追跡鶴   作:EMS-10

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 ア○レンと艦○れのイベント重なるとか……マジないわー。涼月の白タイツとパンツ破きたい(現実逃避)


※注意※
シリアスがログアウトしました
非常に頭の悪い内容
頭を空っぽにしてご覧下さい


※食べ物を粗末に扱う意図及び、環境破壊を推奨する意図は一切ございません。
 予め、ご了承下さい。

※この小説に登場する人物達及び、妖精さん達は全員、特殊な訓練を受けています。
 決して真似をしないで下さい。

※この小説内の季節は、9月中旬頃となっています。



第107話・Code:N

 

「しっかりしろ!目を開けろ!」

「へへっ……私ァ……もう……ダメ……だ……2倍に濃縮(・・ ・ ・ ・)された……アレ(・ ・)ガス(・ ・)が……直撃(・ ・)しちまっ……た……──」

「おい!?返事をしろォ〜〜〜!!?」

「医務室に運べッ!」

「工廠長!既に6割がやられました!これ以上は……」

「アタイがやる。下がってな!これは……3倍に濃縮(・・ ・ ・ ・)されたヤツ(・ ・)か。こんなの!気合いと!根性がありゃ!なんとでもなるるるるるるるびゃあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛っ゛っ゛!゛!゛?゛」

「「「工廠長!!」」」

「工廠長が死んだ!」

「この人でなし!!」

「これ、本当に人間が作った物(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)なのかよ!?」

「こんなの、カレー(・ ・ ・)じゃないわ!○USOHよ!」

「だったら深海棲艦共にぶっかけりゃ良いだろ!!」

筋肉モリモリ(・ ・ ・ ・ ・ ・)マッチョマン(・ ・ ・ ・ ・ ・)の変態(・ ・ ・)理論を展開している場合か!?」

「野郎・オブ・クラッシャアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

……大惨事じゃねーか。

 あの妖精さん達が。妖精さん特製ガスマスク(・ ・ ・ ・ ・)防護服(・ ・ ・)、その他様々な装備を装着した妖精さん達が、バタバタと倒れていってる。

 

 なんだよ、この光景。酷いなんてもんじゃねーぞ。地獄だ。そうとしか言い様がない──

 

 

《帰ル!私、帰ル!オウチニ帰ル!!》

 

 

……装置の近くに置いてあるCode:N(・・・・・)が、ガスの直撃(・ ・ ・ ・ ・)を受け続けているせいで、ガチ泣き(・ ・ ・ ・)してる。

 ごめんよ、移動させられなくて。

 

「……渡良瀬少佐。自分はもう帰りますね?では、サラダバー(・ ・ ・ ・ ・)!」

 

こうなった原因(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)は、野原主任(・ ・ ・ ・)。あなたにあるんですよ?だから、責任取ってください」

 こんなに甚大な被害(・ ・ ・ ・ ・)が出ているんだ。きっちり責任取ってもらわないと。

 

 えーと、まず最初に夕張がやられ(・ ・ ・)、次に由良がダウン。

 それから妖精さん達が次々にやられて(・ ・ ・ ・)、100名以上、医務室に運ばれた。

 現在進行形で作業を行ってくれている妖精さん達も、次々に(・ ・ ・)倒れている(・ ・ ・ ・ ・)から、まだまだ負傷者(・ ・ ・)が増えそうだ。

 とにかく、倒れた娘達全員に詫びてください。

 

「だって、海蛇(・ ・)に使う、って渡良瀬少佐が言ったんじゃないですか!?それに、こんな事(・ ・ ・ ・)になるなんて思わなかった!アレ(・ ・)は俺の予想を遥かに超えていた!!

 俺は悪くねぇっ!俺は悪くねぇっ!!」

 

「あっ、コラ!逃げるな!!」

 おおっと、逃がさねぇよ?そっちがその気なら、こっちだって考えがある。

 とっ捕まえて、野原主任のガスマスク(・ ・ ・ ・ ・)ひっぺがし(引き剥がし)てやる!

