暴力的・グロテスクな描写が含まれています
原作とは異なる設定・描写が含まれています
深海棲艦が喋ります
※この小説内の季節は、9月上旬頃となっています。
※暫くシリアスな展開が続きます。
side 提督
──第603鎮守府、執務室──
大規模反攻作戦八日目。
09:00。
本日の天気、土砂降り。気温29℃。湿度80%。
昨日の夕方頃から突然降り始めた雨は、最初は弱かったが、日付が変わる頃には、前が見えない程の土砂降りになり、今も勢いが全く弱まらず、寧ろ益々強くなり、激しく降り続いている。
更に、強風というおまけ付き。
(予報では、
窓の外を見ると、午前中なのに真っ暗だ。
大本営から、深海棲艦の
まず、
ウチの娘達と、派遣されてきた娘達は必要以上に騒がず、冷静に受け止めてくれたから、騒ぎにはならなかった。
次に、小嶋提督からの報告を伝えた。
こちらは残念ながら、伝えた途端、騒ぎになってしまったが、千歳さんや加賀さん、長門さん、由良の4人が一喝し、騒ぎを鎮めてくれた。
何故、騒ぎになったのか。これには理由がある。
それは、新たに集結した6隻の深海棲艦が原因だ。
たった6隻。それだけなら、ウチの娘達と派遣されてきた娘達、
……普通の深海棲艦ならば、な。
(けど、普通の深海棲艦じゃない)
データによると、フラレは、
それだけじゃない。主砲・副砲の威力と装填速度が
更に、魚雷と艦載機の搭載数が、エリレの実に
(そんな奴が6隻も居るんだ。騒ぎになる)
正直俺も、小嶋提督に教えてもらった直後は、かなり取り乱しちまった。隣に居た瑞鶴と初霜のお陰で、すぐに冷静になれたけど。
……話を脱線させてすまん。戻す。
(そんな相手とまともに殺り合ったら、確実に
小嶋提督と話し合い、どうするか考えていた時だった。
冒頭で話したが、急に天候が悪化した。
(最初は天候が回復してから、攻略する予定だったけど──)
小嶋提督が、「悪天候なら、敵はまともに艦載機を飛ばせない」と言い、急遽、悪天候の中、攻略を行う事にした。
事実、深海棲艦達も艦娘と同じく、悪天候では艦載機を
フラレと比べると、艦載機の搭載数は劣るが、フラレよりも艦載機の操作が上手い、あの空母棲姫ですら、悪天候では殆ど艦載機を飛ばさず、例え飛ばしたとしても、まともに操作出来ないのか、普段よりも動きが鈍い物になる。
──と、端末のデータに記されてある。
余談になるが、千歳さんと加賀さんは、こんな悪天候でも艦載機を飛ばす事が可能らしい。
流石に今の天候──強風だと、制御出来ないんじゃないか。
そう思って聞いたところ、千歳さんは「普段の7割程度の力しか出せないが、問題なく戦える」との事。
ちなみに、加賀さんは5割程度の力しか出せないそうだ。
閑話休題。
なので、悪天候の今。艦載機を飛ばせる千歳さんと加賀さんを主軸に強襲を仕掛け、近接戦闘が得意な娘達で乱戦に持ち込み、可能ならば殲滅。
最低でも6隻全てのフラレに、艦載機の発着艦が不能になる程度のダメージを与える、というゴリ押しな作戦を行っている。
ちなみに、空母艦娘は千歳さんと加賀さんを除いて、鎮守府に待機させている。
千歳さんと加賀さんがハッキリ言った。まともに飛ばせないなら、足手まといだ、と。
(そんなわけで、この悪天候の中、出撃をして攻略を──ッ!?窓が揺れた音か。驚かせやがって)
強風が吹いた事で、窓が大きく揺れ、結構大きな音が鳴った。そのせいで、神経質になっていた俺は驚き、思わず椅子から飛び上がりそうになった。
……落ち着け。冷静になれ。一旦考え事をするのをやめて、リラックスしよう。
俯いていた顔を上げ、ふと、視界に入った時計を見ると、向こうの娘達と合流する海域に到達する時間になっていた。
……まだか。まだ連絡は来ないのか?
