追跡鶴   作:EMS-10

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 磯風……エラー猫を連れて来るようになったか……本当に許してくださいなんでもしまかぜ!!

 猫祭りのせいで、イベント攻略が進まず、投稿が遅くなりました(挨拶)

 最近、インフルエンザが流行っています。
 皆様、充分に気を付けてください。
 作者だけ社内でピンピンしてたから、仕事の負担ががががが……。夕立の胎内に還って癒されたい……



※注意※
グロテスクな描写が含まれています
下ネタ有り
頭の悪い内容
頭を空っぽにしてご覧下さい


※この小説は、食べ物を粗末に扱う意図、環境破壊を推奨する意図は一切ありません。
 予め、ご了承下さい。

※この小説内の季節は、9月中旬頃となっています。

※第111話の後書きを、一部修正しました。



第112話・後処理

 

Another side

 

 

──大本営、執務室──

 

 

 

【_月_日、05:30。__県__沖にて、深海棲艦の特殊個体(・ ・ ・ ・)である、戦艦レ級flagship改と戦闘を開始。

 

 

──中略──

 

 05:54。

 第603鎮守府及び第8492離島鎮守府に所属する、空母艦娘8名による航空攻撃を行い、雷撃・爆撃を数十発直撃させるも、効果は一切認められず。

 

 06:02。

 ISKZ-C弾(・・・・・ ・)を使用し、特殊個体(・ ・ ・ ・)へ砲撃を行い、直撃させた所、特殊個体(・ ・ ・ ・)の皮膚及び、艤装を溶かす事に成功。

 

 

──中略──

 

 06:45。

 第603鎮守府所属、翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴(適性者名、風見瑞稀(かざみみずき))の爆撃により、特殊個体(・ ・ ・ ・)を殲滅する事に成功。】

 

 

 

「……殲滅に成功しただけでなく、遺体(・ ・)を持ち帰ったとはな」

 つい先程提出された報告書を読み、思わずそう口に出してしまった。

 

「現在、技術課が海蛇(・ ・)遺体(・ ・)を解剖し、解析を行っていますが、まだまだ時間がかかる、との事です」

 

「そう、か……」

 報告書を持ってきてくれた__(・ ・)が、相変わらず感情を感じさせない声でそう言ってきた。

 

海蛇(・ ・)に関わった、第8492離島鎮守府と第603鎮守府の人間達(・ ・ ・)は、如何なさいます?」

 

「第8492離島鎮守府は、憲兵妖精さんが。第603鎮守府は野原主任が暫く監視を行なっている。

 一応、口外しないよう通達しておいたが、万が一がある。もし、口外する素振(そぶ)りを見せたら、__(・ ・)。君が速やかに処理(・ ・)しろ」

 

「了解しました」

 

 まぁ、関わった(第8492離島鎮守府と)鎮守府(第603鎮守府)の提督達と艦娘達は口が固く、聞き分けが良いから、口外なぞしないと思うが。

 

 それと、第603鎮守府へ送ったCode:N(・・・・・)アレ(・ ・)についても、何とかしなければならない。

……まぁ、アレ(・ ・)については野原主任に任せれば良い。彼なら、上手くやってくれる。

 

 

……さて。他所の鎮守府から提出された報告書を確認するか。

 

……ふむ。今の所、轟沈者(死亡者)は出ていない。

 覚醒者(・ ・ ・)の居ない鎮守府でも、覚醒種(・ ・ ・)に対抗出来、戦線を維持している。

 これも、ISKZ-C弾(・・・・・ ・)のお陰だな。

 

(しかし、一部海域で生態に影響(・ ・ ・ ・ ・)が出ているようだ)

 報告書を見ると、ISKZ-C弾(・・・・・ ・)大量に使用(・ ・ ・ ・ ・)した海域に生息する生物──魚介類が、異常な成長(・ ・ ・ ・ ・)を遂げている、と書かれてあった。

 

(環境に問題は無かったんじゃないのか?)

 何度も念入りに、ISKZ-C弾(・ ・ ・ ・ ・ ・)を開発した技術課に聞いた。

 そして、「何も問題が無い」と言われたから許可を出した。それなのに──電話?

