追跡鶴   作:EMS-10

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 仕事納め?ナニソレ、オイシイノ?年末年始は全部仕事だよ!チクショウメー!!
 今年最後の投稿になります。
 コミケに参加される方々は、防寒対策を万全にし、冷凍食品にならないよう、気を付けて楽しんできて下さい。

 それでは皆様、良いお年を!!
 

※警告※
シリアスどこ行った
下ネタ有り
頭の悪い内容
頭を空っぽにしてご覧下さい


※食べ物を粗末に扱う意図、環境破壊を推奨する意図は一切含まれていません。
 予め、ご了承下さい。

※この小説に登場する人物達及び、妖精さん達は全員、特殊な訓練を受けています。
 決して真似をしないで下さい。

※この小説内の季節は、9月中旬頃となっています。



第108話・お嬢様はストロング

 

side 提督

 

 

──第603鎮守府、執務室──

大規模反攻作戦十日目。

14:30。

 

 

「……」

 まだか?まだ終わらないのか?

……落ち着け。始まって、十分も経っていないぞ。

 

 

……何があったかって?野原主任が、お届け物(・ ・ ・ ・)──Code:N(・・・・・)を由良と接続させ、調整を開始するから席を外してくれ、と言われたんだ。

 

 最初はその様子を見ようと思ったが、野原主任に「機密が含まれる為、お見せ出来ない」と言われた。

 しかし、俺の大切な部下(・ ・ ・ ・ ・)──由良が、危険な目に遭う恐れがある。

 だから、野原主任に席を外すよう言われても、動かなかった。そしたら、

 

(まさか、由良に説得されるとは思わなかった……)

 そう。由良が、「()は大丈夫だから、提督さんは席を外して?」と、微笑みながらそう言ってきた。

 

 野原主任も、「絶対に危険な目に遭わせません」と、真剣な顔(・ ・ ・ ・)で頭を下げ、頼んできたから、二人を信じて工廠を後にし、執務室に戻って仕事をしている。 

 

 仕事、と言ったが、書類は少なく、午前中に終わらせたから、手持ち無沙汰な状態。

 なので、資材と食糧の残りや艤装の状態。艦娘達のバイタルデータを再確認し、今後の事を考えていた。

……電話だ。ディスプレイには、向こう(第8492離島鎮守府)の電話番号が表示されている。何かあったのか!?

 

 

…………。

 

 

「……はい。了解しました。では、失礼します」

……なんだそりゃ。

 小嶋提督から電話で報告がある、と言われ、その報告を聞くと、とてもじゃないが信じられない内容だった。

 

 詳細を話すと長くなるから、簡潔に纏めると、あの海蛇(・ ・)と呼ばれるレ級が、自分以外の深海棲艦を狩っていて(・ ・ ・ ・ ・)、深海棲艦の数が激減(・ ・)しているそうだ。

 

 その為、海蛇(・ ・)を殲滅する事が出来れば、俺と小嶋提督が担当する海域はほぼ平和になる、と言われた。

 

……もうツッコミどころしか無いが、突っ込まない。

 一々喚かず、大人しく事実を受け入れ、行動に移す。そうしなきゃ、やってられん。

 

「提督、白湯です」

 

「……ありがとう」

 トレイに湯呑みを載せて運んできてくれた涼月が、心配そうに声をかけながら、湯呑みを執務机に置いてくれた。

 さっき応接室で野原主任とお話していた時、胃が痛み出して、それを我慢していたから、結構辛かった。

 

 えっと、胃薬胃薬……あった。

……ふぅ。落ち着いた──ノックされた。

 

(ねぇ、少し。ほんの1分だけでいいから、休ませて?胃薬飲んで痛みが引いて、幸福感に包まれている所を、邪魔しないで?)