……だから、落ち着け。冷静になれ。深呼吸だ。深呼吸して落ち着け。冷静でなければ、まともに指示を出せなくなるぞ。
…………。
(6隻居るフラレの内、1隻が不審な動きをしている、か……)
無線が入るまで、昨日、小嶋提督から伝えられた言葉を、頭の中で繰り返していた。
小嶋提督が言うには、偵察部隊が動向を監視した所、6隻居るフラレの内、1隻だけが__海域の深海棲艦達から離れた位置──十数km以上離れた所に居て、
(深海棲艦は、鬼・姫級ならまだしも、人型の通常種は、敗走している時以外は決して単独行動を取らない)
超弩級重雷装航空巡洋戦艦と言われるレ級だが、一応奴も通常種に入る。
レ級flagshipでも、味方の深海棲艦が居るなら、味方と群れて行動する。決して単独行動を取らない筈なんだが──
(何か、考えているのか?)
いや、きっと何か考えている。小嶋提督もそう言っていた。
勿論、この事はブリーフィングで皆に伝えてある。
閑話休題。
今更になるが、第三海域の攻略に向かってくれた娘達を紹介しようと思う。
まず、ウチから攻略に向かってくれた娘達から。
フラレに攻撃を行う、第一艦隊。
旗艦・千歳さん、長門さん、山城、那智さん、由良、夕立。
次に、フラレ以外の深海棲艦に攻撃を行う、第二艦隊。
旗艦・加賀さん、扶桑さん、熊野さん、阿武隈、吹雪、五月雨。
最後に、ウチの第一、第二艦隊の支援及び、負傷者の護送を行う、第三艦隊。
旗艦・能代さん、榛名、名取さん、涼月、初霜、文月。
以上、18名だ。
千歳さんと加賀さん、長門さんから、「機動力と火力、回避能力が高い娘以外は足手まとい」「乱戦に持ち込むから、人数が少ない方が良い」と言われた為、このような人数とメンツになった。
ちなみに、小嶋提督にもこの事を話し、同意してもらったので、向こうもウチと同じ人数と、近接戦闘が得意な娘達にしてくれた。
続いて、
フラレに攻撃を行う、第一艦隊。
旗艦・神通、金剛、筑摩、衣笠、阿賀野、浜風。
続いて、フラレ以外の深海棲艦を攻撃する、第二艦隊。
旗艦・川内、羽黒、高雄、青葉、嵐、江風。
最後に、向こうの第一、第二艦隊の支援及び、負傷者の護送を行う、第三艦隊。
旗艦・霞、伊勢、愛宕、朝霜、清霜、明石。
以上、18名。
駆逐艦娘が多いが、侮ってはならない。
小嶋提督が教えてくれたが、とんでもなく戦闘力と判断能力が高く、全員
あと、向こうの第三艦隊に工作艦の明石が居るが、彼女はウチと向こうの娘達が
余談になるが、小嶋提督曰く、「様々なギミックを搭載した艤装を纏っているから、相当な戦闘力がある」そうだ。
どんなギミックを搭載しているか説明したいが、長くなる為割愛する。
閑話休題。
……くそっ、胃が痛んできやがった。急いで胃薬を飲もう。
引き出しから胃薬と魔法瓶を取り出し、素早く服用。程なくして効果が現れ、痛みが引いていった。
「司令官、大丈夫?」
「……俺なら大丈夫だ。気にしないでくれ」
待機組の一人、早霜が心配そうな顔をしながら声を掛けてきた。
情けねぇ。部下に弱った姿を見せるなんて……しっかりしろ。
──ッッッ!!!無線が入った!!!