 

 敵前逃亡(・ ・ ・ ・)した野原主任を追い掛け、直ぐに追い付き、装着しているガスマスク(・ ・ ・ ・ ・)を手で掴んだ。

 暴れるなよ!暴れるなよ!間違って(・ ・ ・ ・)、ノーザンライトボムぶちかましたくなるだろ!

 

「オーケー、逃げない。逃げないから、ガスマスク外そうとしないで?ね?お願いだからやめて!?今外されたら、マジで死んじゃう!!!」

 

「……分かりました」

 逃げないと言ったんだ。その言葉を信じよう。

 

 俺がマジでやると悟ったのか、野原主任は逃走するのをやめ、両手を上げて大人しくなってくれた。

 そして、再び装置の前に立ち、作業を再開してくれた。

 

 

……さて。何が起きているのか理解出来ないと思うから、説明するぞ。

 

 あれは、今から数時間前、医務室で俺が──

 

 

 

「副工廠長!100倍に濃縮(・・・ ・ ・ ・ ・)している装置の一部が溶け始めて(・ ・ ・ ・ ・)います!」

「バカな!?我々妖精が造った特別製(・ ・ ・)だぞ!?そんな事が……」

 

 

……嘘……だろ……?

 あの妖精さんが造った超素材(・ ・ ・)が、溶けた(・ ・ ・)だと!?

 

「提督!此処(・ ・)は危険です!早く逃げてください!!」

 

 よし、逃げよう。

 副工廠長妖精さんが逃げるよう、言ってきた。

 その道のプロ(・ ・ ・ ・ ・ ・)が「逃げろ!」と言ってきたんだ。素直に指示に従おう。

 

……えっ?野原主任とCode:N(・・・・・)を置いて逃げるのかって?

 彼と彼女(・ ・)は装置のすぐ側に居る。もう間に合わない。俺だけでも生き残ろう。

 ごめんなさい、野原主任。Code:N(・・・・・)。俺は、あなた達を置いて逃げます。

 

「ギャハハハハハハハ!!!もうどうにでもなれ!!!ギャハハハハハハハ!!!!ギャハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!」

 

 

《ウフフフッ……アハハハハッ……アハハハハハハハ!!!!》

 

 

……壊れたみたいだ。本当にごめんなさい。あなた達の尊い犠牲は決して忘れません。

 

 

 

 何が起きているのか説明しようと思ったけど、今はそれどころじゃない。また後で説明してやる──

 

 

「ギャハハハハハハハハハハハハハ!!磯風カレー(・ ・ ・ ・ ・)が漏れるぞおおおおおおおお!!!」

 

 

《アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \》

 

 

 

 

 野原主任がそう叫び、Code:N(・・・・・)が高笑いした。

 

 直後、装置の一つから、劇物(・ ・)。いや、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 野原主任の提案で、対海蛇専用(・ ・ ・ ・)に、成分を(・ ・ ・)100倍に濃縮(・・・・ ・ ・ ・)していた磯風カレー(・ ・ ・ ・ ・)ガス(・ ・)ゲル状の液体(・ ・ ・ ・ ・ ・)が、装置から勢い良く噴き出し、工廠内に充満し、その場にいた全員がガス(・ ・)ゲル状の液体(・ ・ ・ ・ ・ ・)に包まれた。

 

……あっ、妖精さん特製ガスマスク着けているけど、ガスが中に侵入してきた。あははは……なんつー臭いだ……。

 あと、防護服に掛かった磯風カレー(・ ・ ・ ・ ・)(100倍濃縮)が、防護服を溶かし始めた(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

……瑞鶴──瑞稀を抱いとけば(・ ・ ・ ・ ・)良かったなぁ。

 

 薄れていく意識の中、そんな事を俺は考えていた。

 どうやら俺はここまでのようだ。短い人生だったなぁ。

 

 

 

 

 

───────

 

 

────

 

 

 

 

 

 

side 提督

 

 

──第603鎮守府、執務室──

大規模反攻作戦十日目。

13:45。

 

 

 