……泣き言言っている場合じゃない。入室を促さなきゃ。

 

「……誰だ?」

 少しだけ不機嫌な声出しちまった。落ち着け。

 

『最上型重巡洋艦四番艦、熊野ですわ。大本営から渡良瀬提督宛てに、緊急の通達が届きました』

 

「入ってくれ」

 大本営から緊急の通達?なんだ?悪いニュースか?

 まぁ、見れば分かるか。

 

「失礼致します──如何なされたのですか?」

 

「いえ、なんでもありません。それより、封筒を……」

 あーあ。また胃が痛み出したから、それが顔に出て、熊野さんが不安そうな顔してる。気を付けなきゃ。

 

「はい、こちらです」

 

「ありがとうございます」

 うわぁ。封筒にデカデカと「緊急」って赤い字で書かれているよ。一体、どんな内容なんだ?

 

 内心ゲンナリしながらペーパーナイフで開封し、書類を取り出して中身を読むと──

 

「提督ッ!?」

 

「あら?へっどばんど(・ ・ ・ ・ ・ ・)、ですか?」

 

 涼月、すまん。突然執務机に頭を叩き付けたりして。

 熊野さん、違います。ヘッドバンドじゃないです。あと、イントネーションがかなりおかしい(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)ですよ?口には出さないけど。

 

「いや……とんでもない事が書かれていたから、思わず頭を机に打ち付けちまった」

 

「とんでもない事……まさか、覚醒種(・ ・ ・)が日本中。いえ、世界中に出現したのですか!?」

 

「あー……違う。とにかく、悪い知らせじゃないから、落ち着いてくれ」

 俺の反応を見た涼月が、顔を青ざめさせてそう言ってきた。

 本当に大丈夫だよ?心配しないで?ただ、信じられない程アホな事が書かれているだけだから。

 

 ちなみに、意訳になるが、書かれていた内容は、以下の通りだ。

 

 

【横須賀鎮守府所属、陽炎型駆逐艦十二番艦、磯風の適性者が作ったカレー。

 通称、磯風カレーが、深海棲艦──通常種や鬼・姫級には勿論、覚醒種(・ ・ ・)に当てると、跡形も無く(・ ・ ・ ・ ・)溶けた(・ ・ ・)

 覚醒種(・ ・ ・)を発見したら、磯風カレー弾。正式名称(・ ・ ・ ・)ISKZ-C弾(・・・・・ ・)を使用し、殲滅せよ。

 

 尚、現在、件の磯風にカレーを作らせ(・ ・ ・)増産している(・ ・ ・ ・ ・ ・)から、枯渇する(・ ・ ・ ・)心配は無い(・ ・ ・ ・ ・)

 磯風カレーが不足している鎮守府は、速やかに大本営へ報告せよ。

 

 

 追記・磯風カレーは、海水に触れると、24時間以内に生分解(・ ・ ・)するから、環境破壊の心配は無い。遠慮なくぶっ放せ】

 

 

……なんのギャグだ?何時から俺の世界は、ギャグ小説になった?

……なんか、メタい(・ ・ ・)という指摘を受けた気がする。

……いかん。謎電波受信してる場合じゃない。しっかりしろ。

 

「では、一体、何と書かれていたのですか?」

 

「……はい」

 すみません、熊野さん。口で説明するのが馬鹿らしいから、自分で見てください。

 机に頭を乗せたまま、書類を熊野さんに差し出す。

 

「だらしないですわ。しっかりなさい?」

 

 注意された。仰る通りですが、起き上がる気力が無いんです。

 

「どれどれ……」

「お隣、失礼します」

 

 熊野さんが書類を受け取ると、涼月が熊野さんの隣に立ち、書類に書かれた内容を読み始めた。

 きっと、「はァ!?」とか言うんだろうな。いや、絶対言う。なんてったって、あんな内容なんだから──

 

 

「はァ!?」

「な、なんですか、この内容は!?」

 

 

 ほら、予想通り。

 熊野さんは大声を出し、涼月は困惑したような声でそう言った。

 次はきっと、こう言うだろう。「有り得ない」と。

 

 

「有り得ませんわ!」

「有り得ません!」

 

 

……当たった。次はなんて言うのだろう?