 

「私だ。……榊原大将か。どうした?そんなに慌てて。

……何!?艦娘達が、異常に巨大化(・ ・ ・ ・ ・ ・)した()に襲われた!!?」

 

 

Another side out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

──第603鎮守府、執務室──

大規模反攻作戦十九日目。

16:00。

 

 

『こちら、第一艦隊旗艦・加賀です。定時連絡。敵影なし。異常ありません』

 

「了解しました。周囲を警戒しつつ、帰還してください」

 無線から加賀さんの報告が入り、俺はそう指示した。

 

(今日も確認されなかったか)

 三日連続で、駆逐イ級ですら1隻も確認されていない。もしかしたら、俺達が担当する海域に、深海棲艦は居ないんじゃないのか?

 

(いや、油断は出来ない)

 もしかしたら、何処かに残党が隠れていて、反撃の機会を伺っている可能性がある。

 

(ローラー作戦をして炙り出したいが、それをやる燃料(資材)が足りないから出来ない)

 深海棲艦達が補給地(棲地)にしていた無人島。此処に集めた資材を頂いた(・ ・ ・)から、今日まで出撃する事が出来たが、あと数回出撃したら、底をついてしまう。

 そうなったら、文字通り何も出来なくなる。

 

 なので、先日、大本営に資材の追加を要請したが、未だ攻略(・ ・)を行っている大規模鎮守府に優先して送っているからか、難しいと言われてしまった。

 

 ウチ(第603鎮守府)だけでなく、向こう(第8492離島鎮守府)も、資材の追加を申請したけど断られてしまい、あまり余裕が無い、って言っていたっけ。

 

(小嶋提督と話し合って、今日出撃して収穫が無かったら、資材が届くまで出撃せず、待機すると決めたが……)

 大丈夫なのだろうか?不安だ。

 

「こんだけ探しても見つからないのなら、大丈夫なんじゃない?」

 

「……だといいんだがな」

 本日の秘書艦、秋雲がのんびりとした口調でそう言ってきた。

 

 

 

 さて。海蛇(・ ・)を殲滅してから一週間が経ったが、あれから何があったか説明する。

 ただ、先に言っておくが、機密が含まれているから、あまり多くは話せない。

 それに、分からない事が多過ぎるから、詳しく説明してやれない。そこの所、理解してくれ。 

 

 まず、一週間前。

 海蛇(・ ・)を殲滅したと長門さんから報告を受けると、工廠から執務室に戻ってきた野原主任がそれを聞き、血相を変えて「遺体を回収(・ ・ ・ ・ ・)」するよう言ってきた。

 なので、出撃したメンバーに指示を出し、第603鎮守府へ海蛇(・ ・)の遺体を運んでもらった。

 

……情けない話だが、グロ耐性の無い俺は、直接確認する事が出来ず、報告だけ聞いたけど、「身体中の肉が溶け、骨や内臓が露出していた」らしい。

 

……磯風カレー恐ろし過ぎるだろ。あの海蛇(・ ・)の全身を溶かせるなんて。

 封印した方がいいんじゃない?というか、そんな危険な物を食べても平然としている熊野さんは、一体どんな胃袋をしているんだ?あなたの胃袋は宇宙か?

 

……やめよう。考えるな。ツッコミ入れるな。時間の無駄だ。

 

 閑話休題。

 

 回収した遺体は、ウチの倉庫に一時的に保管され、その後、大本営からやってきた人達に運ばれ、解析(・ ・)される事になった。

 これ以上はすまんが、機密の為話す事は出来ない。

 

 そして、Code:N(・・・・・)。これも、海蛇(・ ・)の遺体と一緒に回収されてしまった。

 色々謎が多いが、機密の塊だから、これ以上詮索しないでおこう。じゃないと、消される(・ ・ ・ ・)恐れがある。

 現に、未だ野原主任がウチ(第603鎮守府)に残って、監視まがいの事しているし。

 

 閑話休題。

 

 海蛇(・ ・)の遺体とCode:N(・・・・・)が回収された後。

 大本営からウチに、「今回の出来事は他言無用」という通達が届き、決して口外しないよう、誓約書を書かされた。

 勿論、俺だけでなく、ウチの娘達と、派遣されてきた娘達も書かされた。

 恐らく、小嶋提督と向こう(第8492離島鎮守府)の娘達も書かされたんじゃないかな?

 

「……にしても、釈然としないなぁ。一体なんなのさ、あの海蛇(・ ・)って深海棲艦。それに、Code:N(・・・・・)って艤装──」

 

「秋雲、やめろ!」

 それ以上言うな!野原主任に聞かれたらどうする!?

