

 下顎を掴み、千歳(艤装)(加護)を放出。ほら、しっかり瘴気を放出しないと、喰い破られる(・ ・ ・ ・ ・ ・)わよ?

 あっさりと加護が瘴気を喰い破り(・ ・ ・ ・)、尻尾は無防備(・ ・ ・)になった。あとは引き千切るだけ。

 

 艤装の加護(・ ・ ・ ・ ・)で瘴気を喰い破られた(・ ・ ・ ・ ・ ・)お前ら(深海棲艦)は、ただのサンドバッグよ。

 お前らは、瘴気があるから(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)頑丈なだけ(・ ・ ・ ・ ・)

 お前らは、瘴気が無ければ(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)人間よりも脆い(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

(だ か ら♪)

 艦娘の力(・ ・ ・ ・)を解除して、人間の私の(・ ・ ・ ・ ・)腕力(・ ・)でも、簡単に壊せる(・ ・ ・ ・ ・ ・)。ほら。こんな風……にッ!

 

「━━━━━━━!!???」

 

 あらあら。まるで綿のように(・ ・ ・ ・ ・)簡単に(・ ・ ・)引き千切れちゃった♪

 

 尻尾の下顎に離婚届(・ ・ ・)を叩き付けると、離婚(・ ・)したのとほぼ同時に、レ級汁(・ ・ ・)が盛大に吹き出る。

 あーあ、装束が汚れちゃった。クリーニング代を請求しなきゃ。お前の命で払ってもらうわよ?

 奴は悲鳴をあげた。けど、下顎が無いから、不快な音しか出ない。

 うるさい。死ね。

 下顎を捨て、ドス黒いレ級汁(・ ・ ・)塗れになった手で、奴の()を掴み、一気に力を込めて、握り潰す(・ ・ ・ ・)

 かなり柔らかい(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

……簡単に潰れちゃった。静かになった。

 奴が吼えた事で荒れていた海面が、穏やかなものになっている。

 うるさいだけで、なんの意味もなかったわね?

 

「私、強くなれるんですよアピールがしたいなら、二次元でやりなさい」

 それか、ドラマや映画の中だけにしときなさい。じゃないと、こうなるわよ?

……聞いちゃいないか。

 徐々に沈んでいく、スイカ割りされたスイカのような頭の死体に、言葉を掛ける。

 

(……さて、本命(敵棲地)を叩いてる娘達の様子を聞きましょう)

 そう思って無線を起動させようとした時だった。

 

 

 

『阿武隈ァァァァァァ!!!』

 

 

 

 突如、鬼怒さんの絶叫が無線から響いてきた。

 そして、それとほぼ同時に、敵棲地から大爆発が発生した。

……えっ?何が起きたの?

 

 

side 千歳 out

 

 

───────

────

 

 

 

side 鬼怒

 

 

──__海域、敵棲地──

 

 

 現在時刻、06:40。天気は曇。気温は……30℃位かな?結構暑くなってきたなぁ。それに、お腹がすいてきた。

 

……戦闘中に何を考えているんだ、って?

 流石にドンパチやってる最中(さなか)に、そんな事考えないよ。余裕がある時にしか考えないって。

 

……お前は今、敵棲地に攻撃を行っている筈だろ?うん、してる。正確には“していた”だけど──

 

 

『ふはははははは!!!何処へ行こうというのだぁ?集積地棲姫ィ?』

 

『モウ……カエレッ……ヨォ……カエレ!カエッテ!カエッテクダサイイイイイイイィィィィィィ !!アツメタブッシ、全部アゲルカラサアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!』

 

 

……長門さんが頑張り過ぎて(・ ・ ・ ・ ・ ・)、鬼怒の出番が無くなっちゃったんだ。

 いやぁ〜、長門さん、マジパナイ。鬼怒がPT小鬼群1体(・・)を倒し終わった頃には、長門さんが他のPT小鬼群全部を生身で(・ ・ ・)轢き殺し(・ ・ ・ ・)ちゃってたんだもん。

 

 詳細は省くけど、鬼怒がPT小鬼群を倒して、集積地棲姫を探す為、敵棲地に上陸したら、全力疾走して集積地棲姫を追い回す長門さんと接触事故(・ ・ ・ ・)を起こしちゃって、私は中破しちゃったから、長門さんに後方で待機するよう言われた。ちなみに、長門さんは無傷。解せぬ。

 んで、無線を入れて、敵棲地の様子がどうなっているか聞いているんだけど──

 