 涼月なら付き合いが長いから、「こんなの、デタラメです!」って言うと予想出来るけど、熊野さんとは付き合いが短いから、予想出来ない。

 まぁ、「なんてバカバカしい!」とか言うんじゃないかな?

 

 

「なんて──」

「こんなの──」

 

 

……お、当たってた。今日の俺、スゲーな。予想が全部当たっているぞ?もしかしたら、全部予想通りになるんじゃね?いいや、絶対なる──

 

 

 

「勿体無い事を!!!」

「デタラメです!」

 

 

 

「「……えっ?」」

……あ、俺と涼月の声がハモった。

……じゃなくて。熊野さん、今、なんて言いました?勿体無い事を?

……あぁ、そうか。それもそうだな。

 

 確かに、とんでもない劇物(・ ・)だけど、元はカレー(・ ・ ・ ・ ・)食べ物(・ ・ ・)だ。

 きっと、熊野さんの事だ。「例え劇物(・ ・)だとしても、元は食べ物(・ ・ ・ ・ ・)。それを粗末に扱うなんて、勿体無い」という意味で、勿体無いと言ったのだろう。きっとそうだ──

 

 

あんなに(・ ・ ・ ・)美味しい物(・ ・ ・ ・ ・)を弾に込めるなんて、有り得ませんわ!!!」

 

 

 

──全然違った。

……いやいやいや。あの、熊野さん?あなた、今、何と仰いました?

 俺の耳が正常なら、磯風カレーの事を、「あんなに美味しい物を」って言いませんでした?

 

……待て待て。きっと、アレだ。磯風カレーを、誰かが作った美味しいカレーと間違えて言っているに違いない。きっとそうだ。

 

 ちゃんと磯風カレーに関する報告書を見たし、一度、現物を見た事があるから言える。

 アレは。磯風カレーは、間違っても、美味しい物とは言えない。

 

 

 まず、見た目。

 カレーのルーの色は基本、茶色だ。

 グリーンカレーとか、激辛カレーとかは緑色だったり、赤色や黒っぽい色の物とかもあるけど、基本は茶色だ。大事なことだから、2回言ったぞ。

 

 話を戻そう。では、件の磯風カレーは何色をしているか。

 勿体ぶらずに言うぞ。虹色(・ ・)だ。もう一度言うぞ?虹色(・ ・)だ。

 ちなみに、件の磯風本人曰く、「合成着色料は一切使用していない、身体に優しい(・ ・ ・ ・ ・ ・)カレー(・ ・ ・)」だそうだ。

 

 信じられないと思うだろ?事実だ(・ ・ ・)。この目で現物を見た。

 どうやればそんな色に出来る!?とか、ツッコミどころ満載だが、今はツッコミを入れず、俺の話を聞いてくれ。

 

 色だけでも凄いが、湯気も凄い。

 普通、湯気って白っぽい筈だ。まぁ、厳密には違うらしいが、とりあえず、湯気は白っぽい、と思ってくれ。

 

……さて、磯風カレーの湯気の色について話そうと思う。いいか、落ち着いて聞いてくれ。

 磯風カレーの湯気は、コールタールのように粘っこい(・ ・ ・ ・)黒い湯気を発する(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

 報告によると、その湯気は掴める(・ ・ ・)

 更に、湯気は霧散せず(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)数時間(・ ・ ・)残留し続ける(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

 次に、(にお)い。こんだけ見た目がヤベーなら、臭いもヤバいだろ。そう思うかもしれない。

 実は、臭いだけは(・ ・ ・ ・ ・)そこまでヤバくない。

 

 磯風カレーの臭いは、例えるなら、アーモンドの(・ ・ ・ ・ ・ ・)ような(・ ・ ・)香りがする。

 しかし、臭いを嗅ぐと、アンモニア(・ ・ ・ ・ ・)のような刺激に襲われ、涙が止まらなくなり、咳き込む。

 だがな、本当に恐ろしいのはここからだ。

 

 臭いを嗅ぐと、段々意識が薄れていくんだ。それも、眠るように。

 そして、段々心拍数が下がっていき、やがて、心臓が止まる(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 実際に臭いを嗅いだ艦娘達がそうなった、と報告されている。

 

……な?恐ろしいだろ?