 

「──ッッ!?わ、分かった!」

 

「……怒鳴って悪かった」

 

「ううん。秋雲さんも悪かったよ。もう言わない。約束する」

 

 俺が怒鳴りつけると、秋雲はそれ以上何も言わなくなった。

 気持ちは分かる。俺も分からない事だらけで気になるが、大本営から「他言無用」と、誓約書まで書かされたんだ。

 これ以上、アレら(・ ・ ・)について詮索するのはやめろ。消される(・ ・ ・ ・)ぞ。

 

「……そういやさ、提督。大本営がくれた臨時収入(・ ・ ・ ・)だけど、どう使う?」

 

「あー……俺は、大半は貯金して、あとはガ○プラか何か買おうと思ってる」

 気まずい空気を払拭する為か、秋雲が恐る恐るそう言ってきた。

 

 話が前後するが、誓約書を書かされた後。口止め料(・ ・ ・ ・)として、かなりの額(・ ・ ・ ・ ・)が、全員に(・ ・ ・)支給された。

 通帳を見た時、目玉が飛び出るかと思ったよ。桁間違っているんじゃない?

 

(つまり、それだけの金を払ってでも黙らせたい、って事なんだろう)

 いいぜ。黙っておく。墓場まで持って行ってやるよ。

 

「ガ○プラねぇ……最近作ってないから、私も買おうかな?う〜ん、何買おうか悩む……」

 

「後でカタログ見て考えようぜ──おっと、電話だ」

 ナンバーディスプレイには、向こうの番号が表示されている。

 

「はい、こちら、第603鎮守府、渡良瀬準少佐です」

 

 

………………。

 

 

「……確認されなかった、か」

 小嶋提督からの報告を聞き、思わず溜息を吐いちまった。

 報告によると、何度も出撃し、向こうが担当する海域を隈無く索敵したが、ウチと同じくここ数日、1度も深海棲艦を発見出来ていないそうだ。

 

(何処に行ったんだか)

 小嶋提督に言われて思い出したが、以前確認された、仮面の無い(・ ・ ・ ・ ・)軽巡棲姫(・ ・ ・ ・)。コイツが未だ見つかっていないそうだ。

 

……仮面の無い(・ ・ ・ ・ ・)軽巡棲姫(・ ・ ・ ・)、か。

……なんか引っかかる(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)な。

 

……。

……。

……。

 

……気の所為、かな?

 

「ボーッとして、どったの?」

 

「……いや、何でもない」

 いけね、秋雲が心配そうに俺を見ている。しっかりしろ。

 

「そう。……んじゃま、お仕事しちゃいましょうか!なんか書類がアホみたいにあるし」

 

「……だな」

 秋雲が言ったが、書類が山ほどある。

 毎日大量の書類を捌いているが、それでも片付きそうにない。

 いつまでもボーッとしていたら、今日やる分が終わらず、徹夜コースに突入しちまう。集中しよう。それに、

 

「さっさと終わらせて、部屋に戻ってトラップ仕掛けないといけないし……」

 昨夜(・ ・)は危うく突破されそうになったから、倍以上の数のトラップを仕掛けておこう。

……何でそんな事をしているのかって?

 

 まだ大規模反攻作戦は終わっていないし、残党処理も済んでいない。そして、提督免許を更新していない。

 それなのに、ここ数日。消灯時間後に、俺の部屋へ夜這いに来る娘が後を絶たないんだ。

 

(まだ完全に落ち着いたわけじゃないのに。せっかちだなぁ……)

 気が早過ぎるよ。俺、言ったよね?大規模反攻作戦が「終わって」、残党処理が「済んで」、提督免許を「更新したら」、「抱く(・ ・)」って。

 

 しかし、それを破る奴が現れやがった。

……誰が破ったか気になる?娼鶴(・ ・)サキュバス(榛名)ゾンビ(涼月)、そして淫乱ピンク(由良)。以上、4名だ。

 

……瑞鶴が含まれていない?そう。こういう時、いの一番に襲いかかってくる筈なのに、何故か分からないが、瑞鶴は襲って来なかった。

 何故襲って来ないのか聞きたいが、聞いたら襲われそうだから、聞いていない。

 

「……昨夜(・ ・)は凄かったね……」

 