素早く無線機を手に取り、スイッチを入れる。
『こちら、第一艦隊旗艦、千歳。無事、向こうの娘達と合流出来たわ』
「──ッ!?りょ、了解ッ!陣形を整えたら、予定通り、周囲を警戒しつつ、__海域に向かってください」
『了解』
無線が切れた。次に無線が入るのは、目標地点に到達してからだ。
……それにしても、千歳さんの声、怖かった。
普段なら、穏やかな声で報告してくれるけど、さっき聞いた声は低く、感情を一切感じさせなかった。
(それ程の相手なんだ)
これから相手するのは、それだけ強い。嫌でもそう思わされてしまった。
……冷静になれ。
何度も言っているが、再び己に言い聞かせる。
……イカン、催してきた。こんな時に。
(急いで行こう)
締まらねぇな。
「早霜、少し席を外す。直ぐに戻る」
「了解しました」
早霜に一声掛け、急いで椅子から立ち上がり、御手洗に向かおうとした時だった。
執務机に置いた
「……あっ!」
やっちまった……。急いで屈み、床に落とした物を拾う。
その落とした物とは──
──────────────
『出撃して帰ったら、一緒に聴きましょう!』
『おう、楽しみにしてるぞ』
『ふふふ……私の自慢のスピーカーで聴かせてあげます♪
床が揺れ、鼓膜がブチ破れる程の音量でッッッ!!!』
『うん。そこまで上げなくていいよ。常識的な音量でお願いします』
『それがッ!デスメタルをッ!聴く時のッ!常識的なッ!音量ですッッッ!!!』
『何それ、デスメタル怖い』
──────────────
(初霜……)
ブリーフィングを終え、出撃する娘達に無理は決してせず、無事に帰ってくるよう言った後。
執務室に向かい、小嶋提督と最終確認をしようとしたら、初霜が自室から持ってきて、俺に手渡してくれたCDだった。
何故、手渡してきたのか。部屋に置いたままで良かったんじゃ?
色々疑問に思ったが、手渡された時はツッコミを入れる余裕が無かったから、そのまま受け取り、執務机の上に置いたんだっけ。
「司令官?」
「……すまん」
CDを手に持ち、ジャケットを見ていたら、早霜に声をかけられた。イカン、さっさと御手洗に行かねぇと。
(……無事、生きて帰ってきてくれ)
CDを執務机に置き、御手洗に向かいながら、無事に帰ってきてくれるよう、祈った。
side 提督 out
───────
────
─
side 千歳
──第三目標、__海域──
「私が艦戦を出すわ。加賀さんは攻撃機の発艦用意をして。他の娘達は作戦通りに動いて。いいわね?」
『『『『『『りょ、了解!』』』』』』
反論しないよう、殺気を込めて指示を出したから、皆、素直に言う事を聞いてくれた。
「………今回は、抑えない」
相手が相手だ。普通にやったら、
皆や提督にドン引きされようが、
本当は全力を出したいけど──
(昔と違って、全力を出すと、反動で暫く動けなくなる)
昔なら、全力を出して暴れても、
(最近、どんどん力が
昔──荒れていた頃、かなり無茶な事をしまくったから、そのツケが回ってきた。
それだけじゃない。最近、
(悟を見つける為、頑張ってきたけど、最近は諦める気持ちが、少しだけ出始めちゃった)
提督──準くんと、準くんに好意を寄せる娘達を見ていたら、なんだか自分のしている事が馬鹿らしく思えてきちゃって、そのせいで信念が揺らぎ──
『千歳さん?どうか、されましたか?』
「……ううん、なんでもないわ?」
いけない。ボーッとちゃった。そのせいで、神通さんに声を掛けられてしまった。
頭を切り替えないと。
(……落ち着きなさい。今は余計な事を考えるな)
戦闘モードになりなさい。
……良し。頭を切り替えたわ。
(さぁ、お仕事の時間よ?)
