追跡鶴   作:EMS-10

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 セッツブーンの時間だオラァ!!(挨拶)
 毎回、誤字・脱字報告をして下さり、誠にありがとうございます。


※注意※
頭を空っぽにしてご覧下さい
お前らの嫁だろ、早くなんとかしろよ


※{ }の部分は英語で話している、と脳内変換して下さい。

※この小説内の季節は、10月上旬頃となっています。


第118話・修羅場ヤ沖海戦、勃発

 

side 瑞鶴

 

 

──第603鎮守府、工廠──

漁開始(・ ・ ・)二十六日目。

09:30。

 

 

 此処は何処?──此処は地球。正確には、日本のF県。

 

 此処は何処?──此処は第603鎮守府。正確には、工廠。

 

 今の紀年法は何?──今の紀年法は、西暦(・ ・)。正確には、西暦2083年、10月。

 

 

 けれど、今、私は復興暦(・ ・ ・)の世界に居るのでは?と思ってる。

 

……苦手な魚介類三昧の日々を送り、更に魚介類を殺す事が出来なくてストレスが溜まっている上に、今まで経験した事の無い位、忙しい毎日を送っているから、頭がおかしくなって、幻覚を見ているのかもしれない。

 

 それか、自分でも気が付かないうちに、二次創作小説とかによくある異世界転生をしたのかもしれない。

 

……お前は何を言っているんだ?そう思うかもしれない。けどね、そう言わざるを得ない状況に──

 

 

 

「くそっ!止められない!!」

 

「いい加減にしなさい!!」

 

「全部ぼっこして(壊して)やる」

 

「ち、千歳さん、落ち着いてください!装置を壊したら、修繕費がかかってしまうから、やめてください!!」

 

 

 

 

……摩耶と山城が、必死に妖精さん達を止めようとしているけど、フラストレーションが溜まりに溜まっている彼女達……彼?どっちだろ?性別不明だから分からないや。

 とにかく、妖精さん達が暴走。二人の制止を振り切って、廃材を使って色々造っている。

 

……何を造っているか、気になる?

……BOR○ER BREAKの武装を次々に造っているのよ。

 

 もうね、凄い数(・ ・ ・)の武器を造ってて、復興暦(・ ・ ・)の世界に居るんじゃない?と、錯覚しそうになっている。

 

 幸い、廃棄する装備を再利用して造られているから、資材が消費されていないのが、唯一の救いね。

 

 閑話休題。

 

 それを見た千歳さんが、艦載機格納庫を担いで工廠の武器製造装置を破壊しようとしている。

 流石にそれをやられたらマズい。大鳳が必死に説得して阻止しようとしているけど、止まりそうにない。

 

……何時までも現実逃避していないで、事実を受け止めなきゃ。

……とりあえず、大鳳を助けよう。

 

「もういっその事、好きにさせたら良いのでは?」

 

「野原主任、諦めないでください……」

 

「いやぁ、海風さん。そう言われましても……」

 

……野原主任、諦めないでください。海風も、もっと強く言わなきゃ。

 ほら、千歳さんを止めるの手伝ってください。その後に妖精さん達を止めるわよ。

 

「わぁ……41型手榴弾・改がこんなに沢山ある。ねぇ、瑞鶴さん。これ、僕が全部貰っても良いかな?」

 

「……ダメよ。廃棄しなさい」

 時雨。あんた、その手榴弾を愛用しているから、喜ぶ気持ちは分かるけど、既に幾つも所持しているでしょ?これ以上所持しないで?

 目の前のヤツ全部所持したら、三桁超えるわよ?

……そんな悲しそうな顔しない。

 

「…………」

 

「……涼月。その手に持っているサ○ード・コングを置きなさい。今すぐに」

 ふと、視界の端にロケットランチャーをこっそり拝借しようとする涼月が見えたから、急いで注意をする。

……油断も隙も無い。あんた、以前それを使って深海棲艦にゼロ距離(・ ・ ・ ・)でぶっ放して、自爆芸(・ ・ ・)していたから絶対に使わせないわ。

 

「……了解しました。……チッ

 

 舌打ちしたの、聞こえているわよ。……よし、置いてくれた。

 

……皆、壊れてきている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)わね。

……私も壊れたい。先日の榛名みたいに暴走して、(提督)を襲いたい。

 今日、提督免許の更新を受けに行っているから、帰ってきたら襲おう。

 約束してくれたしね。提督免許を更新したら、抱く(・ ・)って。色々忙しいけど、良いよね?

