追跡鶴   作:EMS-10

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 瑞鶴のクリスマスmode終わっちゃう……そうだ、瑞鶴を監禁すればいいんだ。そうすれば、何時までもクリスマスmodeの瑞鶴を見られる。


※お詫びと訂正※
 第105話の後書きにて、タイトルを「Code:N」としましたが、話の展開上、説明不足になる事が判明した為、急遽、タイトルと内容を変更しました。
 読者の皆様にご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。


※警告※
グロテスクな描写が含まれています
シリアスがログアウトしました
頭の悪い内容
頭を空っぽにしてご覧下さい


※この小説内の季節は、9月中旬頃となっています。



第106話・反撃の兆し

 

Another side

 

 

──大本営・本部、執務室──

 

 

大規模反攻作戦十日目。

13:30。

 

 

「……そう、か。分かった。報告、ご苦労」

 受話器を置き、安堵のため息を吐く。

……間に合ったか。

 

 

 一昨日、主要都市を護る鎮守府から報告を聞き、急いで援軍として向かわせた此処(大本営本部)の艦娘達が、侵攻を食い止めてくれた。

 

(そのお陰で、大量に出現した(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)覚醒種(・ ・ ・)に対抗出来、最終防衛ラインを突破されずに済んだ)

 今回は(・ ・ ・)運が良かった。

 しかし、未だ覚醒種(・ ・ ・)は多く居る。現に、此処の艦娘達が派遣先に暫く滞在し、戦わなければなければならなくなってしまった。

 その為、

 

(海蛇(・ ・)の出現が確認された海域に、此処の艦娘達を向かわせる(派遣させる)事が出来ない)

 最初はその報告を聞き、良く似た個体なのでは?と思ったが、第603鎮守から提出された記録映像を見て、海蛇(・ ・)本人であると断定。

 2年前、ラバウルで殲滅された筈の海蛇(・ ・)が何故、再び出現したのか。

 

 言いたい事が多々あったが、喚いている時間は無い。急いで対応する必要があった。

 記録映像を確認し、すぐさま此処の艦娘達を派遣させようとしたが、冒頭で述べた通り、各大規模鎮守府に覚醒種(・ ・ ・)大量に(・ ・ ・)出現。

 それを聞き、派遣を断念せざるを得なくなってしまった。

 

(本当なら、今すぐにでも派遣してやりたかったが、それは出来ない……)

 何故なら、言葉は悪いが、海蛇(・ ・)が出現した場所は、侵攻されても日本の経済にそこまで影響が出ないからだ。

 

 つまり、ハッキリ言うと、見捨てる(・ ・ ・ ・)

 

 会議で、そのように決まった。

……いいや。決められて(・ ・ ・ ・ ・)しまった(・ ・ ・ ・)、と言うべきか。

 

 だが、私は見捨てたくなかった。

 だから──

 

(Code:N(・・・・・)凍結を解除(・ ・ ・ ・ ・)し、第603鎮守府へ送るよう、裏から指示(・ ・ ・ ・ ・)した)

 どうやって指示を出したのか。

 大人の事情(・ ・ ・ ・ ・)やら何やらが絡んでいて、色々複雑だから、ソレ(詳細)を語ると長くなる。悪いが割愛させてもらうぞ。

 

 閑話休題。

 

 現在、覚醒種(・ ・ ・)の出現が確認されている海域は、20箇所。

 大規模鎮守府が担当する海域、8箇所。

 中規模鎮守府が担当する海域、12箇所。

 幸い、小規模鎮守府が担当する海域に、覚醒種(・ ・ ・)は出現していない。

 

(まず、日本の主要都市を護る、大規模鎮守府が担当する海域)

 これは、此処から覚醒者(・ ・ ・)の艦娘達を派遣し、覚醒種(・ ・ ・)を次々に殲滅。戦線を押し返している。

 だが、まだまだ覚醒種(・ ・ ・)大量に(・ ・ ・)居る為、暫く滞在させなければならない。

 

(次に、中規模鎮守府が担当する海域)

 現在確認されているだけで、12箇所も覚醒種(・ ・ ・)が出現している。

 幸い、覚醒種(・ ・ ・)の数はそこまで居ない。せいぜい、両手で数えられる程度だ。

 

 その中で対抗出来る、覚醒者(・ ・ ・)が居る鎮守府は、3箇所。

 残り9箇所の中規模鎮守府に、覚醒者(・ ・ ・)は居ない。

 