 

 さて。最後になるが、そんな磯風カレーのお味は如何な物か。

 報告によると、味は普通のカレーらしい。

 

……誰が食べたんだ?というツッコミは入れない方が良いぞ?疲れるだけだからな。

 

 詳細を語ると長くなるから、結論から言うと、1ヶ月近く、生死の境をさ迷ったらしい。

 幸い、その艦娘は復帰し、今も元気に艦娘をやっている。

 

……とまぁ、磯風カレーについて長々と説明したが、どれだけヤベーか、お分かり頂けただろうか?

 とにかく、そんな危険物が美味しいなんて、言うわけがない──

 

 

「渡良瀬提督!!」

 

 

「なんでしょうか、熊野さん?」

 執務机に手を付き、身を乗り出して顔を近付けないでください。離れて?

 

「まさか、渡良瀬提督も、磯風カレーを砲弾に詰めて、ぶっ放す気ですか!?もしかして、既に製作させているのですか?」

 

「はい」

 ガンガンぶっ放させる気満々ですよ。現在進行形で、夕張達にガンガン作らせていますよ。

……あれ?熊野さんの足音が、執務室の扉に向かっている。

 

 机に突っ伏していたが起き上がると、扉を開けて執務室を出ようとする熊野さんの姿が、視界に入った。

 

「あの、熊野さん?どうされました?」

 もしかして、工廠で作業をしている夕張達の邪魔をしに行くつもりかな?

 

 海蛇(・ ・)に有効打を与えられる可能性がある(・ ・ ・ ・ ・ ・)Code:N(・・・・・)があっても、万が一がある。

 それに、海蛇(・ ・)以外にも、もしかしたら覚醒種(・ ・ ・)が出現するかもしれない。

 その「もしも」の為に、決戦兵器(・ ・ ・ ・)──ISKZ-C弾(・・・・・ ・)を用意させている。

 

 だから、その用意の邪魔をする気なら、止める。全力で止める(ノーザンライトボム)

 

「決まっていますわ。工廠にカチコミ(・ ・ ・ ・)入れます!」

 

「涼月!喰え(止めろ!!)!!」

 邪魔する気満々ですね。止めなきゃ。

 

「o゙o゙o゙o゙o゙o゙o゙o゙o゙o゙!゙!゙!゙」

 

 よしよし、涼月。今日も絶好調みたいだね。元気に吼えて(・ ・ ・)ゾンビになってくれた。

 良い娘だ。いや、良い屍(・ ・ ・)と言うべきかな?

 俺が指示を出した瞬間、一切迷わず従ってくれた。忠犬もとい、忠屍(・ ・)だな。

……新しい単語作ってる場合じゃないよ。熊野さんを説得(ノーザンライトボム)しなきゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後、涼月と二人で熊野さんを滅茶苦茶(ゾンビの咆哮と)説得(ノーザンライトボム)した。

 

 途中、騒ぎを聞き付けて皆がやってきたが、俺が熊野さんを必死に説得(3連続ノーザンライトボム)しながら事情を説明したら、加勢してくれた。

 お陰で、ISKZ-C弾の量産作業を邪魔されずに済んだ。

 

 余談になるが、鈴谷が俺の話──熊野さんは磯風カレーを美味しいと思っている事を聞くと、「そんなの嘘だ」と言われてしまった。

 