『なら、あなたをメタメタに(・ ・ ・ ・ ・)ぬっころがして(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)、集めた物資とやらを全部頂きます!』

 

『ね〜ね〜、長門さん、こいつ(集積地棲姫)殺っちゃってい〜い〜?』

 

『いいゾ^〜』

 

……長門さん、声がアブナイ(・ ・ ・ ・)。完全に不審者のソレだよ。

 分かりやすく例えるなら、語尾に「デュフフww」とか、「コポォ……」って擬音が付くような声。

……うん、事案だね。ロリの権化(ごんげ)と言ってもいい、朝潮と文月相手にそんな声出すなんて。問答無用で一発アウトだよ。

 

……ツッコミ入れるのやめよう。何が起きても右から左に流そう。じゃないと、胃袋と精神によろしくない。

 

『長門さん!お姉ちゃ──朝潮の脚に邪な視線を向けないでくださいッ!』

 

『はっはっは!安心しろ、霞!邪な視線なぞ、向けていない!私はただ、朝潮ちゃんの黒タイツが破けていて、その破けた箇所を凝視しているだけだ!!!』

 

『向けてるじゃないッ!思っきし邪な視線を向けてるッ!私のお姉ちゃんに邪な視線を向けないでッッ!!!』

 

……霞がお姉ちゃんって言っちゃった。朝霜と清霜がここに居なくて良かった。居たら、「霞ちゃんから、お姉ちゃん頂きましたァ!」とか言って、確実に暴走してる。

 

『こちら阿武隈です!長門さん、配置に就きました!何時でも殺れます!』

 

『了解した!さぁ、朝潮!文月!霞!派手にやれ!!!』

 

『『『了解!』』』

 

……もうそろそろ終わるね。周囲に敵影なし。新手が来る気配もなし。楽だったなぁ。

……ん?何だか無線が騒がしくなってる。

 

『ええい、ちょこまかと!』

 

『長門さん、あたしが奴を抑えます!その隙に、大発動艇で殺ってください!』

 

『了解した、阿武隈!』

 

『こっそり背後に回って……そこっ!』

 

『ッッ!?ハ、ハナセ!』

 

『今です!──ぐえ"っ"!"?"』

 

『ちょっ、長門さん!急加速させないでください!ああっ!阿武隈さんが、長門さんの大発動艇に轢かれた!!』

 

 えっ、マジ?アブ(阿武隈)、大丈夫かな?

 

『あああっっ!!集積地棲姫諸共、火薬庫に突っ込んじゃった!!阿武隈さん、逃げてくださいッッッ!!!』

 

 は、はぁ!?何が起きてるの!!?

 長門さんの大発動艇に、アブが轢かれて、火薬庫に突っ込んだ、って霞が言ってくれたけど、何をどうすればそんな事が起こるの!?

 

『ひ、火が出ています!』

 

『阿武隈さん、逃げて〜!』

 

 ヤバいよ、それ。大爆発しちゃうよ。もしそうなったら、アブが丸焦げに──ッッッ!!!大爆発が起きた!!!

 

 

『阿武隈ァァァァァァ!!!』

 ヤバいよ。盛大な花火が打ち上がっちゃったよ。アブが丸焦げに──いや、アブの事だから、髪が焦げる程度で済むね。なんてったって、アブだし。

 第8942離島鎮守府に居た頃、しょっちゅう川内に爆殺されてたし。あの程度の爆発じゃ、くたばらない。

 

「阿武隈……いい奴だったよ……」

 一応、フラグ立てておこう。こういう時、フラグを立てれば成立する、って川内が言ってたし。

 

 

『……あたしの髪、黒焦げになったんですけど……』

 

 

 あ、やっぱり生きてた。フラグ立ったね。

 

 

 

 この後、第603鎮守府所属の第一艦隊旗艦、千歳さんから無線が来たから説明したけど、呆れられちゃった。

 それもそうだよね。一歩間違えれば、死者が出ていたんだから。

 

 長門さん達に集積地棲姫の生死を確認してもらい、粉々に吹き飛んだ(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)事が判明した後、千歳さんに報告。集積地棲姫達が集めた、大爆発に巻き込まれなかった物資を持ったアブ達と合流したんだけど、アブが中破寄りの小破で済んでいた事に驚いちゃった。

 骨や内臓、皮膚に異常なし。綺麗な金髪が、見るも無残な物になっただけ。

 

 川内の爆殺=ジツ(・ ・)を喰らいまくっていたから、爆発耐性が付いたのかな?