さて、まずは
「艦載機の皆さん、殺っちゃってください♪」
……早く行きなさい。行け。殺れ。命令。従え。しばくぞ。
(本当は、艦載機格納庫を担いで
だから、今回は艦載機だけで戦いましょう。
………………。
『喰らい付いたら、離さないって……言ったネ!!』
『私が牽制します!』
『動きが止まりました!そこっ!!』
無線から、金剛さんと浜風さん、筑摩さんの声が聞こえてきた。それから少しして、フラレの1体の反応が、レーダーから消えた。
戦闘開始から30分位が経ったけど、殆ど
今の所、
(残って戦っている娘達は、中破以上の損傷を負った娘は出ていない。行ける)
敵の残りは、空母棲姫1隻と軽巡棲姫1隻。それから、フラレが5隻。ただ──
(フラレの内の1隻だけ、開戦してから今も、十数km離れた所に居る)
(棒立ちしているみたいだから、攻撃したいけど──)
空母棲姫や4隻のフラレが艦載機を飛ばしてきたから、その相手で手一杯。
他の娘達も、4隻のフラレに振り回されていて、とてもじゃないけど、向かう余裕が無いみたい。
……まぁいいわ。何もしてこないみたいだし。けど、警戒はしておきましょう。
(ただ、離れたところに居るフラレが
まぁいいわ。
……何故
それ以上は上手く説明出来そうにないから、このお話は終わりよ。
ちなみに、川内さんと神通さんは、まだ
「遅い!」
思考を中断。意識を集中し、艦載機を操作。
空母棲姫とフラレの放ってきた敵艦載機を撃墜。
この天候なのに、そこそこ上手く飛ばせる。良い腕ね。私程じゃないけど。
……あら、空母棲姫が爆撃を受けて沈んだわ。私の艦載機じゃないわね。加賀さんが殺ったみたいね。
『こちら、加賀。千歳さん、空母棲姫の全滅を確認しました。しかし、私の艦載機は殆ど残っていません』
「了解よ。加賀さんは
『了解』
流石、元・大本営本部所属。No.2の空母艦娘に扱かれたから、相当良い腕をしている。けど、まだまだよ。
……さて、後は私に任せて。
加賀さんが空母棲姫を仕留めてくれたから、残るは
『ハイクを詠め。カイシャクしてやる』
『━━━━━━━━━━━ッッッ!!?』
『油断しましたね?二重の極みです』
『━━━━━━━━━━━ッッッ!!?』
「……フラレの残り、3隻」
無線から、川内さんと神通さんの声。それと、フラレの断末魔が聞こえてきた。
2体、
『痛ッ!あんた、硬過ぎよ!』
『ほう?貴様、私が
『那智、遊ぶな。
──ヌ゛ぅ゛ん゛!゛!゛』
『……長門さん、どうやればフラレを
『気合いだ』
……那智さんと長門さん、山城さんがフラレを撃破。
フラレ、残り2隻。
『五月雨さんは、
榛名さん!名取さん!涼月さん!そのまま軽巡棲姫を追い回してください!』
『『『『『『了解です!』』』』』
ウチの第三艦隊の娘達が、軽巡棲姫を追い回してくれている。
周りの様子は──神通さん達が相手しているフラレは、もうじき沈むわね。
よし。由良さんと夕立さん達が相手しているフラレを殺りましょう。
艦載機に指示を出し、攻撃態勢に入ろうとした瞬間だった。
(ッ!敵の増援!?)
レーダーに、敵の反応が複数現れた。素早く彩雲を飛ばし、偵察を行う。
ただでさえ大量の攻撃機を操作しているから、脳に負荷が掛かって頭痛がするけど、我慢よ。
普段より7割程度の速度で彩雲を飛ばすと、やがて増援の数と編成が、彩雲を操作する妖精さんから伝えられた。
(……冗談にしては、笑えないわね)
敵の増援は、40隻前後。
普段なら、今いるメンツでも充分捻り潰せる。
けれど──
(マズい。フラレが5隻も居る!)
今はフラレを相手したせいで、そこそこ燃料と弾薬を消費している。
更に、私を除いて全員が小破以上の損傷を負っている。
私だけなら、楽に逃げられるけど、皆はそうじゃない。くそっ!どうすれば──
『ゥゥゥゥ↓ウウウウウウイイィィィィイイイイイ↑ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ♪』
「ッッッ!!?」
今の声は……!?
聞き間違いじゃない。
忘れもしない。あの、
今まで数え切れないほど、深海棲艦の声を聞いてきたけど、今聞いた笑い声を出すのは、
そんな……バカな!!
(
確かに、
何故!?
(……考えるのは、後にしなさい!!!)
今は、増援をどうにかする事を考えろ!!
でも、
このままじゃ、殺られる!!
『この
……くそっ。
『ン〜?なァんか、フェアじゃないナァ?気に食わねェナァ?』
「────ッッッ!!?」
艦載機を出した!発艦した位置は、単独行動を取っていたフラレからだ!何時の間にか、数km近くまで来ている!
常にレーダーで位置を把握していたのに、何故!?
(迎撃しなきゃ!)
気になるけど、今は迎撃しなきゃ!