「言うな……」

 思い出したくもない。

 昨夜(・ ・)割と本気(・ ・ ・ ・)になった娼鶴(・ ・)が、トラップを強引に突破し、襲って来たから、ノーザンライトボム祭を開催するハメになり、肉体的にも精神的にも疲れた事を思い出させないでくれ。

  

(何十回も(・ ・ ・ ・)ぶちかましたというのに、首が曲がっても(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)平然としていやがった。軽くホラーだったなぁ……)

 それに、床が穴だらけになっちまった。修繕費、幾ら掛かるかなぁ……。

 

「もうさ、抱いて(・ ・ ・)あげたら?そうすりゃ、大人しくなってくれるんじゃね?」

 

「……俺の体力が持たなそうだから、却下」

 確かに、大人しくはなってくれるだろうけど、相手は娼鶴(・ ・)1人だけじゃない。何人も居る。

 全員を一度に相手したら、俺が死にかける恐れがある。主に、肉体的(・ ・ ・)に。

 

(順番を決めても、破りそうなんだよなぁ……)

 それに、やるべき事が沢山あるから、まだ(・ ・)皆を抱く(・ ・)わけにはいかない。

 

「……ほら、仕事するぞ」

 考え事してる暇はない。さっさと終わらせないと。

 

「あーい」

 

 

 

 この後、集中して書類を捌いたからか、予定通りに終わらせる事が出来た、と言っておく。

 ただ、集中していたからか、数時間ぶっ通しで書類を捌いてしまい、酷使した右手の関節が少しだけ痛んでしまった。

 まぁ、妖精さん特製湿布を貼ったから、すぐに痛みが引いたけど。

 

……あと何日、アホみたいな量の書類を捌けば終わるんだ?誰か教えてくれ。

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

 

 

side ?????

 

 

 

──第603鎮守府、翔鶴・瑞鶴私室──

01:00。

 

 

 

……眠れない。

 何度も意識を手放そうとしても、海蛇(・ ・)が言った言葉が頭を過り、その度に意識が覚醒してしまう。

 ここ一週間、ずっとこうだ。

 

フカミ(・ ・ ・)……か……》

 あれから何度も、()自身について思い出そうとしたけど、何も思い出せなかった。

 ()に頼んで調べてもらおうと思っていたけど、彼は後処理で忙しそうだから、未だ頼めないでいる。

 

《彼の事だから、頼めば直ぐに調べてくれるだろうけど──》

 そうしたら、余計に負担を掛けて、苦しめてしまう。

 それだけは、決してしてはならない。 

 

《……けど、もしかしたら、調べてもらっても、分からない可能性がある》

 そう。幾ら轟沈者(死亡者)リストがあっても、正確に記録されているわけではない。

 

 一部の艦娘達(・ ・ ・ ・ ・ ・)が日本近海に居た深海棲艦を殲滅し、前線を上げ、比較的平和になったここ三十年間は、しっかり記録が残されている。

 けど、艦娘誕生から約四十年間は、深海棲艦の本土侵攻で混乱状態に陥っていて、正確に記録を残す余裕が無かったのか、所々あやふやになっている。

 

《もし、そのあやふやになった所に()が含まれていたら──》

 弱気になるな!まだ、そうと決まったわけじゃない!

 悪い癖(・ ・ ・)よ。常に最悪な展開を考え、ネガティブな思考になるのは。

 

……落ち着きなさい。これ以上精神が乱れると、瑞稀(瑞鶴)に伝わってしまう。

 もし伝わってしまったら、眠っている瑞稀(・ ・)を起こしてしまうわ。

 

《今は、休む事を考えなさい。まだ、大規模反攻作戦は終わっていないのだから──ん?足音?》

 心を落ち着けようとしていた時だった。瑞稀を通して(・ ・ ・ ・ ・ ・)()に、畳を踏みしめる音が伝わってきた。

 

 今、()瑞稀(・ ・)が居るのは、自分達に宛てがわれた部屋だ。

 その部屋に居るのは、()瑞稀(・ ・)。そして、瑞稀(・ ・)の姉、静流(翔鶴)二人(・ ・)だけ。

 

 誰かが──例えば、泥棒が侵入してきた?

 第603鎮守府は、妖精さん達が常に24時間体制で警邏を行っているから、それは無い。

 

 ()が夜這いを仕掛けてきた?