 しかし、

 

「まさか、アレ(・ ・)で倒せるとは……」

 覚醒者(・ ・ ・)が居ないにも関わらず、覚醒種(・ ・ ・)を次々に殲滅し、戦線を維持している、という報告を受けている。

 

 最初は虚偽の報告だと思った。

 しかし、アレ(・ ・)で殲滅したと報告が入り、更に証拠──実際にアレ(・ ・)を使用し、殲滅する映像を見せられ、嫌でも認めざるを得なかった。

 

「……恐ろし過ぎる」

 一体、アレ(・ ・)にはどんな成分が(・ ・ ・ ・ ・ ・)含まれている(・ ・ ・ ・ ・ ・)んだ?

 現在、妖精さん達に頼んで解析してもらっているが──おっ、来たか。

 

 どうやら解析結果が出たようだ。

 解析を頼んだ妖精さんが、解析データの入った端末を持ってきてくれた。どれどれ?

 端末を見ると、そこには──

 

「解析不能……だと……!?」

 バカな!?あの妖精さんが、解析出来ない、だと!?

 慌てて妖精さんの顔を見ると、悔しそうな顔をして、首を横に振った。

……有り得ん。しかし、事実を受け止めなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横須賀鎮守府所属、陽炎型駆逐艦十二番艦、磯風の適性者が作ったカレー(・ ・ ・ ・ ・ ・)の成分は、妖精さん達ですら解析不能(・ ・ ・ ・)だという事実を。

 

「……ご、ご苦労だった。ほら、金平糖をあげるから、元気出しなさい」

 物凄く悔しそうな顔をしている妖精さんに、大好物の甘味──金平糖を差し出し、手渡す。

 

 普段なら大喜びしてくれるが、今は解析出来なかった事が相当悔しいのか、悔しそうな顔をしたまま受け取り、持ち場である技術課に向かって飛んで行ってしまった。

 

……あんな顔した妖精さんを見るのは、初めてだ。

……ボーッとしている暇は無い。急いで全鎮守府に、この事(磯風カレー)を伝えねば。

 

 

Another side out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

──第603鎮守府、執務室──

 

 

大規模反攻作戦十日目。

11:40。

 

 

 本日の天気、土砂降り。気温28℃。湿度90%。

 

 雨や風は相変わらず強いまま。予報だと明後日晴れる(・ ・ ・ ・ ・ ・)と言っていた。

 あと二日。二日しか時間が無い。

 

海蛇(・ ・)に指定された日が来ちまう……」

 そう。あの(・ ・)千歳さん達を、たった1隻だけでボコボコにした、喋る(・ ・)覚醒種(・ ・ ・ )レ級flagship改(フラレ改)もとい、海蛇(・ ・)が由良に指定した、晴れの日──つまり、明後日だ。指定された日が来てしまう。

 

「……どうしろってんだよ」

 来なかったら、由良以外を皆殺しにする、と言っていた。

 

 由良と千歳さんに教えてもらったが──まぁ、教えてもらったとは言ったが、機密がどーたらこーたらで、全部は教えてもらっていない。

 

 話を戻す。

 教えてもらった事を纏めると、ウチ(第603鎮守府)の娘達が相手したフラレ改は、とても強い(・ ・ ・ ・ ・)深海棲艦らしく、普通の攻撃(・ ・ ・ ・ ・)じゃ倒せないそうだ。

 

 今から2年前(・・ ・)1度(・・)倒したそうだが、何故か再び出現し、一方的にボコボコにされた。

 どうやって倒したのか聞いたが、それも機密が云々で教えてくれなかった。

 

 色々聞きたかったが、機密なら仕方ないと割り切り、それ以上追求するのをやめた。

 それに、今は追求して無理矢理聞き出すよりも、対策を考える方が先だ。

 けど、

 

(主砲・副砲、魚雷、航空攻撃、近接攻撃。どれも全く効かなかった)

 そう。あらゆる攻撃が効かない。

 

 主砲の弾は、通常弾、徹甲弾、三式弾、榴弾。ウチにある、全ての種類の弾(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)を撃ち込んだが、効果は無かった。

……ん?全ての種類(・ ・ ・ ・_)の弾(・ ・)?何か、忘れている(・ ・ ・ ・ ・)ような……。

…………。

 思い出せない。なんなんだ?