 

《……ダメよ》

 

……ダメかぁ。

 

《ただでさえ、(提督)は激務で精神的にも肉体的にもボロボロになっているわ。瑞稀(・ ・)まで暴走したら、彼、精神崩壊するかもしれないわよ?》

 

……そう、ね。しっかりしなくちゃ。ただでさえ私は色々やらかして()に負担をかけているし。

 

《……とりあえす、急いで千歳(・ ・)を止めましょう?》

 

……そうね。装置を壊されてたら、修繕するのに資材とお金を消費する事になっちゃうし。

 

 

 

………………。

 

 

 

──第603鎮守府、談話室──

15:00。

 

 

 

(……まだ連絡が来ない)

 ス○ホを操作し、時計を見ながら、提督免許の更新に向かった()の事を考えていた。

 何かあったのかな(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

 

……もしかして、試験に落ちて提督の資格を剥奪されたのかな?

……いいえ。そんな事は無いわ。()なら、余裕で受かる。だって、毎日コツコツ勉強していたし、毎回合格ラインを超えていたし。

 

 きっと、大本営のお偉いさんか誰かに捕まって、長話に付き合わされていて、連絡を寄越せないのかもしれない。

 そう考えながらス○ホの電源を切り、ポケットに仕舞うと、

 

「……()に行きたくないでござる……行きたくないィィィ……霞ちゃん(・ ・ ・ ・)にバブみを感じてオギャりたいィィィ……何で鎮守府近海にまで出現するのよぉ……」

 

「……気持ちは分かるけど、そろそろ支度しましょう?」

 テーブルに突っ伏したまま、足柄がそう言ってきた。大分疲れているみたいね。

 本音を言えば、私も行きたくない。このままソファーに腰掛けて居たい。

 けど、行かなきゃ何時まで経っても魚介類の処理は終わらない。

 

 今朝、()に向かった人達から報告を受けたけど、とうとう鎮守府近海にまで巨大化した魚介類が出現するようになった。

 それだから、ただでさえ忙しいのに、更に忙しくなって……ごめん。これ以上言いたくない。考えたくない。

 

「……途方もない数の魚介類を処理(・ ・)しているのに、何で終わらないのよぉ。

……そうだ!面倒だから、核を撃ち込まない?サ○サリスのアトミックバズーカがあるし」

 

「おい」

 足柄、やめなさい。

 確かに、以前妖精さん達が造った奴があるけど、使おうとしないで。使ったら、確実に海が汚染されるわ。

 

 ただでさえISKZ-C弾(・・・・・ ・)で汚染されて、魚介類が異常に巨大化したというのに、核を撃ち込んだら、更に変異した生物が誕生する恐れがある。

 下手したら、ガノト○スみたいな生物が誕生するかもしれない。

 

「けど、バズーカはあっても、肝心の核弾頭が無い。確か、プルトニウムって物質……でいいのか?ソイツが必要なんだろ?ウチ(第603鎮守府)にプルトニウムは無いぜ?」

 

「摩耶、乗らないで。落ち着こう?」

 普段ならツッコミを入れているのに、精神的に疲れているからか、足柄の提案に賛同してる。

 噂だと、日本が保有するプルトニウムじゃ、核弾頭は造れないらしいわ?あくまで噂だけど。

 

「プルトニウムなら、適当に原発から頂けば(・ ・ ・)いいじゃない」

 

頂く(・ ・)じゃなくて、強奪する(・ ・ ・ ・)の間違いなんじゃ……」

 千歳さん、ドンパチやる気ですか?そんな事したら、色々マズいですよ。

 一応(・ ・)良識人(・ ・ ・)の枠に入っているのに、暴走しかけている。早く何とかしないと……。

 

「よし。ちょっくら原発に行って、プルトニウムを頂いて(・ ・ ・)きましょう!!」 

 