「今すぐ用意しろ!今すぐだ!!ありったけ(・ ・ ・ ・ ・)磯風カレー(・ ・ ・ ・ ・)を、全ての弾薬(・ ・ ・ ・ ・)に込めるんだ!!!」

 

『え、えぇっ!?無茶ですよ!アレ(・ ・)は、500kg以上(・・・・・ ・ ・)もあるんですよ!?全部に詰める(・ ・ ・ ・ ・ ・)なんて、時間が足りない──』

 

 

「やれって言ってんだよ!やれ!!!」

 

 

『──ッッ!!?りょ、了解しましたッッッ!!!』

 

 

……怒鳴ってすまん、夕張。そして、無理な注文してごめん。けど、のんびりしてる暇は無いんだ。

 

 

 

 医務室でとてつもなく(・ ・ ・ ・ ・ ・)大事なこと(・ ・ ・ ・ ・)を思い出し、加賀さんの静止を振り切り、慌てて起き上がって執務室に向かった。

 そして、すぐさま内線で、工廠で作業をしていた夕張に、工廠の最深部にある厳重保管庫(・ ・ ・ ・ ・)封印(・ ・)しておいた磯風カレー(・ ・ ・ ・ ・)を、全部(・ ・)弾薬に詰め込むよう、命令(・ ・)した。

 

(なんで忘れていたんだよ……)

 離島棲鬼を艤装ごと(・ ・ ・ ・)跡形も無く(・ ・ ・ ・ ・)溶かした(・ ・ ・ ・)実績のある(・ ・ ・ ・ ・)危険物(・ ・ ・)の存在を、何故忘れていたんだ!?

 

(現在、磯風カレー弾──通称、ISKZ-C弾は、10発分しか無い)

 あんな危険な代物、使う時は来ないと思っていたから、少数しか生産させていない。

 それに、妖精さん達の超技術(・ ・ ・)を駆使しても、1発作るのに、かなりの時間がかかる。

 だから、海蛇(・ ・)が指定した日──明後日までに、全ての磯風カレーを弾に込めるのは、不可能に近い。

 

 無理な注文をしたのは、重々承知している。それでも、用意してもらわなければ──内線が入った。誰からだ?

 

「こちら、執務室」

 いけね、不機嫌な声出しちまった。落ち着け。

 

『こちら、秋雲です。大本営の技術課から、提督にお客さんだよ?』

 

「客?技術課から、俺に?」

 はぁ?なんだそりゃ?アポとか来てないぞ?こんな時に、何の用だ?

 

『うん。野原、って人が、提督に緊急の(・ ・ ・)お届け物(・ ・ ・ ・)がある、って……』

 

「野原!?」

 野原って、あの、野原主任か?それに、緊急の(・ ・ ・)お届け物(・ ・ ・ ・)ってなんだ?

……今は時間が無いんだ。考えるのは後回しにして、対応しよう。

 

「……分かった、応接室にお通ししてくれ」

 

『オッケー!』

 

 

 

………………。

 

 

 

──第603鎮守府、応接室──

 

 

「お待たせしました、野原主任」

 急いで応接室に行くと、秋雲に案内された野原主任が、真剣な表情(・ ・ ・ ・ ・)でソファーに座っているのが視界に入った。

 俺が入室すると、表情はそのままでソファーから立ち、挨拶をしてくれた。

 

「お久しぶりです、渡良瀬少佐。事前にアポを取らず、突然来訪してしまい、大変申し訳ございません」

 

「いえ、お気になさらないで下さい」

……真面目モード(・ ・ ・ ・ ・  ・)の野原主任だ。ふざけが一切無い。

 これは、何か重要な話があるな。

 時間に余裕が無い為、ソファーに座るよう勧め、俺も座って話を始める事にした。

 

「早速ですが、野原主任。緊急の(・ ・ ・)お届け物(・ ・ ・ ・)がある、と仰っていましたが、一体──」

 

「渡良瀬少佐」

 

「なんでしょうか?」

 野原主任は俺の言葉を遮り、俺の名前と階級を言ってきた。

 以前、技術課の応接室で、艤装の秘密について教えてくれた時よりも、真剣な顔と声をしている。

 一体、何を言い出す?