……今は(・ ・)余計な事を考えている暇はない。次だ。

 

 魚雷も、酸素魚雷──ウチ(第603鎮守府)の娘達は四連装酸素魚雷を。

 向こう(第8492離島鎮守府)は六連装酸素魚雷を零距離(・ ・ ・)で全弾叩き込んでも、効果無し。

 航空攻撃も同じ。

 涼月がギミックを作動させ、叫んで(・ ・ ・)も効果無し。

 最後に、近接攻撃。AGP艤装を纏っている娘や、近接武器を持っている娘、それから、素手で(・ ・ ・)攻撃しても、ダメージを与える事が出来なかった。

 逆に、近接攻撃を行ったら、近接武器が壊れてしまった。

 

(マジでどうすりゃいいんだ?)

 小嶋提督と話し合ったが何も案が浮かばず、大本営にこの事を報告して助けを求めたが、結果は「増援を送る事は出来ない」と言われてしまった。

 つまり、俺達だけで何とかしなければならない。

 

(破損した艤装や近接武器の修復に、かなり資材を消費したから、全力出撃は出来てあと2回)

 向こうの資材も、ウチほどではないが余裕が無いらしい──ぐっ!?胃が!!

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫……」

 突然胃が痛み出したから、思考を中断。

 痛みに顔を歪めていると、隣に居た涼月に心配され、胃薬と白湯を差し出てくれた。ありがとう、貰うよ。

 

……ふぅ、楽になった。

……ボーッとしている暇は無いぞ。早く対策を──

 

 

 

 

 

 

『誰か!初霜を止めて!もう嫌だ!秋雲さんは、あんな初霜を見たくないッ!』

『喚いてる暇があるなら、止めるっぽい!』

ヴェアアアアアアアアアアア!!!(ウソダドンドコドーン!!!)

『長門さんが壊れた!』

『いえ、元から壊れているので(ロリコンなので)、無視して頂いて構いません』

ブッキー(吹雪)、真顔でなんて事言うの……』

 

……執務室の外が騒がしいな。

 秋雲と夕立、長門さん、能代さん、吹雪、鈴谷の声が聞こえ──

 

 

『イ゛ェ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛ッ゛ッ゛!゛!゛!゛』

 

 

……とっても野太い(・ ・ ・)声──シャウト(・ ・ ・ ・)が、執務室の外(・ ・ ・ ・ ・)から聞こえてきた。

 ゾンビモードになった涼月の咆哮(・ ・)だと思った?残念、違うんだなぁ。何故なら、

 

「また、叫んでいるのですね……」

 

 ゾンビもとい、涼月は俺の隣に居る。勿論、叫んでいない。

……じゃあ、誰がシャウト(・ ・ ・ ・)したかって?それは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fu××in ×××××(クソッタレめ!【ピー】)!!』

 

 

 

……伏字だらけで分からない?

 とてもじゃないけど、口に出しちゃいけない単語だから、伏字を多用しました。許してくれ。

 

初霜(・ ・)さん、どうしてあんな……」

 

 涼月がとても悲しそうな顔をして、これまた悲しそうな声でそう言った。しかも、涙ぐんでいる。

 

 今、涼月が答えを言ってくれたが、シャウト(・ ・ ・ ・)したのは初霜だ。もう一度言うぞ。初霜だ。大事なことだから、2回言いました。

 何故ああなったのか。残念ながら詳細を話すと長くなるから、何時か話してやる。話せる時が来れば、だがな。

 

「とても良い子(・ ・ ・)だったのに、何故……何故、豹変してしまったのですか!?

 何故、あんな野太い声でシャウト(・ ・ ・ ・)するようになったのですか!?

 というか、何処から声を出しているのですか!?小○元子さんに良く似た可愛らしい声は何処に行ったのですか!?

 それに、あんな声が出せるなんて、涼月は信じられません!!!」

 

 あれま、涼月が錯乱気味だ。無理もない。

 あの初霜が(・ ・ ・ ・ ・)ハジケて(・ ・ ・ ・)いるのだから。

 

 閑話休題。

 

……そうそう。言いたくないけど、涼月。君もそうだからね?

 地上に舞い降りた天使と言っても過言じゃない娘だったのに、ある日突然豹変──ゾンビになったからね?

 それと、君は初霜と同じ位野太い声で吼えて(・ ・ ・)いるよ?吼えて(・ ・ ・)いる時の君は、普段は藤○咲さんに良く似た可愛らしい声が、行方不明になっているからね?人の事、言えないからね?