「やめなさい」

 夕張、実行しようとしないで。今の夕張は本当にやりそうだから怖い。

 魚介類の対応に、魚料理三昧の日々に加えて、五月雨に……その……色々ヤられそうに(・ ・ ・ ・ ・ ・)なっているからか、他の誰よりもメンタルが酷い事になってる。洒落抜きで、ふとした拍子に何かやらかしそうだから、しっかり監視しておこう。

 

「み、皆さん、落ち着いてください!そんな事をしたら、ダメですよ!一旦、落ち着きましょう?」

 

 海風……ありがとう。今ここに居るメンバーの中でまとも(・ ・ ・)なのはあなただけ(・ ・ ・ ・ ・)だから、助かるわ。

……私はまともじゃないのかって?まともじゃないから、含まれないわ。

……自分で言って虚しくなってきた。

 

 

 閑話休題。

 

 

 工廠のひと騒動を解決し、数時間が経過。

 その間、艤装の点検とか色々やって、それが終わった後。今朝()に向かった人達が戻るまで、足柄達と談話室で時間を潰していた。

 ちなみに、他の人達は自室で待機している。

 

 閑話休題。

 

 さっき阿武隈から教えてもらったけど、漁組(・ ・)がそろそろ戻って来るみたい。

……戻ってきたら、今度は私達が()に向かわなくちゃならない。行きたくないなぁ。

 

(殺さず生け捕りにしなきゃならないから、物凄く面倒……)

 それに、魚介類特有の匂いを嗅ぐハメになるから、テンションが下がる。私、あの匂い苦手なんだよね。

……ただでさえ苦手な魚介類が、今回の騒動のせいで益々嫌いになっちゃったよ。

 

《……ボヤいていないで、準備しましょう?》

 

……分かったわよ。……はぁ。身体が重い。肉体的疲労はそこまで溜まっていないけど、精神的にボロボロだから、身体が上手く動かない。

 非常に緩慢な動作でソファーから立ち、背伸びをする。

 

「……そろそろ時間ね。準備しちゃいましょう?」

 

「……はぁい」

 

「了解しました」

 

 私が背伸びしている間に、千歳さんと夕張、海風は談話室から出て行ってしまった。

 私も行こう。……行きたくないけど。

 

(……はぁ〜。仕方ない。やりますか)

 内心で大きくため息を吐いて、準備をする為、工廠に向かおうとした時だった。足柄のス○ホから、LIN○の着信音が聞こえてきた。

 

「……あら?大淀(・ ・)からだ。ちょっと待って。……は?」

 

 ス○ホを操作していた足柄が、驚いたような声を出した。

 思わず足柄の顔を見ると、目を見開いて硬直してる姿が視界に入ってきた。そして、顔を青ざめさせ、冷や汗を流し始めた。

 珍しいわね。足柄がそんな顔をするなんて。

……少し、気になる。けど──

 

(やめておこう)

 気になるけど、プライバシーとかがある。だから、何があったのか聞こうと思ったけど、やめた。

……さっさと()の準備しよう。

 談話室から出ようと、扉に向かおうとした時だった。

 

「これ、提督だよな?」

 

「ちょっ、摩耶!?」

 

 摩耶が足柄のス○ホの画面を見ながら、そう言ったのが聞こえてきた。

……えっ?提督?

 

「……なんだ、この写真」

 

「私が聞きたいわよ……」

 

 摩耶と足柄が、呆れたような、焦っているような……上手く言えないけど、とにかく気まずそうな顔をしている。

……気になる。さっき、プライバシーが云々と思っていたけど、気になって仕方ない。

 

「何があったの?」

 思い切って足柄に声を掛けると──何よ、その顔は。

 

「あー……その……」

 

「……見せて」

 渋る足柄に、少しだけドスを利かせてお願い(・ ・ ・)した。

 決して脅して(・ ・ ・)いるわけじゃないわ。

 

《……瑞稀(・ ・)、鏡で自分の顔を見なさい。怖い顔をしているわ。あと、声も怖いわよ》

 

……うるさい。

 

「あの、その……お、落ち着いて見てね?」

 

「……分かったわ」

 大丈夫よ。私は冷静だから。落ち着いているから、騒がないわ。暴れないわ。多分。

 

《多分、って……》

 

 彼女(・ ・)が呆れた声でそう言ってきたけど、無視して足柄からス○ホを受け取ると──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()が、金髪の外国人(・ ・ ・ ・ ・ ・)美女(・ ・)抱き締めている(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)写真が、ス○ホの画面に映されていた。

 

 

……ナニ、コレ。浮気?