 

お届け物(・ ・ ・ ・)についてお話する前に、お聞きしたい事があります。

 先日、海蛇(・ ・)と呼ばれるレ級と遭遇し、戦闘を行ったそうですね?」

 

「……はい」

 何故知っているんですか?とは聞かない。恐らく、俺が大本営に報告した事を、誰かから伝えられたのだろう。

 

「その際、あらゆる攻撃(・ ・ ・ ・ ・ ・)が一切効かなかった。これに間違いはありますか?」

 

「……間違いありません」

 認めたくはないが、事実だ。

 

「……()が第603鎮守府に来た理由は、唯一(・ ・)海蛇(・ ・)にダメージを与えられる可能性(・ ・ ・)のある存在(・ ・)Code:N(・・・・・)を、預けに(・ ・ ・)来たからです」

 

「──ッッ!!?」

 なん……だと……!?

……ちょっと待て。今、ダメージを与えられる可能性(・ ・ ・)のある存在(・ ・)を、預けに(・ ・ ・)来た、と言ったな?

 

 “武器(艤装)”ではなく、“存在”。

 それに、“預けに来た”。

 もしかして、艦娘か?誰か、増援に来てくれたのか?

 

……いや、それは無い。

 だって、他所の鎮守府が対応する海域に、覚醒種(・ ・ ・)大量に(・ ・ ・)発生して、その対応で手一杯だから、此処(第603鎮守府)に増援を送る余裕は無い筈。

 

 それに、対応してくれた秋雲が、野原主任以外の人や艦娘は居なかった、と言っていた。

 ウチに来たのは、野原主任と、荷台が(・ ・ ・)凍結している(・ ・ ・ ・ ・ ・)トラックが1台のみ。

 

 じゃあ、一体?それに、Code:N(・・・・・)とは──

 

「……渡良瀬少佐」

 

「は、はい」

 な、なんだ!?野原主任が、とんでもない殺気を放っているぞ!?

 

「これからお話する事は、他言無用でお願いします。

 そして、あなたの鎮守府の艦娘達には、必要以上にお届け物(・ ・ ・ ・)について詮索しない事を。

 他所の鎮守府の提督や艦娘には勿論、大本営にも一切報告しない事を確約してください。

 これらを守らなかった場合は──」

 

「ば、場合は?」

……あの、野原主任?懐に手を入れて何を──ちょっと待て。おいおい、冗談だろ?拳銃を取り出したぞ!?しかもセーフティー外そうとしてるし!?

 

「ちょっ!!?」

 待て!セーフティーを──外しやがった。更に、指をトリガーにかけている。

 幸い、銃口は俺に向けていないが、いつ向けるか分からない。

 

「あなたを射殺します」

 

……冗談とかじゃ、無さそうだ。

 つまり、野原主任が持ってきたお届け物(・ ・ ・ ・)は、それだけヤベー物(・ ・ ・ ・)、って事なのだろう。

……いいぜ。腹括った。

 

「確約します。決して口外しません。ウチの娘達に、詮索しないよう伝えます」

 野原主任の目を真っ直ぐ見つめ、言い淀まずに一息でそう言ってやった。

 

「……ありがとうございます」

 

……良かった。セーフティー掛けて、銃を懐に仕舞ってくれた。

 あー……冷や汗で背中が。いや、全身ビショビショだ。

 

「……突然、銃を取り出して申し訳ございません」

 

「いえ、お気になさらないで下さい」

 やり方はアレだけど、それ程重要な機密なのだろう。

 絶対、口外しないぞ。墓場まで持って行く。

 内心で固く決意していると、野原主任がお届け物(・ ・ ・ ・)について、説明を始めてくれた。

 

「早速ですが、説明を始めさせて頂きます 」

 

「お願いします」

 

 

…………。

 

 

 野原主任の説明が始まって、十数分が経った。

 正直、信じられない。だが、野原主任は終始真剣な顔で説明をしてくれた。

 つまり、全部本当の事なのだろう。

 