 もしそうならとっても嬉しいけど、残念ながら、あのヘタレ(・ ・ ・)はそんな事をしない。

 

 じゃあ、一体誰? 予想はつくけど、万が一がある。確認しよう。

 

《……ごめんね、瑞稀(・ ・)。身体を借りる(・ ・ ・)わ》

 心の中で謝罪して、瑞稀(・ ・)の身体を掌握し、薄目を開けて音のした方を見ると……やっぱり。

 予想通り、静流(・ ・)が抜き足差し足で、ドアの方へ向かおうとしている姿が、視界に入ってきた。

 

《また、()に夜這いを仕掛ける気なのかな?》

 もしそうなら、止めないと。

 ここ数日、彼は好意を寄せる娘達に夜這いを仕掛けられ、まともに睡眠が取れてないってボヤいていたし。

 睡眠は重要。正常な思考・判断が出来なくなる。彼を助ける為、止めないと。

 

 既に瑞稀(・ ・)の身体は掌握していて、完全に(・ ・ ・)馴染んでいる(・ ・ ・ ・ ・ ・)

 この状態なら、どれだけ動き回ろうが、瑞稀(・ ・)が自分で目を覚まさない限り、彼女は眠り続ける。

 

……よし。やりますか。

 

 

「《何処へ行くんだい?》」

 ドアノブに手をかけ、鍵を開けようとする静流(・ ・)にそう声を掛ける。

 

「ッッ!!?」 

 

 おやおや。そんなに飛び上がって、どうしたんだい?

 

「み、瑞稀!?……いいえ、その声は、もう一人の瑞鶴(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)?」

 

「《えぇ、そうよ。……さて、もう一度聞くよ。何処へ行くんだい?》」

 

「えーと……の、喉が乾いたから、食堂に行って水を飲もうと──」

 

「《部屋に冷蔵庫があるよ。ほら、水もある。緑茶も、烏龍茶も、ジュースも。それに、コップもあるよ》」

 静流(・ ・)の言い訳を最後まで言わせず、逃げ道を潰す為、布団から起き上がって冷蔵庫を開け、そう言ってやった。

 

 第603鎮守府は、各部屋──艦娘用の私室に、小型の冷蔵庫が備え付けられているから、わざわざ食堂に行って水を飲む必要は無い。

 

……おやおや。どうしたんだい?静流(・ ・)。汗をかいているよ?暑いのかい?クーラーは効いているのに、何故汗をかいているんだい?

 

「ち、ちょっと、水を飲んだあと、星を見たくなって──」

 

「《ここからでも、星を見る事は出来るよ?》」

 部屋のカーテンを開け、外を見えるようにする。

 ほら。これなら外に出なくても、星を見れるよ?

 

「そ、その、ひ、1人!1人で星を見たい気分なの!それだから──」

 

「《それじゃあ、()は暫く席を外すよ。気が済んだら、LI○Eで知らせて。だから、ゆっくりこの部屋から、星を眺めな》」

 おやおや。笑顔を浮かべていたのに、段々顔から表情が無くなってきているよ?

 

「……ッッ!!」

 

「《あっ!!?》」

 ニヤニヤ笑いながら静流(・ ・)を観察していたら、鍵のかかったドアを開け、外に出ようとしている!

 

「《させるかァ!》」

 素早く静流(・ ・)()にドロップキックをぶちかます。

 荒々しいけど、夜這いを止める為だから、仕方ない。

 

「ぶべっ!?」

 

 ドロップキックを喰らった静流(・ ・)は、顔面をドアに強打。変な声を出してダウンした。

……あーあ。ドアに静流(・ ・)の顔跡がくっきりと残ってる。後で妖精さん達に頼んで、直してもらおう。

……静流(・ ・)を心配しないのかって?コレ(・ ・)はこの程度じゃ、くたばらないわ。だから大丈夫。

 

「」

 

……あら、気絶してしまったみたい。もう少し手加減するべきだったかな?

 とりあえず、夜這い出来ないよう、手足を拘束しておきましょう。

 

……あのさぁ。あと少しだけ待てば、抱いて(・ ・ ・)もらえるんだから、我慢しなさいよ。

 ()だって、襲いたくて仕方ないけど、我慢しているんだよ?