 

《彼に限って、それは有り得ないわ。きっと、何か理由があって抱き締めたのだと思うわ》

 

………………じゃあ、どんな理由で抱き締めたの?

 

《分からない。とりあえず、この事は彼が帰ってから聞きましょう?》

 

………………そうね。帰ってきたら、拷問(・ ・)して聞き出してやるわ。

 

《拷問って……何する気?》

 

 まず、地下の営倉に監禁。手足を縛るわ。それから服を脱がせて──

 

《脱がせて?》

 

 足腰立たなくなるまで犯す(・ ・)

 

《それ、拷問じゃなくて逆レ○プよ……》

 

 間違えた。足腰立たなく(・ ・ ・ ・ ・ ・)なっても(・ ・ ・ ・)犯し続ける(・ ・ ・ ・ ・)わ。

 

《何故犯すのよ……》

 

 痛みや苦痛を与えず、確実にダメージを与えられるからよ。

 

《……本音は?》

 

 我慢の限界(・ ・ ・ ・ ・)だから犯したい。

 

《オイ》

 

「ず、瑞鶴、顔が怖いわよ?」

 

「お、落ち着け?な?」

 

「……大丈夫よ、私は冷静よ」

 いけない。足柄と摩耶が心配そうに見ている。

 私なら大丈夫。キレたりしないわ。今のところは(・ ・ ・ ・ ・ ・)ね。

 

「……この事は一旦保留にして、()の準備しよう?」

 言いたい事が沢山あるけど、今は私の。私達がやるべき事をやらないと。

 

 二人にそう言って、今度こそ談話室を出ようとした時だった。私のス○ホからLIN○の着信音が鳴った。

……誰?

……()からだ。

 

 ス○ホを操作してL○NEを起動。

 メッセージを確認すると、無事、試験に合格し、提督免許の更新が出来たという内容だった。

 

 おめでとう。そして、お疲れ様。そう返信したかったけど、今の精神状態では出来そうに無い。

 

「……ねぇ、足柄。さっきの画像、私に送ってくれないかしら?」

 

「わ、分かったわ」

 

……届いた。この画像を添付して、メッセージを入力して──送信。

 これで良し。あとは返信が来るのを待つだけ。

 

「あの、足柄さん、摩耶さん、瑞鶴さん、そろそろ準備をした方が……」

 

「了解よ」

 

「あいよ」

 

「今行くわ」

 返信した後。何時まで経っても準備を開始しない私達の様子を見に来た海風に注意されてしまった。

 本当なら、()から返信が来るまで待ちたいけど、そうもいかない。急いで準備しなきゃ。

 

 

 

 

 

……なんて返信したか気になる?いいわ。教えてあげる。

 色々書きたかったけど、シンプルに纏めてこう書いたわ。 

 

 

『ねぇ、()この写真、何?』

 

 

 

 って。

 

 

 

……どんな返信をしてくるのかな。

……私、信じているからね?

 

 

side 瑞鶴 out

 

 

───────

────

 

 

side 提督

 

 

 

──大本営、事務課──

14:40。

 

 

「第603鎮守府所属、渡良瀬準少佐。提督免許の更新が完了しました。お疲れ様です」

 

「ありがとうございます」

 やれやれ。やっと終わったか。今日更新しに来た提督が多かったから、予定よりも時間がかかっちまった。

 

 

 試験を受けて数時間後。結果が発表され、無事に合格し、提督免許の更新をする事が出来た。

 これで提督業を続けられる。

 

 比較的簡単な問題ばかりで、全て記入出来たが、それでも不安だった。けど、無事に合格出来たから、不安は無くなり、代わりにどっと疲れが出てきてしまった。

 お陰で、身体が重く感じる。

 

(さっさと帰って、執務をしなきゃ)

 事務課の人から提督免許と更新書類を受け取り、それらをカバンに仕舞いがら、今後の事を考える。

 

(……帰ったら、山のような書類とお見合い(・ ・ ・ ・)しなきゃならないんだよなぁ)

 帰りたくねぇ。このままサボって何処かに行こうかな?