 

 さて、俺が野原主任に、どんな説明を受けたのか。そして、お届け物(・ ・ ・ ・)とは一体何なのか、話そうと思う。

 

 お届け物(・ ・ ・ ・)だが、これは艤装らしい。

……いや、厳密に言うと艤装なんだが、普通の艤装(・ ・ ・ ・ ・)じゃない。

 

 深海棲艦。それも、鬼・姫級の艤装だ。

 深海棲艦から奪った艤装を、艦娘用に改修した物、ではなく、深海棲艦の艤装(・ ・ ・ ・ ・  ・ ・)そのもの(・ ・ ・ ・)だと言うのだ。

 

 

 突然だが、深海棲艦の艤装について、説明するぞ。

 

 深海棲艦達──駆逐イ級等の通常種や、鬼・姫級が使用している艤装。以降、深海艤装(・ ・ ・ ・)と呼ぶぞ。

 それを艦娘達が使おうとすると、深海艤装が(・ ・ ・ ・ ・)拒絶反応(・ ・ ・ ・)を起こし、自壊(・ ・)してしまう。

 

 艦娘が手に持つだけなら自壊(・ ・)しないが、主砲や副砲、魚雷なら、撃とうとすれば。

 艦載機なら、飛ばそうとすれば、一瞬で自壊(・ ・ ・ ・ ・)してしまう。

 

 その為、艦娘は深海艤装を使用する事が出来ない。

 何故、そうなるのか。未だ完全に解明されていない為、推測の域を出ないが、艦娘が艤装の武器を使用する際、“陽の気”を武器に込める。

 その“陽の気”に耐え切れず、自壊(・ ・)するのでは?と考えられている。

 

 

 話を戻そう。艦娘では扱う事の出来ない、深海艤装。何故、それを野原主任は届けに来たんだ?

 しかも、普通の深海艤装ではなく、

 

魂が宿っている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)……?」

 そう。説明によると、深海艤装に魂が宿っている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)と言うのだ。

 

「えぇ。勿論、根拠はあります。……あぁ。これは国家機密レベル(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)の話なんで──」

 

「他言しません」

 だから、真顔のまま(・ ・ ・ ・ ・)懐に手を伸ばして、拳銃取り出そうとしないで?

 今の野原主任、真面目モード(・ ・ ・ ・ ・ ・)だから、マジで撃ってきそうで怖いです。

……良かった。俺の回答に満足したのか、懐から手を離してくれた。

 

「……失礼しました。話を続けます。

 何故、魂が宿っていると断言出来るのか。それは、実際に使用した(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)艦娘達(・ ・ ・)の証言と、艦娘ではない一部の人間達が、深海艤装に宿る魂と会話(・ ・ ・ ・)をした事があるからです」

 

「……」

 色々言いたい事があるが、深く聞いたりツッコミ入れたら、拳銃でブチ抜かれる恐れがある。

 馬鹿な俺だけど、それ位は分かる。触らぬ神に祟りなし、って奴だ。余計な事は口にするな。

 

「……良くツッコミを入れたり、深く聞いてきませんでしたね。もしそれらをしてきたら、撃っていました」

 

……良かった。俺の判断は間違っていなかった。

……やべっ、胃が痛み出してきやがった!耐えろ!胃袋!!後で胃薬を大量に(・ ・ ・)ご馳走(・ ・ ・)してやるから!!

 

 

「度々話を脱線させて、申し訳ございません。続けますね?

……深海艤装に宿る魂(・ ・ ・)は、とある姫級(・ ・ ・ ・ ・)の深海棲艦の物です。

 大本営は、その姫をこう呼んでいます。

 

 

南方棲戦姫(・ ・ ・ ・ ・)と」

 

 

「南方……棲戦姫……」

 聞いた事無い(・ ・ ・ ・ ・ ・)名前だ。

 大本営が公開している(・ ・ ・ ・ ・ ・)データに、そんな名前の姫級、無かったぞ?