 

 それに、瑞稀(・ ・)()を襲わないよう、彼女の意識に干渉(・ ・ ・ ・ ・)して抑えている(・ ・ ・ ・ ・)から、結構疲れているの。お願いだから、面倒事増やさないで。

 

 

side ????? out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

 

──第603鎮守府、会議室──

大規模反攻作戦二十日目。

07:00。

 

 

「──なので、出撃せず、暫く鎮守府で待機してくれ。

 何か質問は?……無いみたいだな」

 会議室に集まった全員に、今後の事を話した。

 もう資材に余裕が無いから、緊急時を除いて、大本営から資材が支給されるまで出撃せず、待機するしか無い。

 

 一応、ウチから数十km離れた沖に、妖精さん特製、深海棲艦だけに反応する索敵センサーを無数に設置しておいたから、深海棲艦を感知したら、迎撃の為に出撃してもらう。

 これなら、沖に出て索敵をするよりも、燃料の消費を抑えられる。

 

 ちなみに、皆は近接戦闘を多用するからか、弾薬・鋼材・ボーキサイトには余裕がある。

 頼むぜ、大本営。燃料が完全に枯渇する前に、資材を支給してくれよ?

 

 

…………。

 

 

──第603鎮守府、執務室──

07:50。

 

 

 

「それじゃ、今日も一日、頑張っていきましょう?」

 

「よろしく頼む、矢矧」

 会議室で今後の方針を話した後。執務室に向かい、後処理の続きを始める事にした。

 

 それにしても、書類多過ぎない?昨日、秋雲と結構頑張って処理したのに、まだまだあるぞ?

 

「ほら、ボーッとしてないで、仕事しましょう?」

 

「……分かった」

 矢矧が苦笑いしながらそう言ってきたが、俺はしっかり返事をした。

 

 普段なら「あぁ……」だの、「あいよ」って返事していたが、相手は第603鎮守府のオカン(母親)、矢矧だ。だらしない返事をしたら、怒られちまう。

 

……さて。何時までもボーッとしていないで、山のように積まれた書類を片しますか。

 

「えーと、これは──」

 

 

……。

 

 

「……ん?誰だ?」

 書類を捌き始めて数時間後。執務室の扉がノックされた。

 

『満潮よ。大本営から書類が届いたわ』

 

 大本営から?もしかして、資材の支給についてか?それか、他所の鎮守府の攻略(・ ・)経過か?

 とにかく、気になるが見なきゃ分からない。

 

「入ってくれ」

 俺が入室を促すと、扉を開けて満潮が入室してきた。

 

「はい」

 

「ありがとう」

 封筒を受け取り、素早くペーパーナイフで開封して書類を取り出し、中身を確認。まずは1枚目。

 

(どれどれ……おっ!全ての大規模鎮守府が無事、担当する海域の深海棲艦を殲滅し、攻略(・ ・)したみたいだ)

 書類によると、数時間前に攻略(・ ・)を終えたらしい。

 大規模鎮守府だけじゃない。中規模鎮守府も、攻略(・ ・)を終えたみたいだ。

 

 その為、明日までにウチと向こうへ資材を支給する事が可能になった、と書かれてある。

 これなら、出撃して残党処理を行える。

 

(今回の大規模反攻作戦での轟沈者(死亡者)は……ゼロ、か)

 深海棲艦出現以来、今まで何度も大規模反攻作戦を行っているが、轟沈者(死亡者)ゼロで済んだのは今回が初めてだ。奇跡と言っていいんじゃないのか?

 

(ただ、轟沈者(死亡者)はゼロだが、重症を負って、暫く艦娘業を休業する娘が数百人(・ ・ ・)も居る)

 ちなみに、重症を負った艦娘は深海棲艦との戦闘によるものではなく、風向きの影響でISKZ-C弾(・・・・・ ・)のガスが艦娘達に直撃し、吸ったのが原因だそうだ。

 

(ガスマスクをつけていても、ガスが侵入してきた、って……マジでISKZ-C弾(・・・・・ ・)、危険だな)

 幸い、風向きが味方してくれたからか、ウチではそんな事は起きなかったが、下手したら事故(・ ・)が起きて、重症を負い、暫く艦娘業を休業……なんて事になっていたかもしれない。

 

「何て書かれてたの?」

 

「ウチと向こう以外、大規模反攻作戦の攻略(・ ・)を終えたんだと」

 1枚目の書類を読み終えたと同時に、矢矧が声をかけてきたから、俺はそう答え、書類を差し出した。

 

(……さて、2枚目を確認するか)

 1枚目の書類を矢矧と満潮が読んでいる間に、2枚目の書類に目を通す。

 どれどれ──

 

「……数百名の艦娘が、磯風カレーのガス(・ ・)を吸って重症。暫く艦娘業を休業って……磯風カレーは封印するべきじゃないかしら?