 

 閑話休題。

 

 確かに。俺の──いや、俺達の知る初霜は、涼月が言ってくれたが、とても礼儀正しく、間違っても口に出しちゃいけない単語を野太い声でシャウト(・ ・ ・ ・)しない、良い子(・ ・ ・)だった(・ ・ ・)

 

 そう。だった(・ ・ ・)。過去形だ。

 何故なら、今は──

 

 

 

『落ち着きなって!今行っても、また返り討ちにされちゃうよ!?』

 

……鈴谷が必死に止めている。以前の初霜なら、大人しく言う事を聞いてくれたけど──

 

『今度は顔面セーフ(・ ・ ・ ・ ・)してもいいように、野球のキャッチャーヘルメットを被って行きますから、大丈夫です!だから、離してください!!』

 

『いいや、離さんぞ!何があろうと、決して!!』

 

『鼻伸ばしてキモい(・ ・ ・)顔で身体に触らないでください。ロリコン(犯罪者)

 

……初霜がキツい事(ロリコン)言ったぞ。信じられん。いや、信じたくない。

 

 

『でゅるわぁあああああぶるわっひゃあひゃひゃひゃひゃどぅるわっはあああああああああぎゃあああああうわああああああああ』

 

 

『な、長門さん!?』

 

『放置して大丈夫ですよ、能代さん。寧ろ、パンツ見ようとしてきますから、こうして──ウラァ!!』

 

『……ブッキー、容赦無いね……』

 

……吹雪……なんと言うか……苦労しているんだね……。

 

 

『私……私……

 

あいつ(海蛇)の【ピー】に【ピーーーー】して【バキューーーン】しなきゃ気が済まないんですよッッッ!!!』

 

 

「ブフォッ」

──今は、全く言う事を聞かなくなってしまった。

 以前から、少しだけロックな思考・言動をしていたけど、今は完全に(さら)け出している。

 

「提督ッ!?」

 

 あっ、いけね。目と鼻と口から、蛇口を全開にした水みたいに、勢い良く血が出てきちゃった。

 あははは。執務机が事件現場みたいな惨状になっちゃったよ。あと、提督服が真っ赤になっちゃった。

 すっご〜い、()は出血するのが得意な提督(フレンズ)なんだね!出血芸(・ ・ ・)なら任せろ〜バリバリ〜。

 

……ふざけている場合じゃないだろ、って?違うよ。こういう時だからこそ、ふざけるんだ。じゃないと、悔いが残る(・ ・ ・ ・ ・)からな。

 

 俺達が生きている世界は、何時死ぬかわからない。そんな世界だ。

 だから、悔いを残さぬよう、法や倫理に反する事以外なら、やりたいと思ったことを、直ぐにやる。だから、こんな風にふざける──

 

「し、止血を!止血をしないと!!」

 

──おっと、思考を中断しよう。涼月が物凄く慌ててる。

 大丈夫だよ、涼月。提督ってのは、特殊な訓練(・ ・ ・ ・ ・)を受けているから、この程度(・ ・ ・ ・)の出血じゃ、死なないよ?

 それに、もうじき止まる。現に、目と鼻の血は止まった。

 残念ながら、口からの出血はまだまだ止まりそうにないけど、これもそのうち止まる──

 

「ハ、ハンカチを口の中に押し込んで止血をします!」

 

「大丈夫だから、気にしなゴポォッ!?」

 いけね、喋ってる最中に吐血したから、変な音出しちまった。早く治さなきゃ。

 

「キャアッ!?提督ッッッ!!?」

 

 ごめんよ、驚かせて。

……ノックされた?少し(・ ・)血を流したせいで、意識がちょっとだけ(・ ・ ・ ・ ・ ・)朦朧としてるから、聞き間違いの可能性が──

 

「ありました!提督、少し苦しいかもしれませんが、我慢してください!」

 

 涼月さんや、ハンカチを口の中に()じこもうとしないで?あっ、こら、やめなさい?やめて?鼻の穴、出血したせいで詰まり気味なの。口呼吸しなきゃ、酸素取り込めない状態なの。

 あと、ハンカチを捩じ込んだ位じゃ、止血出来ないと思うよ?まぁ、錯乱気味だから正常な思考・判断が出来ない──

 

「提督!初霜がヤバいから……止め……て……」

 

……秋雲が執務室にログインしました。……なんか、似たような展開が前にもあった気がするぞ?