……やめろ。考えるな。深く聞こうとするな。頭をブチ抜かれるぞ。

 

「えぇ。その南方棲戦姫(・ ・ ・ ・ ・)は話を聞くに、己の存在を(・ ・ ・ ・ ・)証明し続けたい(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)らしく、我々人類──艦娘に協力してくれる(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)そうです」

 

「…………」

 マジかよ。あの深海棲艦が。しかも、姫級が、協力してくれる?有り得ねぇだろ。

 

 奴ら──深海棲艦は、極一部だけ人の言葉を発し、理解する知能を持っているが、怨念──強烈な敵意と殺意しか向けてこない。そんな奴が、協力してくれる?絶対何か裏があるだろ。

 

「……」

 

……だから、考えるな!さっきから野原主任が、真顔で俺の目を凝視してるぞ!無心になれ!

 

「……彼女、南方棲戦姫(・ ・ ・ ・ ・)は、艦娘達(・ ・ ・)が使用しても、深海艤装が拒絶反応を(・ ・ ・ ・ ・)起こして(・ ・ ・ ・)自壊(・ ・)しないよう、制御してくれる(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 その為、艦娘達(・ ・ ・)が使用しても、自壊(・ ・)せず、使用し続ける(・ ・ ・ ・ ・ ・)事が出来ます」

 

 俺が南方棲戦姫(・ ・ ・ ・ ・)について考えるのをやめると、野原主任は説明を再開してくれた。

……マジで野原主任の言う事を、一々考えたりするのやめよう。

 

「ただ、一つ問題があります」

 

「……問題、ですか?」

 

「えぇ。どうやら南方棲戦姫(・ ・ ・ ・ ・)信念(・ ・)が、あまりにも(・ ・ ・ ・ ・)強過ぎる(・ ・ ・ ・)せいか、ほんの少し(・ ・ ・ ・ ・)使用しただけで、使用した艦娘の精神が信念(・ ・)に侵食され、壊れてしまう(・ ・ ・ ・ ・ ・)んです」

 

「!!?」

 

「……幸い、壊れてしまった艦娘達は、大本営カウンセリング課のカウンセラー達のお陰で、日常生活を送るのに支障は無い程度まで回復しました。

 しかし、艤装を纏うと、トラウマとして蘇るせいか、二度と艦娘として戦う事が出来なくなってしまいました」

 

「……そんな危ない()を、ウチの娘達に使え。そう言うのか?」

 口調が荒くなってしまったが、仕方ない。ウチの娘達を危険な目に遭わせるわけにはいかないからな。

 

「……話は最後まで聞いてくれ(・ ・ ・ ・ ・)、少佐。あと、()じゃない。存在(・ ・)と言ってくれ」

 

「……分かりました」

 野原主任は真剣な表情のまま、口調を砕けさせた。

 分かったよ、最後まで聞いてやる。あと、()じゃなくて存在(・ ・)と言うよ。

 

「少佐の懸念は分かる。()も最初は猛反対した。けど、相手があの海蛇(・ ・)なんだ。危険だと分かっていても、使わざるを得ないんだ」

 

「……そもそも、何故海蛇(・ ・)に艦娘達の攻撃が効かないんだ?」

 機密に含まれる質問かもしれないが、聞かなければ気が済まない。

 幸い、野原主任は懐に手を伸ばさず、お茶を一口飲んで、説明を始めてくれた。

 

「……まぁ、これは教えても大丈夫だな。

 海蛇(・ ・)にダメージを与えるには、()信念(・ ・)を超える信念(・ ・)を叩き付けて、瘴気(・ ・)喰い破る(・ ・ ・ ・)必要がある」

 

信念(・ ・)瘴気を喰い破る(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)?」

 

「詳しく話すと、エラい時間がかかるから簡単に説明すると、艦娘や深海棲艦には、目に見えないオーラ──我々はバリアと呼称していますが、そのバリアを剥がさない限り、本体にダメージを与える事が出来ない。これはご存知ですよね?」

 