 それにしても、以前よりも頑丈(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)になってない?お姉ちゃんびっくりだよ。

 

 

side 鬼怒 out

 

 

───────

────

 

 

side 大鳳

 

 

──__海域、陽動隊──

 

 

 

『着 艦!』

 

 

 突然ですが、皆さんにお聞きします。

 艦娘が海上をバッタのように高く跳躍し、対空砲火の弾を足掛かりにしながら回避・接近し、無傷の(・ ・ ・)装甲空母()の装甲甲板に飛び乗り、その衝撃で沈めました(・ ・ ・ ・ ・)

 

『ふん。重巡洋艦が飛行甲板に着艦した程度で沈むなど。貴様、装甲(・ ・)空母()なんだろ?脆過ぎないか?』

 

 この光景を見たあなたは、どう思いますか?

 

……私はどう思う、ですか?

 そうね。言葉は悪いですが、ハッキリと言わせて頂きます。

 

 頭おかしいんじゃ(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)ないかしら(・ ・ ・ ・ ・)

 

 

『とぉぉ↑おう↓!!』

 

 

……向こうでも、那智さんと同じ事をやってる(熊野さん)が居ます。もう何も言わないわ。

 

 

『くたばれっ!瑞鶴、突撃ッ!!』

 

 

……私はもう、突っ込まない。もう、何も考えない。

 

 弾を節約する為、新たに増援として来た大量の(・ ・ ・)装甲空母()達に、次々と着艦(・ ・)する艦娘達(・ ・ ・)の姿なんて、見ていない。誰がなんと言おうが、見ていない。

 

……向こうでゾンビのような咆哮を出しながら、装甲空母()捕食する(・ ・ ・ ・)涼月さんなんて、見ていない。

 装甲空母()サッカー(・ ・ ・ ・)をする夕立さんと五月雨さんなんて、見ていない。

 

 見ていない。聞いていない。何も。何も。何も──

 

 

「大鳳さん……」

 

「……吹雪さん?」

 気が付くと、吹雪さんが私の隣に立ち、同情するような顔で私を見つめていた。

 

「これ、飲みます?」

 

「……貰うわ」

 太○胃散(散剤タイプ)と、魔法瓶を差し出してくれた。有難く頂きます。

……私、来る所間違えたかしら?

 

 

『那智姉さん!対空砲火喰らったんだけど!?どうやれば弾を足掛かりにしながら接近出来るの!?』

 

『気合いだ!気合を入れて、確実にブチ殺す気持ちを持てば、出来るぞ!!』

 

『分かったわ!勝利が私を呼んでいる!!やってやるわ!!!』

 

 

……今日も海は平和です。あはは。あははははは。

 

『……あ、花火が上がった。綺麗だな。ははっ……』

『また着艦した。綺麗な着地です。審査員の皆さん、採点お願いします』

『10点』

『僕も10点だと思う』

『そんなことよりおうどん食べたい』

 

……摩耶さんが壊れかけているけど、気の所為ね。

 葛城さん、着艦している奴らは体操選手じゃないわ。

 山城さん、時雨さん、採点しないで。

 矢矧さん、大丈夫?お腹すいたの?帰ったらおうどん、食べましょう?

 

 

side 大鳳 out

 

 

───────

────

 





次回予告


 第一目標、達成。皆、良くやってくれた。
 それじゃ、改めて第二目標を話す。良く聞いてくれ。

見 敵 必 殺(サーチ&デストロイ)!!

……以上だ。
……なんだ?大鳳。それ以外の細かい指示は無いのか、って?
無い。

 俺は命令を下したぞ。何も変わらない!!
見敵必殺!見敵必殺だ!!



第102話・慈悲はない


「逃げる奴は、訓練された深海棲艦です。地獄の果てまで追い掛けて、殺しましょう。
 逃げない奴は、よく訓練された深海棲艦です。今すぐブチ殺しましょう」


【補足的なナニか】

・離婚届…隠語の一つ。グロテスクな描写をし過ぎると、運営さんに垢BAN(イヤーッ!)される恐れがある為、離婚届という表現を使用しました。

・爆殺=ジツ…川内=サン第8492離島鎮守府所属、川内型軽巡洋艦一番艦、川内の適性者の奥義のひとつ。
 喰らった相手は爆発四散して死ぬという、恐ろしい技。

・覚醒種…【現段階では閲覧不能】

・集積地棲姫…最大の被害者。

以上、補足終了。
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