 なので、熊野さんに頼み、磯風カレーを食べてもらったんだが……平然としていた(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)。つーか、三回もおかわりしてた。

 

 直ぐに妖精さん達に、バイタルチェックしてもらったが、健康体そのもの、という結果が出た。

 尚、この結果を間近で見た鈴谷は、

 

「提督。鈴谷、熊野が。ううん、()()が、人間とは思えなくなっちゃった……」

 

 ハイライトの消えた目で、涙ぐみながらそう呟いた。

 うん。俺も、熊野さんが人間とは思えなくなっちまった。

 

……日本。いや、世界中に艦娘が居るけど、色んな意味で最強の艦娘は、熊野さんなんじゃね?

 あと、覚醒種(・ ・ ・)すら艤装ごと(・ ・ ・ ・)跡形も無く(・ ・ ・ ・ ・)溶かせる(・ ・ ・ ・)劇物(・ ・)もとい、カレーを作れる磯風も。

 

……受け入れよう。突っ込むな。疲れるだけだ。

 

 

 

………………。

 

 

 

──第603鎮守府、工廠──

16:50。

 

 

「……渡良瀬少佐、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」

 

 熊野さんに、磯風カレーを全て砲弾に詰めず、一部の磯風カレーを提供──食べさせる事を確約した事で、カレー騒動(・ ・ ・ ・ ・)は、一先ず収まった。

 

 そして、工廠から内線で、「由良とCode:N(・・・・・)の接続が終わった」と、野原主任から報告が入ったから、様子を見に来たんだけど、色々あったせいで精神的に疲れていた俺は、酷い顔をしていたらしく、野原主任に心配されてしまった。

 

……頭を切り替えろ。真面目モードになれ。

 

「大丈夫です。心配かけて、すみません」

 

「……あまり、無理しないでくださいよ?

……さて、少佐。由良(・ ・)Code:N(・・・・・)を接続した結果をお伝えします。

 結論から言うと、何の問題もありません。ご安心ください」

 

「そうですか……良かった……」

 本当に良かった。もし何かあったら、取り乱していた自信がある。

 ちなみに、由良は現在、接続を終えて小休止している。暫くすれば(・ ・ ・ ・ ・)此処に来る(・ ・ ・ ・ ・)そうだ。

 

「ただ、興味深い結果が出ましてね。あぁ、勿論、悪い結果ではありません」

 

「興味深い結果?」

 安堵していると、野原主任が真剣な表情をしたまま、そう言ってきた。

 

「えぇ。その前に、くどいようですが、機密に含まれているので──」

 

「他言しません」

 だから、殺気出さないでください。自分で言うのもなんだけど、これでも口は堅い方なんですよ?

 

「ありがとうございます。では、説明に入らせて頂きます。こちらをどうぞ」

 

 そう言って、データが表示された端末を手渡された。

 これは……由良のバイタルデータだ。普段見ているから知っている。

 

「こちらをご覧下さい。青いグラフが、以前Code:N(・・・・・)と接続した時の物で、赤いグラフが、今回接続した時の物です」

 

……青いグラフよりも、赤いグラフの方が、安定した状態を示しているぞ?

 

「まず、このグラフですが、由良さんのバイタルデータです。この状態は──」

 

 それから、野原主任の説明を受けた。

 話によると、由良の精神状態は、以前接続した時よりも安定していて、落ち着いている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)らしい。

 

 その理由として、由良──雪乃(・ ・)の環境が変わった事が挙げられる。

 

 以前接続した時は、常に死と隣り合わせの環境──最前線に居た為、焦りや不安といった感情が強かった。

 しかし、最前線と比べて遥かに平和な此処(第603鎮守府)に来た事で、焦りや不安といった感情が少し薄れ、更に、

 

新たに強い信念(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)を抱くようになった?」

 