「えぇ、知っています」

 養成所で詳しく教えられたからな。

 

 余談だが、一般人も知っている。いや、知らされている、が正しいな。

 昔程じゃないが、艦娘でもない一般人が、「自分達で深海棲艦を退治しよう!」と考え、船を出して挑もうとする人が居る。

 そんな危険な事をさせない為、軍は一般人に「艦娘以外の攻撃は一切効かない」と、講演会を開いて教えている。

 しかし、それでも挑み、毎年少なくない人が行方不明(・ ・ ・ ・)になっている。

 

 

 閑話休題。

 

 

「詳しく話せませんが、海蛇(・ ・)が纏うオーラは、他の深海棲艦とは比べ物にならない程、強大です。

 その為、強過ぎる信念(・ ・ ・ ・ ・ ・)を持つ艦娘の攻撃でなければ、オーラを剥がして本体にダメージを与える事が出来ません。

……残念ながら、強過ぎる信念(・ ・ ・ ・ ・ ・)を持つ艦娘は、現在、大規模鎮守府が担当する海域に大量出現(・ ・ ・ ・)した覚醒種(・ ・ ・)の対応をしていて、海蛇(・ ・)の相手をする事が出来ません」

 

「……」

 

「そこで、第603鎮守府にCode:N(・・・・・)預け(・ ・)に来ました。

 確かに、少佐が言ったように危険な存在(・ ・ ・ ・ ・)です。しかし──」

 

「しかし?」

 

「第603鎮守府には、かつてCode:N(・・・・・)を使用し、南方棲戦姫の魂(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)から発せられる信念(・ ・)に侵食されず、使いこなし、海蛇(・ ・)を殲滅した艦娘が1人、居ます。

 その艦娘は、長良型軽巡洋艦四番艦、由良の適性者、東雪乃(あずまゆきの)さんです」

 

「……」

 

「彼女、雪乃さん(・ ・ ・ ・)信念(・ ・)は、南方棲戦姫(・  ・ ・ ・ ・)信念(・ ・)に匹敵する程、強かった。そのお陰か、精神を侵食されず、壊れなかった(・ ・ ・ ・ ・ ・)

……気になるでしょうが、これ以上は機密に含まれる為、お話する事は出来ません。ご了承下さい」

 

「……分かりました」

 とても気になるが、そう言われたら引き下がるしかない。だが、

 

「一つだけ。これだけは確認させて頂きます。本当に、使っても大丈夫なんですね?」

 以前使った時は大丈夫だったから、今回も大丈夫だという保証は無い。だから、野原主任に聞いた。

 

「その為に、()が来ました。Code:N(・・・・・)雪乃さん(・ ・ ・ ・)──由良と接続した際、トラブルが起きないよう、なんとかする為(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)に」

 

 

………………。

 

 

 

──第603鎮守府、工廠──

14:10。

 

 

「……凍っている?」

 応接室で一通りCode:N(・・・・・)について説明を受けた後。俺は由良を工廠へ呼び出し、Code:N(・・・・・)を載せたトラックの前に来たんだが──

 

「……相変わらず(・ ・ ・ ・ ・)キンキンに(・ ・ ・ ・ ・)冷えている(・ ・ ・ ・ ・)のね」

 

 荷台を見た由良が、苦笑いしながらそう言った。

 いや、冷え過ぎだろ。

 大雨で気温が低めだが、28℃を超えているんだぞ?それなのに、荷台の部分が全部(・ ・)凍っている(・ ・ ・ ・ ・)

 一体、どれだけ冷やせばあそこまで凍るんだ?結構分厚い氷で覆われているぞ?

 というか、あそこまで冷やして大丈夫なの?

 

……まぁ、由良と野原主任の様子を見るに、大丈夫そうだから、これ以上何も言わないでおこう。

 

 そうそう。由良だが、俺の予想では取り乱したりするのでは?と思ったが、野原主任からCode:N(・・・・・)について説明を受けている間、冷静に聞き、受け入れていた。

 

 少し前まで、海蛇(・ ・)の事で取り乱していたのに、何があったんだ?