 

(……サボるな。皆、辛い思いをしているんだぞ。それなのに俺だけサボって楽するなんて、ダメだ)

 しっかりしろ。サボるな。頑張れ。

……あっ、そうだ。試験に合格した事を、皆に伝えないと。その前に、喉が渇いたから、自販機で飲み物を買おう。

 

(喫茶店……はやめておこう。売店か自販機で買おう)

 大本営内にある喫茶店とかに寄ってもいいが、そうしたら、きっとそこでのんびり過ごしてしまう。

 それに、試験直後で提督達が利用していて混んでいる恐れがある。

 これ以上時間を浪費するわけにはいかないからな。

 

 

…………。

 

 

(……あったあった)

 事務課を出て数分後。何処に何があるか分からないから、インフォメーションで自販機の位置を確認しながら移動したから、少し時間がかかってしまった。

 周りには俺以外、誰も居ない。さっさと買って、飲みながら合格したと連絡入れて、帰ろう。

 

(何を飲もうかな?)

 甘いものが欲しい気分だから、ココアにしよう。

 自販機にお金を入れて、購入ボタンを押して──出てきた。

 

 取り出し口からココアを取り、プルタブを開けようとした、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{O゛O゛O゛O゛O゛O゛O゛…゛…゛}

 

 

 

 

「ッッッ!!?」

 背後から、ゾンビのような(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)唸り声(・ ・ ・)が聞こえてきた。

 

(何!?何ッ!?)

 ウチのゾンビ化した涼月みたいな唸り声が聞こえたぞ!?君は確か、()に出ている筈。まさか、脱走して俺の跡をつけてきたの!?それか、大本営でゾンビを飼っているのか!!?

 

 そんな事を考えながら、急いで振り返ると、そこには──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{魚"は"滅"べばい"い"…"…"}

 

「」

 

{あ゛な゛た゛も゛そ゛う゛思゛う゛で゛し゛ょ゛…゛…゛?゛}

 

「」

 

{肉゛だ゛…゛…゛肉゛を゛喰゛わ゛せ゛ろ゛…゛…゛喰゛わ゛せ゛る゛ん゛だ゛…゛…゛}

 

 白目を剥いて、濁音混じりの流暢な英語(・ ・)で俺に語りかけてくる、金髪の外国人の女性が居た。

 

……あの、すみません、英語苦手なので、何言ってるのか分かりません。

 辛うじて「魚」、「滅べ」、「肉」、「食べる」と言ったのは分かったが、それ以外は濁音混じりの声の為、良く聞き取れなかった。

 

……怖い。白目剥いたまま唸り声を出し、ゆっくりと俺に歩み寄って来ないでください。まるでデンジャラス・ラブ・ゾンビ状態になった涼月みたいだ。

 

{肉゛…゛…゛ビ゛ー゛ル゛…゛…゛こ゛の゛組゛み゛合゛わ゛せ゛は゛最゛強゛無゛敵゛よ゛…゛…゛な゛の゛に゛、゛何゛故゛…゛…゛何゛故゛…゛…゛}

 

 だからこえーよ!唸り声みたいな英語を喋りながら、迫らないでください!?

 ウチの涼月の方が、まだ可愛げあるぞ!?アレか?涼月は日本人だからか?確か、ゾンビって外国発祥、って聞いた事がある。

 

 目の前の女性は、見た所、外国人。本場外国出身だから、怖さが倍増しているのかな?