「はい。以前の雪乃さん(・ ・ ・ ・)は、「何がなんでも生き残る。生き続ける」という信念(・ ・)を、強過ぎる程(・ ・ ・ ・ ・)抱いていました。

 しかし、今は「何がなんでも生き残る。生き続ける」という信念(・ ・)だけでなく、もう1つ信念(・ ・)を抱くようになりました」

 

「続けてください」

 

「その信念(・ ・)は、愛する人を(・ ・ ・ ・ ・)護り続ける(・ ・ ・ ・ ・)、という物です。

……あっ、これは雪乃さん(・ ・ ・ ・)本人から言ってきました。決して()から聞いたわけじゃないよ?」

 

「……さいですか」

 由良……その……嬉しいけど、心の中で思うだけにして?恥ずかしい。

……くそっ、野原主任がニヤニヤしてる。ノーザンライトボムぶちかましてやろうかな?

 

 ジト目で野原主任を見ながら、そんな事を考えていたら、俺の考えている事が分かったのか、咳払いをして真面目な顔に戻り、説明を再開してくれた。

 

「その新たに抱くようになった信念(・ ・)は、Code:N(・・・・・)の抱く信念(・ ・)よりも強く、そのお陰で精神を(・ ・ ・)侵食されず(・ ・ ・ ・ ・)理性を保ったまま(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)使用する事が可能だと判明しました」

 

「な、成程……」

 話によると、以前接続し、使用した時は、理性の殆どが(・ ・ ・ ・ ・ ・)消し飛んで(・ ・ ・ ・ ・)、ほぼ暴走状態に陥ったそうだ。

 しかし、今回はバイタルデータを見るに、暴走状態に陥る可能性は極めて低い、と言われた。

 

 現に、以前接続した時は、軽く動かしただけで暴走状態に陥っていたが、工廠内で以前接続した時と全く同じ動作テスト──Code:N(・・・・・)両腕部(・ ・ ・)に装着し、口から砲塔を(・ ・ ・ ・ ・ ・)出し入れさせた所、一切暴走状態には陥らず、理性が完全に(・ ・ ・ ・ ・ ・)残っていて(・ ・ ・ ・ ・)、安定して稼働させていたそうだ。

 

 それから、色々と説明を受けたが、機密が含まれる上に、かなり長くなるから割愛させてもらうぞ。

 

「他にも接続した際、異常は無いか、何度も確認しましたが、何一つ見付かりませんでした」

 

「そう……ですか」

 良かった。何も異常が無くて。

 説明を聞き終え、思わず安堵のため息を吐いた。

 

「しっかし、少佐ァ。羨ましいですねぇ。ここまで想われているなんて」

 

 説明を終えると、野原主任は真面目モードから、普段のおふざけモード(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)になり、ニヤニヤ笑いながらそう言ってきた。

……うぜぇ。

 

「やっぱり、抱いた(・ ・ ・)事で変わったのですかねぇ?」

 

「……まだ(・ ・)抱いていません(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

「……は?」

 

……ニヤニヤしていたのに、急に真顔になったぞ?どうしました?

 

「……少佐。()の耳が正常なら、今、抱いていません(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)、って言いました?」

 

「……言いました」

 そういや以前、「好意を抱いている娘を、すぐに(・ ・ ・)抱いてやれ(・ ・ ・ ・ ・)」って忠告されたな。

 けど、忠告された時は大規模反攻作戦が近く、抱く(・ ・)事で肉体に負担を掛ける恐れがある為、終わってからにする、と決めたから、未だ抱いていない(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

「なにやってんの?死にたいの?」

 

 野原主任、真顔で言わないでください。

 

「何故、抱かなかった(・ ・ ・ ・ ・ ・)の?」

 

「いや、その──」

 何故抱かなかった(・ ・ ・ ・ ・ ・)のか。

 その理由──身体に負担が云々の事を説明すると、

 

「そんなの、入渠すれば(・ ・ ・ ・ ・)あっという間に(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)完治します(・ ・ ・ ・ ・)よ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