……まぁいいや。

 

「ぁ……ぁぁ……」

 

……あれ?秋雲が顔を青ざめさせて、震えながら俺を見ている。どったの?

……待て待て。今の俺達(俺と涼月)の状態、ヤバいんじゃね?

 

・俺、目と鼻と口からの出血で、全身血まみれ

・涼月、俺の口にハンカチをねじ込もうとしている

・俺、ソレを阻止する為、抵抗

 

 ここから導き出される答えは──

 

 

「てっ、提督が!提督がッ!ゾンビ(涼月)喰われて(襲われて)全身血まみれになってるううううううううぅぅぅぅぅぅぅッッッ!!!?」

 

 

……秋雲が勘違いして、大騒ぎになる。

 

……秋雲が叫んだせいか、こちらに向かってくる、複数の足音──慌ただしく走るような音が、聞こえてきた。

……どう説明しよう?

 

 

 

………………。

 

 

 

──第603鎮守府、医務室──

13:20。

 

 

「……はぁ」

 やれやれ。やっと静かになった。

 

 あの後、どうなったか話そうと思う。

 

 秋雲が勘違いし、叫んだ事で執務室に皆が集まり、血まみれの俺と涼月を見て、第603鎮守府は大混乱に陥った。

 

 最初は「ゾンビ(涼月)が錯乱して、提督を喰った!」と勘違いされ、瑞鶴達によりゾンビ狩りが行われそうになったが、慌てて止めて説明をした。

 

 そして、なんとか誤解を解くことに成功し、出血したから安静にするべきだと皆に言われ、医務室に強制連行されて今に至る。

 以上。……説明が雑?長々と説明したくないんだ。分かってくれ。

 

(……腹減ったなぁ)

 特殊な訓練(・ ・ ・ ・ ・)を受けているから、あの程度の出血(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)なんともないのに、「安静にしなきゃダメ!」と瑞鶴達に言われたから、一緒にお昼を食べる事が出来ず、こうして医務室のベッドで一人寂しく──

 

『提督、起きていますか?』

 

「起きてますよ〜」

 過ごしているんだ、と思っていたら、加賀さんが医務室のドアをノックして、そう声をかけてきた。

 

「お邪魔するわ。提督、お昼を持ってきました」

 

「ありがとうございます」

 お腹すいていたから、有難い……って、アレ?

 

 加賀さんがトレイに載せている物を見て、テンションが少し下がった。だって──

 

「はい、お粥よ。しっかり食べなさい?」

 

「……はい」

 そう。お粥だ。今日は金曜日だから、お昼はカレーだった筈。なのに、お粥。何故?

 

「……カレーは香辛料が沢山入っているのよ?そんな刺激が強い物、大量出血した(・ ・ ・ ・ ・ ・)提督に食べさせられないわ」

 

 俺の考えている事が(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)分かった(・ ・ ・ ・)のか、呆れた顔をしながらそう言ってきた。

 仰る通りです。くそっ、俺の大好物(カレー)なのに、食えないのかよ……泣けるぜ。

 

「デザートに林檎を剥いてあげるわ。今ならウサギさんにしてあげます」

 

「ありがとうございます」

 カレーはまた今度……今度が来るか分からんが。とにかく、この状況を何とかして、平和を取り戻して、カレーを食べよう。いや、絶対食べてやる!その為には、海蛇(・ ・)を何とかする必要がある。

 何とかしたら、香辛料をふんだんに使った、刺激のある(・ ・ ・ ・ ・)辛口カレー(・ ・ ・)を瑞鶴に作ってもらって──

 

(……刺激のある(・ ・ ・ ・ ・)カレー(・ ・ ・)何か忘れている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)ような……)

 

「ボーッとして、どうしたの?」

 

「いえ、なんでもありません」

 お粥を食べようとしたら、何か忘れている事に気付き、思い出そうとしていたら、加賀さんに声を掛けられてしまった。

 

 普段なら、思考を中断して食べる事に集中していたが、とても大事な(・ ・ ・ ・ ・ ・)ことを忘れている(・ ・ ・ ・ ・)気が……。

 

(カレー(・ ・ ・)刺激(・ ・)……なんだ?何を忘れている?)