……アホな事考えている場合じゃねぇぞ。とりあえず、

 

{お、落ち着いてください!}

 慣れない英語で、そう言ってみた。しかし、

 

{落゛ち゛着゛け゛?゛落゛ち゛着゛い゛て゛い゛る゛わ゛。゛肉゛を゛喰゛わ゛せ゛れ゛く゛れ゛れ゛ば゛、゛も゛っ゛と゛落゛ち゛着゛く゛わ゛よ゛…゛…゛}

 

 アカン、さっきよりも濁音が強くなったから、全く聞き取れん。それに、呼吸が荒くなっている。俺、初めて見たよ。フシュー、フシューって言ってる人。

 

……あっ、あの、あのあのあの、何で迫って来るの?

 さっき、「肉食べたい」みたいな事言ってましたけど、まさか俺を食う気じゃないですよね?カニバリズムする気ですか!?

 

……あっ、ちょっ、何で抱き着いて(・ ・ ・ ・ ・)くるの!!?離れて!?第三者に見られたら、勘違いされちゃう!!?

 くそっ、力が強い!!あと、めっちゃ柔らかい物が俺に直撃しちゃっています!!翔鶴や(・ ・ ・)扶桑さんよりも(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)大きい(・ ・ ・)ぞ!!?

 

……じゃなくて!!邪な事考えていねーで、さっさと何とかしないと!!!

 視線を胸に向けそうになったが、鋼の意思で顔より下に向けず、拘束から逃れる為、必死に抵抗。だが、離れない。どうすりゃいいんだ?

 

{喰゛わ゛せ゛ろ゛…゛…゛肉゛…゛…゛何゛で゛も゛い゛い゛…゛…゛牛゛…゛…゛豚゛…゛…゛鳥゛…゛…゛喰゛わ゛せ゛ろ゛…゛…゛}

 

{こ、ココアでも飲んでリラックスしな?}

 もしかしたら、甘い物でも飲めば落ち着くかもしれない。

 そう思い、未開封のココアを差し出しながら、目の前のゾンビ(・ ・ ・)に英語で声を掛ける。

 学生時代、コ○ンドーの英語版を見まくって真似した事があるから、流暢に話せたと思う。

 

……あっ、でもこの台詞、死亡フラグに繋がるんだよな。もしかしたら、俺、目の前の外国人に殺されちゃうかもしれない。

……いや、流石にそれは無いだろ。

 

「面白い奴だな。殺すのは最後にしてやろう」

 

「殺さないでください!!?」

 

「ふふっ、Jokeよ♪」

 

 うおぉい!?急に正気に戻らないで!?あと、メイト○クス大佐の名言を日本語で言ってきやがった。

 くそっ、フラグ回収されちまった。

 

……まぁ、離れてくれたから、良しとしよう。

 それと、日本語話せるんですね。少したどたどしいが、気にしない。

 

「Sorry,取り乱しちゃったわ」

 

「は、はぁ……」

 取り乱した、なんてレベルじゃないと思うんですが……。

 

「もうSeafoodは懲り懲りよ。このままSeafoodだけを食べ続けたら、ガリガリに痩せちゃうわ」

 

「あー……」

 すみません、なんて返せばいいか分かりません。

 本当にすみません、俺達日本人のせいで辛い思いをさせてしまって。

 

{居ました!!}

{アイオワ(・ ・ ・ ・)さん!そこから動かないでください!!}

「そこの人!アイオワ(・ ・ ・ ・)さんを捕まえてください!!」

 

「……えっ?」

 目の前の女性になんて声を掛ければ良いか悩んでいると、職員さん達が慌てて俺達へ向かって走って来るのが見えた。

 その内の2人は英語で、恐らく目の前の女性──アイオワ(・ ・ ・ ・)さんに語りかけたのだろう。

 もう1人は日本語で、俺にアイオワ(・ ・ ・ ・)さんを捕まえるよう言ってきた。

 

Jesus(ヤバッ!)!もう来たの!?」

 

「あっ、ちょっ!?」

 アイオワ(・ ・ ・ ・)さんがそう言ったのとほぼ同時に、凄まじい速さで走って逃げてしまった。

 そして、それを職員さん達が追いかけて行ってしまった。

 

……何だったんだ?