処○膜ごと(・ ・ ・ ・ ・)

 

 

 

「……へ?」

 

「ついでに言うと、艦娘になった女性の赤ちゃんのお部屋(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)欲望を(・ ・ ・)ぶちまけても(・ ・ ・ ・ ・ ・)艤装を解体(・ ・ ・ ・ ・)して艤装との(・ ・ ・ ・)リンクを(・ ・ ・ ・)完全に外す(・ ・ ・ ・ ・)か、ケッコン(・ ・ ・ ・)カッコカリ(・ ・ ・ ・ ・)しない限り、

 

 

 野郎の主砲(・ ・)からぶっ放されたオタマジャクシ(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)が!!卵の中に侵入(・ ・ ・ ・ ・ ・)しません(・ ・ ・ ・)!!!つまり、注ぎ放題(・ ・ ・ ・)です!!!」

 

 

「デケー声でいきなり何を言い出すんだ、オメーは!!?」

 しかも、超ドヤ顔で。

……いや、あの、その。初耳なんですが。

 

「……あっ、これ、一応機密なんで、他言しないでくださいね?」

 

「……言いませんよ」

 ぜってー言わねぇよ。言ったら最期(・ ・)。ウチの変態共(・ ・ ・)が、編隊(・ ・)を組んで襲撃してくる。間違いなく襲撃される。

 

「つーか、機密なら何故教えたんですか?アレ(Code:N)並に重要な情報なんじゃないの?」

 

「確かに重要な情報ですが、アレ(・ ・)と比べればそこまで重要じゃないです。

 それに、少佐に教えたとしても、野生解放(・ ・ ・ ・)して野獣(・ ・)にならないと信頼(・ ・)出来ると判断したので、お教えしました」

 

「……さいですか」

 信頼(・ ・)してくれてありがとう。けど、知りたくなかったなぁ。

 

「そうそう。何故艤装を解体するか、ケッコンカッコカリしない限り艦娘は(はら)まないのか。

 艦娘達は戦闘で激しく身体を動かしたり、被弾する恐れがあるので、流産(・ ・)するのを防ぐ為、【自主規制】(おセッセ)しても【自主規制】(受○)しないよう、妖精さんの加護が働くのでは?と考えられています」

 

「へぇ?そうなんだ」

 妖精さんの力って、すげー(小並感)

 

「……まぁ、極稀に気合と根性で(・ ・ ・ ・ ・ ・)妊娠しちゃう艦娘が居るけど」

 

……ん?何か言ったか?工廠内の機械音のせいで、聞き取れなかった──

 

 

「いい事聞いちゃいました♡」

 

 

「何時からそこに居た、貴様ァ!!?」

 由良ァ!?気配消して俺の背後に立つなァ!!?

……じゃなくて。ヤベーよ、ヤベーよ。聞かれちゃったよ。

……待て待て。聞いたのは、由良だ。戦闘時はバーサーカーになる、ウチのヤベー奴筆頭の一人だが、日常生活では一応(・ ・)良識人だ。言いふらしたりなんかしない……と思う。

 

「野原主任、そのお話が本当なら、赤ちゃんの(・ ・ ・ ・ ・)お部屋(・ ・ ・)を、提督さんの主砲(・ ・)ノック(・ ・ ・)されても、誤射(・ ・)されても大丈夫、って事でしょうか?」

 

Exactly(その通りでございます)

 

「由良、落ち着いて?言い方がマズいよ?」

 あと、確認しなくていいよ?忘れなさい?

 野原主任、無駄に流暢な発音しないで?ムカつくから。

 

「失礼しました。では──

 

 

提督さんのチ○ポで子○ド突かれ放題!○出しされ放題って事ですよね?ねっ!?」

 

 

「言い方ァ!!!」

 悪化してるぞバッキャロー!!それと、真剣な顔で瞳孔カッ広げながら言うな!!慎み持ちなさい!!!