 

「難しい顔をしていないで、食べなさい」

 

「……はい」

 そう言われたが、思考を中断する事は出来なかった。

 なんだ?何を忘れている?カレー。カレー。カレー……。

……。

……。

……ダメだ、思い出せない。ちくしょう、とても大事なことの気がするのに。

 

(カレー。香辛料を使用している。甘口とかあるが、基本は辛い食べ物。刺激物(・ ・ ・)に含まれる食べ物。

 カレー。国民食の一つ。一般家庭は勿論、()でも毎週金曜日に作って食べる。

 軍の作る(・ ・ ・ ・)カレーは美味い。

 特に、横須賀鎮守府(・ ・ ・ ・ ・ ・)が、年に一度、一般公開した際に振舞うカレー(・ ・ ・)を食べた民間人達は、絶品だと賞賛して──)

……横須賀鎮守府?横須賀鎮守府の(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)カレー(・ ・ ・)……何か、引っ掛かる。

 

……。

……。

……横須賀鎮守府の(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)カレー(・ ・ ・)は、年に一度の一般公開した時か、年に三度、数量限定で真空パック(・ ・ ・ ・ ・)した物を、通販で販売している物を買うしか、食べる事が出来ない……真空パック(・ ・ ・ ・ ・)した物?

 

 

………………横須賀鎮守府の(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)カレー(・ ・ ・)……真空パック(・ ・ ・ ・ ・)……ぁぁぁぁぁあああああああああああああっっっっっ!!!!」

 

「いきなり叫んでどうしたの!?」

 

 突然叫んだ事で驚き、加賀さんは林檎を落としてしまったが、今はそれどころじゃない。

 

(何で忘れていたんだ!?)

 執務室では全ての種類の弾を使った、と言ったけど、あるじゃないか!もう一つ!それも、とんでもなく(・ ・ ・ ・ ・ ・)ヤベー弾(・ ・ ・ ・)が!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横須賀鎮守府(・ ・ ・ ・ ・ ・)に所属する、陽炎型駆逐艦十二番艦、磯風(・ ・)大量に作り(・ ・ ・ ・ ・)

 処理に困り真空パック(・ ・ ・ ・ ・)したカレー(・ ・ ・)を配布され、それを妖精さん達が悪ふざけ(・ ・ ・ ・)で、砲弾や魚雷、爆弾に詰めた、磯風カレー弾(・ ・ ・ ・ ・ ・)──通称・ISKZ-C弾(・・・・・ ・)が。

 

 

 離島棲鬼(・ ・ ・ ・)艤装ごと(・ ・ ・ ・)跡形も無く(・ ・ ・ ・ ・)溶かした(・ ・ ・ ・)実績のある、劇物(・ ・)が!!!!

 

 

side 提督 out

 

 

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────

 





次回予告

 ちわー!三○屋でーす!……渡良瀬少佐、冗談だから、そんな養豚場のブタを見るような目で見ないで?
……んんっ。改めて。大本営技術課から、第603鎮守府にお届け物(・ ・ ・ ・)でーす!
……気付きました?荷台から発せられる、お届け物(・ ・ ・ ・)気配(・ ・)を。
……大丈夫ですよ。必要以上に(・ ・ ・ ・ ・)嫌悪(・ ・)しなければ。


第107話・Code:N


ホンモノ(・ ・ ・ ・)ノ砲撃ヲ……
教エテヤリナサイ!」


※次話も説明回になります。
※Code:Nは登場します。



【補足的なナニか】

・磯風カレー…劇物本編58話で登場。
 横須賀鎮守府所属、陽炎型駆逐艦十二番艦、磯風の適性者が作ったカレーを指す。
 以前、磯風の適性者が大量に作り、処理する為に妖精さんの特殊技術で砲弾や魚雷、爆弾に詰めて、深海棲艦に使用した所、離島棲鬼が溶けた(・ ・ ・)

 この報告を受けた横須賀鎮守府の提督、榊原光大将は、妖精さんに指示し、特殊技術で真空パックさせ、各鎮守府に配布。
 覚醒種(・ ・ ・)にも効果があるらしい。

・ISKZ-C弾…磯風カレー弾の略称。
 主砲・副砲、魚雷、爆弾等の弾に、上記の磯風カレーを詰めた弾を指す。
 
・小林元子…声優。「艦これ」では、初春、子日、若葉、初霜を演じている。

・藤田咲…声優。「艦これ」では、食う母赤城、扶桑、山城、涼月等を演じている(他にも居ますが、割愛)。



以上、補足終了。
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