……提督?」

 

──なんの冗談?ねぇ、これ、本当なの?

 

「司令官?どうしたの?」

 

──以前、「環境に影響を与える事は無い」って言ってたじゃん。なのに、ガッツリ影響与えてんじゃん。

 

「ねぇ、提督。顔色悪いわよ?何か、悪い知らせでもあったの?」

 

──どうすんの?これ。環境保護団体が知ったら、発狂するんじゃない?

 それから、反艦娘団体。連中に知られたら、これを口実に、また大騒ぎするぞ?

 

「……なによ、これ」

 

「うおっ!?」

 2枚目の書類を見て、書かれてた内容に思わず呆然としていると、すぐ近くに満潮の顔があり、驚いた俺は変な声を出して仰け反ってしまった。

 

 どうやら俺が見ている書類の内容が気になり、顔を覗き込ませてきたみたいだ。

 おーい、満潮、顔が近いぞ?離れて?……あっ、2枚目の書類奪われた。まだ全部見てないから、返して?

 

ISKZ-C弾(・・・・・ ・)を使用した海域の生態系に、異常が起きている事が確認された。

……環境には問題は無い、って大本営は言ってなかった?」

 

「言ってたけど……」

 あ、書類を返してくれた。

 満潮から書類を受け取り、再び内容を確認。えっと、何処まで読んだんだっけ……ここまでだったな。

………………はい?何これ?ふざけてんの?

  

「……ねぇ、さっき満潮がISKZ-C弾(・・・・・ ・)の影響で、生態系に異常が起きている、って言ったけど、大丈夫なの?」

 

「……大丈夫じゃないみたいだ」

 ごめん、矢矧。口で説明する気が起きないから、自分で読んで?

 丁度読み終わったから、2枚目の書類を矢矧に差し出す。そして、差し出した書類を受け取り、読み始めた。

 満潮も、全部読んでないみたいだから、矢矧と一緒に書類に書かれた内容を見ている。

 

……どんな反応するかな?

 多分だけど、矢矧は驚いて素っ頓狂な声を出しそう。

 満潮は……ドン引きするんじゃないかな?

 

「……はぁ!?何よコレ!」

「うわぁ……」

 

……はい、予想通り。

……現実逃避したい。けど、そんな暇は無さそうだ。早急に放送を入れて会議室に皆を集めて、知らせないと。

 

ISKZ-C弾(・・・・・ ・)を使用した海域の魚介類(・ ・ ・)が、異常に巨大化(・ ・ ・ ・ ・ ・)して、その海域を調査していた艦娘達が襲われた、って……冗談でしょ?」

 

「……俺も冗談だと思いたい」

 矢矧、落ち着いて?ほら、深呼吸して冷静になりな?

 

「私達の鎮守府も、資材が届き次第調査しろ、って命令されてる……ねぇ、本当にやらなきゃならないの?」

 

「……やるしかないだろ」

 書類によると、異常に巨大化(・ ・ ・ ・ ・ ・)した()が出現する海域は、ISKZ-C弾(・・・・・ ・)大量に使用(・ ・ ・ ・ ・)した所だけらしい。

……ボーッとしていないで、急いで皆にこの事を伝えないと。

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

 





次回予告


 魚群探知機代わりのソナー……よし。
 捕獲用ネット……よし。
 餌は……私達、艦娘が餌(・ ・ ・ ・)になるから、必要ありませんね。うふふっ……。
……ねぇ、司令官。爆雷、使ってはダメなのかしら?
……発破漁は禁止されているからダメ、ですか。了解しました。
……さて。お魚釣り(・ ・ ・ ・)に行って参ります。
 心配しないで。必ず、皆と生きて帰りますから。
 うふふっ。うふふふふふふっ……。


第113話・オーシャン・ハンター秋刀魚漁、開始!


「今年の秋刀魚は大ぶりだなぁ……アハハハハハハ」


※恐らく、頭の悪い内容になる予定。


【補足的なナニか】

・ローラー作戦…ある範囲全体にわたり、徹底的に行う事を指す。

・海蛇…【解析(・ ・)開始】


以上、補足終了。
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