 

 

 

 

 

 

 余談になるが、この後、野原主任と由良が衝撃の事実──艤装を解体するか、ケッコンカッコカリしない限り、艦娘となった女性は妊娠しない、という事をウチの娘達に知らせようとしたから、それを阻止する為に死闘を繰り広げる事になった、と言っておく。

 

……こんな状況なのに、ふざけてて大丈夫なのだろうか?

……まぁいいや。

 

「少佐ァ、今のうちに精力剤を飲んどいた方が良いんじゃウボァ!?」

 

 野原主任がニヤニヤしながら何か言ってきたが、無言で鳩尾を殴って黙らせておいた。

……一応、妖精さんに頼んでおくか。

 

 

side 提督

 

 

───────

────

 

 

Another side

 

 

──横須賀鎮守府、執務室──

 

 

 

「磯風カレーを讃えよ!」

 

 

「目を覚ませ、赤城。お前の常識が、磯風カレーに侵食されているぞ」

 いや、既に手遅れだ。もう取り返しがつかない。

 

……くそっ。幾ら覚醒種(・ ・ ・)に有効だから量産しろ、なんて頭のイカれた命令を出しやがって。

 覚えていろ、大本営のお偉いさん共。この恨み、100倍にして返してやる!

 

「さぁ、提督……磯風カレー、食べましょう?」

 

「白目剥いたまま迫るな。それはカレーじゃない。劇物(・ ・)だ」

 ダメだ。赤城の奴、磯風カレーを食った(・ ・ ・)トラウマが蘇ったせいで、壊れやがった。

 

「私と同じ目に遭え……遭うんだ……」

 

 真空パックされた、磯風カレーの封を開けようとするな。

 

「俺は、赤城。お前の作ったカレーが食べたい」

 

私を食べたい(・ ・ ・ ・ ・ ・)?分かりました!一航戦、赤城、脱ぎます!」

 

「もしもし、憲兵さん?榊原です。今すぐ執務室に来てください。変質者が出没(・ ・)しました。

……はい。変質者の名前は、赤城です。

……待ってください、見捨てないでください。あっ、オイ!」

……切られた。畜生!!何が「いつも通り平和ですね。出動案件ではないので失礼します」だ!!!仕事しろ!!!

 

「いただきます!」

 

「俺は食べ物じゃない。だから白目剥きながら全裸(・ ・)でヨダレ垂らして迫るな──迫るな言ってるだろ、この食う母(・ ・ ・)

 ただでさえ仕事が山のようにあるんだ。こんな所で無駄な時間を浪費する暇は無いと言うのに!

 くそっ!くそっ!くそおおおおおおおッッッ!!!

 

 

Another side out

 

 

───────

────

 





次回予告


……あなた、本当に大丈夫?100倍に濃縮された劇物(・ ・)を全身に浴びた、って聞いたんだけど。
……そう。大丈夫ならいいわ。
……何か困ったことがあったら、遠慮なく言いなさい?
……あら?工廠が騒がしいわね。何かあったのかしら?
……へ?妖精さん達が本気になって、1000倍濃縮(・・・・ ・ ・ ・)に挑戦する?はぁ!?


第109話・妖精さん達の本気


1000倍濃縮(・・・・ ・ ・ ・)した磯風カレーに、フグの肝。ドクツルタケ。それから、タミフルにメタミドホスを追加。その他にも、まだまだ入れる気みたいね。
……準くん(・ ・ ・)、流石に海蛇(・ ・)が可哀想に思えてきたわ」


【補足的なナニか】

・第603鎮守府の工廠…艤装本体と接続を行う所。
 艤装本体、武器の修理・改装を行う所。
 武器・弾薬等を製作する所。
 この三つに別れている。
 
・ケッコンカッコカリ…現段階では何も語れない。


以上、補足終了。















 瑞鶴と翔鶴の紐パン解いて、焼いた餅に巻いて食いてぇ……。
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