急いで艦戦を向かわせる。
けど、
『『『『『━━━━━━━━!!!?』』』』』
何機か撃墜されても、私が向けた艦戦を無視してエルロン・ロールしながら進み続け、由良さん達と神通さん達が相手しているフラレと、増援としてやってきた、深海棲艦達目掛けて殺到した。
その数、推定
悪天候にも関わらず、
(混線しているせいか、深海棲艦達の断末魔が聞こえてきた。相変わらず不快な音ね)
深海棲艦
その様子を、残った娘達は呆然と見ていて、対空射撃をしなかった。
……いいえ、出来ない、が正しいわね。
対空射撃が届かない高度を飛んでいるから。
やがて、全ての艦載機が主の格納庫に格納されると──
『これでヨシ。これで
再び、
……そうだった。
『さァて。そろそろ遊ぼうカ!』
「ッッッ!!?」
マズい!
急いで思考を中断。考えるのは後!!今は皆を死なせないよう動く事が最優先事項!!!
(速い。いいえ、
艦載機を向かわせて──くそっ!
「由良さん!逃げてッッッ!!……くっ!畜生ッッッ!!!」
電波障害!?
このままだと、由良さんと、第一艦隊の皆が!!!
「機関、最大出力!!」
主機の出力を限界まで高め、由良さん達の所へ向かう!!
私が今居る位置から、由良さん達の居る位置は、かなり離れている。
「ぐっ……」
(我慢しなさい!今は痛みを気にしている場合じゃないわ!)
早く行かないと、由良さんが危ない!!!
side 千歳 out
───────
────
─
side 由良
そん、な……。嘘よ。嘘よ!
今聞こえた声。それに、さっきの敵艦載機達の動き。
間違いない。
(何故!?お前は、
意識が朦朧としていたけど、確かに
もしかしたら、似たような声の個体──それはない。
現実逃避するな、
そう自分に言い聞かせたけれど、頭はそれを否定した。
きっと、アレよ。そっくりさんよ。
よく言うじゃない?世界には、自分とそっくりの顔をした人が、3人居るって。
……人じゃなく、深海棲艦だけど。
……長門さん達が、
けれど、
あっという間に、長門さん達は
……無理よ。
……千歳さんの攻撃機が、
こちらも長門さん達の攻撃同様、
……
幸い、レーダーは生きている。そのお陰で、接近して来るのが分かる。
……身体が、動かない。動かせない。
……止まってる場合じゃない。動け。動きなさい。動け!
……ダメ。動かない。
そうこうしている間に、
さっきまで、推定70ノット以上で航行していたけど、今は5ノット以下で航行している。
『イヒャヒャヒャヒャヒャヒャ♪やっぱり
……気が付けば、目の前に
鼻と鼻が触れ合う程、近い。
「その傷。その艤装──」
気が付けば、口を開き、そう呟いていた。
露出している腹部にある、傷跡。
腰から生えている、
……嗚呼、そっくりさんじゃない。
逃げたい。けど、それは出来ない。
何故なら、私は
逃げれば、何処までも追いかけて来る。
隠れれば、隠れた所を
抵抗したいけど、
唯一、
……あははは。あははははははは。
「お前は……お前は、
なら、せめて。せめて、何故生きていたのか、知りたい。
「何故……何故ッ!?
何故、生きているッ!
「ン〜?何故って言われてもナ……分からん!」
……ふざ……けるな……。
side 由良 out
───────
────
─
次回予告
……提督、しっかりしなさい。
……負傷した方達は、全員復帰したわ。
……初霜さんも無事よ。一命
……殺しているのよ。殺されもするわ。
……。
いい加減にしなさい、
何時までもメソメソしない!顔を上げる!まだ戦いは終わっていないのよ!
昨日より風が
……なんですか?由良さん。
……無駄?それは、どういう意味ですか?
第105話・敗北
「出来る、出来ないじゃない。
【補足的なナニか】
・エルロン・ロール…水平飛行中にエルロンのみを使用して、直進しながら左または右方向に360度ロールする事で、曲技飛行にも使われる、初歩的な航空機の操作技法の一つ。
・海蛇…とあるレ級を指す。CVは、「千葉繁」さんの声で脳内再生してください。
数年前、
2年前に、
以上、補足終了。