……。

……。

……とりあえず、ココア飲もう。

 

 先程の出来事に呆気に取られ、暫くボーッとしてしまった。時間にして、1分経つか経たないか位かな?まぁいいや。

 

 これ以上時間を掛ける訳にはいかないからな。今度こそプルタブを開け、ココアを飲む。美味い。

……おっと。皆に合格した事を連絡しなきゃ。とりあえず、瑞鶴に伝えて皆に知らせてもらおう。

 

 LIN○を起動し、瑞鶴に合格したと入力して、送信。

……さて。ココアを飲み干すか。そんで空き缶をゴミ箱に捨てて、駐車場へ向かって車に乗って、第603鎮守府に戻ろう──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Guten Tag(こんにちは)

 

 

 

 

 

「……」

 背後から、声を掛けられた。しかも、外国語。

 何だよ。何だよ!?何でこんなにも声を掛けられるんだ!!?今日は厄日だわ!

 

(……とりあえず、振り返ろう)

 無視するのは良くない。ゆっくりと、声を掛けてきた人物の方に身体を向けると──

 

 

 

 

 

 

 

 肩に十字架のようなエンブレム……でいいのか?それが付いた艦娘の装束を纏い、錨型の髪飾りで金髪を2つのお下げにした、碧眼(・ ・)少女(・ ・)が俺の視界に映った。

 

……あれ?この娘、見覚えがある(・ ・ ・ ・ ・ ・)な。

 

……あれ?まさか、この娘──

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私の事、覚えていませんか?」

 

 

──間違いない。この声。小○亜李さんに似た声。あの娘だ!

 

 

 

side 提督 out

 

 

───────

────

 

 





次回予告


……渡良瀬少佐がアイオワさんに襲われている、面白そうな写真(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)が撮れたから足柄に送ったけど、少佐の想い人さんに見られてヤバい事になってるみたい。
……後でフォローしておきましょう。
……あら?あれは──プリンツ(・ ・ ・ ・)オイゲン(・ ・ ・ ・)さん?
……何故、あんなに上機嫌なのでしょう?


第119話・頭がラッキーガール


「真顔でなんてこと言うの、オイゲンちゃん(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)

※先に謝罪させて頂きます。
 プリンツ・オイゲン嫁提督の皆様、ごめんなさい。


【補足的なナニか】

・復興暦…「BORDER BREAK」の世界の年紀法を指す。

・41型手榴弾・改…「BORDER BREAK」に登場する、手榴弾。「強襲兵装」の副武器の1つを指す。
 爆発範囲が狭い代わりに、驚異的火力を誇る。

・サワード・コング…「BORDER BREAK」に登場する、ロケットランチャー。「重火力兵装」の副武器の1つを指す。
 弾速が非常に遅いが、驚異的爆発範囲と威力を誇る。
 自爆しやすい為、取り扱いには注意が必要。

・サイサリス…「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」に登場する、「ガンダム試作2号機」を指す。

・ガノトトス…「モンスターハンター」シリーズに登場するモンスターハンター。亜空間タックルは滅べ

・ココアでも飲んでリラックスしな…映画「コマンドー」で、登場人物の1人、「サリー」が言い放った「ビールでも飲んでリラックスしな」の台詞が元ネタ。
 ビールの部分をココアに改変しただけ。

・今日は厄日だわ!…上記の「コマンドー」に登場する登場人物の1人、「シンディ」が言い放った台詞が元ネタ。
 
・アイオワ…Iowa級戦艦一番艦、Iowaの適性者を指す。出身地はアメリカ合衆国。
 現在、日本へ派遣され、大本営所属となって日本を支援している。
 アイオワ以外にも、アメリカ合衆国から日本へ派遣された艦娘が居る(という設定)。
 ジャンクフード。特に肉料理が大好きで、魚介類三昧の日々を送るハメになった事で発狂・暴走してしまった。
 映画「コマンドー」が大好きで、コマンドーの筋肉言語名言(迷言)を聞くと反応してしまうらしい。

・小澤亜李…声優。艦これでは「プリンツ・オイゲン」、「秋月」、「野分」「悪堕ち春雨駆逐棲姫」、「悪堕ち翔鶴空母水鬼」等を演じている。


以上、補足終了。



 翔鶴に無理矢理恵方巻き食わせて、口を大きく開けさせたい……
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