……気になるが、今は時間が無い。聞くのは、全てが片付いてからにしよう。

 

「……さて。氷を割って荷台を開けるので、下がってください」

 

「分かりました」

 野原主任が運転席から道具を取り出し、氷を割る準備を始めた。

 下がった方がいいな。

 

 

……。

 

 

「お待たせしました。開けます……が、その前に、渡良瀬少佐」

 

「なんでしょうか?」

 荷台の扉に手をかけ、開けようとしたが、野原主任が振り返り、俺を見てそう言ってきた。

 

「1つ、お願いがあります。これから、Code:N(・・・・・)対面(・ ・)する事になりますが、その際、決して必要以上に(・ ・ ・ ・ ・)嫌悪感を(・ ・ ・ ・)抱かないで(・ ・ ・ ・ ・)ください」

 

「……分かりました」

 プロ(・ ・)がそう言うんだ。素直に指示に従おう。

 

「……では、開けます」

 

 分厚い防寒着を纏い、これまた分厚い手袋を着けた野原主任が、緊張した面持ちで、ゆっくりと荷台のロックを外し、扉を開けた。

 

 扉が開かれるのと同時に、強烈な冷気が(・ ・ ・ ・ ・ ・)噴き出し(・ ・ ・ ・)、俺の全身に襲い掛かってきた。

 さ、寒い!なんつー冷気だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《…………フフフ♪》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!?」

 な、なんだ、今の!?

 言葉に言い表せない程、狂気に充ちた声が聞こえてきたぞ。

 

 

 

《マタ、私ノ存在ヲ証明スル(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)時ガ、来タノネ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユキノ(・ ・ ・)

 

 

由良(・ ・)よ、Code:N(・・・・・)。いいえ、

 

 

南方棲戦姫(・ ・ ・ ・ ・)

 

 

《ウフフ……ワカッタワ、ユラ(・ ・)

 コレ以上ノ言葉ハ不要。

 サァ、ハヤク、ホンモノ(・ ・ ・ ・)ノ砲撃ヲ、

 

 

教エテヤリナサイ!》

 

 

 

 

side 提督 out

 

 

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次回予告


 渡良瀬提督。大本営から、お叱りのご連絡ですわ。
……冗談ですわ。はい、こちらです。
……ど、どうなさいました?そんなに慌てて。
……えっ?あの磯風カレーを詰めた砲弾が、覚醒種(・ ・ ・)に有効?
 な、なんて勿体無い事を!
 あんなに(・ ・ ・ ・)美味しい物(・ ・ ・ ・ ・)を、弾に込めるなど!有り得ませんわ!!!
……なんですの?鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして。


第108話・お嬢様はストロング


「提督。鈴谷、熊野が。ううん、()()が、人間とは思えなくなっちゃった……」



【補足的なナニか】

・GUSOH…読み方は「グソー」。
 「亡国のイージス」「Twelve Y. O.」「∀ガンダム」に登場する架空の兵器が元ネタ。
 ∀の読み方は、「ターンエー」。

・筋肉モリモリマッチョマンの変態…映画、「真・シュワルツェネッガー無双」「コマンドー」の中で、登場人物の1人が言い放った台詞が元ネタ。

・野郎・オブ・クラッシャアアア…上記の「コマンドー」で、登場人物の1人が言い放った珠玉の迷言台詞。
 本当は「野郎、ぶっ殺してやらァ!」と言っているが、吹き替えを担当した声優さんの怪演のせいで、「野郎・オブ・クラッシャアアア!!」と聞こえる。
 気になった方は、買って見て聞こう(ダイマ)

・俺は悪くねぇっ!…ゲーム「テイルズ オブ ジ アビス」の主人公、「ルーク・フォン・ファブレ」が、とある場面で言い放った台詞が元ネタ。

・Code:N…南方棲戦姫の魂が宿った艤装。
 この艤装を纏った艦娘は、南方棲戦姫の信念が流れ込み、侵食される。
 その他の詳細については、現段階では何も語れない。

以上、補足終了。
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